初等部B組。

只今このクラスは恐ろしい戦闘が巻き起こっている。





【 生命維持時間 】




よぉ、こんにちは。
俺は今日実況役に無理やりさせられた
命の安全の為に仮名使うけどしがない取り巻きの健三郎っていう。
(むちゃくちゃ仮名とは思えない名前だけどな。)
まぁ〜今回お話するのは俺が病院のベッドの上で今こうやって
話しているって事わかった上で読んでほしい。









.............








事は一日前に遡る。












「おっ星なし!!お前そんな廊下の端っこで何してんだ?」

俺は運が悪いのか良いのか、まぁ目をつけられないっていうのは
いい事なんだろうな〜・・・・算数係りとやらになっていて
今日も一時間目から始まる算数のプリントを取りにいった
帰りにこうして彼女とばったりだった。



「ささささ三郎っ(仮)し――――っ!!ウチ今
 隠れておるねんっ!!!!!」
「は?何だおまえ、また神野の宿題忘れたのか?馬鹿だなぁ〜」
「ちゃっちゃう!!今回は別件やねん!!!!」



そう言ってキョロキョロしている星なしを不思議に
思いながらもまぁひとまず面白そうなので観察してみる。
すると突然







「佐倉さーーーーんっ!!!!」
「佐倉蜜柑!!棗くん達を誑かす悪女!!」
「隠れてないで出てきなさいよっ!!!」
「流架くんとは学園祭で踊ってっ、棗くんとクリスマス祭で
 踊って〜〜〜〜っ!!!しかも今度は冴くんのパートナー
 ですって!?羨ましいなコラぁっ許せないわっ!!!」







数十名の足音と初等部と中等部のお嬢さま方の
嫉妬まがいな暴言に今までキョロキョロしていた蜜柑は
ビクンッと反応した。__________これが原因ってな訳か。




俺ずっと棗さん達の周りいるけれど
学園祭の時だってクリスマス祭の時の踊りだって
それに蒼井さんのパートナーの件だって全部星なしの意思が
関わっていたとは思えない。
まぁ多少蒼井さんのパートナーの件はあるかもしれないが。
学園祭のときは棗さんが、クリスマス祭の時は流架くんが
それぞれ譲りあった結果だもんな――――..........








「哀れ星なし」
「狽サっそれだけ!?」
「俺あんまり女の嫉妬行為には関わりたくねぇんだ。サラバ。」







そう言ってその場から逃げようとしたが
何かに引っ張られおそるおそる後ろを見てみると







「お願いや・・・・行かんと〜〜〜っ!」







健三郎(仮)は捕獲されました
今思えばあそこで無理やりにでも逃げればよかったんだな。
そうすれば今きりきりと痛むこの傷だって
なかったんだろうに。






「ごめんな健三郎(仮)せやけどウチさすがに
 この現場1人じゃきつくって・・・・・・」
「ソーデスネ」
「ウチかて何もしておらへんのにファンクラブいうたら
 "ウチが誑かしてるー"とか訳わからん事言うんよ!?
 教室に戻ろう思たら教室の前で待ち構えておるし.......
 とにかくっウチは見に覚えんあらん事で起こられるんは腹立つ!!!!」
「ソーデスネ」
「うぅ〜せやけどホンマ健三郎(仮)居てくれただけで
 心強いわー。ありがとなっ♪」
「〜〜〜〜〜っ/////////」






畜生、俺までもが例の佐倉マジック☆に掛かるのか!?
あの強豪達でさえも掛かってしまったあの恋のマジックに!!









              ***





「佐倉遅いね、もう一時間目はじまるのに」




一時間目の用意をしながらふと流架がつぶやいた。
HRの時もいなかった彼女を探しに行けと言われていた
棗と冴は『そのうち帰ってくる』とかなんとか言って探しには行かず。
ようやく心配し始めたのはパートナーではない彼だというのは
なんというか哀しい現実である。



「アイツに限って神野の授業休むか?」
「さぁ?佐倉意外と今日の授業フケるんじゃない。
 確か今日って小テストあるみたいだし・・・。
 欠席かもな」
「バカ共が。蜜柑は今日は休んでないし昨日
 委員長と一緒に算数のテストの勉強も宿題もやってたのよ?
  あの子に限って委員長を裏切るようなマネはしないわ」
「そういえば神野のお気に入りの健三郎(仮)って奴もいない.....」
「健三郎(仮)はどうでもいいわ。それよりもさっきから
 教室の前で張り込んでいる女子は何?」


そう言って廊下を指差す蛍に三人は一瞬
記憶を辿ったようだがヒットする物がなかったようだ。


「知らない」←君らのファンだから
「知らねぇ」←だから君らのファンだって!!
「この二人のファンの誰かじゃない?」
あんた今めちゃくちゃ他人事のように言ったけど
 そのファンの中にはあんたのもいるって事忘れないで欲しいわね」










蛍はそう淡々と言ったが少なからず心配はしているようだ。
彼女にもしもの事があったら





(産まれてきた事を心の底から後悔させてやる・・・・っ)





そう固く心に誓って。









「・・・・俺やっぱりパートナーだし探しに行ってくる」
「奇遇だな。俺も次の授業はパートナーだからフケる」
「棗も?じゃぁ俺はドコゾのパートナーの親友って事で探そうかな」
「何?金目が全部いなくなる訳ね。なら次の授業受けても意味ないわ(何故)
 私も仕方ないから行きましょう。ね?委員長」
「薄lもっ!?|||||||」





委員長も半ば強制連行という形で蜜柑捜索が始まる。
次の授業の担当教諭が怒りの声を上げたのは言うまでもなかったが









          ***







「全くっ!!あ〜〜〜もうっこういう時スミレさんがいれば!!
 あの魔性の女の匂い突き止められるのにっ!!」



段々近づいてくる足音に隣の星なしが見を強張らせたのが
よくわかった。俺だって今の現場見つかったら
真っ先にグルだとか言われて締め出されそうだなぁ・・・・(涙)
しかし生憎俺のアリスは人を隠すとかそういう類のものではない。




「今日に限って"授業に出ないと"ですものねっ!それでも
  ファンクラブ初等部会長なのでしょか!?」
「仕方ないのよ彼女も。次はトリプルだって張り切ってるんですもの」
「無駄な努力なのにね〜」







そう言って笑う女子生徒の声に気が付けば隣の少女の
頭に青筋が立っているのがみえる。
あぁそういえば、なんだかんだいって星なし・・・正田と仲が
よかったんだよな・・・・。
確かにあいつ悪い奴じゃないからな〜。




「あんたらにっ、パーマ悪く言う資格なんてあるかーーっ!!」





そうそう。確かにそうなんだよな〜
・・・・・・・・・・・ん?








慌てて隣を見てみれば立ち上がって怒鳴っている星なしがいた。
もうコイツ自分から自殺行為した・・・・・・






「あんた・・・そんな所に隠れてたのね!?」
「よくも棗くんや流架くんに冴くん誑かしたわね!!」
「こっちはアンタの悪行、ぜーーーんぶ知ってんのよ!!!!」
「好い加減棗くん達にくっつくの止めなさいよっ」
「マジウザイッ」
「大して可愛くもないくせに」






あーあ。
だから女って怖いんだ。
どれも全部偏見だろうが、間違いなく星なしに近づいてんのは
向こうの方だろ!!!!!







「〜〜〜〜〜〜〜っ」







さすがに気迫負けしているのか星なしは立ったまま
何も言えないままだし。
それが余計向こうをいい気にさせるって事こいつは知らねぇのか?
・・・・・・世話の焼ける奴だ・・・・っ!!!!








「テメェら好い加減にしやがれ」








そう言ってアリスを使う。
一気に十数名の女子生徒の体が宙に浮かんだ
ったく、クラスじゃこのアリスのお陰で『持ち上げくん』とか
呼ばれてるけど実際の名前・・・って今俺が使ってんのも仮名か。





「健三郎(仮)・・・っ!?」
「何!?あんた別の男作ってんの!?」
「「そんなんじゃ(ねぇ・ない)っ!!!!」」





より高く宙に上げてやればついに悲鳴があがる。
俺だって女にこんな事したくねぇよ。
そろそろ観念してきたのを見計らって下ろしてやると
そのまま逃げていってしまった。






「はぁ・・・・・・」
「・・・・・ありがとな・・・・健三郎(仮)」
「なんかその仮名も好い加減拍子抜けするな」
「アハハッ、そうやな〜」







顔を見合わせて苦笑いしてみれば突然星なしが
抱きついて「ありがとう」を連発してくる。
俺だって一応男だし、悪い気はしなかった・・・・・・










なんでそんなに間が悪いんだ・・・・・?









「思わぬ現場発見・・・・?」
「どういう事か理解できるまで説明してもらおうか」
「授業サボって何やってるかと思えば・・・・・ヘェ」
「あら、監視の目がないのを良い事に畜生が」
「本当だよね、蜜柑ちゃん今すぐソレから離れて」







初等部B組最強軍団お出ましじゃないですか・・・・・。
嫌だ!!俺まだ先長いんだって!!!
しかもこの5人のアリスに対処できるほど俺のアリス高くねぇよ!!!!







「へ?あ!!蛍達どないしたん?」
「"どうした"じゃねぇよ。何でテメェそれに抱きついてんだ」
「だって健三郎(仮)ウチん事助けてくれはったし」
「助けたって・・・佐倉どういう事?」
「どっかの誰かさん方のファンクラブの女子に色々と・・・せやけど
 丁度通りがかった健三郎(仮)に助けてもらったから大丈夫!」
「へぇ〜。どっかの誰かさん方のファンクラブねぇ」
「該当者が三名ここに偶然いるみたいだけど蛍ちゃんどうする?」
「日向、乃木。自分のファンぐらいちゃんと首輪つけて飼っとけよ」
該当者三名






星なし・・・頼むから今から繰り広げられよとするこの
戦闘に油を注ぐような事いうんじゃねぇぞ。
俺はまだ生きたいんだ!!
それに死ぬんだったら最後までちゃんと真実を伝えてからじゃねぇと
報われねぇし!!この歳で生霊だけはごめんだ・・・・。







「まぁこの件について一応アンタには礼を言っておくわ」
「それよりどうやってその女子生徒に仕返しをしようか?」
「佐倉の話聞いた限りでは数々の暴言を残したみたいだし
 ひとまず・・・・・病院決定かな」
「日向、もしかしたら次の任務。俺行き場所変わるかも」
「偶然だな。俺もどうも中等部に用ができそうだ」
「じゃぁ私は初等部担当しようかしら。流架くんやる?」







目の前で繰り広げられる殺人予告に
星なしは何もわかっていないようだったが俺にはしっかりと
さっきの奴らに十字を切っておいてやったぞ・・・・








「じゃっ・・・じゃぁ俺神野に謝ってくるんで・・・・」








ガシッ









「「「「「(テメェ・お前・君)には抱きつかれた分の代償が残ってる(わ・よ・ぞ)」」」」」















___________________っ














※よい子には見せられないような効果音となりますので 
 少々お待ちくださいませ。



















そして俺は今見事に病院送りとなっている。
隣のベットには見たことのある女子生徒が数名いるし





有限実行か・・・・・・・・フッ














健三郎(仮)これから強く生きよう・・・・・







(end)