SCO
高分子成形加工(Polymer Processing)、繊維形成(溶融紡糸、乾式紡糸)関係のコンサルティング、ソフトウエア開発を専門とするコンサルタントです。
また、STEP(ISO 10303) AP227(3次元プラント設計情報規格)の国際共同開発経験もあり、この分野でもお役に立てます。


スロットコーティングの安定塗工限界

スロットコーティングは、あらかじめ計量された塗工液を、幅方向に均一に分配するためのスロット部を有するダイを経由して、基材上に塗布する前計量コーティング方式の一種であり、日本ではダイコーティングと呼ばれる場合も多い。

本コーティング法は、低粘度の塗工液による薄膜形成に適した高精度コーティング方式であり、従来商品分野だけではなく、電子関連部品等のスペシャリティ分野での利用が拡大しており、その重要性は益々高まってきている。

スロットコーティングは前計量方式であるため、あらかじめ高精度に計量された塗工液が、供給スロット部で基材の幅方向に均一に分配されるよう設計されたダイが使用されるが、塗膜の安定塗工の確保には、スロットを出た後のビード部の流動挙動が決定的な役割を果す。

プロセス条件、液特性、ダイ形状等が塗工部の流動状態や塗工プロセスの安定性に影響をおよぼすことが知られているが、安定塗工のキーポイントは下流側メニスカスの安定化にあることが分ってきた。工業的に重要な高速塗工領域での塗工安定性に関する新しい知見も出ているので、その点も含めて説明する。

本報は、スロットコーターの安定塗工限界に関する理論的なアプローチとその検証について、CalvalhoとKheshgiの報文を主とし、他の研究者の実験結果を加えてまとめたものである。

【「スロットコーティングの安定塗工限界」, コンバーテック, No.418, P.29 (2008. 1)】