やさしい笑顔を 〜心理テスト〜

 

 

 

 自室のソファーでくつろいでいると、泊まりに来ていたリアーナが寄ってきた。

「ねえねえ、ジャン。」

「んあー?」

「正直に答えてね。」

「?」

「『あなたの目の前には、恋人がいます。』」

「おう。いるな。」

 咥えていた煙草を灰皿に押し付け、腕を伸ばして抱き寄せる。

「違ーう。」

 腕の中にはちゃっかりと納まったくせに、不満気に声を上げる。

「?何なんだよ?」

「だーかーらー。」

 聞けば、最近司令部内で流行っている心理テストかなんからしい。本当、女ってこういうの好きだよなー。

「ね。今から質問するから、正直に答えて?」

「……しょうがねーなー。」

 あからさまにワクワクとした顔で言われ、イヤだとは言えなくなる。

「『あなたの目の前には、恋人がいます。』」

「それは、聞いた。」

 首筋に顔を寄せると、リアーナの香りがした。

「ちゃんと、聞く!『その恋人が、あなたにキスをしてくれると言いました。』」

「えっ、してくれんの?」

「んもう!」

「…黙って聞きます。」

「『右の頬と、左の頬。どちらにキスをしてもらいたいですか?』」

 どう?と目が訊ねる。

 …『右の頬と、左の頬』? 『どちらに』って……。

そりゃあ、やっぱりな。

「……真ん中。」

「は?」

「真ん中が良い。」

「ま…んなか…って?」

「ここ。」

 俺が自分の唇を指差すと。

「やっ…なっ……に言って…。」

 と、途端に顔が赤くなる。お前、本当にかわいいなあ。

「何?してくれねーの?」

「心理テストだって……っん…。」

 チュッと軽く口付けると、んもうっと恨めしそうにこっちを見る。

「うん?」

 ほれほれと催促すると、仕方ないわねと溜め息を付いてするりと腕が首の後ろに巻きついてきた。

 そっと唇が押し当てられる。

 俺はすかさず舌を差し入れて、珍しいリアーナからのキスを充分に堪能したのだった。

 

 

「…で?心理テストの結果は?」

「真ん中なんて答え、ありえないもの。」

存分にリアーナの唇を味わった後。

「一応、右だと『恋人の方があなたの事を好きです』ってことで。左だと、『あなたの方が恋人の事を好きです』ってことらしいけど…。

真ん中は…んー、多分『あなたも恋人も同じ位想い合ってます』って感じかしら。」

「何だ、そんなこと。心理テストなんてしなくたって分かってるだろ。」

「分かってても、時々確かめたくなるの。」

「…ったくもー。…満足したか?」

「まだ。全然足りないわ。」

「こいつ、言ったな。後悔するなよ。」

「しませんー。」

 クスクスと笑うリアーナを抱き上げて、ベッドルームへのドアを蹴り開けた。

 

 

 

 

 

20050829UP
END

 

 

 

パソコンにUPしたのは随分前なんだけど、占有許可地「月の下」糖度UP計画!ということで、
加筆し、より二人を密着させ、いちゃつかせてみました。
どうでしょう?甘くなっていますでしょうか?糖度、UPしたかなあ?
しかし…心理テストが流行ったのは多分10年以上前。…古。
今も流行ってたりするんでしょうか…。
(05、12、21)