スコッチ・ウイスキーの区分



ここでは簡単に「スコッチ・ウイスキー」の中での分類をしてみる。
意外と混同していることが多い。


「モルト・ウイスキー」
大麦(二条大麦)のみを使用し製造したウイスキー。


「グレーン・ウイスキー」
コーンなど穀物を主原料として製造したウイスキー。



「シングルモルト・ウイスキー」
1つの蒸留所で、単式蒸留器によって作られたモルト・ウイスキーだけを瓶詰めしたものをこう呼ぶ。


「ヴァテッドモルト・ウイスキー」
複数の蒸留所のシングルモルト・ウイスキーを混ぜ合わせたもの。


「ブレンテッド・ウイスキー」
複数の蒸留所(モルト、グレーンを問わず)のウイスキーを混ぜ合わせたもの。


「ピュアモルト・ウイスキー」
シングルモルトと似たような感覚で使われるが、単に「ブレンテッド」で無いことの強調の意味が強い。ヴァテッドの場合もある。




「ヴァテッド」「ブレンテッド」 は物理的には同じことをしているが、ウイスキーの世界では、この二つは明確に区別されている。
この「ヴァテッド」とよく似ているもので「ヴァッティング」がある。これは瓶詰めをする際に 行なわれる行程である。

一般的には瓶詰めはすぐに「樽」から「瓶」へ、と思われるがそうではない。

同じ条件で製造したシングルモルトでも、熟成樽の違いや、保管場所によって違いが出てくる。
そこで、瓶詰めをする際に「10年もの」なら「10年もの」で均一化した製品にするため、同じ「10年もの」同士で「ヴァッティング」するのだ。
さらに、そのままではアルコール度が高すぎるので、一度加水して度数を40%ほどに落とす作業が行なわれる。
ちなみに樽からすぐに瓶詰めされるものは「カスク・ストレングス」もしくは「シングル・カスク」と呼ばれ、個別の樽自体の違いが楽しめる。(らしい。)




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産地の区別



 シングルモルトスコッチの面白いのは、産出地により味に特徴 が出てくるところだ。
日本の清酒でも「広島の酒は甘口、新潟の酒は辛口が多い」と一般的に区別されたりするが、これと似ていると思っても良い。
しかし、これと同じくして一概にそうとも言い切れないところも一緒である。
あくまでも「大体の区分」で分けることができるという意味である。

産地の区分については何通りかあるが、ここではもっとも一般的と思われるものを紹介したい。

@ハイランド  Aスペイサイド  Bキャンベルタウン  Cローランド  Dアイラ    Eアイランズ


  英国    産地  (簡易図)

この6地域で一応分けたいと思う。
地域的に一番広いものが@ハイランドである。 Aスペイサイドはその味の特徴、産出地域の密集性からハイランドから
独立した地域を獲得したといってもいい。Bキャンベルタウンも同じ意味合いで独立していた が、一時は30近い蒸留所
があったこの地域も、現在では2箇所が操業しているのみである。
Cローランドは名前のごとく、ハイランドの下(南)に位置する。 Dアイラは独特の強いピート香で知られ、癖の強い酒を造る。
Eアイランズは、ハイランド・ローランドの回りに点々とする、いわゆる「諸島」で作られる ものを一括してそう呼ぶ。

これらの地域の味の特徴をまとめたのが、下の図である。

図
                                                             参考:「M'S BAR


味の区別の仕方は
@ボディの厚さ
Aピート香の強さ
           で一般的には表される。

ここで言う「ボディ」とは、いわゆる「コク」のことと思って貰っていい。「コク」とは何ぞや?と聞かれるとまた困ってしまうが、
口に含んだ時、「どっしり」または「さらり」とした感覚が舌にあるかで判断したりする。
また、水で割った時には「ボディが薄い」ものは、なんとも味気ない感じがすると当時に「飲みやすい」感はある。


ピート香とは、ウイスキーを作成する過程でつく香りである。
ウイスキー作成の第一段階は、大麦を水につけて発芽状態にさせ、「大麦麦芽」となった段階で「乾燥」させるのだが、
この「乾燥」させるときに燃やすのが「ピート」である。
「ピート」とは、コケやシダ、ヒースといった植物が枯れて何千年もの間で堆積してできた土のことで、「泥炭」ともいう。
一見泥や粘土のように見えるが、「炭」と言うだけあって燃える。日本では北海道でも取れるらしいが、スコットランドでは
アイラ島が有名で、島全体が厚いピート層で覆われている。
この「ピート」を、いつどのタイミングで、どれだけの料を燃やして乾燥させるかで「ピート香」の強弱が違ってくる。




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