「一年の計は元旦にあり」と言われます。物事を始めるには計画が重要だという意味のことわざですが、日本で元旦が特別な意味を持っていることがわかるでしょう。日本人は、年末になると家の大掃除を始めます。家の中をきれいにして、新たな気持ちで元旦を迎えるためです。
日本では大晦日の夜にそばを食べる風習があり、年越しそばと呼ばれています。いわれについてはいろいろな説があるようですが、一般的には「細く長く」生きるという願いをそばの形に重ねあわせているものとされています。冬場はそばが美味しい時期だからという話もありますが、なるほどもっともな気もします。年越しそばは、年が明ける前に食べ終わらないと、逆に縁起が良くないと言われていますから、気をつけなければいけません。
日本のお正月の代表的な食べ物は、おせち料理とお雑煮です。おせち料理は、おめでたい意味を持ついろいろな食べ物を重箱に詰めた料理です。たとえば、おせち料理に多く使われるエビは、その姿が長いひげをはやして腰の曲がったおじいさんのイメージと重なることから、長寿を願うという意味が込められています。また、昆布巻きの昆布は「喜ぶ」、甘く炊かれた黒豆は「まめ(健康の意味)」と発音が共通していることから、おめでたい食べ物とされています。鰊の卵を数の子といいますが、「二親(にしん)」から多くの子供が生まれることにつながると考えられ、家の発展を願う気持ちからおせち料理には欠かせない食材になっています。
お雑煮とは、餅が入った汁のことです。餅の形や、汁の具、味付けなどは地方によって特色があります。一般に、東日本では四角い餅、西日本では円い餅が使われます。四国では、あんこの入った餅を使うところもあります。私の友人の実家が、ちょうどその地域なのですが、あまりおいしいものではないと言っていました。