元旦の日の出は「初日の出」と呼ばれ、古来めでたいものと考えられてきた。初日の出は、「初日の出を見る」ではなく「初日の出を拝む」と表現されることも多い。この場合の「拝む」は、「拝見する」と同じく「見る」の謙譲語である。ただし、実際に初日の出に手をあわせて拝み、一年の無事を祈ったり、願い事をしたりすることもある。
初日の出を拝みに出かけることは、初日の出参りと呼ばれている。現在でもこれを行なう日本人は少なくなく、全国各地に初日の出参りの名所が存在している。その中でも、最も有名なスポットのひとつが、富士山の山頂である。
高い山の山頂から見る日の出は、特別に「御来光」と呼ばれる。これは、古い時代の山岳信仰の名残と考えられるが、雲の海の中に現われる太陽の神秘的な姿は、現代人をも感動させるのである。
富士山は、古くから山岳信仰の対象とされ、現在でも御来光を拝むために登山する者が少なくない。特に初日の出ともなると、山頂付近に多くの人が集まって混雑するほどだという。富士山は、日本最高峰の山であるというだけでなく、名前は『不死の山』に通じ、山の姿も末広がりで縁起が良いと思われてきたのである。そのため、富士山で初日の出を拝むことは、ただ美しいというのみならず、二重にめでたいことだと考えられているのだろう。