遊星からの物体 X  監督/ジョン・カーペンター
2007. 7月

半年振りの更新は、夏と言うこともあって SF ホラー映画の金字塔とも称されるこの映画にしました。「ハロウィン」、「ザ・フォッグ(あまり知られていませんが実はこの作品も秀逸です)」など、言わば「B級映画のキング」と言われていたジョン・カーペンター監督ですが、この作品で一気にその名を知らしめた作品。 ただ、監督本人がそれによって作品の趣向をハリウッド的にするのでは無く、現在も基本的には B 級的なノリにこだわっているのが良い。 一時、「スターマン」という作品を発表はしましたがね・・・。南極という閉ざされた世界、誰が「物体」(映画の原題は「THE THING」)に体をのっとられたのかわからない恐怖、余韻を残させるラストシーン、とにかく設定の面白さを感じさせてくれる作品です。もちろん世界各地に隕石の落下跡がありますし、「情報の少ない南極ならばこういう事が本当に起こったのかも?」と思わせるストーリー展開が良いですね。 ホラー映画と言うものはえてして途中にコメディ的な要素を入れこんだりするものですが、ほとんどが暗い室内でバックに流れる音楽もあくまでも暗い。 もちろんハッピーエンディングなどありえない。 まさしく SF ホラーに徹した名作です。

この映画が好きな自分にとって見所は数え切れない程あります。初めてテレビで見たのは確か中学生だったと思うのですが、やはり犬の顔が3つに割れるシーンは強烈だったなぁ。 また、誰が物体に体をのっとられたかを確認する手段としてメンバーの血液を採取するシーンで、その中の一人の血液に火を近づけた瞬間(この物体は火に弱い)、血液が飛び跳ねると同時にその人間がガタガタと震え始める。 このガタガタ震えるシーンが凄いんですよ。 今も目に焼きついています。しかし本当に怖いのは、この作品のように「しょせん映画の中の出来事」が現実に世界で起きている事。 鳥インフルエンザしかり、狂牛病しかり。 最近では池の鯉が大量死したり、爬虫類の 80% を死滅させるというウイルスも国内で確認されました。昨今のウイルスの発生要因のひとつとして「地球温暖化」の影響が挙げられています。世界規模で温暖化対策を意識する時代になってきました。

この DVD も監督と主演のカート・ラッセルによる音声解説が特典に入っています。映画の進行と同時に撮影の裏話を聞くことができるのは余計にこの映画に対する思い入れが出来ますね。 夏の夜に見るにはぴったりの映画です。


エクソシスト ディレクターズカット版   監督/ウイリアム・フリードキン
2006. 3. 8

映画史に残る名作、そして「オカルト映画」というジャンルの先駆けとなった作品です。 1973年の製作という事は 30年以上も前にこの世に出たわけだ。 名作とは何年経っても色褪せないという事をしみじみと感じさせてくれます。

ストーリーは今さら説明する必要もありません。 「悪魔祓い」のために命を懸けた二人の神父、そして悪魔にとりつかれた少女、その我が子を身を挺して守る母親の壮絶な戦いです。DVD のパッケージを見て初めて知ったのですが、アカデミー賞の「脚本賞」を受賞しているんですね。 こういうジャンルで脚本賞を受賞するのは聞いたことがありません。 確かに受賞も納得のストーリー。 この映画を初めてテレビで見たのは確か小学生の頃だったと思うのですが、主要登場人物が4人しかいない中、特にカラス神父(若い方の神父です)の心の葛藤を丹念に描いているので、宗教の違いさえ知らなかった当時の自分でもすんなり理解できた記憶があります。

初めて見た時の記憶が強烈に残っているので、すぐに頭に浮かぶのは母親に向かってタンスがひとりでに近づいていくシーン、そしてドアがひとりでにバタンと閉じてみしみしとヒビが入るシーンです。テレビの予告編で何度も使用されていました。ちなみにアカデミー賞の「音響賞」も受賞しています。もちろん今回のディレクターズカット版で初めて見た「スパイダーウォーク」も強烈ですね。 本当に 30年以上も前に作られたとは思えない、夜中にトイレに行けなかった子供の頃を思い出します。

おそらく出演した俳優陣もノミネートされたのでは? 悪魔にとりつかれた女の子を演じたリンダ・ブレア、そして悪魔の犠牲になったメリン神父(こちらは年輩の方)を演じたマックス・フォン・シドー。 あるいは母親役を演じたエレン・バースティンも? キャストをあらためて見るとそうそうたる顔ぶれが名を連ねています。

この DVD は「音声特典」がついているのが非常に面白い。 DVD を買い始めた頃は全く興味の無かった音声解説ですが、今や私が DVD を購入するか否かの1つの目安になっています。しかもウイリアム・フリードキン監督直々の解説ですからね。 映画の裏側を同時進行で知ることができるのは映画の楽しみ方が倍増します。


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