ちびまる子ちゃん
「食用ガエルで大騒ぎ」の巻(第1期126話)
はまじ:がはははははは。がはははははは。とにかくよう、ものすげえでっかいんだよ。ブー太郎の顔ぐらいあるぜ。
ブー太郎:そのなでっかいカエルいるのかよ、ぶー。
渡辺君:うそついてんじゃねえのか?
まる子:ねえねえねえねえねえ、何の話?
はまじ:食用ガエルだよ、すんげえでっかいって言ってんのに信じてくれねえんだ。
まる子:そんなにおっきいの?
ブー太郎:おいらの顔ぐらいあるっていうんだぜ、ぶー。信じられないよ、ぶー。
まる子:えー、ブー太郎の顔ぐらいの大きさなの?カエルが?はまじ、あんた、間違えて豚の顔見たんじゃないの?
ブー太郎:誰が、豚の顔とカエルを見まちがえるんだよ。馬鹿なこと言うなよ。
渡辺君:とにかく、俺は、この目で確かめなきゃ信じられないぜ。
ブー太郎:俺もだ、ぶー。
まる子:あたしもだよ。
はまじ:ちぇっ。どいつもこいつも人を信じねえやつらばっかりだな。
まる子:だって、信じられないような話なんだもん。
はまじ:よし、今日の放課後、おれがとってきて見せてやる。
ブー太郎:俺も一緒にとりに行くぞ、ぶー。
渡辺君:俺も行くぜ。
まる子:あたしも行きたい。ねえ、連れてってよ。ねえ、たまちゃんも行こう。
たまちゃん:うん、うん。。。
はまじ:別にいいけど、足手まといになるなよ。俺の信用がかかってるんだからな。
まる子:まあ、安心してよ。
ブー太郎:本当にいるのか、ぶー?
はまじ:おう、絶対いるって。
ブー太郎:見つからなかったらどうするんだよ、ぶー。
はまじ:お前の好きな……
はまじ:俺がカエルを見たのはこの沼だぞ。
まる子:なんか、怪しい沼だね。
たまちゃん:おばけでそうだね。
まる子:うん。
ブー太郎:俺、この沼で女の人の幽霊出るって話聞いたことがあるぶー。
まる子:え!
ブー太郎:雨の夜、この沼の真ん中で青い服着た女の人がすーっと出てきて、振り返ってにやりと笑うんだって、ぶー。
まる子:も、もうかえろうよ。食用ガエルなんてどうでもいいよ。
はまじ:バカ!そんな女の幽霊なんて出るわけないだろ。大体誰が見たって言うんだよ。ただのうわさじゃねえか。俺は食用ガエルを見たんだ。うわさじゃないぞ。
渡辺君:とにかくさがそう!
みんな:おー!
まる子:よし。わぁー、ぐじゅぐじゅして気持ち悪いね。
たまちゃん:転ばないようにしなきゃね。
まる子:うん。
渡辺君:うゎー!
はまじ:どうした?いたのか?
渡辺君:底なしだ!助けてくれ!助けてよ、誰か!怖いよ!
はまじ:ほら、つかまれ。ほら、しっかり。もう少しだぞ。がんばるんだ。
渡辺君:こわいよ、こわいよー。
はまじ:こういう風に草がないところは底なしになってっから気をつけたほうがいいぞ。
まる子:底なしって、底がないっていうくらいだから、もしかして地球の裏まで続いているのかな。
はまじ:わかんないけど、そうかもな。
まる子:じゃあ、もしかしたら、この沼は地球の裏の国とつながっているんだね。うふっ。呼んだら聞こえるかもよ。
ブー太郎:ちょっとやってみよう、ぶー。ぶー、ぶー、ぶー。
はまじ:おーい、おーい。
渡辺君:ヤッホー。
まる子:ハロー、ハロー。あれ?
みんな:ハロー。ヤッホー。おーい。ぶー。
たまちゃん:きこえるわけないよ。
はまじ:うう、ははははは。こんなことしてる場合じゃないぞ、食用ガエルを探そう。
ブー太郎:ぶー。
はまじ:そっちにはいるか?
ブー太郎:いないぞ、ぶー。
はまじ:そっか。うーん。いねえな。
まる子:あっ、ん?ひぃー、ひぃー、出たあ!あああ。
ブー太郎:こ、こっちにもいるぞぶー。
はまじ:よし、なべちゃんはブー太郎のほうに行ってくれ。俺はこっちに行くからな。
渡辺君:うん、よし。
はまじ:カエルはどこだー!
まる子:ああ、そこ。。。
はまじ:ああ、よし、うりゃあ。こんにゃろ。あー、どこいったんだ、ちきしょう。おお。この……やった、とったぞ、ほら。
たまちゃん:す、す、すごいね。
まる子:すごい、はまじ。
たまちゃん:とったねえ。
ブー太郎:は、はまじ、あんなによごれてるぶー。
渡辺君:俺やだよ、あんなの。
はまじ:もう一匹はどこだ?
ブー太郎:あそこ。
はまじ:おお。ブー太郎、お前も男なら行け。
ブー太郎:ぶー。
はまじ:カエルに体当たりするんだ。
ブー太郎:あ、あう。ぶー!とった!とったぶー!
はまじ:やったな、ブー太郎。
ブー太郎:やった、ぶー。何かをやり遂げたっていう喜びでいっぱいだ、ぶー。
まる子:大げさだねえ、カエルとっただけなのに。
渡辺君:それにしてもすげえな、このカエル。こんなでかいの初めて見たぜ。
ブー太郎:重いぶー。体重もかなりある、ぶー。
はまじ:それじゃあ、ブー太郎と一緒だな。このカエルはブー太郎っていう名前にしようぜ。
まる子:へんなの。
みんな:(笑)
まる子:でも、2匹もとってどうするの。
はまじ:お、明日学校に持っていこうぜ、俺、この1匹あずかるよ。もう1匹は、さくら、お前生き物係だろ、あずかってくれよ。
まる子:え、あたしが?
ブー太郎:今日一日くらいいいだろう、ぶー。明日学校にもってこいよ、ぶー。
まる子:う、う、そんなぁ。とほほ。
おねえちゃん:あー、ぎゃー、な、な、な、な、何これ?
まる子:食用ガエルだよ。
おねえちゃん:いや、いや、いやー!お母さん、お父さん、助けてよー。
ヒロシ:まあ、まあ、いいじゃねえか。今日だけだってさ。
おねえちゃん:やだ、やだ、やだ。あー、気持ち悪いよー。うわぁー。
まる子:あんた、カエルの王様に向かって失礼だね。このカエルおとなしいよ。何も怖くないからさ。
おねえちゃん:何にもしなくたって嫌なもんは嫌なの。捨ててきてよ、もう!
友蔵:お姉ちゃんや、このカエル食べられるんじゃよ。食べてみるかね?
おねえちゃん:いやー!!!
友蔵:がー、何といういやがり方じゃ。
まる子:このカエル食べられるの?
ヒロシ:だから、食用ガエルっていうんじゃねえか。バカだな。
まる子:「しょくようガエル」の「しょくよう」ってその『食用』なのか。へえ。あたしゃてっきりカタカナで「ショクヨーガエル」って書く名前だと思ってたよ。おいしいの?
ヒロシ:ずうっと前に食ったことあるけど、結構旨かったような気がするな。
おかあさん:気持ち悪いわねえ。
おねえちゃん:いやだ、お父さんイヤだ!もう。
まる子:わたしもお姉ちゃんもお父さんの子だから、この身体の一部にはカエルの肉が混じっているんだねぇ。うん。
おねえちゃん:嫌なこといわないでよ。
友蔵:わしも食べたことあるから、カエルの肉は孫の代まで受け継がれているってことじゃな。
おねえちゃん:おじいちゃん!嫌だっていってるでしょ!!
友蔵:あっ、怒られた。お姉ちゃんに怒られた。ああ、わしはカエルを食べたことがあるばっかりに、お姉ちゃんに嫌われてしまったんじゃ。
おかあさん:あ、ともかく、まる子、そんなもの家の中に入れておいたらダメよ。お姉ちゃんだっていやがってるんだから、外に出しておきなさい。
まる子:うん。
まる子:明日学校に持っていったら、みんな驚くだろうな。ふうん。ひひひひひひ。
みんな:すげえなあ。ゲーロ、ゲーロ。こんなカエル初めて見たよ。
まる子:2匹でこの水槽いっぱいだね。ちょっと窮屈そうだね。
たまちゃん:とりあえず、今日はここで我慢してもらうしかないね。他に水槽ないもんね。
まる子:そうだね。すぐにもっと大きいの用意してあげないとね。
丸尾君:みなさん、ズバリ、次は音楽室へ行く時間でしょう。カエルのことは、しばしお忘れ下さーい。はーい。廊下は走らないでください。
ナレーション:後半へ続く
関口:お、ああ、カエルが。いねえぞ。
みんな:えー!あー。どうしよう。どこいったんだ?どこいった?どこだ?
山田:いねえや。
まる子:ど、どうしよう。ちょっと、花輪君、カエルが逃げちゃったよ。生き物係のせいになっちゃうよ。ね、どうしよう。
花輪クン:OH。そのうちでてくるさ。「去る者は追わず」さ。あ、あ、あ、Ohー。
みんな:おい、いたか?おーい、どこいったんだ?ぶーちゃん。ブー太郎。ブー太郎、どこ?
ブー太郎:なさけないな、ぶー。
はまじ:あ、まったくどこに行っちまったんだよ。
ブー太郎:まだそんなには遠くに行ってないと思うんだけどな、ぶー。
丸尾君:ズバリ、食用ガエルは三段跳びのチャンピョンでしょう。アメリカの大会では5メートルという記録が残っているでしょう。
はまじ:だから何なんだよ?
丸尾君:ズバリ、逃げ足は速いでしょう。
はまじ:丸尾、お前どっちの味方なんだよ。
ブー太郎:そうだ、ぶー。
戸川先生:どうしたんですか?
はまじ:あっ。カエルが逃げちゃったんです。
戸川先生:おや、あの食用ガエルがですか?そりゃあ大変だ。一緒に探しましょう。
みんな:ブー太郎。何してんだよ。ブー太郎。ブー太郎。
戸川先生:ん?
ブー太郎:ブー太郎って名前のカエルなんです、ぶー。
男の子:あ、いた!うわあ。こっちだ。
川野先生:あー!、今、何か黒いものが。
はまじ:カエルだ。向こうにいるらしいぞ。行こう。
川野先生:ひゃあ、ああ、か、カエルですって?
戸川先生:川野先生すみません。うちのクラスの食用ガエルが逃げ出しまして、どうも。
川野先生:しょ、食用ガエル!
戸川先生:あっ、いた!
川野先生:ぎゃー!いや、いや、いや!ダメダメ!
みんな:うわぁー、泡が!
渡辺君:くそー!泡でますますカエルがどこにいるかわかんなくなったぞ。
はまじ:あ、あそこにいたぞ。うわぁ!あ、あ、あ。
まる子:た、大変なことになったよ。
戸川先生:大丈夫ですか、先生。
川野先生:なんで、こんなことに。ひぇ!
戸川先生:ああっ、先生、川野先生。
みんな:何だよこれ。拭けよ。何だこれ。
まる子:とほほ。冗談じゃないよ。何だってこんなことになったんだか。
永沢君:消火器か、なんだか火事のことを思い出すよ。
藤木君:永沢君、もう火事のことは忘れろよ。今はみんなカエルのことで大騒ぎなんだから。
永沢君:ああ、そうだね。火事よりカエルだね。藤木君はいつも冷静だな。
まる子:花輪クン。あんたみたいなお坊ちゃんのこんな姿見たらヒデじいが泣くねえ。
花輪クン:こんなときにくだらないこというのはやめたまえ。ふふん。でも、こんな僕もたまにはいいだろ?
まる子:おいおい。
女の子:おなかすいたね。
はまじ:お、やべえ。もう運んできやがるぞ。
みんな:汚いね。汚い。何?汚ねえな、何やってんだろ。
みぎわさん:ううううう、ああ、でた、でた、でた!
女の子:うわぁ。
まる子:あぁ、廊下がまたぐちゃぐちゃだよ。
はまじ:おっ、今のカエルどっちに逃げた?
女の子:あっち。
はまじ:ようし。
女の子:ああ、おかずどうしよう。
女の子:うわぁ。
男の子:うわぁ。あ、ああ。
花輪クン:セニョール、こっちだ。あ、おっと。僕としたことが。うう。
男の子:どけどけどけ。
花輪クン:わあー。
関口:待て、待て、カエル。待てぇ。
男の子:ふふふふふ。
関口:ちっ、ちっ、ちっ、ちっ。そろそろ、年貢の納め時だぜ。
男の子:うわぁ、おしっこだ。丸尾、もろに浴びたぜ。
丸尾君:ズバリ、情けない姿でしょう。とほほ。
はまじ:ちきしょう、どこ行きやがった?あっ!いたぁ!
永沢君:え?
はまじ:えーい。
永沢君:うわあ。
はまじ:やった。捕まえたぞ。
永沢君:うわあ。
はまじ:てこ...
永沢君:うわあ、うわあ……
はまじ:落ち着け永沢、落ち着けよ。
永沢君:うう……
ヒロシ:ははは。ひひ、ひーひ。おい、それからどうなったんだ。
まる子:それからがまた大変なんだよ。今度はさ、よそのクラスのところへカエルが飛んでっちゃってさ。
ヒロシ・友蔵:うん。うん。
まる子:そんで、おかずひっくり返しちゃって、また大騒ぎ。
ヒロシ・友蔵:あははははは。
ヒロシ:カエルで、たかだかカエルで、消火器ひっくり返して、おかずばらまいたって。くうー、はははは。
友蔵:ははははは。いやあ、苦しい。苦しいよー。
まる子:まだ、続きがあるんだよ。
ヒロシ・友蔵:ん?
まる子:そのあとさ、はまじがカエルを捕まえたんだけど、捕まえたとたんに滑って転んじゃってさ。えへ。近くにいた永沢くんの顔にカエルが飛び乗ったんだ。
ヒロシ・友蔵:ぎゃははははは。
ヒロシ:な、な、永沢くんの顔にカエルが。あははは。ひーひー。
友蔵:あ、もう、あはははは、死にそうじゃ。死ぬよ、おい。
まる子:そんでさ。
ヒロシ・ともぞう:うん。
まる子:永沢くん、すっかり気が動転しちゃって。
ヒロシ・ともぞう:うん。うん。
まる子:非常ベルならしちゃったんだよ。
友蔵:あはははははは。
ヒロシ:わははははははは。
友蔵:あはははははは。これはおかしい。
ヒロシ:わははははははは。
まる子:お父さん。おじいちゃん。
ヒロシ:あーあ、おかしかった。
友蔵:こんなおかしい話も珍しいのう。
まる子:笑い事じゃなかったんだよ。もう。大騒ぎだったんだから。
おねえちゃん:本当よ。まったくバカなことしてくれたもんよ、あんたのクラスったら。
まる子:まさか、こんなことになるとは思ってなかったよ。先生、大変だったんだよ。あの後いろんなクラスの先生方に「どうもお騒がせしました」なんて謝りに行ってたんだから。
おかあさん:まあ。お気の毒にねえ。まる子たちが捕ってきた食用ガエルなんだから、あんたたちが謝りに行けばよかったのよ。
まる子:うん。また明日謝る。
ヒロシ:しかし、非常ベルまで鳴っちまうとはな。
友蔵:消防車が来なかったのは、せめてもの救いじゃな。
おばあちゃん:たかだかカエルとは言うものの、とんでもないことになるもんじゃのう。
まる子:本当だよ。もうあんなのはイヤだよ。うん。あっ。ぎゃー!
友蔵:ああああああ。
おねえちゃん:あー!
ヒロシ:あ、俺の酒、酒。あら。
みんな:(大騒ぎ)
おかあさん:何やってんのよ、もう!
ナレーション:カエルどころかゴキブリ一匹で大騒ぎになる一家であった。
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