2012年 品川区議会 第4回定例会 一般質問全文

みんな・無所属品川を代表して、一般質問を行います。

荏原小児科医会は、本年1026日から112日にかけて、「品川区小児科医会」有志の協力も得て、区内19か所の小児科診療所において、来院した患者さんに対し、品川区の育児支援策についてのアンケート調査を実施しました。

その結果、769の回答をいただきました。本日は、このアンケート結果も紹介しながら、品川区の医療・子育てについて、お伺いしていきたいと思います。

アンケート回答者の年齢構成は、20歳未満1220歳代10430歳代43940歳以上210、不明4と圧倒的に30歳代が多く、また、性別では男性42、女性346、記載なしは381でした。

まず、アンケートでは、品川区の育児支援策について、「大変満足」、「やや満足」、「普通」、「やや不満」、「大変不満」の5項目を選択していただいたところ、「大変満足」112、「やや満足」344、「普通」222、「やや不満」67、「大変不満」13となり、「大変満足」と「やや満足」と答えられた「満足」の合計は、全体の約6割を占めていました。

特に「中学生までの医療費補助」と、「児童センターの充実」を、多くの方が「満足」の理由として、挙げておりました。

この結果を見ると、小児科診療所に通う子育て世代においては、品川区の子育て支援策は、おおむね評価され、支持されていると思われました。

次に、品川区に今後実施してほしい育児支援策について、選択していただいたところ、

1位は、「ワクチン助成の拡充」で554ポイント、 第2位は「子ども手当の増額」で369ポイント、 第3位は「夜間・休日の救急医療の充実」で359ポイント、 第4位は「保育所の拡充・増設」で270ポイント、 第5位は「病児、病後児保育や一時保育の充実」で252ポイント、 以下、「子育て家庭に対する、賃貸住宅の家賃助成」147、 「子育て支援 クーポン券の発券」130、 「親子交流施設の拡充」117、 「その他」30、 「父親学級、母親学級の拡充」20という結果でありました。

T ワクチンについて

まずに、もっとも要望の多かった、「ワクチン助成の拡充」について、質問いたします。

第一に、任意接種の助成についてお伺いします。

定期接種とは、「感染力の強い 疾病の流行阻止、または 致死率の高い疾病による、重大な社会的損失を防止するために 予防接種法に基づき、市町村が実施主体になって行う」とされるワクチンで、国が責任を持って接種を勧めることになっています。

これに対して、任意接種は 「感染症の発生や蔓延を防ぐ」ためではなく、「個人防衛のために、個人が希望して受ける」とされるワクチンで、予防接種法の適応外となり、接種費用は自己負担となります。

しかし、任意接種も定期接種と同様、「病気のまん延を予防すること」、「自分のためだけではなく、他の人のために」受ける予防接種であることに、全く変わりはありません。

たとえば、小児用肺炎球菌ワクチンは、子どもの肺炎球菌性髄膜炎を予防するだけでなく、間接的な効果として、高齢者の肺炎球菌による肺炎の予防に、効果があることがわかっています。肺炎球菌性肺炎は日本の高齢者の死亡原因の第4位を占めており、現在、予防のために成人用肺炎球菌ワクチンの接種が行われています。

ところが、アメリカで、子どもに小児用肺炎球菌ワクチンを接種すると、高齢者の重い肺炎球菌感染症が65%も減少したと報告されました。そのため、WHOは、経済的に問題のある国では、高齢者に成人用肺炎球菌ワクチンを接種するよりも、むしろ子ども全員に小児用肺炎球菌ワクチンを接種したほうがよい、と勧めているほどなのです。

また、おたふくかぜワクチンは、1988年から1993年の間、麻疹風疹おたふくかぜ混合ワクチンとして、定期接種として接種されており、1993年、このワクチンの接種が中止されると、定期接種からはずれてしまいました。

2012329日、厚生科学審議会 感染症分科会 予防接種部会は、B型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、水ぼうそう、おたふくかぜ、子宮頸がん予防HPVワクチンの6種類のワクチンを、定期接種に組み入れることを提言しました。このことは、これらの任意接種のワクチンが、定期接種のワクチンに劣らず重要だということを、専門家も認めたことに、ほかなりません。

ここで質問いたします。

@ 任意接種の対象の病気は、定期接種の対象の病気に劣らず、子どもにとって予防が重要な病気であること、

A ワクチン接種により、その対象の疾患を制圧するには、接種率を上げなければならないこと、 

B 接種率を上げるためには、経済的な格差なく、全てのお子さまがこれらのワクチンを、接種できる環境をつくらなければならないこと、 

C 任意接種の多くは、専門家がその効果を認めており、近い将来定期接種になることが確実な状況であること、

にもかかわらず品川区では任意接種の助成が、今なお、おおむね半額にとどまっています。

この任意接種の半額助成は、たびたび区の担当者からお聞きする数字ですが、この「おおむね半額」とはいかなる理由で設定されているのか、その根拠を今一度お伺いしたいと思います。

第二に、定期接種と定期接種化について質問いたします。

定期接種とは、国が責任を持って接種を勧める、というワクチンであるにもかかわらず、費用は市町村が支弁、負担しています。必要なら本人からも実費徴収が可能とされていますが、本人から実費徴収している地方自治体は、ほとんどありません。

今回の不活化ポリオワクチンの切り替えでも明らかになったように、定期接種が増えるということは、市町村の財政負担が増大します。当然のことながら、さまざまな団体や組織が、国に財政的支援を強く求めて運動しています。予防接種法の体系でも、過去に新型インフルエンザの臨時予防接種のように、国が接種費用を負担する例もありました。

今後とも国に財政支援を強く求めていくべきと考えますが、万が一財政負担の障壁のために、任意接種の定期接種化が遅れるような事態は、決して好ましいことではありません。地域や経済的な事情にかかわらず、格差なく、すべてのお子さまが必要な予防接種を受けられることこそ、定期接種の意義だと考えるからです。

品川区の国への働きかけと、上記6ワクチンの定期接種化に対する区のお立場を、改めてお伺いしたいと思います。

最後に今なお助成のない、ロタウイルスワクチンについて、お伺いいたします。

ロタウイルス胃腸炎は突然の嘔吐で始まり、1週間近く激しい嘔吐と白色の水のような下痢が1日に数十回も続く、乳幼児の重い感染性胃腸炎です。激しい嘔吐、下痢のため、脱水になる危険が高く、けいれんも起こします。日本の小児の急性脳炎・脳症の原因の第3位を占めています。

現在日本ではロタウイルス胃腸炎のため、年間80万人の乳幼児が小児科を受診し、8万人が脱水やけいれんのため入院しています。これは就学前の子どもの、2人に1人がロタウイルス胃腸炎のために小児科外来を受診し、15人に1人が入院しているという計算になります。

これを予防するのが、ロタウイルスワクチンです。現在、ロタリックス、ロタテックという2種類のワクチンが使用可能ですが、効果はほぼ同等だと言われています。

ロタウイルスワクチンの効果は、脱水、けいれんで入院する重症ロタウイルス胃腸炎を92減らし、すべてのロタウイルス胃腸炎に対しても、79 発病を予防するといわれています。

しかしロタウイルスワクチンの最大の問題は、子宮頸がんワクチンと並んで、1回接種費用がきわめて高額なことであり、このワクチンを2回接種するのに3万円近くの接種費用がかかります。

子宮頸がんワクチンは、接種費用が公費補助のため無料のところがほとんどで、本区でも半額助成が行われているため、ロタウイルスワクチンの接種費用は群を抜いています。

本年4月から渋谷区が東京23区として初めて、ロタウイルスワクチンの公費助成を始めました。2種類のロタウイルスワクチンのいずれでも、17500円補助を2回まで、行っています。また、1114日再開される厚生科学審議会予防接種部会でも、ロタウイルスワクチンの定期接種化の検討が行われます。

23ヵ月の赤ちゃんをかかえた若い母親が、小児科クリニックの受付で、高額のワクチン接種費用を支払っている光景は胸が痛みます。残念ながら、品川区の小児科受付で、これは日常みられる光景となってしまいました。

品川区でも、今なお助成のないロタウイルスワクチンの公費補助を強く望みます。区のご検討はいかがでしょうか。

U.夜間休日の救急医療について

次に第二に、アンケートで実施してほしい育児支援策の第3位だった、「夜間・休日の救急医療の充実」について、お尋ねいたします。

現在品川区では、小児初期救急 平日夜間診療事業として、月曜から金曜の「平日夜間診療」が昭和大学病院で、「土曜夜間診療」が、品川区医師会休日診療所と昭和大学病院で交互に行われています。

一方、日曜、休日診療は、荏原医師会固定診療所と、品川区医師会固定診療所、持ち回りの輪番診療所で行われています。

これらは入院の必要ない、軽症患者の初期救急が対象になります。また、昭和大学病院は救命救急センターとして、入院が必要な重症患者を診療する、二次救急医療を行っています。

事務事業概要によれば、平成23年度は平日夜間診療が年間1558人、土曜夜間診療が年間953人、休日診療が年間10.314人で、受診者総数は平成22年度とほぼ横ばいで推移しています。

1.まず、重症患者についてお伺いいたします。

休日や夜間診療のほとんどは軽症患者ですが、髄膜炎、重症肺炎、ぜんそくの大発作、クループなど入院処置を必要とする重症患者が数%は含まれています。

この数は少ないが、高度の医療が必要とされる重症患者に対して、その受け皿がほとんどないことが、品川区の小児救急において、現在の最大の問題となっています。

「いきいきあんしん 子育てガイド」によれば、救急病院として、第三北品川病院、NTT東日本関東病院、昭和大学病院、旗の台脳神経外科病院、東京ハートセンターが挙げられていますが、実際に小児救急患者を受け入れている二次医療機関は、昭和大学病院のみです。しかも、昭和大学病院には重症患者が集中するため、しばしば患者の受け入れが止まってしまいます。

そのため、品川区の小児の重症患者は、区西南部の都立広尾病院、日赤医療センターや区南部の東京都保健医療公社荏原病院などに受診しているのが現状です。

このような、重症患者の受け入れ先がほとんどなく、多くの品川区民が他区の二次救急医療機関を受診し、入院している現在の救急医療の現状を、品川区としてはどのように把握しておられるのでしょうか。

小児救急医療体制に関しては、東京都の「東京都 保健医療計画」も策定されておりますが、区として特に重症児を扱う二次救急医療について、どのように対応されようとしているのでしょうか。

また、品川区民の重症患者を受け入れてくれている、広尾病院、日赤医療センター、荏原病院などの二次医療機関と、なにか行政として接触、連携はなされているのでしょうか。

以上、3お伺いいたします。

2.次に、軽症患者についてお伺いします。

夜間救急外来の大きな問題点は、軽症患者の受診が多いため、本当に急を要する患者さんの診療に支障をきたすことです。その対策として、救急外来を受診する軽症患者から時間外加算金を徴取する病院も現れました。

しかし最も大切なことは、保護者に対し、夜間救急外来の存在の理由、子どもの症状からの受診の目安を、関係者が繰り返し、啓発することだと考えます。このような取り組みを積極的に行うことが、親の育児対応能力を高め、夜間救急外来の軽症患者の受診抑制にもつながっていくと思われます。

「東京都における、今後の小児救急医療体制の在り方について」提言においても、「子どもの症状に対する、知識や応急手当等について、母親学級などあらゆる機会を通じて、その習熟に努める。」と指摘されているのです。

現在保育園、幼稚園、小学校等で、夜間救急外来に対する受診の仕方に対して、どのような具体的な啓発活動が進められているのでしょうか。区の取り組みをご紹介いただきたいと思います。

また、厚労省は子どもの急病のときにまず電話で手軽に相談ができる、小児救急電話相談事業(#8000)を開始し、東京都でも「母と子の健康相談室」(小児救急相談)が開設されています。

このような、電話相談の存在も積極的にアッピールして、区民の救急医療に対するニーズにこたえるべきと思われますが、区の現在の対応をご説明ください。

V.子育て支援について

多様な保育ニーズにこたえる、現在の区の施策は高く評価されています。しかし、アンケートでは保育園の拡充、増設に関する要望が270、病児・病後児の増設希望が252と、その増設、拡充を望む声が多数寄せられました。

@ まず、保育所の拡充・増設についてお伺いします。

品川区が現在精力的に行っている、延長保育、夜間保育、休日保育、一時預かり、保育ママ等の多様な保育サービスと保育園の増設は評価されています。

今後の、区の多様な保育サービスと保育所の拡充・増設について、どのような方向性を最終的に目指しているのか、まずお尋ねいたします。

A 次に、病児保育についてお伺いします。

今回のアンケートでは、病児・病後児保育の拡充を望む声が数多く寄せられました。

病児保育所とは、保育園児、幼稚園児が病気になったとき、働くご両親の代わりに、病気のお子さまを預かる保育施設です。また、病後児保育所とは、病気の回復期で、安静が必要なお子さまを預かる施設です。

現在、品川区では医療機関併設型の病児保育所が2か所、病後児保育室が区立保育園3か所と私立保育園が1か所の計4か所で開設されています。

なぜ病児保育が必要か。それが、お子さまが病気になったとき、保育所、幼稚園では預かってもらえないからです。園の立場からすれば、当然のことでありまして、感染症の子どもを預かれば、集団保育のなかで感染症が蔓延することになります。

そのために、お子さまが病気になったときに、病気のお子さまを預かり、保護者の代わりに看病し、保育するのが病児保育所です。病児保育は医師の診察、管理のもとで、看護師、保育士が保育看護を行います。

「病児・病後児保育事業」で品川区の委託を受けている、2か所の病児保育所を利用する場合、利用料金は12000円です。定員は合わせて、8名です。これが、品川区の保育園児5468名、幼稚園児3949名、計9417名の受け皿になっているのです。

小児科医会のアンケートでもこれだけ要望のある、病児保育所の数に関して、1医師会に1か所、すなわち品川区医師会地域で1か所、荏原医師会地域で1か所、あわせて2か所にとどめるというお話をお聞きしました。

また、平成24年度事務事業評価 結果一覧でも、「病児・病後児保育委託事業」の評価はBであり、「一定程度のニーズがあることから、現行水準で実施する。」とされています。

品川区の担当者が、病児・病後児保育が現状でよいとお考えなら、どのような調査によって、この病児保育の施設数が適切だという結論になったのか、ぜひお尋ねしたいと思います。

病児保育は必要悪であり、看護休暇が自由に取れるようになれば、必要なくなる存在だという意見を耳にします。

しかし、看護休暇が自由にとれる時代になり、自宅で病気のお子さまのお世話ができるようになっても、子育てに不安がある保護者は、お子さまの看病に一喜一憂するにちがいありません。

離乳食の作り方やベビーマッサージすら育児サービスとして、実際に子育て支援事業として立ち上げているのに、病気の子どもの看護の仕方の実地の援助がないのは、なぜなのでしょうか。

病児保育はお子さまが病気の時に、実際に育児に慣れていない親に、病気の看護を実際に学んでいただく、親育て子育て支援のサービスとしても、発展させていくことができるものと期待されます。

病児保育事業は就労支援のみでなく、親育て、子育て支援事業としても重視すべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

そのために、病児保育所を大崎、荏原、大井、品川の各エリアに点在させ、病気のお子さまが必要な時に利用できる、安心の子育てセーフティネットワークを構築されることを切に望みます。

最後に、今回質問した3つの内容は、お互い密接に関連しています。

子どもに必要なワクチンをうてば、救急外来患者は、特に重症疾患は激減します。また、入院患者も減少するため、小児科病棟の超過稼働状態も軽減します。

病気が減るため、病児保育の利用者も減ります。病児保育で十分家庭看護に習熟すれば、時間外の受診が減ります。また、病児保育で病気に対する知識が増えれば、ワクチンの接種率も上がります。

全ては良循環していくのです。

子どもは未来であり、希望そのものです。品川で生まれ、今を生きている小さな区民たちが、心身ともにたくましく健やかに育ち、立派な品川区民となり、「輝く笑顔、住み続けたいまち しながわ」をさらに豊かに発展させていく、その力強い応援の施策こそ、医療・子育て支援なのだと確信しています。

さらに子どもとご両親のための、医療・子育て支援施策が大きく広がることを希望して、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。