占いカードボックス
のび太:ねえ、ひさしぶりの居残り勉強の気分、どうだった。
スネ夫:もういいよ。こんなことなら、ちゃんと宿題やってくるんだったよ。
のび太:ふへへ。でも、なんで今日にかぎって宿題を忘れちゃったの。
スネ夫:へへへ。これさ、これ。これ。
のび太:ああ、釣りに行ったの。
スネ夫:そう。
のび太:うわあ。ね、釣れた?釣れた?
スネ夫:へへへへ、すんごくつれる場所をみつけたんだ。でさ、つい夢中になっちゃってさ。
のび太:それで宿題をわすれたのか。ね、その場所、どこ?
スネ夫:えー。場所ね?
のび太:ね、スネ夫くん、ランドセルをもってあげようか。
スネ夫:いいよ、いいよ、いいよ。
のび太:いいから、いいから、親友じゃないか。だからさ、僕をその魚がいっぱいいる場所に連れてって。
スネ夫:まあ、そこまでいうんだったら。よし、じゃ、帰ったら一緒に行くか。
のび太:へえ、やった。行く、行く。
スネ夫:そのかわり、ジャイアンにこのことは。な、あら、おい、こら、のび太、待てよ。ぼくのランドセル。
のび太:スネ夫もいいとこあんだな。あれで。
静香:のび太さん。
のび太:あ、静香ちゃん。
静香:補習、終わったの。
のび太:うん。
静香:よかったら、四時ごろうちに遊びに来ない?私、今日は一人でお留守番なの。
のび太:本当。いく、いく。
静香:じゃ、待ってるわね。
のび太:うん。わ、あああ、誘われちゃった。うううう。わあい、しまった。スネ夫とも約束しちゃったんだ。どうしよう。
のび太:ドラえもん!
ドラえもん:うん?ええ、なんだって。いいかげんだな、もう。
のび太:ドラえもん、どうしたらいい?
ドラえもん:どうって、それ。どっちかを断らなくちゃ。
のび太:断れないよ。ねえ、一度に二人と別々の場所で遊べる道具ない?
ドラえもん:そんな、都合のいい便利な道具あるわけが。あるけど。ええと、あった。コピーロボット!
のび太:コピー?
ドラえもん:この鼻のボタンを押してごらん。
のび太:うん。
ドラえもん:姿だけではなく、性格ものび太くんそっくりなんだ。これでどちらの約束も果たせるってわけさ。
のび太:ありがとう。ドラえもん。
ドラえもん:いいえ、いいえ。
のび太:それじゃ、コピー君、僕はしずかちゃんち行くから、君は釣り。
コピー:OK。
のび太:ああ、ちょっと待って。釣りも楽しそうだな。う〜ん、君がしずかちゃんちへ。待てよ。う〜ん、どっちにしようかな。あ〜ん、どっちがいいかな、迷っちゃうなあ。もう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
ドラえもん:占いカードボックス!のび太くんが釣りに行ったらどうなるか。出た。この3枚のカードをヒントにして占うんだ。
のび太:うーん。あ、わかった。これはだね。魚がどんどん釣れて、喜んだ僕が、星が出るまで夢中になって釣るんだよ。
ドラえもん:そうかな?
のび太:じゃ、どうなのさ。
ドラえもん:え〜と、魚が釣れて喜んだのび太くんが夜まで。あれ、同じか。
のび太:でしょう。
ドラえもん:う〜ん。
のび太:よ〜し、だったら、今度はしずかちゃんちへ行ったらどうなるか。出た。あれ。
ドラえもん:しずかちゃんちにどうしてジャイアンが。う〜ん。
のび太:う〜ん。わかった。
ドラえもん:え?もうわかったの。
のび太:うん、これはだね、ぼくがしずかちゃんちへ向かっていると、途中でジャイアンに会って、無理やり野球に誘われて、エラーをしてしまって、殴られて大きなこぶができるんだ。
ドラえもん:うわあ、この白い丸がタンコブなの。
のび太:そう、その通り。じゃ、コピー君、君はしずかちゃんちへ、釣りは僕。
コピー:え、そんな。
のび太:まあまあ、いいから、いいから。さあ、さあ、さあ。じゃあ、しっかり頼むぞ。
コピー:ねえ、やっぱりかわろうよ。
のび太:だめ、だめ。何が起こるかわかってんだから、危なくなったら走って逃げるんだよ。
コピー:あ〜、コピーは辛いよ。いやだな、あの占い、本当に当たんのかな。
ジャイアン:おい、のび太。
コピー:わあ、やっぱり。
ジャイアン:何がやっぱりだよ。
コピー:あ、いや、いや、いや。さようなら。
ジャイアン:待て。
コピー:あー、いやだ。殴られるのはやだよ。
ジャイアン:何言ってるんだよ。スネ夫、見なかったか。
コピー:スネ夫?さあ。魚釣りに行くとか。
ジャイアン:何?オレに内緒で魚釣りだって。あいつ。このごろ、いつも先に帰っから何かあるなと思ってたけど、そういうことだったのか。あんにゃろ。
コピー:はあ、野球はやんないのか。あれ、じゃ、占いカードのバットとボールは何だったんだろう。まあ、いいか。しずかちゃん。
静香:いらっしゃい。のび太さん。さあ、どうぞ、どうぞ。さあ、こっちよ。二人用プレイでやってみたかったの。おもしろいわよ。
コピー:これか。
静香:知ってんの。
コピー:あん。まああね。
静香:いま、お茶の用意してくるから、これで遊んでて。じゃ。
コピー:うふふふ、占い通りだ。ジャイアンに会って、野球ゲームで遊んで、あれ、じゃ、あの白い丸は?
静香:はい、のび太さん、蒸かしたてよ。
コピー:わあ、そうか、カードの白い丸は、タンコブじゃなくて、お饅頭だったのか。
静香:え?
コピー:いえいえ。しずかちゃんと一緒におやつが食べられるなんて最高だな。
のび太:わあ、来た、来た、来た。
スネ夫:なあ、釣れるだろう。
のび太:本当。占いの通りだ。
スネ夫:占い?
のび太:うんん、なんでもない。なんでもない。こっちのこと。
ジャイアン:おい、おーい、捜したぞ。
のび太:えー?どうしてジャイアンがここへ?
ジャイアン:のび太、おまえ、いつの間に来たんだよ?
のび太:え?ぼくは。
スネ夫:のび太、ひいてるよ。
ジャイアン:すっげえ。よし、俺もつるぞ。
のび太:すごい、すごい、また、また釣れた。また釣れた。
スネ夫:ここなら、誰だって釣れるよな。
ジャイアン:おい、ひいてんぞ。
スネ夫:へ。あ。
のび太:あ、また来た。わお、大きい。
ジャイアン:くそ!さっきからおまえたちばっかり釣りやがって。
スネ夫:あ、あ、ジャイアン、ひいてるよ。
ジャイアン:わかってるよ。来た、来た。そりゃ。どけ!場所がえだ。
のび太:もう魚釣りなんか来なくたっていいのに。
ジャイアン:なんか言ったかよ!
のび太:なんにも言わない。
ジャイアン:わあ、なんだ、なんだ。ほお、でかいぞ。おい、こら、待て、待て。あ、あ、あ。
のび太:ああ。ねえ、見て、見て。魚と一緒におっこっちゃった。ははははは。
ジャイアン:何がおかしいんだ、お前ら!
スネ夫:ぼ、ぼ、ぼ、僕はわらってないよ。のび太が、ひと、一人で笑って。
ジャイアン:のび太のくせして、よくも笑ったな!
ドラえもん:おい、のび太くん。あっ、いた。のび太くん。大丈夫?のび太くん。
のび太:ドラえもん。あの占い、インチキじゃないか。
ドラえもん:どうして?
のび太:だって、ジャイアンが逃がした魚を取ろうとして、川に落ちたから、大声出して笑ったんだ。そしたら、ジャイアンに殴られて。
ドラえもん:目から星が出たってわけか。あたってんじゃん。
のび太:そんな。
ドラえもん:せっかくの道具も、占い方が違ってちゃ台無しだよ。
のび太:何言ってんた。ドラえもんの道具はいっつもこうじゃないか。だいたいカード3枚で何が。
ドラえもん:じゃ、もう一度占ってみたら。
のび太:ようし、それじゃ、これから寝るまでの運勢だ。わあー。
ドラえもん:これは、間違いようがないね。早く帰って宿題をやらないと、今夜はご飯ぬきってことだね。
のび太:わあ、たいへんだ。急げ。
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