ビジネス会話(びじねすかいわ)

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指示待(じじま)人間(にんげん)とホウレンソウ

指示待(じじま)人間(にんげん)』になるなという要求(ようきゅう)と、『ホウレンソウ』を確実(かくじつ)(おこ)なえという要求(ようきゅう)は、矛盾(むじゅん)した要求(ようきゅう)のようにも(おも)われる。

『ホウレンソウ』とは、上司(じょうし)とのコミュニケーションの要素(ようそ)『報告(ホウこく)』『連絡(レンらく)』『相談(ソウだん)』からそれぞれ2文字(もじ)をとったものである。いわゆる日本型(にほんがた)会社(かいしゃ)重視(じゅうし)されてきた仕事(しごと)基本(きほん)マナーである。

これは、部下の側から見れば

という業務(ぎょうむ)基本(きほん)(しめ)すものであり、上司(じょうし)(がわ)から()れば、

ということを意味(いみ)している。

最近(さいきん)では、『ホウレンソウ』は、企業(きぎょう)(ふる)体質(たいしつ)(あら)わすものとして批判(ひはん)対象(たいしょう)とされることもある。問題(もんだい)は、『相談(そうだん)』において責任(せきにん)所在(しょざい)があいまいになりやすいこと、『相談(そうだん)』が連鎖(れんさ)しやすいことである。

『ホウレンソウ』は、仕事全体(しごとぜんたい)責任(せきにん)権限(けんげん))が上司(じょうし)にあり、個別(こべつ)仕事(しごと)責任(せきにん)権限(けんげん))は部下(ぶか)にあることが前提(ぜんてい)になっている。たとえば、あなたが上司(じょうし)に『相談(そうだん)』して(なん)らかの指示(しじ)助言(じょげん)()けたとしても、個別(こべつ)仕事(しごと)責任(せきにん)はあなたにある。上司(じょうし)に『相談(そうだん)』したから自分(じぶん)には責任(せきにん)がないと(かんが)えるならば、『指示待(しじま)人間(にんげん)』と()わりがない。同様(どうよう)に、部下(ぶか)事細(ことこま)かな『相談(そうだん)』を(もと)める上司(じょうし)は、部下(ぶか)から権限(けんげん)だけでなく責任(せきにん)(うば)ってしまい、部下(ぶか)を『指示待(しじま)人間(にんげん)』にしてしまいがちである。また、あなたが上司(じょうし)相談(そうだん)したときに、上司(じょうし)がそのまた上司(じょうし)に(そのまた上司(じょうし)がそのまた上司(じょうし)に……)相談(そうだん)しなければならないのであれば、意思決定(いしけってい)必要以上(ひつよういじょう)時間(じかん)労力(ろうりょく)がかかってしまうだろう。

自分(じぶん)責任(せきにん)権限(けんげん)範囲(はんい)をひとりひとりが明確(めいかく)()り、かつ理解(りかい)していなければ、『相談(そうだん)』は無責任(むせきにん)無駄(むだ)()()すだけである。したがって、『ホウレンソウ』を基本(きほん)とするコミュニケーションは、新人(しんじん)から上司(じょうし)までを(ふく)めたスタッフ全員(ぜんいん)同等以上(どうとういじょう)専門性(せんもんせい)知識(ちしき)やスキル)を()っている場合(ばあい)有効(ゆうこう)機能(きのう)するものと()える。そのため、新人(しんじん)のときは『ホウレンソウ』を(こま)かく(おこ)ない、仕事(しごと)(おぼ)える(必要(ひつよう)知識(ちしき)やスキルを()につける)べきである。人並(ひとな)みに仕事(しごと)ができるようになれば、あなたにはより(おお)きな責任(せきにん)権限(けんげん)(ゆだ)ねられるようになる(はずである)。

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