「Angel’s Wing」の設定で。10話頃のリゼンブール。

 

 

 

Mixジュース

 

 

 

「…ん〜。」

「あ、アル。起きたの?」

「ウィンリィ…。あ〜、もう夜?」

「うん。」

「そうすると…トータルで…やっぱり17時間位か〜。」

 中々睡眠時間が減らないなあ。

「そういえば…兄さんは、セントラルへ出発したの?」

「うん。アルが外のカウチで寝てるのを見つけて、このベッドへ運んでくれてからね。」

 助かったわ〜。今回は外だったから、置いとくわけにもいかないし。と笑う。

 数日前は、ウィンリィの仕事場にあるソファで眠ってしまって。

 運ぶのが面倒くさいという理由で、そのまま放置されたのだった。(毛布は掛けてあったけど…)

 『こんなにうるさいのに良く起きなかったわね』と、全く遠慮せずにガチンガチンと音を立てた仕事場で、たっぷり10時間眠った僕はウィンリィに思いっきり呆れられた。

「セントラルかあ…。」

 せっかく体が戻ったというのに、あまり元気のなかった兄さん。

 多分自分の腕が戻らなかったことが、相当ショックだったのだろうけど…。

 完全生身に戻ってしまった僕が何を言っても気休めにしかならないだろう。

 こんないたたまれなさを、もしかしたら兄さんはずっと感じていたのかもしれない…と改めて思ったりして。

 『一応、大佐に報告しとかなきゃいけないからな…』

 なんて、セントラル行きの理由を言っていたけど…。

 きっとそっちはおまけで、メインは彼女なんだろうなあ。

 何時ごろに出かけたのかな?もう会えたのかな?

 久しぶりだもんなあ。僕も会いたかったなあ。

 …けど、もう少し睡眠時間が減らないと…何も出来ないな…。

 

 母さんが死んだ時、僕はまだ小さくて。

 本当言うとあまりはっきりとは覚えていなくて、兄さんほど母さんに対する執着は無かったと思う。

 ただ、優しかった笑顔と。なんだかいい香りがしていたのを朧げながらに記憶しているだけだ。

 勿論、顔は写真で知っているのだけど…。

 むしろ僕のイメージの中では、ジュディがその位置を占めつつある。

 お母さんなんて申し訳ないけど、でも『母』であり『姉』であるような…。

 そう、目の前にいるだけで。

 いや。思い出すだけで、優しい気持ちになれる人。

 今は元気のない兄さんも、ジュディに優しさをいっぱい貰って早く元気になればいい。

 ああ、そうだ。

 ジュディとは約束があったっけ…。

 むぎゅってすること。

それと、色々とジュースを混ぜて飲むこと。

「ねえ。ウィンリィ。」

「ん〜?」

「トマトジュースとグレープジュースを混ぜたらどんな味がするかな?」

「やっ、ちょっとアル!寝すぎておかしくなっちゃった!?不味いに決まってるじゃない!!」

「………。」

 …う〜ん。…やっぱり。…そうだよね…。

 

 

 

 

 

20060308UP
END

 

トマトジュースとグレープジュースを混ぜたらどんな味になるのでしょうか?
勇気のない月子はまだ試していません。
どなたか、『チャレンジャー』な方がいらっしゃいましたら試してみませんか?
そしてどうぞご報告下さい!
トマトソースにはワインを入れるのだし、案外おいしいかも知れませんよ?(そう思うなら自分でやれ!)
(06,03,10)