高分子成形加工(Polymer Processing)、コーティング、繊維形成(溶融、乾式紡糸)関係のコンサルティング、ソフトウエア開発を専門とするコンサルタントです。
また、STEP(ISO 10303) AP227(3次元プラント設計情報規格)の国際共同開発経験もあり、この分野でもお役に立てます。 |
コータードライヤのシミュレーション (混合溶剤を使用した塗膜の乾燥) |
プラスチックフィルム等のシートにコータで塗工液を塗布し、引き続き溶剤を乾燥させて、ポリマー等の塗工成分をシート上に固着させるコーティングプロセスは、例えば粘着テープ、写真用フィルム、各種包装用シート、磁気テープ、プリント基板製造の際に使用される感光性樹脂シート(ドライフィルムレジスト)等の加工に用いられる、重要なフィルム加工プロセスの一つである。
このコーティングプロセスに関連した分野の研究、開発は、基礎から応用に至るまで各方面で活発に行われており、現在も発展段階にある。 筆者は、すでに2種類のコータドライヤのシミュレーションを作成し、その内容について2つの報文を発表しているが、これ等はいずれも塗工液中のポリマーを溶解する溶剤が1種類(単溶剤)の場合のものである。 工業プロセスでは、単溶剤の場合も多いが、混合溶剤が用いられる場合も少なくない。混合溶剤の場合は、乾燥時の塗膜内における溶剤各々の物質移動の挙動が、溶剤相互の影響を受けて理論的な取扱いが格段に面倒になる。 このような方面の研究は、アカデミックな世界を中心として現在も盛んに行われているが、2種類の混合溶剤の場合でも、ポリマーと合わせて成分は3種類となり、理論的な取扱いに必要な物性値を得ることも容易ではない。 このような2成分系の溶剤について、塗膜表面における溶剤の蒸発のみを考慮する、巧みな簡便法が杉山等によって発表されている。この方法は、従来から良く知られた乾燥特性曲線の考え方を応用して、2成分系の溶剤に拡張したものであり、実験データをもとに各種のパラメータ値を設定してシミュレーションを行うものである。 本報では、この理論と、それを元に作成したシミュレーションについて詳述する。 【「コータドライヤのシミュレーション −混合溶剤を使用した塗膜の乾燥−」, プラスチックス, Vol.57, No.4, P.133 (2006)】 |