エアーマジック      光化学スモッグに注意
                                2007年6月29日信濃毎日新聞「解説特集」引用
国境越える大気汚染

 1970年代の高度成長期に社会問題となっていた光化学スモッグが、最近になってまた目立つ
ようになっています。
 日本各地に影響が広がっている、この春に発生した光化学スモッグを調べた研究者は、原因と
なる汚れた空気が国境を越えて中国大陸から流れ込んでいるとの可能性を指摘している。
 化学スモッグは汚れた空気によって起こる公害の一つである。工場から出る煤煙や自動車の
排ガスがその原因となる。
 発生メカニズムは煤煙や排ガスに含まれる揮発性有機化合物(VOC)と窒素酸化物(NOx)が、
太陽から届く紫外線を受けて光化学反応を起すと、「光化学オキシダント(主成分はオゾンO
3)」と
いう酸化力の強い物質になる。
 この光化学オキシダントの濃度が高くなり、光化学反応でできた浮遊粒子状物質が空気中に
漂うと、白くもやがかかったような状態になる。こらを光化学スモッグと呼ぶ。
 原因となるVOCは、塗料や接着剤、ガソリンなど生活に身近なものにも含まれている。


  

  信濃毎日新聞記事 2007.5.27           2007.5.28             「越境汚染」 シュミレーション

中国で環境対策がとられないまま経済発展が続けば、日本で光化学スモッグの原因となる大気中の
オゾンが増加し続け、環境基準の超過が大幅に増えるとする計算結果を、海洋研究開発機構や九州
大などのチームが24日発表した。

 チームは、中国の研究所や日本などのデータを基に、火力発電や自動車の排出ガスなどによる窒素
酸化物(NOX)の排出量を予測。NOXからできるオゾンの濃度も計算した。

 それによると、中国で環境対策が取られなければ、日本でオゾン濃度が環境基準の60ppb(ppbは
10億分率)を超える時間数は、2020年には2000年の年間20%から同30%に増加。
20年夏の平均濃度は2000年夏の49・6ppbより約6ppb増加するという。

 日本の排出量は2000年以降、横ばいと予想されることから、オゾンの増加は中国からの“越境”が
原因とみている。

2008/04/24 20:29   【共同通信】


 中国大陸ルートの解析研究は2005年に国立環境研究所と九州大などが発表。
両者は、今月8日前後に日本各地で観測された光化学スモッグも、中国東岸からオゾンが西風に
乗り広がって起きたとするシュミレーション結果をもとめている。
 新潟県は9日、1972年の観測開始以来初めて光化学スモッグ被害が発生。子どもらが目やのど
の痛みを訴えた。九州大の研究者は「甲信地方も影響を受けた可能性がある」と指摘している。

オゾン(光化学オキシダント)につい
                                                      
酸素の原子が三つ結合した物質で、酸化力が強く消毒や殺菌、脱臭にも使われる。目の粘膜などへの刺激性が強く、
高濃度のオゾンを吸うとぜんそくの発作や慢性気管支炎の発生の原因になるとされる。
屋外では、自動車や工場の排ガスから光化学反応によって生じる。光化学スモッグの原因物質となる光化学オキシ
ダントの大部分がオゾン。
国の環境基準は光化学オキシダントの濃度として60ppb(ppbは10億分率)とされている。
植物にも悪影響がある。環境基準は一時間の値が0・06ppm以下と定められている。

環境省は、光化学スモッグ被害の原因物質の光化学オキシダントの注意報が2007年に過去最多の28都府県で
発令されたとする光化学大気汚染状況を公表した。新潟、大分両県で初の発令があった。

発令日数は、埼玉県が最多(32日)で、神奈川県(20日)、千葉県と東京都(いずれも17日)の順。
健康被害は14県の計1910人から届け出があった。

従来は大都市周辺での発生が中心だったが、近年は地方でも増加。2006年の発生地域数は25都府県で過去
最高となっていた。

                                                            【47newsから】