今、品川で流行している病気についての解説です。小学校、幼稚園、保育園で流行情報があったら、一度読んでおかれるとよいでしょう。
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麻疹は我が国では今なお1年間に十数万人が発病し、数十人が死亡している、恐ろしい伝染病です。麻疹は予防接種でほぼ完全に防ぐことができますが、残念なことに我が国では今なおワクチン接種率が70〜80%台に低迷しています。
●麻疹の症状
潜伏期間は、通常9〜12日で、感染経路は咳からうつる飛沫感染です。感染力はきわめて強く、発病前の1〜2日から発疹出現4〜5日までが感染期間です。
症状は3期に分けられます。
まず、38℃ぐらいの発熱とくしゃみ、鼻水、乾いた咳、目の充血が3〜5日続きます(カタル期)。この時期の終わりに麻疹特有の口内疹(コプリック斑)がみられます。この後、一時解熱しますが、すぐに40℃近い高熱がぶり返し、顔から小さな赤いぽつぽつが出始め、急激に全身に広がります(右写真参照)。発疹は癒合(ゆいごう)し、まだら状に赤い波模様になります。2度目の発熱は3〜5日続き、高熱のためお子さまは大変苦しみます。咳もひどくなり、肺炎、クループ(急性喉頭炎)、中耳炎を合併することもあります(発疹期)。その後、解熱し、赤い発疹は茶色になり、しばらく褐色の色素沈着を残します(回復期)。
年齢は麻疹ワクチン未接種の乳児と受けそびれの児童、成人がかかります。成人麻疹は重症になるため、現在問題になっています。
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| 麻疹(ワクチン未接種) | 麻疹(ワクチン接種済み) | 乳児麻疹(ワクチン未接種) |
●麻疹の治療
治療は、特別のものはありません。適度の明るさ、温度、湿度の部屋に静かに休ませ、まめに水分を与えて様子をみます。細菌感染が合併したと考えられる例(肺炎や中耳炎)には抗生物質を、咳がひどい場合は咳止めを、水分が取れない時は点滴を行って、回復を待ちます。
●麻疹の合併症
合併症は、まず麻疹肺炎があります。これは麻疹そのものによる場合と、細菌が増殖しておこす細菌性肺炎があります。細菌性肺炎では、抗生剤で強力に治療します。麻疹肺炎は重症になることがあり、人工呼吸器が必要になることもまれではありません。呼吸不全で死亡する例もあります(急性呼吸窮迫症候群ARDS)。クループ(急性喉頭炎)になり、ケンケンする犬の吠えるような咳で苦しむお子さまもいます。中耳炎もよくみられる合併症です。結膜炎で目が真っ赤になります。
麻疹脳炎は、麻疹の患者1000〜2000人に1人の割りで発症し、15%が死亡、20〜40%に後遺症が残るといわれています。
また、麻疹に罹患した後6〜10年に、10万人に1人の割合で、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)という脳炎が発病することがあります(遅発性合併症)。これは徐々に知能低下が進行し、最後には死亡する恐ろしい病気です。治療法はありません。
●麻疹の予防
麻疹は予防接種で防げます。2001年に区立某小学校で麻疹が小流行した時も、かかった児童のほとんどはワクチンの受けそびれ(未接種者)でした。1歳を過ぎたら、なるべく早くワクチンを接種しておくことを強くお勧めします。2006年4月より麻疹ワクチンは風疹ワクチンと混ぜられた、MR混合ワクチンとなりました。(詳しくは、予防接種MR混合ワクチンをご覧下さい)。
もしも、保育園などで麻疹が発生してしまった時は、ワクチン未接種のお子さまが患者と接触して1〜2日以内に麻疹ワクチンを接種すれば、軽症化が期待できます。また、ガンマグロブリンを筋肉注射する方法もありますが、この薬剤は血液製剤のため、当クリニックは施行しておりません(副作用が心配なため)。しかし、麻疹患者と接触後4〜6日以内ならば発病阻止、ないしは軽症化が期待できるといわれているので、ご希望のお母さまには実施病院を紹介致します。
●登校・登園基準
登校・登園基準としては、発疹を伴う発熱が解熱した後、3日を過ぎるまでは登校・登園できません。また、麻疹が治った後も高熱が出て、麻疹脳炎が続発する可能性があることや罹患後数週間は抵抗力(細胞性免疫)が著しく低下するので、しばらくは無理をせず、ゆっくりと体力の回復をはかってください。
2007年初夏に首都圏で麻疹が流行しました。わが国の麻疹対策の不徹底振りが白日の下にさらされた事態でした。2007年の麻疹流行に対する当クリニックの見解はこちら。
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風疹は風疹ウイルスの感染症で、三日ばしかともよばれますが、麻疹(はしか)とは関係ありません。一般に乳幼児は軽症で経過することが多いのですが、成人では重症になることが少なくないこと、妊娠初期の女性が感染すると先天異常のこども(先天性風疹症候群)が生まれる可能性があることから、未感染のお母さまは注意が必要です。
●風疹の症状
潜伏期は14日〜21日で、感染経路は咳からうつる飛沫感染です。
症状は、38℃ぐらいの軽い発熱が2〜3日みられますが、約半数の人は熱がでないか、気づかない程度です。風疹の発疹は顔、くびから全身に広がります。細かい赤い点(丘疹)で、皮膚面よりやや盛り上がり、3〜5日で消えてしまいます。麻疹のような色素沈着は残しません。年長児や成人は比較的典型的ですが、乳幼児では発疹だけで、風疹の診断をすることは困難です。また、くび(耳後部)とくびの後(後頭部)のリンパ節の腫れが目立ち、圧すと痛がります。
年齢は、5〜15歳の子どもが多くかかりますが、大人でも未感染、ワクチン未接種なら感染します。
●風疹の合併症
合併症としては、4000〜6000人に一人の割りで脳炎を、3000人に一人の割りで血小板減少性紫斑病(血小板が激減し、全身に出血斑が出現する)を合併します。また、成人の風疹では、関節炎がみられます。
妊娠早期に風疹にはじめて感染する(初感染)と、白内障(目が見えない)、心臓病、難聴などの障害をもった先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれます。
●風疹の診断
診断は典型例では容易ですが、風疹の発疹は学童では比較的特徴的になるものの、乳幼児では発疹だけでは風疹とは確実に診断できません。疑わしい例では、血液検査(風疹抗体検査)が必要です。
●風疹の治療
治療は特にありません。一般に軽症に経過するので、発疹の出ている間は安静にして過ごします。
●風疹の予防
風疹はワクチン接種によって、感染を防ぐことができます。
男の子の場合でも、風疹にかかると風疹脳炎や血小板減少性紫斑病のリスクがあることや風疹未感染のお母さまのおなかの赤ちゃんを風疹ウイルスから守るために、ぜひ予防接種を受けておきましょう(詳しくは、予防接種MR混合ワクチンをご覧下さい)。
●登校・登園基準
登校・園基準は、発疹が消失するまで登校できません。鼻咽腔(のど)に風疹ウイルスを排泄している期間は、発疹出現後5〜7日といわれています。
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おたふくかぜは流行性耳下腺炎ともよばれ、ムンプスウイルスに感染して耳の下(耳下腺)とあごの下(顎下腺)の唾液腺(つばを分泌する臓器)が腫れる病気です。2006年、東京では保育園を中心にかなり流行しており、お子さまとともにお母さまが感染するケースもみられます。
●おたふくかぜ症状
潜伏期は14日から21日で、感染経路は咳などからうつる飛沫感染です。
症状は軽い発熱と耳の痛みで始まり、やがて耳の下の頬(耳下腺)が腫れて盛り上がってきます。あごの下(顎下腺)が腫れる人もいます。頬の腫れは2〜3日間はかなりの痛みを伴いますが、通常4〜7日ほどで回復に向かいます。頭痛を伴うことも多いようです。
年齢は子どもが多くかかりますが、大人にも感染します。
●おたふくかぜの合併症
合併症としては無菌性髄膜炎(ムンプスウイルスが脳を包む膜=髄膜をおかし、激しい頭痛、嘔吐、発熱がおこる)が10人に1人のわりでみられます。後遺症は残さず予後は良いのですが、嘔吐が激しく脱水気味だったり、頭痛がひどく全身状態が不良の場合は、入院して経過をみることもあります。また、より重症の脳炎(発熱、けいれん、意識障害をおこす)は6000人に1人のわりで発病するといわれています。
最近おたふくかぜはこどもの難聴の原因として注目されています(数千人に1人の割合で難聴になるとの報告もあります)。まれには膵炎(激しい腹痛を呈する)をおこすこともあります。おとなでは、睾丸炎、卵巣炎を合併することがありますが、不妊の原因になることはないといわれています。
●おたふくかぜの診断
診断は意外と難しく、ムンプスウイルス以外のウイルスでも唾液腺を腫れさせる(耳下腺炎をおこす)ことが珍しくないこと、おたふくかぜ自身が無症状(不顕性感染という)から両方の頬が腫れあがる重症例までいろいろな症状を呈するため、症状からだけではおたふくかぜかどうか、はっきりしない例もあります。このような診断が困難な例では、必要なら血液検査でムンプス抗体価(おたふくかぜにかかった証拠になります)を調べたほうがよいでしょう。
●おたふくかぜの治療
治療はおたふくかぜそのものを治す薬はありません。当院では、消炎剤(腫れをひかせる)、消化剤(消化を助ける)と反復性耳下腺炎(細菌で起こる)が否定できない例には抗生剤をお出ししています。
おたふくかぜにかかっている間はなるべく安静にして下さい。入浴も控えます。また、つばが分泌されると痛みが増すので、食べ物は薄味にして消化の良いものを与えましょう。高熱、頭痛、嘔吐がひどいときは髄膜炎も否定できないので、来院して診察を受けて下さい。
●予防接種について
おたふくかぜを予防するムンプスワクチンは現在任意接種になっています。予防接種の有効率は90%ぐらいといわれており、ワクチンを接種しても感染する場合があります。また、予防接種の副反応として5000人に1人の割で軽い無菌性髄膜炎になる人がいます。しかし、本当のおたふくかぜだと10人に1人は髄膜炎を合併すること、6000人に1人はさらに重い脳炎になる可能性があること、実際おたふくかぜにお子さまがなった場合は数週は園をお休みしなければならない、などを考慮すれば、おたふくかぜの予防接種は積極的に受ける価値があると思われます(詳しくは、予防接種おたふくかぜワクチンをご覧下さい)。
●登校・登園基準
登校・園基準は、おたふくかぜは学校保健法では、耳下腺の腫脹が無くなるまで登校できません。したがって、耳の下の腫れが引くまで1週間から10日ぐらいはお休みすることになります。しかし、時々元気になっても顎下腺の腫脹(あごの下の腫れ)が2週間ぐらい残っているお子さまもみられます。このような場合、当院ではおたふくかぜ(ムンプス)ウイルスが活動していると考えられる10日間くらいは感染力があるためお休みし、それ以降は少しあごの下の腫れが残っていても感染力はないと考えられるので、登校許可をお出ししています。
写真の掲載についてはお母さまのご承諾をいただいております。
水痘は水ぼうそうともよばれ、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染しておこる病気です。伝染力ははしかに次いで強く、東京では数年来保育園、幼稚園を中心に流行が続いています。病原体は水痘・帯状疱疹ウイルスで、このウイルスに始めて感染する(初感染)と水痘になります。水痘が治った後も、水痘・帯状疱疹ウイルスはヒトの神経の中にひそみ(持続感染)、体の抵抗力が落ちたときに帯状疱疹(体の胸の皮膚などに水疱ができ、激痛がはしる)として再び発病します。
●水痘の症状
潜伏期は平均2週間ほどです。感染経路は咳などからうつる飛沫感染と、水疱中のウイルスに接触してうつる接触感染の2つがあります。
症状は軽い発熱とおなかや背中に小さな赤いぽつぽつ(発疹)で始まり、やがて全身に広がります。一つ一つの発疹は小さな赤いぽつぽつから水を持った水疱になり、すぐに破けてかさぶた(痂皮)になります。うみを持った膿疱になるものもあります。かさぶたになれば、感染力はなくなります。発疹は体の胸腹部や手足、髪の毛の間、口内にも出現します。発疹がかゆくて、かきむしる子もいます。外陰部の水疱は潰瘍になると、なかなか治らないことがあります。手足の膿疱も皮膚が厚いため、なかなか乾かない例(2週間ぐらいかかることも)があります。
水痘は子どもが多くかかりますが、乳児や大人にも感染します。大人の水痘は重症で、時に入院加療が必要になるケースもあります。
●水痘の合併症
合併症としては、水痘肺炎、脳炎(水痘1000人に一人以下の割合で発症。水痘にかかって3〜8日ごろ、頭痛、嘔吐、ふらつきなどの症状が出る)、急性小脳失調症、肝炎、ライ症候群(アスピリン使用により、肝障害から急性の脳症となる)が報告されています。
帯状疱疹
水痘が治った後、ヒトの神経の中に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウィルスが、体の抵抗力が落ちたときに再び発病したものです。背中、胸、腹部などに水ぼうそうの半分ぐらいの小さな水疱をもった赤いプツプツが密集して出現します。大人では激しい痛みを感じますが、お子さまはそれほど痛がらないようです。1〜2週間ぐらいで治りますが、水痘未感染の子が発疹に触ると感染するため、十分水疱、発疹の部位を被うか、園をお休みしなければなりません。
●水痘の診断
診断は典型例では容易です。ただし、水痘の初期の発疹は、湿疹と区別のつかないことがあります。
●水痘の治療
かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬(ぺリアクチン)を処方します。抗ヘルペスウイルス剤(アシクロビル=ゾビラックス)は、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑え、発熱期間、発疹数を減らすため、服用すれば症状を軽くすませることができます。発病後3日以内の服用が勧められています。抗生剤は原則的には投与しません(水痘・帯状疱疹ウイルスには効果がないため)。水疱が化膿した場合のみ、処方しています。解熱剤はアスピリン(バッファリン)はライ症候群を引き起こす可能性があり、水ぼうそうでは服用してはいけません。アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ)は、水ぼうそうでも安全に使用できる解熱剤とされています。
現在、水ぼうそうを予防する水痘ワクチンは任意接種になっています。幼稚園、保育園で水ぼうそうが流行している時は、ワクチン接種をお勧めします(詳しくは予防接種水ぼうそうワクチンをご覧下さい)。
生活上の注意としては、お風呂は水疱がある間はひかえます。水疱から新しい発疹が広がるのを防ぐためと、細菌で汚染されると化膿して痕が残るからです。ほとんどかさぶたになれば、シャワーぐらいは良いでしょう(ただし、この場合も水疱をこすらないことと、清潔には注意して下さい)。
●登校・登園基準
全ての発疹がかさぶたになるまで、登校・登園はできません。水痘・帯状疱疹ウイルスは、感染力が非常に強いので、お子さまが元気でも水疱が残っているうちは登園してはいけません。治癒するまで大体7〜10日はかかります。ただし、掌のような破れにくい箇所の水疱は、他が全てかさぶたになっていれば、完全に乾いていなくても登園許可をお出しすることもあります。
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突発性発疹(突発疹)
突発性発疹は6ヶ月から1歳ぐらいの赤ちゃんが、生まれて始めて熱を出す病気として知られています。原因ウィルスはヒトヘルペスウィルス6型、7型と複数あるため、2度かかるお子さまもいます。ヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)は1歳前、ヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)は1歳過ぎに感染することが多いといわれています。
●突発性発疹の症状
潜伏期は平均10日ほどです。感染経路はお母さまの唾液に含まれるヒトヘルペスウィルス6型(B型)(HHV-6)の水平感染と考えられており、さらにヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)も突発性発疹をおこします。母乳を介して移ることはありません。
症状は突然の発熱で始まります。39〜40℃の高熱が2〜4日続きますが、赤ちゃんは元気で機嫌も悪くなりません。咳、鼻水はあまりみられませんが、下痢を伴なうことは多いようです。急に解熱して、胸、腹や手足、顔面に赤い発疹(ポツポツ)が出現します。その発疹は融合することも(麻疹様)ポツポツのまま(風疹様)のこともあります。発疹は3日ほどで消失します。この頃、1〜2日ぐずるお子さまもみられます。
●突発性発疹の合併症
合併症としては、時に熱性けいれんがみられます。ごくまれに脳炎、肝炎の報告があります。
●突発性発疹の診断
診断は発疹が出れば容易です。また、始めての発熱、機嫌が良い、下痢をしている、咳・鼻水がない、などの症状からある程度、突発性発疹と予想することもできます。ただし、他の病気の可能性も否定できないこと(たとえば川崎病)、合併症を起こしていることもあるので、一度小児科で診察は受けておいた方がよいと思います。
●突発性発疹の治療
熱があっても元気で食欲も落ちないことが多いので、安静にして様子をみます。下痢がひどければ、お尻を清潔にして、離乳食は消化の良いものを与えるか、ミルクだけにしてもよいでしょう。
●登校・登園基準
特にありません。保育園内で他のお子さまに移すことはないといわれています。熱が下がり、元気になったら、発疹が残っていても登園してもかまいません。
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手足口病はヘルパンギーナと並ぶ代表的な夏かぜで、口の中のアフタ(潰瘍)と手足に水を持った赤いぽつぽつができる病気です。手足と口の病気という意味で「手足口病」と名付けられました。
コクサッキ―A16(CA-16)、コクサッキ―A10(CA-10)、エンテロウイルス71など幾つかのウイルスが病原体として知られています。特にエンテロウイルス71は1997年、マレーシア、大阪、台湾で手足口病の患者に髄膜炎をおこし、死亡例が相次いで問題になったウイルスです。
●手足口病の症状
潜伏期間は、通常2〜5日です。感染経路は病初期の飛沫感染や水疱からの直接感染とその後の経口感染(便→手)です。
熱は、38℃以下の軽い熱が1〜2日出ることが多いです。
口のなか一面に、赤い点と中央部にアフタがみられ、ひどくなるとは食事をとる事をいやがったり、よだれをだらだらたらしたりします。手足にも、赤いポツポツと硬い感じの水疱がみられますが、水ぼうそうと異なり、かゆくなく破れることもありません。お尻や太ももに密集して出現することもあります。
ふつうは2〜4日で、口の痛みは軽快します。
高熱が3日以上続く、頭痛がひどく嘔吐を繰り返す、元気がなく、ぐったりして食事も受け付けない、などの症状が続く場合は、髄膜炎の可能性も否定できないため、必ず病院で診察を受けてください。
年齢は4歳以下の子どもが多くかかります。原因となるウイルスがいつくかあるため、1回かかっても、又感染することもあります。また、大人にも感染します。冬にもみられることもあります。
●手足口病の治療
特別な治療はありません。口内炎がひどい場合は、アセトアミノフェンを痛み止めとして使用してもよいでしょう。食事はのどごしの良い食べ物(ゼリーや豆腐など)を与え、少量頻回に水分を取らせます。食事の後は白湯などを含ませ、口の中の清潔を保ちます。どうしても水分が取れず脱水に陥れば、輸液を行ないます。
皮膚の発疹はかゆみが無いため、ふつうそのまま様子をみます。かゆがるなら、アンダーム軟膏をつけてもかまいません。
●登校・登園基準
発熱している間、口内炎がひどく食事が取れない間は、感染力も強いため、自宅で安静に過ごします。熱が下がり、口の痛みがなくなったら、登校・登園してもかまいません。
しかし症状回復後も2〜4週間は便中にウイルスが排泄されるため、おむつの扱いには注意が必要です。
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ヘルパンギーナは代表的な夏かぜで、1〜4歳のお子さまが口の中が痛くて、食事が取れなくなる病気です。病原体はコクサッキ―Aグループ(アメリカのコクサッキ―地方で始めて発見されたので、こう呼ばれる)で、他のエンテロウイルスでおこることもあります(原因ウイルスは複数ある)。
●ヘルパンギーナの症状
潜伏期間は、通常2〜4日です。感染経路は病初期の飛沫感染とその後の経口感染(便→手)が考えられます。
症状は、突然39℃以上に発熱し、口の中を痛がります。のどの奥の口蓋垂(のどちんこ)のわきに小さな赤い点々とアフタが認められます。ものを呑み込むと痛いため、ミルクを飲まなかったり、よだれをたらす子もいます。3日ほどでのどのアフタは回復し、食事をしても痛がらなくなります。
原因となるウイルスが複数あるため、1回かかっても、又かかることもあります。
●へルパンギーナの治療
口の中のアフタがひどく、水分も嫌がるようなら、アセトアミノフェンを痛み止めとして使用してもよいでしょう(ただし、痛いときだけ飲ませます。1日2回まで)。抗生剤は無効です。食事はのどごしの良い食べ物(ゼリーや豆腐など)を与え、少量頻回に水分を取らせます。少し大きいお子さまだと氷をしゃぶらせても良いでしょう。また、食事の後は白湯などをふくませ、口の中の清潔を保ちます。どうしても水分が取れず脱水に陥れば、輸液を行います。
●登校・登園基準
熱があり、食事が取れない間は保育園、幼稚園はお休みします。熱が下がり、食事もふつうに取れるようになれば、登園はかまいません。また、便へのウイルスの排泄は1〜4週続くので、オムツの扱いには注意しましょう(良く手洗いを行いましょう)。
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咽頭結膜熱は、発熱、のどの腫れ、結膜炎を主とするアデノウイルス感染症で、以前はプールで流行することも多かったため、プール熱とも呼ばれています(今は飛沫感染が主な感染経路です)。幼稚園児、小学生の間で、主に流行します。
●咽頭結膜熱の症状
感染経路は、通常は飛沫感染(せき)が主ですが、プールでは結膜からの感染や経口感染(口から入る)も考えられています。
潜伏期間は、5〜7日です。
39〜40℃の高熱で始まり、頭痛、食欲不振、のどの痛み、くびのリンパ節の痛みと腫れが目立ちます。結膜炎にともなう、真っ赤な眼や眼痛、羞明(まぶしさ)、眼脂(めやに)が見られます。主な症状は、4〜7日間続きます。
咽頭結膜熱をおこすのは、アデノウイルス3型が多く、1型、4型、7型、14型も原因となります。特にアデノ7型は重症肺炎になるため、要注意といわれています。検査は現在ではチェックAdという迅速診断キットを用いれば、10分で診断可能です。
●咽頭結膜熱の治療・予防
眼症状(結膜炎にともなう眼の充血、眼痛、めやになど)がひどい場合は、眼科での治療が必要です。あとは小児科で経過をみます。抗生剤はアデノウイルスには無効です。
予防は、感染者との密接な接触を避けること(特に兄弟間)、うがいや手洗いを励行することが大切です。また、プールに入る時は、水泳前後に十分シャワーを浴びましょう。
ときにはプールを一時的に閉鎖しなければならない時もあります。
●登校・登園基準
解熱し、のどの痛み、結膜炎が治った後、2日間は登園、登校できません。安静にして、体力の回復を待ちましょう。
毎年夏になると「プール熱大流行」報道が夏の風物詩になってきました。プール熱報道についてはこちら(→プール熱は大流行しているかについて)。
アデノウイルスは、42(51ともいう)種に分類され、その症状も扁桃炎、肺炎や、腸炎、膀胱炎、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(流行り目)など多彩です。アデノウイルス扁桃炎は、滲出性扁桃炎(扁桃に白い膿が付く)で、アデノ1、2、3、5型が多く、おもに年少児〜幼児にみられます。
●アデノウイルス感染症の症状
急に39℃から40℃の高熱がでて、5日ぐらい続き、急に解熱します。3日目ごろ、扁桃に白い膿が多くみられます。の
どの痛みは軽度で、咳もあまりひどくはなりません。
●アデノウイルス感染症の診断
抗生剤が全く効かず、のどが真っ赤で高熱が続く場合、アデノウイルス感染を疑います。現在ではチェックADという迅速検査で、10分で診断できます。(ただし、目も真っ赤ならば、咽頭結膜熱(プール熱)という、別のアデノウイルス感染症を考えます(咽頭結膜熱‐プール熱の項をご覧ください))。
●アデノウイルス感染症の治療
高熱が続くので、なるべく水分と栄養を十分に与え、安静にして様子をみます。高熱のため、ぐったりして脱水をおこしていれば、外来で点滴します。扁桃に細菌の混合感染の可能性や中耳炎を合併していれば、抗生剤を投与します(アデノウイルスそのものには、抗生剤は効きません)。
うがいと手洗いを励行します。赤ちゃんはかかりにくい(お母さまから抗体をもらっているので)ようですが、1〜3歳の子は重症になる(肺炎)ことがあるため、感染した兄弟には、なるべく近づけないほうが良いでしょう。
アデノウイルスの中には重症になる型(7型)もあるので、熱が下がるまでは、元気、食欲、呼吸などのお子さまの全身状態は、よく注意して下さい。
●登校・登園基準
プール熱でなければ、登園証明書は必要ありません。熱が下がり、1日たてば登園は可能です。
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ヘルペス性歯肉口内炎は単純ヘルペスウィルスT型の初感染で起こる病気です。1〜4歳の乳幼児に多くみられ、口内、歯ぐきや口唇周囲に強い痛みを伴う小水疱が出現します。
●ヘルペス性歯肉口内炎の症状
潜伏期間は、通常2〜7日です。
症状は突然40℃近くの高熱で発病し、よだれがひどく、食事がとれなくなります。夜泣きもひどく、赤ちゃんは一日中不機嫌になります。歯ぐきは赤く腫れあがり、さわると出血します。口内にもアフタが点々とみられます。唇の周りにもたくさんの水疱ができることがあります。高熱が5日から1週間続き、食事が取れず、赤ちゃんは大変苦しみます。
2度目以降の感染は口唇ヘルペスと呼ばれ、かぜの回復期や疲れ、ストレスなどにより、唇周囲に小水疱が出現します(症状は初感染に比べ、はるかに軽い)。
●ヘルペス性歯肉口内炎の治療
通常は痛み止めとして、アセトアミノフェンを服用したり、アフタ用の軟膏を塗って様子をみます。症状が重い場合は、抗ヘルペスウィルス剤(アシクロビル=ゾビラックス)が投与されます。水分も取れず、高熱が続き脱水に陥っている時は、輸液を行ないます。
食事は酸味のあるもの、脂っこいものは避け、のどごしのよいものを少しずつ与えます。脱水を予防するために、経口補水液などを少量、頻回にとらせます。
●登校・登園基準
登校・登園基準としては、熱が下がり、口内炎や唇周囲の水疱が消失すれば登校・園は可能です。ただし、合併症がみられることもあるので、高熱、けいれん、意識障害には気をつけて下さい。
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伝染性紅斑(りんご病ともいう)は、ヒトパルボウイルスB19による感染症ですが、実は頬が赤くなる時期(りんご病)はこの病気の治りかけで、ほとんど感染力はないのです。また、この病気はおとな(お母さま)がかかると重い症状が出ることがあり、注意が必要です。
●伝染性紅斑の症状
潜伏期間は、通常4〜20日で、まず数日間微熱、咽頭痛、倦怠感などがみられます。この数日間がこの病気の感染力がある時期(飛沫感染)ですが、かぜと区別がつかないため、軽いかぜとして扱われることがほとんどです。その後、1〜2週して頬が赤くなり、はじめて伝染性紅斑と診断されます。
症状は、両頬がまずまだら状に赤くなり、やがて頬全体が真っ赤になります。さらに、腕全体や大腿や臀部に網目レース状の発疹が広がります。胸や腹に出ることは少ないようです。発疹以外の症状はあまりなく、軽い発熱、のどの痛みを訴える程度です。ごくまれに、関節炎や脳炎、心筋炎、紫斑病や貧血を起こすことがあり、このような例では強力な治療が必要になります。発疹はあまりかゆがりません。発疹は病気が治った後も、お風呂に入ったり、日光、運動の後で再発することがあります。
年齢は子どもが多くかかりますが、大人も感染し、発病します。大人のヒトパルボウイルス感染症は子どもに比べて重症で、関節炎や急激な貧血、高熱を呈することがあります。また、妊娠初期のお母さまが始めてヒトパルボウイルスに感染すると、ウイルスは胎児に感染し、胎児水腫や流産をおこしたりすることがあります。したがって、妊娠しているお母さまはりんご病に十分注意する必要があります。
●伝染性紅斑の治療
治療は特に必要ありません。
●登校・登園基準
登校・登園基準としては、りんご病の発疹が出るころには、感染力はないため、元気なお子さまは登校・園は可能です。ただし、合併症が見られることもあるので、症状の変化(発疹が消えていくか、元気はどうかなど)には気をつけて下さい。
写真の掲載についてはお母さまのご承諾をいただいております。
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伝染性単核(球)症は、EBウイルス(エプスタイン・バールウイルス)というウイルスが、初めて感染(初感染)した時に起こる病気です。このウイルスに初めて感染した年齢が低いほど、症状が出ない(不顕性感染)か、軽く済むといわれています。わが国では、乳幼児の時に初感染してしまうことが多いため、あまり伝染性単核症はみられません。
逆に欧米では思春期に初感染する例が多く、特にデートをした時のキスから唾液を介して感染・発病するため、「キス病(Kissing disease)」とも呼ばれています。
●伝染性単核症の症状
潜伏期間は、通常3週間から6週間です。
症状は、1〜3週も発熱が続き(その後、熱は徐々に下がります)、全身倦怠感とのどの痛み(扁桃が真っ赤にはれ上がり、白い膜が扁桃につく)を訴えます。また、頚部のリンパ節や肝臓、脾臓が腫れてきます。赤い斑状の発疹や黄疸がみられることもあります。まれに、慢性の肝臓病(肝炎)に移行することがあります。
年齢は、学童以降は上記の典型的な伝染性単核症の症状がそろいますが、乳幼児ではかぜの症状に似た、軽症で終わってしまうこともあります。
●伝染性単核症の診断
診断は、血液検査で異型リンパ球という特別な白血球が、白血球全体の10%以上に増加します。また、EBウイルスの抗体が陽性になります。肝機能が障害される例が多くみられます。
●伝染性単核症の治療
治療は、特別なものはなく、発熱、のどの痛みにアセトアミノフェンを用います。EBウイルス感染に抗生剤は無効で、特にペニシリン系抗生剤(パセトシン、ワイドシリン)は、発疹を引き起こすので使用を控えます。また、肝機能が悪化していれば、肝庇護剤(グリチロン、強ミノC)を投与します。
●登校・登園基準
登校・登園基準としては、熱、のどの腫れ、肝臓の状態が正常になれば登校可能です。
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冬季乳児下痢症とは、ロタウイルス、腸管アデノウイルス(アデノウィルスのうち、40,41型の血清型をこう呼びます)、ノロウイルス(以前はノーウォーク様ウイルス、SRSV=小型球形ウイルスなどとも呼ばれていた)、アストロウィルスなどのウイルスによる感染性胃腸炎の総称です。冬場に乳幼児が感染し、激しい水様便と嘔吐を繰り返し、脱水が進行し、入院になることもまれではない病気です。約1/3に白色便を伴うため、白色便性下痢症(白痢)、乳児嘔吐下痢症などとも呼ばれます。吐いて下痢をし、脱水に陥りやすいので、特に水分補給に注意しなければなりません。冬季乳児下痢症の半分以上はロタウイルスの感染によるものなので、ここではロタウイルスによる冬季乳児下痢症についてお話しします。(ノロウィルスについては、次の章をお読み下さい)
●冬季乳児下痢症の症状
潜伏期は1〜3日で、感染経路はウイルスの含まれた糞便をさわった手からうつる経口感染です。
症状は、突然の嘔吐で始まります。嘔吐は最初の1〜2日はかなり激しく、数十回におよび、全く物をうけつけない重症例もあります。嘔吐は2〜3日で落ち着きますが、下痢が嘔吐にやや遅れて出現し、最初は軟便が1日数回ぐらいなものの、1〜2日で数十回に悪化し、便の色も白色からクリーム色のシャーシャーの水様便になります。約1/3に米のとぎ汁のような白色便がみられます。熱は38℃から39℃ぐらいまで出ることもありますが、微熱ですむこともあります。せき、鼻汁などのかぜ症状を伴なうお子さまもいます。
最初の2〜3日が症状のピークで、激しい下痢、嘔吐による脱水症のため、外来点滴をしたり、入院加療が必要になるお子さまもいます。その後、便の状態は次第に改善し、回数もだんだん減り、7〜8日で回復します。
下痢がひどく、腸の粘膜が傷害されると、腸の粘膜から分泌される乳糖を分解する酵素が出にくくなり、糖分を吸収できなくなることがあります(続発性乳糖不耐症という)。そのため、乳糖を含む普通のミルクを飲ませていると、下痢が長引くことがあります。
●冬季乳児下痢症の合併症
合併症としては、けいれんをおこすことがあります。しかし、予後は良く、特に後遺症などを残すことはないといわれています。
●冬季乳児下痢症の診断
ロタウイルス胃腸炎は便の性状から診断は比較的容易です(ノロウィルス胃腸炎でも白色便がみられることが
あります)。また、便中のロタウイルス抗原を調べる迅速検査キットを使用すると5分で診断が可能です。
●冬季乳児下痢症の治療
治療は、脱水に陥らないよう、十分な水分補給をこころがけます。(嘔吐・下痢のホームケアについては、嘔吐・下痢の時にを参照なさって下さい)
嘔吐に対しては、吐き気止めの坐薬(ナウゼリン坐剤)を使用します。下痢に対しては、整腸剤(乳酸菌製剤)、腸粘膜保護剤(乳酸カルシウム)、吸着剤(アドソルビン)を症状の程度に応じて投与しています。ロペミン(ロぺラミド)は6か月前の乳児には使用できません。
続発性の乳糖不耐症が疑われるときは、乳糖分解酵素(ガランターゼ、ミルラクト)をミルクに混ぜたり、乳糖の入っていないミルク(ラクトレスミルク、ボンラクト)を飲ませると、便の状態が改善することがあります。
また、水分とイオン(電解質)の補給のために、経口輸液製剤として、ソリタT2顆粒を処方することもあります。ただし、経口補水液でもかまいません。大人用のイオン飲料(ポカリスエットなど)は、電解質は少なく、糖分が多いので冬季乳児下痢症の治療には不適です。
●登校・登園基準
登校・園基準は、特にありません。しかし、ロタウイルスは下痢症状が出る直前から下痢症状がおさまって2日後ぐらい(約8日間)まで、便中に検出されるといわれます。したがって、ロタウイルス感染症のお子さまのお世話をする時は、排便の後始末、オムツを触った後は、必ず十分な手洗いが必要です。オムツもすぐ処分しましょう。
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ノロウイルスは少し前までは、ノーウォーク様ウイルス(NLV)、または電子顕微鏡で見た形から小型球形ウイルス(SRSV=small round-structured virus)とも呼ばれていました(カリシウィルスという仲間に属します)。冬場に乳幼児が感染し、激しい水様便と嘔吐を繰り返す、冬季乳児下痢症の原因ウィルスの一つで、11月から12月はノロウィルス、1〜2月はロタウイルスが多いといわれています。また、感染力が強く、食品を介して感染が広がるため、食中毒の病原体にも指定されています。
●ノロウィルス胃腸炎の症状
潜伏期は1〜3日で、感染経路はウイルスの含まれた糞便をさわった手からうつる経口感染や汚染された水や食品を介した経口感染です。
症状は、突然の嘔吐で始まります。嘔吐は最初の日はかなり激しく、数十回におよびますが、ロタウイルスよりは軽く、1日ぐらいでおさまります。一方、下痢は腹痛を伴ない、シャーシャーの水様便になりますが、2〜3日で軽快します。熱は38℃ぐらいの微熱が出ることもあります。
●食中毒としてのノロウィルス胃腸炎
ノロウィルスは食中毒の病原体に指定されています。ノロウィルスはヒトの体外でも安定で、感染者の糞便で汚染された飲料水、貝(貝は水中に拡散したノロウィルスを体内に高濃度に蓄積するといわれます)を口にすると発病します。特に生がきや加熱が不充分な貝類から食中毒がよく報告されています。症状は、嘔吐、下痢、腹痛です。
●ノロウィルス胃腸炎の治療
治療は、脱水に陥らないよう、十分な水分補給をこころがけます。(嘔吐・下痢のホームケアについては、嘔吐・下痢の時にを参照なさって下さい)
嘔吐に対しては、吐き気止めの坐薬(ナウゼリン坐剤)を使用します。下痢に対しては、整腸剤(乳酸菌製剤)、腸粘膜保護剤(乳酸カルシウム)、吸着剤(アドソルビン)を症状の程度に応じて投与しています。ロペミン(ロぺラミド)は6か月前の乳児には使用できません。
また、水分とイオン(電解質)の補給のために、経口輸液製剤として、ソリタT2顆粒を処方することもあります。ただし、経口補水液でもかまいません。大人用のイオン飲料(ポカリスエットなど)は、電解質は少なく、糖分が多いので冬季乳児下痢症の治療には不適です。
また、貝類はよく加熱してから食べることをお勧めします。
●登校・登園基準
登校・園基準は、特にありません。しかし、ノロウィルス胃腸炎は冬場に保育園などで集団発生する例が珍しくありません。ノロウィルスは下痢症状がおさまって7日ぐらいはやはり便中に排泄されるため、トイレ(オムツ替え)の前後、食事、調理の前には必ず石鹸で手をよく洗いましょう。また、大人にも感染するため(大人は腹痛、下痢が多い)、お腹の調子が悪い大人が調理するのは好ましくありません(食中毒の原因になります)。
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RSウイルス感染症
RSウイルスは冬季に流行する、呼吸器をおかすウイルスの代表的な一つです。インフルエンザが流行する前に、毎年かなり流行します。このRSウィルスが恐ろしいところは、赤ちゃんが始めて感染すると、夜間突然呼吸困難に陥り、入院加療が必要になる、細気管支炎、肺炎を高率に起こすことです。
●RSウィルス感染症の症状
潜伏期間は3〜5日で、感染経路はウイルスに汚染された鼻水や痰などが付着した手や物からの接触感染や、飛沫感染(せき、たん)です。
症状はさまざまです。年長児が感染してもただのかぜ症状で終わることがほとんどですが、年齢が低くなるに従い、症状が重くなります。特に赤ちゃんが始めてRSウィルスに感染(初感染)すると、細気管支炎や肺炎を起こすことがあり要注意です。
急性細気管支炎の典型的な症状は、鼻や咳などの通常のかぜの症状が2〜3日続いた後、突然夜間ぜいぜいしだし、咳込みがひどくなり、陥没呼吸が出現し、呼吸困難に陥ります。酸素投与が必要で、すぐに夜間救急病院に急がなければなりません。呼吸困難は1〜3日間が最もひどく、この時期を過ぎれば軽快していきます。喘鳴や咳込みは7日ぐらい続きます。
また、RSウィルス感染に母親の免疫は全く役に立たず、新生児でも感染して発病してしまいます。新生児では呼吸が止まってしまうことがあり(無呼吸発作)、呼吸を促がす薬が投与され、人工呼吸が必要になることもあります。やや大きいお子さま(6ヶ月〜2歳)でもかなりぜいぜいし、入院まで至らなくても夜間咳込みがひどい状態が1週間ぐらい続きます。
●RSウイルスの検査
症状は乳児喘息と似ています。しかし、病気の経過、重症度が異なるため(RSウィルスの細気管支炎はきわめて重症になる可能性があります)、正確な診断が要求されます。
このRSウィルス感染症は迅速診断キットを用いれば、10分で診断可能です。ところが、このキットは2歳未満の入院中の乳幼児の検査しか、保険診療が認められていません。そのため、RSウィルス感染症の正確な診断が最も必要とされる小児科外来の現場では、コストを患者に請求するか(自費診療)、医療機関が負担する形でしか、検査を行うことができません。しかし、RSウィルス感染症の診断の重要性を考慮し、クリニック負担で迅速診断を行う小児科クリニックが少しずつ増えてきています。当クリニックもRSウイルス感染症が疑われるお子さまには、積極的な検査を心がけています。
RSウィルス迅速診断がもしも陽性だったら、6ヶ月前の赤ちゃんは呼吸困難で入院する可能性があると考え
ておいたほうがよいでしょう。特に夜間の呼吸の状態を厳重に観察し(夜間急変することが多いため)、ぜいぜいひどくなる、苦しくて眠れない、ウーウーいう、呼吸が止まるような気がする場合は、救急病院へ受診して下さい。
また、RSウィルス陽性のお子さまは、小さな赤ちゃん(特に新生児)に近づいてはいけません。
このウィルスはありふれたウィルスで、特に珍しいものではありません。保育園でも毎年流行しています。保育園等に通園している赤ちゃんのお母さまは、園の流行情報には注意したほうが良いでしょう。ただしRSウィルスに関心を持ち、迅速検査を行っている医療機関は極少数です。そのため、患者がいても診断されないケースも多いため、情報が出てこないケースもありえます。
●RSウイルス感染症の治療
治療は、抗生剤は全く効果はありません。喘鳴には気管支拡張剤の服用や食塩水の吸入を行います。細気管支炎、肺炎に進展してしまったら、入院して輸液、酸素投与、気道分泌物の除去などの治療を行います。
予防は、早産児や慢性肺疾患のある未熟児、先天性心臓病の赤ちゃんには、抗RSウィルス抗体であるパリビズマブ(シナジス)の筋注が2002年から行われていますが、高価な薬のため、一般のお子さまには使用できません。
●登校・登園基準
登校・園基準は特に決められていませんが、ゼイゼイが続く間はお休みをさせたほうがよいと思います。
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