注:「扉の向こうの青い空」の18.5話以降で、ヒューズ氏登場後。

 

 

 

妄想大爆発 2

 

 

 

「なあ、チヒロ。」

「ちょっと聞きたいんだけどさ。」

 指令室で、文字の勉強をしているチヒロのところに。

 なにやら複雑な表情のハボックとブレダの少尉二人組がやってきた。

 ちなみに現在、この3人以外の人間はそれぞれ所用で出払っている。

「何ですか?」

「ほら…この間…さ。」

「『ホモネタ』…とか言うの?の話をしてただろ?」

「ああ、はい。」

「その時に、俺とブレダも……その…。」

「妄想ですから。気にしないで下さい。」

「いや、でもさ。例えばそのチヒロの言う『マンガ』とかってのに俺達が出てたら、読んでる女の子は…さ。」

「そうですね。『親友』っていうのは、結構要素が多いですよね。

 例えば、全部口で言わなくてもお互いの考えていることが分かるとか。そういうのが、実際は『友情』から来るものなのかも知れませんが。フィルターの掛かってる目で見ると『愛情』に見える。…と言うか、そう思いたい…って感じでしょうか?」

「…とするとさ。」

「あの二人は?」

「…『あの二人』?」

「だからさ、マスタング大佐とヒューズ中佐だよ。」

「ああ!!!有りですね!!」

 目を輝かせて、ポンと手を打ったチヒロに二人はやっぱりと顔を見合わせた。

「ヒューズ中佐なんて、迷惑なくらいの愛妻家だぜ。それでもか?」

「それも、カモフラージュですね。」

 ……いや、『ですね』って断言されても…。

「でも、…そうすると……。」

 と、気の毒そうにチヒロは目の前の二人を見た。

「お二人も無関係ではいられないと思いますけど…。」

「はあ?何で?」

「別に、あの二人と親友じゃねえぜ。」

「…いえ…ですから。」

 一瞬言いづらそうに口ごもったチヒロだったが。

「三角関係…とか…。」

「はあ!!?」

「四角関係とか…。……有り…だと思います。」

「いや…ちょっと待て。」

「三角?誰と誰と誰が?」

「その辺の組み合わせは自由ですから。」

「………ああ、総当り…なんだっけ。」

 げんなりと肩を落とした二人に苦笑しながらチヒロが言った。

「あの、もう気にしないほうが良いと思いますよ?所詮、妄想なんですし…。」

「ああ、そうだな。」

「違う世界の話なんだしな。どうせ俺らには直接関係無いんだし…。」

 うんと頷きあう二人に、『ええ〜、でもお。』とチヒロは続けた。

「誤解されたくないんなら街中では、あんまり仲良くしないほうが良いと思いますよ?」

「はあ?」

「何で?」

「え、…だって。女の子はこのイーストシティにもたくさんいますから。」

「「………!?」」

「妄想爆発させるのは、何も私が元居た世界の女の子だけじゃないと思いますよ?」

「「なんだって!!」」

 チヒロは揃って声を上げた二人を困ったように見返した。

「一番の要因は『気心知れた感』と『息ぴったり感』ですから。お二人なんて、正に。…ですよね。

…後、大佐相手の場合は『上司部下なのに遠慮がない感』で。

ヒューズ中佐だと…う〜ん何でしょうねえ。『大佐を一緒に支えて行こう感』ですかねえ?」

息ぴったりで、揃って真っ白に固まっている二人を尻目にチヒロはう〜ん。となにやらブツブツ言い始めた。

「それとも、中央と東部でなかなか会えないから『遠距離恋愛』?や。でもヒューズ中佐は結婚されてるから不倫になるわけで…。」

 普段はなんとも思っていないようだが、一度妄想が始まると止まらないらしい。

 とっても嬉しそうなのが不気味だ。

 自分たちだけが『親友』なのに『恋人』と疑われるのが嫌で。上司の親友も巻き込んでやろうと思ったのだが、結果は更なるダメージを受けただけ。

 大体なんだよ?男ばっかりの四角関係…って?身震いするほど、ドロドロしてそうじゃないか。

 しかもヒューズ中佐が入ってくるとそこにはもれなく『不倫』と言う要素が加わり。…となると、あの美人の奥さんや可愛い娘さんも係わってくるわけで…。

話はさらに複雑で背徳になる。

 

「「………。」」

 

 恐るべし、『妄想』。

 恐るべし、女の子たち。

 恐るべし、それを笑って話せるチヒロ。

 

 もう二度と、チヒロとこの手の話はすまいと心に誓った二人だった。

 

 

 

 

 

 

20060826UP
END

 

 

 

 

や。ふと思いついて、さらに遊んでしまいました。
月子自身は『ホモネタ』OKです。(ヒューズ氏が絡んだのはダメですが…)
ですので、『冗談』として笑い飛ばしていただけると嬉しいです。
このネタは今回限りにしま〜す。
(06、09、06)