注:ヒューズ氏がお亡くなりになった後。

 

 

 

たくさん、たくさん。

 

 

 

「ローイ。」

「………。ミリィ。」

「何?その反応。」

「嫌。…びっくりしただけだ。良く仕事を抜け出せたな。」

「いつもサボってるあんたとは違うから。」

私がそう言えば、これっぽっちも反省してない顔で首を竦める。

 

 

そうやって。

いつもはサボってるのが当たり前なあんたが。

あれ以来、毎日真面目に仕事をしているので。

部下の皆が、心配して西方司令部にまで電話で泣きついてきた。

(締め切りが迫ってる分は終えた後…ってのが、リザちゃんらしいけど)

 

 

昔からそう。

辛い時ほど、辛い顔をしないんだから。

 

 

『泣きたい時は、ちゃんと泣いた方がいい。』

 

 

ヒューズに彼女が出来た時、無理して笑っていた私にそう言ったのはあんたでしょう?

 

 

「この間、ロイが美味しいって言ってたお店でランチ買ってきた。」

手にした二人分にしてはちょっと多い量のランチの入った袋を、ちょっと上げて見せた。

「ああ、その店のクラブハウスサンドは絶品だ。」

「うん。たくさん買ってきたよ。」

 

 

だから、ねえ。

今日は天気も良いし。

近くの公園で、一緒に食べよう。

 

 

そして、燦々と降り注ぐ日差しの中で。

ヒューズのことをたくさん話そう。

学生の頃から、あいつの周りは笑いでいっぱいだったじゃない?

たくさん笑って。たくさん食べて。たくさん話して。

 

 

それから、二人でたくさん泣こう。

 

 

今日、いっぱい泣いたら。

 

 

大丈夫。

明日はきっと、笑えるから。

 

 

 

 

 

 

 

20060818UP
END

 

 

 

大佐が、誰かとヒューズ氏を偲ぶとしたら…。
ここでは、ミリアムしか居ないでしょう。と言うことで。
(06、08、23)