SCO
高分子成形加工(Polymer Processing)、コーティング、繊維形成(溶融、乾式紡糸)関係のコンサルティング、ソフトウエア開発を専門とするコンサルタントです。
また、STEP(ISO 10303) AP227(3次元プラント設計情報規格)の国際共同開発経験もあり、この分野でもお役に立てます。


可塑化押出機(Tadmorモデル)

可塑化押出機(plasticating extruder)は、3つの作用、すなわち固体輸送、可塑化溶融、流体輸送の3つの段階を経て、高分子溶融体を送り出す働きをする。

この3つのうちで、可塑化の段階が最も重要で、複雑な工程である。

可塑化工程の理論解析は、Tadmorの手によって最初に行われた。この理論解析は、溶融体をニュートン流体として取扱っており、実際とはあまり良い一致を示さないが、非ニュートン流体理論への展開のベースをなすもので、重要である。

引き続いてTadmor等は、上記理論を元にした有名な非ニュートン流体の理論モデルを提出した。この理論モデルは、実験結果ともかなり良く合い、押出機の可塑化工程を理論的に取扱えるようにしたという意味で、画期的なものである。

本章では、Tadmorのニュートン流体モデルについて先ず述べ、続いて非ニュートン流体モデルについて記す。さらに非ニュートン流体モデルのシミュレーションプログラムとそれを用いた計算例について詳しく述べる。

【「パソコンでできる高分子加工のシミュレーション解析(5)」, プラスチックス, Vol.50, No.3, P.90(1999)】