贅沢な時間。
ウチの歌姫は、本当に歌が好きだ。
機嫌が良くて、喉の調子も良ければ。もう、日がな一日歌を歌っている。
鼻歌だったり。
童謡だったり。
ライバルと言われているアーティストの歌だったり。
少し前に流行ったナツメロだったり。
そして、自分の歌だったり。
俺は、書斎から引っ張り出した大量の書物を。
リビングで広げて読み漁る。
この世に、これ以上はないだろうというくらいに美味しいコーヒーを啜りながら。
その香りを楽しむ。
そして、ふと気付くと聞こえてくる歌声。
それは。現代の歌姫の称号に恥じない、この世で最高の歌声。
この国の多くの人は、この歌を聞くために幾ばくかの代価を支払わなければならないのだが。
それを一人締めできるのは、この世に俺だけで…。
大量の書物と。
美味いコーヒーと。
素晴らしい歌声と。
大好きなものに囲まれて過ごす。
贅沢な時間。
「エード。今度こそ自信作よ!
豆乳とライチジュースを混ぜてみたの!ね。飲んでみて!」
「………。」
さようなら、俺の贅沢な時間。
20060824UP
END
新婚の二人…と言うことで…。
この二人。お互いとってもマイペースで。
例えば二人で一緒に休みが取れたとしても、それぞれ勝手に自分の好きなことをやっていそうだなあと思って。
で、勝手に好きなことをやってるんだけど、時々相手の存在を感覚で確かめる…見たいな…。
しかし…豆乳とライチジュース…って…。
月子は勇気がありませんで…、誰か試して見て下さ…って嫌だよねえ。
一応、本編終了記念SSということで…。
(06、09、01)