"Swing Journal"

ああ、俺はジャズを開いている。なに当たり前のことを書いているのかと思われる方もおいでだ
ろうが、満たされた気分とともに、これを開いているとそう呟きたくなってしまうのだなあ。
共演盤リリースや山ほどのライブ共演など、なにかとエルビン・ジョーンズとの絡みを持つ正直
サックス奏者が披の死を受け、そのやりとりの重みをさりげなく形にした一作といっていいか。
エルビン自身の曲や奥さんケイコの曲やコルトレーン曲(4曲)をはじめ、70年代中期のバンガー
ド盤でやっていたローランド・プリンスのカリプソ曲など、エルビン縁の曲を取り上げる。
だが、そこは甘いも酸いも知った大人、ピアノレスのギター付きカルテットで事にあたり、エル
ビン〜コルトレーン流儀を直截に出すようなことはしていない。まずあるのは、エルビンから薫陶
を受けた“今の自分”。その編成は前リーダー作を引き継ぐものだが、饒舌なピアノではなく、美
味しいひっかかりを随所に残すギターの存在が効いている。それは飾らない男っぼさというか、ダ
ンディズムのようなものの浮上に確かに繋がっているから。なんか、ぼくはギターがちゃんと生き
たストロングでまっとうなジャズを久しぶりに開いたような気がした。
とともに、やはりそういう美点を引き出しているのは、高橋の肩の力の抜け方が絶妙な演奏。
やっぱ、男は飄々と自分を語らなきゃ。(佐藤英輔)


  "Jazz Life"

巨匠エルヴイン・ジョーンズンへの鎮魂歌
JapaneseJazzMachineなどでエルヴイン・ジョーンズと数多くプレイし、
自身のジャズ人生を「コルトレーンに始まりエルヴインに育てられた」と語る
ヴェテラン・テナー奏者高橋知己が、昨年5月に亡くなった巨匠エルヴイン
に捧げたアルバム。エルヴインにちなむ選曲の中でコルトレーン作品が多い
のは当然だが、5はエルヴインの愛妻Keikoさん作によるミディアムの4ビ
ートで、高橋、津村とも快調なソロを披露。6ではコルトレーン節が炸裂。
8や終曲9は偉大な業績を残したコルトレーンとエルヴインヘの鎮魂歌と響く。
しかし変に深刻ぶった感じはしない。衣鉢を継ぐ者は前に進むしかないのだ。
エルヴイン役を担った若い小松伸之も好演。    〈北原英司〉

 

                                                        

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