2011年 品川区議会 第4回定例会 一般質問全文

 無所属品川を代表して、一般質問を行います。

 私は昭和39年5月に、この区議会会場で行われた当時の子ども区議会に、芳水小代表議員として出席しました。47年後に、この会場で本当の区議会議員として、一般質問を行う機会を得ましたことは光栄の至りであります。それでは、質問に入ります。

T 小児の予防接種について

 「すべての児童は、心身ともに、すこやかに生まれ、育てられ、その生活を保証される」、児童憲章 第一条は、子どもは健康に育つ権利があることを、高らかに宣言しています。

 予防接種とは、すべての子どもたちが、健康に育つ権利を最低限保障するものです。ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぎたい。親の経済力のちがいや地域差によって、必要なワクチンが受けられず、重い病気になって苦しんだり、後遺症が残ったり、亡くなることは許されることではありません。

 必要なワクチンが無料で、十分な補償の下に 受けられることは、子どもの健康を考える先進国ではあたりまえのことなのです。

 さらにワクチン接種事業は、先の新型インフルエンザ騒動や、2007年の260校以上の中高・大学が休校になった、あの麻疹騒動のような混乱から、国家を守り、社会を守る社会防衛上の施策でもあります。そのために、どこの国でも、国家・国民を守るため、予防接種に力を入れているのです。

1. まず、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、水ぼうそうワクチン、おたふくかぜワクチン、子宮頚がんワクチンへの品川区の公費助成についてお尋ねいたします。

 水ぼうそうは主に乳幼児が感染し、全身にかゆみを伴う水疱がひろがります。時に肺炎や皮膚が膿んで痕が残ります。

 おたふくかぜは両側のほほが腫れあがり、痛みが強く、食事が取れない状態が1週間続きます。髄膜炎や難聴、まれに脳炎を起こします。
 
 ヒブと略される、インフルエンザ菌b型細菌性髄膜炎は年間600人、肺炎球菌による細菌性髄膜炎は年間300人の乳幼児が発病し、その1/3は死亡したり、重い後遺症を残します。

 品川区は2007年、他の地方自治体に先駆けて、水ぼうそうワクチン、おたふくかぜワクチンへの3000円の公費助成を始めました。この施策は高く評価され、「子育て先進区 品川」という、子育て世代の評価の確立に大きく貢献したのでした。しかし、その後他の地方自治体も続々とワクチンの公費助成を開始し、補助額の増額のなかった品川区は他の自治体に比べ、 見劣りするレベルになってしまいました。

 東京23区で比較しても、ヒブワクチンの助成額3000円は23区で最低額の4区のうちの一つ、小児用肺炎球菌ワクチンの5000円、水ぼうそうワクチンの3000円、おたふくかぜワクチンの3000円は中ほどから下位、子宮頚がんワクチンの8000円は23区中無料でない4区のうちの一つ、というのが現状です。

 1歳1か月までに現在推奨されているワクチン全てを行うとすると、およそ総計68000円かかります。品川区の子育て家庭では、助成額を差し引いても、約1年間で38000円の負担になる計算になります。乳児を抱える若年夫婦では、高額の接種料金のため、本当は子どものために接種を希望しているのに、接種をあきらめる保護者が出てもおかしくはありません。

 経済的格差なく、品川区民の全てのお子さまと保護者が、 希望するワクチンの接種が受けられるよう、たとえば3000円なら6000円というように、
少なくとも現在の助成金の倍額に増額することをぜひ検討いただきたいと熱望しますが、区の見解はいかがでしょうか。

 また、ようやく20101126日から公費補助が始まった、子宮頚がんワクチン=サーバリックスはワクチン本数の不足によって、事業開始早々、事実上接種ができない状況に陥ってしまいました。ようやく、本年になって接種が再開されましたが、今度は新しい子宮頚がんワクチン=ガーダシルが915日に発売になり、医療現場や保護者の混乱を招いています。

 ヒブワクチン、新型インフルエンザワクチン、そしてこのたびの子宮頚がんワクチンと、新しいワクチンが導入されるたびに繰り返される、ワクチン不足による混乱。
区はワクチンの安定供給を強く国へ要望すべきと考えます。

 また、
ともに子宮頚がんの原因となる、ヒトパピローマウイルスHPVの感染を抑えるワクチンである、サーバリックスとガーダシルのちがい、何を基準に選択したらよいのか、混乱する品川区民に対し、医療機関と相談して、というだけではなく、行政としてもう少していねいな2つの子宮頚がんワクチンの解説が必要と思いますが、区の見解をお聞かせください。 

2. 次に定期接種化について、質問いたします。

 我が国の予防接種制度は、定期接種と任意接種という2つに分けられています。

 定期接種は、国が責任を持って接種を勧める、というワクチンで、無料でワクチンの接種ができ、健康被害が出た場合は、予防接種法の適用により、 死亡時には最高4280万円の補償が受けられます。
 三種混合ワクチンDPT、小児まひポリオワクチン、BCG、麻疹風疹混合MRワクチン、日本脳炎ワクチンがこれに含まれます。

 これに対し、任意接種は個人防衛のために、個人で希望して受けるとされるワクチンで、 接種費用は自己負担です。死亡した場合は「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法」という法律の適用になり、最高でも713万円の給付しか受けられません。

 先ほど問題にしたヒブ、小児用肺炎球菌、水ぼうそう、おたふくかぜ、子宮頚がんは全てこの任意接種に属します。したがって、全額自己負担になるため、接種費用の助成が必要となるのです。

 しかし、任意接種のワクチンも定期接種のワクチンと比べても、公衆衛生上も個人防衛上もその重要さにまったく代わりはありません。たとえばおたふくかぜワクチンは1988年から1993年の間、MMRワクチンとして、定期接種として接種されていたのです。

 先の決算特別委員会でご示しいただいた、平成22年度の水ぼうそう、おたふくかぜワクチンの接種率が50%〜60%では流行を抑えることができません。現に今現在、水ぼうそうが品川区立保育園や幼稚園の間で流行しています。

 上記のワクチンを定期接種化し、無料で接種を行い、接種率を95%以上に保つことがこれらの病気を制圧し、これらの病気で苦しむすべての子どもを守ることになるのです。

 よく、ワクチンを定期接種にすると接種費用が膨大になり、予算を圧迫するという意見を耳にします。しかし、 予防接種を定期接種化したときにもたらされる増分(ぞうぶん)便益(べんえき)費用比、すなわちワクチンを受けずに病気になったときの、直接的医療費と間接的な医療費の総額は、予防接種の総費用をはるかに上回ることが、詳しく研究され、世界中から多く報告されています。

 たとえばアメリカでは、三種混合、二種混合、ヒブ、不活化ポリオ、MMR(はしかおたふくかぜ風疹混合ワクチン)、B型肝炎、水ぼうそう の7つのワクチンを定期接種化することにより、年間433億ドルの社会的費用が削減され、増分(ぞうぶん)便益(べんえき)費用比は、定期接種化のメリットを圧倒的に示す16.5だったと報告されています。

  ワクチンの定期接種化は、費用対効果の面だけではありません。

 品川で生まれた子どもたちが、ワクチンで防げる病気で無駄に命や健康をそこねずに、健やかに豊かな心を持って、 立派な品川区民に成長することを区をあげて応援することだと考えます。教育でも先進的な品川区が、今一度ワクチンでも地方自治体の先頭に立ってワクチンの定期接種化を国に要望し、働きかけることを熱望いたしますが、区のご見解はいかがでしょうか。

3. 最後に今話題のワクチンについて、区の見解をお伺いします。

 
まず、不活化ポリオワクチンについてです。

 小児まひを防ぐ生ポリオワクチンは、我が国から野生の小児まひを根絶した、優秀なワクチンですが、接種後100万回に1.4回の割合で起こる ワクチン関連マヒの発生が、現在問題になっています。
 本年も、東京で生ポリオワクチンを服用した乳児がワクチン関連マヒを発症し、大騒ぎになりました。 そのため、現在保護者の間では生ポリオワクチンの集団接種を忌避する動きが広まっており、厚労省によれば、本年46月の生ポリオ集団接種は接種者が18%も減少したようです。

 これは日本人の集団レベルでのポリオウイルスに対する抗体の低下が心配される事態になっています。

 この問題を解決するためには、ワクチン関連マヒを起こすことのない、不活化ポリオワクチンを早期に導入することしかありません。しかし、この10年間、全くそのための対策は行われてこず、厚労省は混合、単独の不活化ポリオワクチンの導入は早くて201212月以降と言明しています。

 その間、生ポリオワクチンの接種を続けるように勧めても、保護者が不活化待ちで接種をためらうのは当然のことと思われます。しびれをきらした神奈川県は独自に不活化ポリオワクチンを輸入し、本年12月からの実施を発表しました。

 現在全国に広がっている認可外の不活化ポリオワクチンの接種は、国の予防接種政策の不作為から起こったものです。不活化ポリオワクチンを希望する、多くの品川区民の保護者の方に、少しでも安心を提供するために、品川区も不活化ポリオワクチンの緊急輸入を国に要請することを提案いたしますが、いかがでしょうか。区の見解を求めます。

 
次にロタウイルスワクチンについて質問します。

 本年1121日より、ロタウイルスワクチンの接種が始まりました。小さなお子さまをお持ちの方ならよくご存知のように、ロタウイルス胃腸炎は1週間近く1日に数十回に及ぶ激しい白色の下痢と嘔吐が続き、脱水になる危険が高く、お子さまがひどく苦しむ病気です。

 現在日本でも
年間80万人のお子さまが小児科を受診し、うち8万人が脱水やけいれんで入院しています。全世界では60万人が死亡している恐ろしい病気です。

 ロタウイルスワクチンの効果は、脱水で入院する重症ロタウイルス胃腸炎を
92%減らし、 すべてのロタウイルス胃腸炎に対しても79発病を予防するといわれています。すばらしい効果です。

 しかしやはり問題なのは高額な接種費用で、このワクチンを2回接種するのに
3万円近くの接種費用がかかります。

 日本のロタウイルス胃腸炎の医療費を含めた総疾患負担額は、大阪労災病院川村部長の試算によれば、年間
約540億円といわれています。すでに栃木県大田原市は半額補助を行うことを決めたと報道されています。品川区の保育園でも、毎年2〜4月大流行します。この時期の病児保育は、ロタウイルス胃腸炎の乳幼児でいっぱいになります。

 ワクチンを飲めば、ロタウイルス胃腸炎にはかかりません。 ぜひ、
品川区でも子育て世代の支援のために、公費の補助の検討していただきたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。

U 小児夜間救急について

 品川区、荏原・品川区両医師会、昭和大学の協力で行われている、現在の平日夜間診療、土曜夜間診療、休日診療は区民に大きな安心をもたらしている、と高く評価いたします。安心の小児夜間救急を進めるため、2点質問いたします。

1. まず、診療拠点確保についてです。

 現在品川区では、月曜から金曜の平日夜間診療と土曜の夜間診療は昭和大学病院4階ブースで、日曜休日診療は品川区、荏原両医師会の固定診療所、および診療所持ち回りの品川区医師会大井輪番診療所で行っています。

 事務事業概要によれば、平成22年度の実績は、平日夜間診療が242日で来院者のべ
1551人、土曜夜間診療が51日でのべ976、休日診療が3か所で72日、のべ10,163人でした。まず、現在の小児夜間救急の実績に対する、区の評価をお伺いします。

 現在休日診療は、上記3か所で診療が行われていますが、それでもインフルエンザ流行期などは固定診療所の受診者数が100名を超し、 診療を受けずに帰宅する方も出ます。大井輪番診療所も一定の患者を診療しており、特にインフルエンザ流行期などには固定診療所の補完として、地域医療に貢献しています。

 たとえば、200912月の品川区医師会固定診療所と輪番診療所の患者数は553名と328名と品川区医師会担当の37%を診療していました。
診療拠点が複数あることは患者が分散し、1点集中が緩和すること、受診する方も近くの診療所を選べること等の利点があり、現在の休日診療体制の維持を希望いたしますが、区のご見解をお伺いします。

2. 次に、軽症患者の受診抑制の方策についてお伺いします。

 夜間救急外来の最大の問題点は、軽症患者の受診が多いため、本当に急を要する患者さんの診療に支障をきたすことです。それでなくとも夜間の限られた人的資源を効率よく、救急患者に対処できるために、さまざまな施策が必要です。
  その一つとして、救急外来を受診する軽症患者から時間外加算金を徴取する病院が増えてきています。

 しかし最も大切なことは小学校、幼稚園、保育園などで保護者に対し、夜間救急外来の存在の理由、受診の目安を、 校医、園医、保健所担当者などが繰り返し、いねいに説明することだと思います。このような取り組みは日常的に積極的に行う必要あり、これが夜間救急外来の軽症患者の受診抑制にもつながっていくと思われますが、いかがでしょうか。

 
現在保育園、幼稚園、小学校でどのようなこどもの健康や救急に関する取り組みがなされているのか、 またこのような保護者に対する健康教育の必要性について、区担当者のお考えをお聞きしたいと思います。

 さらにこれに関連して、
不慮の事故に対する注意についてお伺いします。

 幸いなことに品川区では、事務事業内容の年齢階級別主要死因分類では、2010年は死亡者はなかったようですが、日常診療の実感として誤嚥、誤飲、けが、やけどなどの小さな事故は多発しています。

 中央区では2008年、区内医療機関と連携し、子どもの事故サーベランス事業を区として立ち上げ、子どもの事故の実態の検討を行い、 報告書をホームページ上で公表しています。乳幼児期の死亡原因の相変わらず上位を占める
不慮の事故に対し、このようなきめの細かい施策は大変評価されるものです。

 
また、このようなデータがあれば、そのデータをもとに保育園、幼稚園での事故防止の講習会なども積極的に行えると考えますが、区の見解をうかがいます。

 救急外来の存在は、安心安全の子育ての基盤をなすものです。 上手な利用によって、重病の患者さんがスムーズに救急病院で、適切な治療を受けられる環境整備が大切だと思います。

V 子育て環境について

1. 待機児童を解消するためと多種多様な保育ニーズにこたえようとする現在の区の施策を評価し、保育、教育の推進と親の子育て力の育成について、質問いたします。

 現在認可保育園が6園、認証保育園3園が開設予定とあり、精力的に保育園増設が取り組まれていますが、急激な増園の場合、心配なのは保育の質の担保です。

 品川区では品質マネイジメントシステムと第3者評価が行われているようですが、
園児のためにどのような保育の質を守る取り組みが行われているのか、お示しください。

 現在保育園ばかりでなく、
幼稚園の入園も倍率が高くきびしいとよく聞かれます。幼稚園は3歳以上の幼児の教育機関、保育園は親が保育できない0歳以上の乳幼児の保育機関、幼保一体化こども園はその両方を兼ね備えた機関と定義されていますが、 現在の品川区ではそれぞれが並立している状態です。

 保育園に関しては、精力的な増園の取り組みがなされていますが、幼稚園についてはいかがでしょうか。
 区立、私立を含めた幼稚園の将来像について、また、現在の認定こども園、保育園、幼稚園の機能と役割について、区の構想をお示しください。


2. 教育の継続性をめざす、小中一貫教育の品川区の取り組みを評価いたします。そのうえで質問をいたします。


 ゲームを離さない、他人と会話するときに目を見ない、
メディア中毒と称される子どもが診療の場でも確実に増えてきています。また、朝食を食べない、ファーストフードばかり食べているというような食生活の乱れに対する取り組みも広がっています。

 健康な心と体を作るために、品川区では小中一貫のメリットを生かしてどのような取り組みを進めているのでしょうか。その対策をうかがいたいと思います。


3. 2007年から「杉並子育て応援券」を発行しています。これは、一時保育、子育て講座、親子参加行事など有料の子育て支援サービスに利用でき、就学前のお子さまがいる家庭に配布され、地域の子育てに役立っています。

 一方、品川区では商店街振興のために、プレミアム付品川区内共通商品券を発行されています。

 品川区でも杉並区の子育て応援券を参考に、子育てに関する費用に充てることのできる 「品川子育て応援券」を発券することを提案したいと思います。これは子育て世代の経済的な負担軽減とともに、プレミアム付商品券とともに地域振興にも寄与することができる施策と考えます。区の見解をうかがいたいと思います。

 以上で一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。