文書と表現の機能とは?
ビジネス文書が持つ機能
ビジネス文書は、それぞれが『機能』を持っている。ここで『機能』というのは、〈何かをする〉という意味である。たとえば、依頼文書は何かを依頼するために書くもので、注文書は何かを注文するために書くものである。つまり、依頼文書は〈依頼する〉という機能を持っており、注文書は〈注文する〉という機能を持っているのである。
表現が持つ機能
ビジネス文書が持つ『機能』は、ビジネス文書の表現が持つ『機能』と密接に関わっている。たとえば、次の2つの表現の違いは何だろうか。
- 出席してください。
- ご出席ください。
もちろん、1よりも2の方がていねいな表現だが、違いはそれだけではない。この2つの表現がビジネス文書の中で使われた場合、次のような機能を持つのである。
- 出席してください。→指示・命令(=出席しなさい)
- ご出席ください。→勧誘・依頼(=出席してほしい)
そのため、「出席してください。」は、通知文書などの指示の機能を持つ文書に使われ、「ご出席ください。」は、案内文書などの勧誘の機能を持つ文書に使われる。逆に言えば、指示の機能を持つ文書に「ご出席ください。」を使うことはできないし、勧誘の機能を持つ文書に「出席してください。」を使うこともできないということである。
このように、ビジネス文書の表現では、文書の『機能』と表現の『機能』に注意する必要がある。まず、どのような表現がどのような『機能』を持つのかを理解し、文書の持つ『機能』によって表現を適切に使い分けられるようならなければならない。