日本語弁論基礎1

1回目の講義メモ

〔→ PDFバージョン

スピーチ・弁論・ディベートetc...

スピーチ
  1. 会議や会合、パーティーなどの場で短い話をすること
  2. 話をすること
弁論
聴衆の前で特定のテーマについての意見を述べること
スピーチパフォーマンス
語学の習得を目的とし、人々の前で話をしてみせること
ディベート
特定のルールのもとで2組が議論をして競うゲームのこと
討論
特定の問題について、それぞれが意見を述べ合うこと
演説
人々の前で自分の意見や主張を述べること
講演
聴衆の前で一定のテーマで話をすること
口頭発表
聴衆の前で話しことばで事実や意見を知らせること

スピーチコンテストの種類

スピーチコンテスト
  1. スピーチパフォーマンスのコンテスト
    ボディランゲージ(身振り・手振り)などを含めたトータルの表現力を競う
    • 内容(コンテンツ)よりも表現の仕方(パフォーマンス)が重視される
    • 動きや外見(容姿や服装)なども審査に反映される
  2. 弁論のコンテスト
    テーマに沿って述べた意見の内容など言語的な表現力を競う
    • 表現の仕方(パフォーマンス)よりも内容(コンテンツ)が重視される
    • 動きや外見(容姿や服装)などは審査に反映されない

言語・準言語・非言語

初対面の人を判断・評価する基準=メラービアンの法則(アメリカでの研究)
非言語:準言語:言語=55:38:7

ジェスチャーとポライトネス

日本語の発話では、ジェスチャー(身振り・手振り)の使用は、丁寧でない口頭言語表現を生じる(レス・ポライト)。日本語の発話では、ジェスチャーは抑制性に用いるのがよい。

スピーチパフォーマンスは、もともと英語学習の方法のひとつなので、日本語のスピーチパフォーマンスに抑制的でないジェスチャーを求めるのは疑問である。また、日本語の場合、話の内容に集中するために目をつぶって話を聞く習慣を持つ人(年配の男性に多い)もあるので、ジェスチャーそのものが意味を持たないことも少なくない。

修辞(レトリック)

直接民主制など自由な意見の表出が許される場では、修辞は〈目的〉と〈手段〉の関係で捉えられる実用的なスキルである。しかし、(絶対)君主制のもとでは、レトリックは〈目的〉と〈手段〉の関係ではなくなり、〈形式〉と〈内容〉の関係で捉えられ、実用性よりも美的な価値を優先するようになる。(ツヴェタン・トドロフによる)

弁論における修辞

本来の意味での修辞(レトリック)は、身体的なパフォーマンスを含む、広い意味での表現手段を体系的に分類・整理したものである。現代の弁論における修辞は、身体的なパフォーマンスよりも言語表現上の手段が重要である。また、弁論では美的な価値が評価されるわけではないので、〈目的〉と〈手段〉の関係で捉えられるような実用的な修辞が重要である(例:発想、構成、比喩、呼びかけ表現、フィラーの用法など)。

スピーチのテーマ

スピーチのテーマ
  1. 社会的・文化的なテーマ
    常識・知識・教養・分析能力を評価する
    • 「答え」も考え方もともに重要である
      • 結論(「答え」)を明確にし、論理的に整然と話すのがよい
  2. 個人的なテーマ
    個人の価値観や人間性を評価する
    • 「答え」よりも考え方が重視される
      • 自分の体験などの具体例を入れ、親しみやすく話すのがよい

スピーチの構成の基本

a.社会的・文化的なテーマ
3段構成、または、2段構成
b.個人的なテーマ
2段構成、または、3段構成

真面目さと不真面目さ

弁論にユーモアが含まれるのは悪いことではない。しかし、程度によってはふざけている・不真面目であるとみなされる場合もある。弁論を含むスピーチ一般で最も難しいのは、笑いをとりながら自分の考えを伝えることである。

ページの先頭へ↑
←ひとつ前に戻る
目次へ
トップページへ