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オートジャイロ入門 (Autogyro ABC)   ジャイロプレンの基礎知識

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( 歴史 構成 飛行原理 操縦要領 基礎訓練 安定性 操縦性 性能 用途 費用 工作 部品材料 設計 安全と事故 )


1 歴史

回転翼航空機(rotorcraft ロータークラフト)の歴史は航空機(aircraft)の歴史の中でも非常に早くから始まったが 今世紀の始め固定翼航空機(air plane 飛行機)が先に成功した。 実用的なロータークラフトは 1926年 にまずオートジャイロ(Autogiro) として登場し、ヘリコプター(helicopter)成功への道を開いた。オートジャイロの歴史の殆どがスペイン人 シェルバ(Juan de la Cierva)によって作られたもので1920年に始まって急激に発達したがヘリコプターの成功と普及によりその用途を失い 1940 年頃いったん幕を下ろした。



Senor Juan de ra Cierva / Courtesy The Journal of the Royal Aeronautical Society

オートジャイロの発明者 / シェルバ

第2次世界大戦末期 独、英、ソの軍隊が特殊な目的に使用するために無動力のオートジャイロ(rotor kite, ローターカイト〜回転翼凧)の研究を行ったが 終戦後米国のいくつかの企業がこれを入手して分析調査した。この時の経験を基礎にして スタッフのひとり(GEのエンジニアリング テストパイロット)イゴール ベンセン(Igor B. Bensen)が独立してシンプルな1人乗りのオートジャイロを開発し ジャイロコプター(Gyrocopter)として発表した。 世は経済成長が進み レジャーとスポーツの時代で オートジャイロ(航空機の分類上 ジャイロプレン,gyroplane と称する)は再び用途を見いだして復活した。



Courtesy : "Popular Rotorcraft Flying"

ジャイロコプターの開発者 / Dr. Igor B. Bensen

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2 構成

以前のオートジャイロの殆どはトラクタープロペラ(tractor propeller ,牽引式プロペラ)を使用した複座機でローター(rotor)は羽布張りの3〜4翅(brade,ブレード)の全関節型(fully articulated)で降着装置は尾輪式であった。 現在のそれはプッシャープロペラ(pusher propeller, 推進式プロペラ)の単座または複座機で固定 ピッチ(fixed pitch)2ブレード シーソーヒンジ (seesaw hinge)ローターを使用し 3車輪式で その基本的な構成はベンセンによって確立された。ローターマスト(rotor mast)、キール(keel tube)、アクスル(axle)がブレース(brace, 支柱,斜材)やガセット(gusset,添接板)によって結合されたメインフレーム(main frame)が胴体であり これにローター、ローターヘッド(rotor head)、操縦装置、尾翼、座席、エンジン、プロペラ、燃料タンク、車輪及びキャビン(cabin, cockpit enclosure)または基礎訓練のための曳航ブームとフック(towing boom and hook)が取り付けられる。基本フレームはアルミ合金の角パイプ、ローターと尾翼はアルミ合金または木と金属の合成構造、キャビンは強化プラスチック(FRP)、ローターヘッドはアルミまたはスチール合金、プロペラは木製が一般的である。 その他アルミ又はスチールのパイプ、アングル型材、スチールワイヤが使用され、ほとんどの部材はボルト、ナットあるいはコッターピン(割りピン)によって組立と分解が出来る。 オートジャイロの主な諸元寸度の一例は次のとおりである。 

 Specifications / Bensen B-8M Gyrocopter  
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Length                                11 ft. 3 in.
Width                                  5 ft .6 in.
Height                                 6 ft. 3 in.
Rotor Diam.                           20 ft .6 in.
Empty Weight                              250 lbs.
Normal Gross Weight                       500 lbs.
Disc Loading                       1.5 lbs /sq.ft.
Engine Type                      McCullock 4318GX
                             two-stroke aircooled
Engine Horsepower                 90 at 4,100 rpm
Propeller Diam.                             48 in.
Propeller Pitch                             18 in.
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Takeoff Roll (sea level, gross wt.)  about 800 ft.
Maximum Speed (Vne)                        90 mph
Cruise Speed                               70 mph
Min. Level Flight Speed                    25 mph
Rate of Climb, initial            1,000 ft. / min
Landing Roll (no wind)                      20 ft.
Service Ceiling            in excess of 15,000 ft.
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Source / 
     Guide to homebuilt rotorcraft : Kas Thomas
 

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3 飛行原理

オートジャイロのローターはヘリコプターのように動力で駆動されるのではなく、ローター回転面の下から風−空気−の流れを受けてオートローテーション(autorotation 自動回転)する。 空気の流れはエンジン駆動プロペラの推進力によって機体を前進させて得る。 ローターの回転数が上がるとローターは機体の重量を支えるのに十分な揚力を発生し 機は浮上出来る。 前進飛行中 ローターブレードの対気速度は不均一になるが ローターは自動的にシーソー運動してブレードの迎角が変化し揚力は平衡している。 飛行中エンジンが故障しても地球の引力が機体の重量に作用して下方へ引くので ローターはその回転面の下方から風を受けて回り続け 前進速度を維持すれば安全な滑空降下と着陸が出来る。 またローターと同じ直径のパラシュートに吊り下げた場合と同じ位の降下率で 操縦性を失う事なく垂直降下も可能である。 但しこれは特殊飛行である。 なお オートローテーション中のローター−特に前進飛行中−に作用する空気力とローターの運動は大変複雑で その空気力学は 機体の外観から受ける印象とは全く逆で単純で無い。

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4 操縦要領

操縦はステック(control stick 操縦桿)、ペダル(foot pedal)及びスロットルレバー(throttle lever)を使用して行う。 ステックは右手で操作しこれを前後左右に傾けるとプシュロッド(pushpull rod)で連結されたローターヘッド(rotor head)が動いてロータースピンドル(rotor spindle)が前後左右に傾く。 これに追従してローター回転面も 少しの時間的な遅れを伴うが同様に傾く。 ペダルはラダー(rudder)のコントロールホーン(control horn)にワイヤロープ(wire rope)を介して結合されており 両足で操作する。 左ペダルを前方に押すとき右ペダルは手前に戻り ラダーは左側に振れて舵角を取る。 スロットルレバーは左手で操作する。 これを前方へ押すときエンジンキャブレタ(carburetter)のスロットルバルブ(throttle valve)が開いてプロペラ回転数が上がり推進力が増す。 ステックはローターの回転面を傾けて機体の姿勢(傾き)をコントロールし ペダルはラダーを動かして機首が機の進行方向に一致するように スロットルはプロペラの推進力を増減させて機体の加減速または上昇下降をコントロールするように使用する。 離陸はまず ローターのスタートから始める。 機体が停止している状態でローターブレードを手で押し または引いて 50〜60rpm の早さで回転させる(hand start と称する。動力を使用した予備回転装置による方法もある)。 エンジンスロットルをわずかに開いてゆっくり前進を開始する。 ローター回転数の上昇に合わせて前進速度を徐々に早くしてゆくとローターは飛行回転数に達して離陸の準備が完了する。 ここでスロットルを静かに全開して離陸速度まで加速する。この間 機首を少し上に向けて主輪だけで滑走するように機体姿勢を保つべくスティックを操作する。又 進行経路が蛇行しないように ペダルを操作 機首の振れを修正する。 離陸したら一旦機首を押さえ(下げ)て加速し 上昇速度に達したら機首を上げて上昇を開始する。上昇中は対気速度と機体姿勢が変化しないようにスティックポジション(stick position)を保つ。機の左、右への傾きはそれぞれスティックを右または左へ操作して修正する。 進行方向と機首の向きがずれていて斜め方向に進んでいたら これはペダルを踏んで修正する。 機首はペダルを踏んだ方向へ向き直る。 希望高度に達したならスロットルと機首を少し戻して上昇を止め 巡航速度と機体姿勢が変化しないようにスティックを操作して水平飛行する。 旋回は希望する方向へスティックを倒して機体をバンク(bank−水平線に対して傾ける)させて行う。 旋回中はバンク角と対気速度を一定に保つようにスティックを操作する。 旋回中 高度を維持するには あらかじめスロットルを開かなければならない。通常の旋回ではペダルの操作は不要である。 垂直尾翼(vertical stabilizer,fin & rudder フィン及びラダー)の風見安定作用により 機首は自動的に旋回方向に向きを変え続けて 飛行経路は円を描く。旋回を止めるにはバンクを戻して機体を直立させる。 降下はスロットルを絞り かつ大気速度の減少を防ぐために機首を下げるようにスティックを操作する。 着陸は 高度が十分に下がってからスティックを引いてフレア(flareout 機首を引き起こす)をかけ スロットルを静かに閉じて 前進と沈下速度を極力殺して行う。 エンジン故障時には 機首を静かに十分に下げて前進速度を確保して滑空飛行する。 滑空中対気速度と機体姿勢のコントロールはスティックで行う。 旋回や傾きの修正 着陸操作は動力飛行時と同様である。  なお 地上走行時 操向(steering ステアリング)と制動(brak ing ブレーキング)は足 または足と手で行う。

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5 基礎訓練

安定と操縦特性は飛行機やヘリコプターのそれとは異なり オートジャイロ特有のものであるからパイロットは特別に訓練して体得しなければならない。 複座機を使用しての教官同乗訓練が理想的であるが 自動車で曳航してあまり高度を上げずに訓練するのが一般的である。 これを実施するには少なくとも 500M の長さの滑走路または十分に広く平坦な場所とオートジャイロの飛行原理や訓練の内容に精通していて状況に正しく対処できる助手(曳航ドライバー)が必要である。 曳航訓練の後で動力飛行訓練に進む場合 曳航訓練と自力飛行では また異なった点があるので いきなり高度を上げることは出来ない。 極く低い高度で十分に慣熟しなければならない。 その意味で初めから動力による訓練を進めることも可能である。 なお曳航による飛行は航空法に抵触しない。

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6 安定性

オートジャイロのローターはジャイロスコープ(gyroscope)のように空中で同じ姿勢(傾き)を維持しようとする性質があることと ローターヘッドの幾何学的構成に工夫がなされていることによって 飛行中になんらかの原因で撹乱されても静的には安定で元へ戻ろうとする。 一方 ローターブレードはスピンドル(spindle 回転軸)にヒンジ(hinge)で結合されているため ローターの回転面はパイロットのスティック操作に反応して動くばかりでなく その結果として起きる機体の運動や更に突風など周囲の空気の動きにも反応して2次的に傾く。 そしていずれの場合も時間的な遅れ(time lag タイムラグ)があるのでパイロットはこれを見越した操縦を 要求される。 回転翼機(rotorplane)は もともと動的に不安定であるため ローター及び機体の運動とパイロットの修正操作のタイミングがうまく合わないとPIO(pilot induced oscillation パイロット誘導振動)を招き 機体の前後(または左右)の傾斜運動が急激に大きくなり危険な状態に陥る。 パイロットはオートジャイロの運動の加速度を体で感じとって修正操作をしなければならないが ヘリコプターに比較すれば易しく訓練によって体得することが出来 始めに抱いていた難しいという印象は無くなる。

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7 操縦性

スティック操作とローター及び機体の運動のタイムラグを見越した操作(pumping action ポンピングアクション または jab ジャブ操作)が要求される。 しかし いったん回転運動を始めると機体の3軸回りの慣性能率が飛行機のそれと比較して大変小さいため 操縦感度は高く 例えばロールレート(roll rate バンクする早さ)は近代的戦闘機のそれに匹敵する。 ローターのダンピング(damping 空気による制動力)が固定翼機の主翼のそれの数分の一しかないことも理由の一つである。 また胴体の側面積も殆ど無いのでペダルを踏んでラダー舵角をとると機首の向きを敏速に変えることが出来 小回りが効く。 もっとも それゆえに対気速度の減少と沈下という別の問題も発生する。

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8 性能

性能は飛行機とヘリコプターの中間に位するもので 前進速度ゼロから最大速度まで失速することなく連続的に飛行出来るが ヘリコプターのようにホバリング(hovering 空中停止)出来ず巡航速度は飛行機より遅い。 オートジャイロは飛行機が失速する速度領域で上昇率が最大となる。 飛行機の失速現象は 上昇どころか飛行することを止めさせ 飛行特性に不連続点を作るものでパイロットはこれに対して身構えなければならない。 低空での失速は致命的である。 前進速度がゼロの時 ヘリコプターはホバリング出来るがオートジャイロは高度を下げ続けるしかない。 これがパワードローター(powerd rotor 〜 ヘリコプター)とパワーレスローター( powerless rotor 〜 オートジャイロ)の違いである。 しかし実際的ではないが横方向及び後方へも進むことが出来る。 エンジン停止時は高度を下げながら滑空するのであるが そのときの沈下率と滑空角度は大きく接地に際してフレアをかけるとき タイミングと操作には微妙な点があり易しくはないが タッチダウン(touchdown 接地)時の前進速度は極めて小さく押さえる事ができ 安全である。

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性能の一例 (G7-R447)

 パワーオン

  離陸  速度  30       mph    ( 50    km/h)
   巡航  速度  50       mph    ( 80    km/h)
  最大水平速度  70       mph    ( 110   km/h)
  最小水平速度  25       mph    ( 40    km/h)
  着陸  速度  10〜20    mph    ( 15    km/h)
  最大 上昇率  630      ft/m   ( 3.2   m/s )
  同上時 速度  45       mph    ( 70    km/h)
  最良上昇角度  10       deg    ( 10    deg )
  同上時 速度  40       mph    ( 65    km/h)
  上昇  限度  3000     ft     ( 1000  m   )
  航続  距離  120      mile   ( 200   km  )
  航続  時間  2        hr     ( 2     hr  )
  離陸滑走距離   500〜650  ft     ( 150〜200 m )
  着陸滑走距離  30〜40    ft      ( 10〜15 m   )
  超過禁止速度  80       mph    ( 130   km/h)
  設計運動速度  46       mph    ( 75    km/h)

パワーオフ(滑空性能)

  最小沈下速度  1000     ft/min ( 5     m/s )
   同上時滑空速度 30       mph    ( 50    km/h)
   最良滑空比   3.7             ( 3.7       )
   同上時滑空速度 45       mph    ( 70    km/h)
   同上時滑空角度 15       deg    ( 15    deg )
   垂直降下速度  1900     ft/m   ( 10    m/s )

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9 用途

離着陸に滑走路が必要で 空中停止して作業する事が出来ず 主にローターの抵抗が大きい理由により巡航性能も飛行機に劣り 商業的輸送に使用するには不経済である。 このように実用性は中途半端であるが 単純小形軽量な構成が可能で取扱いと維持も容易かつ安価になるので ヘリコプターや飛行機に対抗できる唯一の用途がスポーツ及びレジャーの分野である。 戦後 商業的な大型の開発プロジェクトも有ったがいずれも失敗した。 なお 軍用及び宇宙開発面で特殊目的に使用する計画も有った。


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10 費用

軽量単純である事は材料費 加工 製作費が安いことを意味する。人が乗って意のままに運動出来る航空機の中では最も安価である。エンジンは別格として オートジャイロの価格構成の中で材料費が占める割合は比較的小さい。 工場完成品あるいは購入部品をどれぐらい使用するかによって製作に要する時間と費用に大きな開きが出るが 余暇を利用して自作すれば かなりの出費を押さえることが出来る。


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11 工作

ローターヘッドなど機械加工を要する一部のハードコア(hard core)を除いて ローターブレードさえも自作できる。 設計にもよるが殆どの部材はパイプ 型材 板などの素材を切断して穴をあける作業によって作ることが出来 組立も ボルト ナット あるいは接着によって行なえ 設備と技術が必要な熔接を避けることが可能である。 従って一般的な手工具の他に電気ドリル バイス クランプと工作台があれば足りる。 ハードコアもヘリコプターは言うに及ばず 飛行機の金具に比較しても極めて少ない。 ローターブレードも図面に基づいて木金合成構造の物が自作出来る。 細心の注意が必要な事は当然であるが 飛行機の主翼の桁を作るのに比較してもはるかに容易かつ工数も少なく 製作スペースも取らない。


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12 部品材料

構成の項で一般的な材料をあげたが 目的にかなった材質強度寿命があれば どんな材料部品を使用しても良い というのが原則である。もちろん費用 重量 性能 加工性 耐久性 入手性 整備性に一長一短があって 一概にこれがベストであるとは言えない。 計画者 設計者 製作者を取り巻く条件にも左右されまた個性も出る。 オートジャイロが航空機であるからといって 航空機用に開発され 認定された材料部品−いわゆる航空機規格品−を使用する あるいは使用されているとは限らない。 自動車用あるいは汎用エンジンの流用がその筆頭で ボート用合板 建築用ヒンジ ゴーカート用のタイヤ 風速計または流量計改造の対気速度計 そして 布きれ または ひも製のドリフトインジケーター(drift indicator 横滑り指示器)等々である。 自動車用エンジンは重く回転数が高いが入手しやすく燃料もパーツも確保しやすいので保守も容易である。 木材は加工しやすく比強度が大きく 更に振動吸収能力が大きい。しかし品質にバラツキがあり温度湿度の影響を受けて変形しやすい。 超ジュラルミンは軽量高強度であるが値段が高く切欠き強度に難があり 取扱いには傷を付けないよう細心の注意が必要である。 結局 選択と組合わせの問題で すべては成し得ることとそれによって獲得出来るものとのあいだの妥協で 経験と技術的判断が要求される。 これが困難であれば 実績のある図面に基づいて設計者が指定する材料部品を使用するのが原則で その場合個性が犠牲になることはやむを得ない。

G7型 ジャイロプレーン 仕様書 (A)Dec. 1995 (Oct. 1995)
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種   類  ジャイロプレーン(オートジャイロ)       
等   級  陸上単発(推進式)
型   式  G7−R447型
耐空 類別 X 類
型式 番号 JA95−GO−001 (1995年12月26日)
登録 番号 JE 0121     (1996年1月11日)
主要 諸元 (3面図 No. 001 及び 写真参照)
 座 席 数     1
 操縦 方式   縦及び横(ピッチ、ロール) 操縦捍による回転面の直接傾斜
                             (ダイレクトコントロール)
           方向(ヨー)           ペダル及び方向舵
 ローターヘッド   オフセットジンバル式
 ローター 型式   2ブレード固定ピッチ シーソーヒンジセミリジッド
 ローターブレード  アルミ合金接着及びリベット結合構造(ローターフライト
           ダイナミックス社製) 捩り上げ角 ノンリニア 4.7度
           チップウェイト付ハイエナーシャ型  翼型:MUNK M-12改
           直径 23feet(7m) 翼弦長 7in(178mm)
           重量 19.5kg  回転数 350−400rpm 
           回転方向 CCW
 機体フレーム  6061−T6及び6063−T6アルミ合金角パイプ
           アングル ガセット等によるボルト結合構造
 垂直尾翼    桁、リブ、外板〜米桧及びしな合板接着セミモノコック構造
 降着装置    固定3車輪式
           ノーズギァ 方向舵連動地上操向
           タイヤサイズ 2.50−4 4PLY
           メインギァ 圧縮ゴム緩衝装置付
           タイヤサイズ 3.00−4 4PLY
 動力装置    ROTAX 447 強制空冷直列2気筒2ストローク
           ピストンバルブ式 排気容積 436.5cc
           ボア/ストローク 67.5/61mm
           出力 40HP(6500rpm)
           トルク 33FT.−LBS.(6000rpm)
 燃  料     自動車用ガソリン タンク容積 20 リットル(15kg) 
 プロペラ     GSC Tech V 木製3ブレード固定ピッチ 
           (地上可変) 直径60 in (1.524mm) 回転方向 CW
 外形寸度    ローター直径 23ft(7.01m)
           円板面積 37.4u  垂直尾翼面積 0.78u
           胴体全長 2.90m 全高 2.37m 全幅 1.58m
            ホィールベース 1.40m ホィールトラック 1.43m 
 重  量     自重量126KG 最大積載量100kg 全備重量226kg
            最大パイロット重量 80kg 最小パイロット重量 50kg
           最大燃料搭載量15kg (20リットル)
           最大任意搭載品重量(計器 バラスト カメラ 等)5kg
 計  器     飛行計器:対気速度計 高度計 (昇降計)
           エンジン計器:(回転計 シリンダーヘッド温度計 アワーメータ)
           ローター計器:(回転計)
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13 設計

一見単純なオートジャイロも新規に設計するとなれば大変難しい要素がある。 定められた要目のオートジャイロの性能を推定するのは難しくない。 しかしそのローターに働く力を分析して必要な強度と寿命を確保するための設計は厄介である。パワーが十分にあれば板状のローターでもオートローテーションして揚力を発生する。しかし前進するオートジャイロのローターブレードは これが一回転する間に変動する空気力を受け またローターの中心部と先端部でも空気力の大きさと働きかたが異なる。 従って細長く薄いローターブレードが負担する荷重と変形及び運動が単純で無いことは想像できる。 ローターは振動発生源であり 極力低いレベルに押さえあるいはどこかで吸収しなければ疲労破壊を招き 場合によっては共振状態になって空中分解する。 疲労したり破壊するのはローターブレードとは限らない。 ローターヘッドかもしれないしマストかもしれない。 またコントロール プッシュプルロッドの固有振動数がローターの回転数あるいはその高調波に一致すれば共振状態となってコントロールどころでない。 予想される重量と速度範囲及び飛行状態の組合わせにおいて機体全体にわたって共振や疲労破壊が起きないことが必須である。 一方オートジャイロは基本的に単純小形軽量であるから あまり費用をかけずに気軽にいろいろの個性的な形 構成 新しい装置 材料 アイデアによる設計を実行に移すことが出来る。 また本質的に速度が遅いから地表面近くで比較的安全に試験して結果を評価出来る。 ただ一度に多くを望むことは失敗のもとであるし 最大速度の向上など極限性能をねらうことは危険を伴う。 また特に大事なことは オートジャイロの本質を越脱しないことで 戦前戦中戦後そして現在に至るまでのオートジャイロ開発の経過から多くを学ぶことが出来る。

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14 安全と事故

過去多くの事故があった。 原因は多岐にわたるが パイロットエラーによるものが 多いことに注目しなければならない。オートジャイロは(あるいはオートジャイロも) 安全性に関して長所とともにパイロットがミスを犯したとき危険な状況を招く 特性−危険性も合わせ持っている。 一つは他の航空機との比較上の問題であり  一つは自然の法則に照らして絶対的なものある。 飛行機は固定翼機に本質的な 欠陥−失速現象−を避けることが出来ない。 しかし失速特性を改善する努力がなされ くせの悪いものは比較淘汰されてきた。 それでも致命的な失速事故が発生し 飛行機に絶対的に付きまとう特性に対して注意を怠ったパイロットエラーが原因として指摘される。 オートジャイロの場合も同様な考えかたが当てはまる。 オートジャイロは一つの航空機の型式であり 固有の特性を持っている。 パイロットがこれを良く認識しないでルールを犯すとき事故が起きるのは不思議でない。 オートジャイロは速度を落としても飛行機のように失速しないから安全だとは言えないのである。 オートジャイロを操縦し 運行するうえでの注意 制限 禁止事項があって さらに 他の型式の航空機と比較したとき パイロットエラーを招く要素と特性がある。 前者は厳格に順守しなければならないし 後者は訓練によってこれに慣熟しなければならない。 そして新しい何かが世の中に普及してゆくとき 長所のみが誇張されて伝えられ欠点には十分目が届かないのが世の常である。 また このような状況のもとで事故を起こせば 事実に基づかない非難を受けることとなる。 オートジャイロの現状はそのような傾向にある。 また 免許がいらないから 独習できるから易しいということは決してない。 制度が その可否はともかく 整っていないだけの事である。 結果としてオートジャイロを知らずにこれを操縦するケースがでてくる。 法規の上ではオートジャイロをジャイロプレーン即ちローター式ヒコーキという。 オートジャイロはどちらかというと飛行機に近い飛びかたをするので 飛行機を操縦出来るものは遅かれ早かれオートジャイロを操縦できる。 しかし パイロットの操作に最初に反応するのはローターで それから機体が動く。 これはヘリコプターと同様である。 だから飛行機のパイロットが訓練なしにヘリコプターを操縦出来ないと同様にオートジャイロでいきなり飛び上がることは出来ない。 正しく操縦を覚えた者にとってオートジャイロは 予想通りの運動をする簡単かつ安全な航空機である。 しかし 簡単に飛べるという話しに惑わされたり あなどってかかった人々にとっては とまどう現象が姿を現して危険だという印象を抱かせる。 飛行機の経験があるパイロットが最初の場周飛行で事故を起こした例が数多く報告されており また地上事故の多い事実を無視できない。


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