「ここにいるよ。」13.5
「じゃあ、な。」
「うん。気を付けて。」
「おう。……浮気、すんなよ?」
「しません〜。ジャン君とは違うんです。」
「な、俺だってしねえよ。」
「何よう、ジャン君がイーストシティに居た頃。『女の人へのプレゼントは何にしたら良いか分からない。アドバイスしてくれ』って、電話かけてきたくせに!」
本当はヤだったんだからね!と言われて、平謝りの俺。
「もう、寄り道しねえよ。」
「う…ん。」
その細い体を抱きしめて、お嬢の甘い香りを嗅ぐ。
「大丈夫よ。」
「うん?」
「私は、ずっとここにいるから。ずっとここでちゃんと待ってるから。」
「ああ。」
絶対に生きて帰って来る。ここへ。
「じゃ、行ってきます。」
「はい。行ってらっしゃい。」
ここから行って、ここへ帰って来る。
いつだって、お嬢のいる場所が俺の帰る場所となる。
20061230UP
END
あまりにも短く中途半端な長さでしたので…。
南方司令部へ戻るということはテロの最前線へ戻るということ。
気分としては戦場へ送り出すのと一緒です。
大佐(兄)の時もそうでしたが、「ここにいるよ。」のジュディちゃんはきっとそういうめぐり合わせというか役回りなのかも知れません。
(06、12、30)