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Acdt007 事故と原因/見解や仮説 07   WA-117/RR 事故に関して Wallis の試行錯誤

Rotorcraft 誌 (June-July 2003) に寄せた文の中で Kenneth Wallis は「ファーンボロー航空ショー事故に関して実施した原因探求」について 要旨次のように述べている。

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大観衆の前で起きた墜落事故は その原因に関して多くの憶測を呼び 水平安定板の必要性が初めて問題とされた。 水平安定板〜事故以前には必要と考えなかった物で 007の映画で使用した「リトル・ネリー」の例で説明出来ると思えた。 というのは その機体WA-116型は前方に「武器」を装備していて これは安定性を損なうと推定されたからである(注1)。

しかし それはそれとして間もなく British Aircraft Corp. 等の協力を得 またRAE(Royal Aircraft Establishment)の探求や要求に応じて WA-117型機にコントロール・レスポンスや安定性を計測する為の機器等を搭載して多くの公式試験を実施した。 当然ながら WA-117型のキールに水平安定板を取り付けての試験も実施した。

一方で当時 ロールス・ロイス 130馬力エンジン搭載の WA-120型が完成して この密閉コックピットの機体には同様な水平安定板が合理的と考えて採用し これは電気駆動でトリム調節が出来るようにしてあった。 しかし2〜3回の飛行で 水平安定板は機体の特性を損なうと確信した。 即ち 通常は気づかなかった様な乱流の中で 突風に敏感に反応して急激なピッチ変化の原因となった。 また 特に低速飛行や上昇中 プロペラ後流の影響で尾部上げノーズダウン効果をもたらした(注2)。

RAE のリクエストに応じて 種々の試験飛行を行ったが 水平安定板が無い機体による結果は 軍用ヘリコプターでの同様な試験結果と比較した RAE の回転翼航空機技術者を驚かした。 オートジャイロのローターは ヘリコプターのそれとは異なり 基本的に安定なのである。

以上の諸々の試験結果と 事故の「記録映画フィルム」の研究〜ローターヘッドのカウリングの状態から操縦桿操作が解析された〜によって 機体WA-117 型に対する嫌疑は完全に晴れ 事故の原因は「パイロット・エラー」とされた。

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注 : 次の参考写真は 上記の元になった記事には含まれていない。
    International AUTOGYRO 1/4 ly 誌 ISSUE 12 / April 2002 より。
   
垂直尾翼の下方 キールの上に水平安定板を採用したWallis WA-120型 G-AYVO 。
初飛行は1971年6月。 Wallis は これで問題が完全解決と考えたのだが 意図した結果は得られず 
この水平尾翼は後に変更された(注2)。

 

注1: 参照頁 007 リトル・ネリー の ダイエット

注2: 参照頁 Acdt006 事故と原因/見解や仮説 06  水平安定板やセンターライン・スラストは必要か?

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