日本語弁論基礎1

4回目の講義メモ

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1.比喩(転義法)

比喩(転義法)の基本

直喩(シミラー)
→『ような』などの喩詞を用いて類似性を指定する比喩
  • 「彼女は鬼のような顔をした。」=〈彼女の顔〉と〈鬼の顔〉にいくつかの共通点があることを述べる
隠喩(メタファー)
→常識に反することを事実であると述べることで聞き手に様々な解釈を引き起こさせる比喩
  • 「彼は宇宙人だ。」=〈彼が宇宙人であること〉が間違いのない事実であると述べる
換喩(メトニミー)
→隣接性(一方が他方のサンプルになる関係)を使う比喩
  • 「メガネが歩いてきたぞ。」=〈メガネ〉で〈メガネをかけた人〉を表わす
提喩(シネクドキ)
→包含関係(論理的な上下関係)を使う比喩
  • 「窓の外は白いものが舞っている。」=〈白いもの〉(上位クラス)で〈雪〉(下位クラス)を示す

その他の比喩

諷喩(アレゴリー)
→関連のある隠喩を繰り返す
  • 「人生は旅です。山あり谷あり。近道はありません。自分の足で歩くことです。」=旅に関連する隠喩を繰り返して、自立した生き方を説いている
逆説法(パラドックス)
→一見常識に反する表現を用いて真意を伝える
  • 「急がば回れ。」=一見するとおかしいが、よく考えると正しい点もある
    ※急ぐならば回り道をしないのが当然に思えるが、確実な方法を選んだ方が結果としてうまくいくという考えにも納得できる点がある
撞着語法(オクシモロン)
→矛盾した内容の語を組み合わせる
  • 「ゆっくり急げ。」「彼は頭のいいバカだ。」=複数の視点を導入している
    • 『気持ち(視点1)は冷静に(→ゆっくり)、行動(視点2)は迅速に(→急げ)』
    • 『試験(視点1)は良くできる(→頭がいい)が、常識(視点2)がない(→バカ)』

2.修辞的な疑問表現

修辞疑問

☆断定表現を疑問文の形で表現する

※多く使いすぎると自信がなさそうに聞こえるので注意

反語法

☆逆の内容の疑問文を用い、否定的な答えを導くことで強い断定を示す表現

※多く使うと嫌味な性格だと思われるので注意

問答法(自問自答表現)

☆何かを主張するときに、問題と答えの形に分けて表現する

※スピーチの初めの部分でしばしば用いられる

※何度も使うと鬱陶しく感じるので注意する

呼びかけ法(呼びかけ疑問文)

☆何かを当然の事柄として主張するときに、疑問文の形で表現する

※スピーチの初めの部分でしばしば用いられる

※何度も使うと鬱陶しく感じるので注意する

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