俺にとって

許せないものは親友である棗を悪く言うことだけだったはず

でも最近は……



許せないもの


閉ざされた空間の中でも

どんな事があっても

めげない事がモットーの

クラスメイトがいる

「佐倉 蜜柑」

彼女はころころ表情が変わる感情豊かな子だ

自分とは大違いだ

彼女の表情は見ていたい

でも、見たくないものもある




辛そうな顔や泣き顔

こればかりは見たくない……

そして又誰かに何かされたのかな?

笑っているけど……辛く見えるよ…





「佐倉、どうしたの?」

「流架ぴょん?何やった?」

そう言って笑う君

「佐倉……なんか表情が……硬いね……」

「(ギクッ)そっ……そんな事無いよ……」

佐倉は嘘をつくのが本当に下手だ……

元々俺そんなに勘悪くは無い

「嘘だね……何かあったでしょ……」

「だから……何もあらへんよ……流架ぴょん考えすぎ……」

といいつつ少しづつ距離を置こうとする
その行動が言っているんだよ

「何かあった」ってね……

佐倉の場合無意識なんだろうけど

俺はずっと見ていたから知ってるよ

その誰かと距離を取ろうとしている行動は
「何かがあった事」を示す行動だって……

離されないように、でも、佐倉には分かりづらく近づく……

「ねぇ……流架ぴょん……」

「何?」

「なんか妙に追われる感覚があるんやけど……」

「気のせいじゃない?」

本当の事を言えば気のせいではない
何で俺の気持ちには鈍感なのに
こういうことには敏感なんだろう?



蜜柑はさっきから感じる妙な感覚から逃れる為
遂に走り出した

放課後で教室に誰もいないのはいいことなのだが
此処は教室の端
しかも学園自体が馬鹿でかいので
教室の広さも普通よりはでかい

「流架ぴょん…」

「ん……」

「何時もの爽やかな笑顔がどうしても今は悪魔の笑顔に見えるんやけど……」

「気のせいだよ……」

「ならなんで追いかけるの……」

「佐倉が正直に言うならやめてあげるよ…」

「嫌―――――」



広いといっても所詮一教室
扉まできた
が!!!!!!

ガシャン!!!!!!


「えっ!?」

扉には鍵がかかっていた

其れもそのはず

実は流架が入ってきたときに邪魔が入らないように鍵を掛けていたのだ


そして


ダンッ

「捕まえた♪」

「……………」

「ねぇ、佐倉……俺はそんなに頼りない?」

「!!!そっそんな事無いで!!!!!!!!」

「じゃあ……何があったか話してくれる?」

「うん……」

そして佐倉は溜めていた涙を

殺していた言葉を

俺に教えてくれた




















話の内容は
「棗にやられた奴らから怒りをぶつけられた、つまり八つ当たりされた」
との事

佐倉は一通り言い終えて疲れたのか泣き疲れたのか
眠ってしまったのでお姫様抱っこで部屋まで運んだ

佐倉を泣かした奴らにはそれなりの事をしてやった

俺の許せない事

棗を悪く言う事ともう一つ

佐倉を傷つける奴

この二つに当てはまるもの全て