ラオス 山からだより 10号

         2008年7月 

   

これからの図書館活動発展のために




山の小さな図書館が開館してから1年。活動は予想以上に進んでいるようで嬉しいです。それだけ村の人達に認められ受け入れているのだろうと有難く思っています。

4月に、図書館の建築を担当して下さった鈴木晋作さんが再訪し、村の方たちのご協力で茅葺屋根の葺き替えをしました。小さな補修などは村の方達がして下さっていたそうです。晋作さんの意図していたことが、村の人達にも根付いていたのでしょう。

その際に、村の方から「もっと大きな建物を建てて欲しい」との要望が出されたそうです。現在は村人が全員で集まる必要がある場合には、村で一番広い長老の家に集まっているそうですが、自由に快適に使える共通の場所があった方が良いと思ったのでしょうか。

また、建物はコンクリートなどではなく、図書館と同じように村の土と藁を使った建物にしたい、建設には村の人達があたるという提案だったそうです。

 小さいながらも、土と藁の「図書館」は見学に訪れる人もあるそうで、村の人達にとっても小さな誇りになってきているのではないでしょうか。

なによりも、晋作さんや安井さんがご苦労を重ねて、図書館の建設作業に村の多くの人達に関わってもらったことは、共通意識を高める大きな要因になっただろうと思っています。

当初、図書館はもっと大きなものを予定していて、村からもそれに見合った土地を提供して頂いていたので、土地もあり、確保していた木材も残っています。

しかし私は、大きな建物もあくまでも「子ども達のための図書館活動の拠点」であって欲しいと願っています。

建設のためには、また晋作さんにご苦労をお掛けしなければなりません。村に入って皆さんのご意見をお伺いしながら、是非、「図書館活動の発展」と「村の方達のご要望に応えられる」ための建物となるように考えて頂ければと思っています。

みなさまにもどうぞよろしくお願い申し上げます。

2008年7月

(武内桂子)

 

祝!開館一年」G村訪問記−2008年4月            鈴木晋作

私は、図書館が完成して約一年ぶりに、茅葺き作業の時季に合わせ、乾季の終わりにG村を訪問しました。今回の訪問の目的は、@.建設後一年目の点検、A.茅屋根の葺き替えと改良、B.村の人との今後の話し合い の3点でした。

数日間の短い滞在でしたが、留守にしていた者にとっては、多くの変化を感じます。

懐かしい顔の幾らかは、見当たりません。もう村を離れた人、これから村を離れる人もあり、寂しい気持ちはありますが、その門出を見送ってあげなければならないのは、村に残った人々にとって、誰しも同じです。より良い条件を求めて、新天地に旅立つのですから。

また、村の人の関心のある話題も以前と異なり、村の中にも農業の機械が増えたように見えます。

@.図書館の建物の状況ですが、建物の状態は、とても良く、スタッフ二人の掃除がとても丁寧にされているのが一目見てわかります。床なども子どもの足の裏の「天然のワックス」と雑巾拭きのおかげで、つるつるになっています。一年前より、かえって綺麗に見えるくらいでした。

建具の細工など、不具合のあるところは、村の人が補修していたようです。湿気の多いところですから、その程度は予想していました。

A.茅葺きは、風雨と紫外線にさらされ、一部室内から「空が見える」というところが何点かあったようですが、まだ雨漏りはありませんでした。この建物では、人が生活することで火を起こし、燻す事がないので二,三年で葺き替えになります。二年経った今年の春に葺き替えとなりました。今度は、三年以上の耐久性を期待して、より密に葺くことにしました。

茅を集めるのは、村の共同作業として、各家族から三,四枚分を山から刈って来て、シート状に編んで、提供してもらいました。

作業日の前日まで、20枚程度しか集まっていませんでしたが、前夜に村長たちに呼び掛けてもらったこともあって、その日の朝には、続々と集まって来ました。茅葺き作業に当たっては、延べ40人程度の人が参加して賑やかに行いました。

















改良点として、屋根に半透明の波板を敷き込みました。風雨から建物を守るために軒が深く、曇天のときは、室内が少し暗くなってしまうので、安定した天空光を採り入れたのです。これは、安井さんとスタッフの要望から出てきたアイデアです。

村の人々と一緒に茅葺屋根の葺き替えをした              作業を終え、みんなで記念撮影

付け加えて、オンドルの床の紙をモンの和紙で張り替えて、一新しました。後日、安井さんと子どもたちが楽しく床に絵を描いたようです。

B.村滞在の最後の晩に村の人々に集まってもらい、図書館の意義を再確認しつつ、これからの図書館のあり方を話し合いました。

話し合いの中で、村の人たちから新たな相談がありました。それは、図書館に併設する村役場の建設に協力して欲しいということです。

この計画を遡れば、図書館の準備小屋から始めようということでした。村の人の期待に応え、耐久性を高めるために、今のような建物になりました。今の図書館は、容積としては最小限で、「お話のたくさんある家」としては、最大限の機能を果たしていますが、もともと空間として、学習室(小中学生の自習、女性の識字教室)やコミュニティーセンターとして大人の利用を意図していました。そして何年か後に、図書館が軌道に乗り、更にその多くの機能が果たせる大きな空間が必要であれば、大きな家を建てようということでした。

そこで、我々の提案としては、村役場を対外的な「お飾り」にするのでなくて今の「お話の家」と隣接した、実用的な「みんなの大きな家」にすることです。つまり、村の公務にのみ使われて、日常は使われない、村の人が何か使いたいという事があっても、利用の手続きが難しい、管理が厳しいということでは困ります。ですから、公務との領域分けの平面計画と管理、施錠の運営計画にも注意が必要です。大きいと言っても、床面積は60u強(現在の図書館は約25u)の平屋です。

建設に当たっては、彼らも実際には、畑の仕事もありますから、労働提供と賃労働を組み合わせた建設組を編成することが、最善かと思います。つまり、多人数で短期間の作業は、村の共同作業「結い」で行い、専従して働くような中心になる人は、賃労働で行います。これで、今までの経験と関係が、役に立ちます。

しかも村の人たちは、「土」を使った建物がいいと言います。それは、人好きのモンの人たちが私たちを村に長く滞在させるという方便なのかもしれませんが、彼らが生活に「土」の技術を導入し、住環境の快適さ、経済性を期待しているのではないでしょうか。

この図書館にまつわるエピソードを聞きますと、何でも、イラン人の方が何かのついでに見に来て、感心して帰られたそうです。イランには、土や石灰の技術と伝統的建築が残っていますから、そう褒められると、この小さな建物も少し凛として感じました。

それはどうあれ、村の中にあるシンボルということでは、その役割を果たしているかと思います。「お話の家」の建設時のことは、私もまだ整理できておりませんので、改めて報告させていただきます。










子どもたちと床に絵をかきました                   安井清子

4月はじめ、鈴木くんがオンドル床を修繕してくれた。その床の上に、絵を描くことにした。というのは、このままだったら、子どもたちの、きっちゃない足跡で、汚れることには疑いようがなく・・・・どうせそれなら、白っぽい紙のままより、絵を描いたほうがいいのではないか?と思ったのだ。ふっと、本棚を見ると、「おさるとぼうしうり」の絵本が目に入った。

「そうだ、大きな木の絵を描こう。おさる、ぼうしうり、それに楽しいお話の絵をたくさん描こう」。

大きな木、帽子をかぶったサルたち、ぼうしうりの男。木の枝の上には、「ぐりとぐら」ものせた。そして、「はらぺこあおむし」も。ついでに、「11ぴきのねこ」と、「わたしのスカート」のうさぎと、「あおい目のこねこ」「しょうがぱんぼうや」も・・・最後に、「ラチとらいおん」のあかいちいさなライオンも枝にのせた。3日かかった。

 ここのところ朝、雨降りである。近所の小さな女の子たちが3人やってくる。この子たちはおえかきが大好きなのだ。「パヌン、おえかきする」と、クレヨンと紙をねだる。

「じゃあ、ここに花を描く?この床の隅のところ」私は、床の空いている部分に、子どもたちに絵を描いてもらうことにした。「これ、わたしが描いた」という絵がある床なら、もっと楽しいではないか。ぼくも描く・・・・わたしも・・・・・と大勢が床に上がりこんで絵を描いた。という具合で、3日かけて、子どもたちとの合作の床絵ができたのでした。