■排気ガス
 ・ガソリンが完全に燃焼すれば、排気ガスからは無害な二酸化炭素と水、および空気中の窒素が排出されます。
  しかし、実際は運転状態により燃焼状態が変化し、有害な一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物を排出しています。

 ●一酸化炭素(CO)
  〈過濃混合気による不完全燃焼により発生〉
   ・いわゆる酸欠により、燃焼過程で発生する不完全燃焼ガスをいう。
    エンジン燃焼室では混合気が濃いほどCOは増える。通常、急加速した時一瞬高くなる。
    しかし、アクセルをもどしても高い(CO>0.50)のは、混合気が濃すぎるためである。
    
 ●炭化水素(HC)
  〈過濃混合気による失火、燃焼室壁面付近の燃え残りガスなど生ガスの排出により発生〉
   ・ガソリンを含むすべての化石燃料は、その大部分が炭素(C)と水素(H)の結合体であるHCから構成されている。
    したがって、HCとして測定される値は、すべて燃料の未燃焼部分である。本来、完全燃焼すればHCはゼロに
    なるはずだが、さまざまな理由により一定量のHCが未燃焼のまま排ガスとして排出される。
    基本的にHCは混合気が濃いほど増えるが、理論空燃比14.7:1付近で100ppm程度ある。

 ●窒素酸化物(NOx)
  〈燃焼温度が高いときに空気中の窒素が酸素と結合し発生〉
   ・エンジンに急激な負荷をかけると、燃焼温度が上昇して大量のNOxが発生する。
    NOxを制御する方法として、現在はEGR(排気再循環装置)と三元触媒の組合せでNOxの削減に対応している。

 ●二酸化炭素(CO
2
   〈エンジンの燃焼効率を表すシンボル〉
   ・ガソリンエンジンの燃焼行程で、完全に燃え切った結果発生する成分で、燃焼の結果そのものを表す。
    原則として、CO
2の値は高くなればなるほど燃焼効率がよい。
    いまでこそCO
2は地球温暖化の原因の一つに数えられているが、植物の発育には欠かせない成分である。
    現代の正常な触媒付きエンジンは、アイドリング回転で最低14.0以上、15.0~16.0の測定値が観測されなければ
    ならない。

■理論空燃比
 ・ガソリンが完全に燃焼するために
  必要な空気量を理論的に算出した値で
  ガソリン 1 に対し空気が 約14.7 となり
  最も良い空燃比です。
■運転状態
 ・空燃比は総合的に考えると理論空燃比が
  良いが、エンジンの要求する空燃比はエン
  ジン冷却水温、負荷などにより変化します。
  そこで、運転状態により空燃比を変化させ、
  エンジンの要求に適合させています。
■空燃比と排気ガス
  ・空燃比により排気ガス中の有害な成分は図のように変化します。

参考資料:自動車工学2004年7月号

NDB