高分子成形加工(Polymer Processing)、コーティング、繊維形成（溶融、乾式紡糸）関係のコンサルティング、ソフトウエア開発を専門とするコンサルタントです。
また、STEP(ISO 10303) AP227（3次元プラント設計情報規格）の国際共同開発経験もあり、この分野でもお役に立てます。

ワイヤーコーティングプロセスは、金属線を絶縁するためのものであるが、強度を上げたり、外気の影響を防いだりするためのものでもある。ワイヤーコーティングは、通常押出機で供給される溶融ポリマー中を金属線が走行して、連続的に被覆するプロセスである。ワイヤーコーティングは、押出機（extruder）を用いるプロセスの中でも、最も古くから行われているものの一つである。

本報では、ワイヤーコーティングの理論とシミュレーションプログラムについて述べることとする。本報で述べるのは、筆者が考案した解析法であるが、従来のものより複雑なダイ形状や指数則モデルより複雑な非ニュートン流体モデルに適用できる理論モデルと、それを用いたシミュレーションについてである。

なお光ファイバーのコーティングも、ワイヤーコーティングと同じ原理が用いられており、理論モデルや解析法はワイヤーコーティングに準ずると考えて良いが、ダイと走行線間の隙間がワイヤーコーティングに比べると非常に小さく、コーティングする流体の粘度も低いという違いがある。そのためシミュレーションプログラムの収束をはかるためのチューニングの面等で、ワイヤーコーティングとは多少異なった工夫が必要である。

【「ワイヤーコーティングの理論とシミュレーション」, コンバーテック, No.445, P.86 (2010. 4)】