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ジャイロプレーン実地試験の実際  FAA 〜 1970 年代

ベンセン・ジャイロコプターの成功に刺激されて始まった 多くのプッシャー・タイプ実用ジャイロプレーンの開発。
製造が一応軌道に乗り 民間市場へ出すまでに 幾多のいきさつが有ったが 1961年9月にFAA の型式証明を取得した
ジャンプ・テイクオフ(無滑走離陸)が出来る 唯一のジャイロは ( Umbaugh Model 18 = ) Air & Space 18A で有った。

これに遅れること凡そ10年 1970年5月にFAA の型式証明を取得して登場したのが McCulloch J-2 ジャイロプレーン。
サイド・バイ・サイドの2座機はコレクティブ・ピッチ機構を有し 離陸に先立ってローター・ブレードのピッチ角度をゼロにして
500回転まで上げてからスタート操作へ移るのだが ゼロ・ロール離陸は出来なかった。 FAAはタッチ・アンド・ゴーを禁止し
気圧高度4000フィート以上での離陸を禁止した。 ちなみに本機のディスク・ローディングは他機に比較して非常に大きく 例えば
垂直降下率は Air & Space 18A が毎分約1300フィートに対して2600フィートと凡そ2倍

 McCulloch J-2 ジャイロプレーン

以下は McCulloch J-2 ジャイロプレーンを使用 FAA の試験官同乗による Kas Thomas 氏の実地試験の様子を
Popular Rotorcraft Flying 誌 Aug. 1973 から抄訳した。 

*まずは オーラル(口頭試験)

試験官:ジャイロプレーンとヘリコプターの違いを説明しなさい。
受験者:説明する。

試験官:関節型(articulated rotor)ローターとはどのようなものか?。
受験者:フラッピング フェザリング リード・ラグに付いて説明する。

試験官:ジャイロプレーンで特に注意を要する二つの飛行状態は?。
受験者:ゼロ飛行とパワーカーブのバックサイドに於ける飛行について説明する。

試験官からは他に 重量重心や必要な滑走路長と密度高度(density altitude)等に付いても質問が有って 
受験者の答えが満足出来ると判断された。

*次に 待望の飛行試験(Flight Check)

右肩上部のローター予備回転用トランスミッション・レバーを操作する。 計器盤に”ローター接続”の赤いランプが点灯。
ブレーキを踏みスロットルを入れつつ 強いスプリングに逆らってコレクティブ・レバーを押し下げる。下げきるには60ポンドの力が要る。
Vベルトが完全に張るとエンジンは息切れしてプロペラ回転数の上昇が鈍る。 ローターの回転が上昇するのを待って更にパワーを入れ
る。 ローター回転が240RPMを通過するとき機体は異常に揺れる。 パワーを増しながらローターのチップ・パス・プレーンを見て操縦桿
の位置決めをする。 ローター回転数が480RPMでコレクティブとブレーキを離し残っているスロットルを入れる。 少し軽くなった機体は
滑走路を突進し40MPHで操縦桿を引く。 ほんの少し間が有って機首が上がり 浮上した。 スリップしないように70MPHを保つように
奮闘している時 試験官は飛行進路を指示。 また 上昇中に右と左への90度旋回を要求した。 試験官の次の指示は2000フィートで
水平飛行に移行する事と 左右方向の360度旋回。 試験官は”OK”と言い”高度を保って45MPHでの飛行をやってみせなさい”。
スロットルを戻しつつ機首を上げ スピードが落ちるのを待つ。 45MPHでパワーを入れ直し P-ファクターの影響を打ち消す為に右へ
ラダーを踏んで水平飛行。 そこで又左右への旋回が指示され 最後の要求は300フィートの垂直降下とパワー・リカバリーで問題なし。

試験官は”何処で訓練したか”と質問してきた。 答えると”ではその飛行場へ行こう”と言う。
1000フィートの高度を巡航する間 試験官は窓の外を眺めていて何も言わない。受験者は試験官が程なくやるであろうスロットルのカット
〜緊急着陸操作〜に備えて着陸場所を探し思案した。 そのうち目的地に到達して65MPHでアプローチして着陸した。

次に試験官は”soft field takeoff” を要求。予備回転数500近くでスタート 注意深く早めに機首を上げて滑走 25MPHを越えた所で浮上
して地面効果の下で64MPHまで加速して そして上昇に移った。 突然エンジンが静かになった。 計器板のスロットルには試験官の腕が
伸びていて”ナンバーの上に降ろしなさい”とクールに言う。 左窓から800フィート下の滑走路のナンバーを確認しつつ操作して65MPHの
滑空速度を維持する。 猛烈な降下が始まって 下を建物がザーッと流れ去り ボールゲージを中央に保つべくラダーを操作し 緩旋回で
回り込んで OK! 最終段階だ。 速度を最終チェックしてナンバー上約50フィートを通過する時フレア操作を開始した。機はナンバーを
200フィート程通り越して滑走路上に着陸した。

出発した飛行場へ戻る間 試験官は無言であった。 が 帰着後 試験官から出た言葉は”オメデトウ”。

かくして受験者 Kas Thomas 氏の免許証の限定事項は ”Airplane : Single Engine Land” (飛行機:陸上単発)に
                                  ”Rotorcraft : Gyroplane” (回転翼航空機:ジャイロプレーン)が追加された。 


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