「ナスタチウム」

この国の姫は王と后にとても可愛がられておりました

あまりにも可愛がり過ぎて城と同じ敷地内に在る塔の最上階に閉じ込めてしまうほどでした

外に出られるのはパーティーの時のみでした

その姫の名を――――――――――蜜柑―――――――――――――と言いました



孤高の姫君



蜜柑は人望厚い才色兼備の姫君

暗い塔の部屋に居ても目立つ茶金の姫君

陽の下に出れば一層輝く美しさ

近隣国以外からも求婚され

同じ姫にも愛される……そんな姫君である





そして或る日

「フェンネル」

という国の王子が「姫を一目見てみたい」と言って来ました

「見てみたい」「あわせてください」「后に欲しい」

どれも聞き飽きた言葉

もう聞きたくない一心で姫に逢う事を許しました

「フェンネル」の王子名を――――――――流架―――――――――と言いました






「此処に蜜柑様が居られます」

「有難う」

流架は此処の家来の者の案内で蜜柑の居る塔の最上階まで来た

トントン

「誰?」

「『フェンネル』と言う国の王子が来られました」

「通して」

「どうぞ」

流架は許可が出ると直ぐ部屋の中に入っていきました

「終わりましたらお呼びくださいお迎えに上がります」

「どうも…」






「初めまして「フェンネル」の王子流架です」

「初めまして此処の姫蜜柑です」

「本当に暗い部屋だね」

「よっぽど人に見せたくないらしい…良く逢うのを許したねお母様達」

「ああ…なんか聞き飽きたみたい」

「………」

だったら何故嫁に行かせない

そう思った蜜柑だった

「何で此処に?」

「ずっと閉じ込められている姫がどんな姫なのか興味が湧いてね」

「ふーん」

「始めは見るだけでいいかな?っと思ったんだけど……」

「けど?」

「目が慣れて見えるようになったら」

「なったら……」

初対面だと言うのに恐怖を感じた蜜柑は

脱兎のごとく逃げ出そうとした



グイッ

「きゃっんんっ」

いきなり引っ張られたと思ったと同時にキスをされたが

蜜柑には状況が理解できなかった



「///////////」

「どうしたの真っ赤にして」

「だっだって今」

「キス?ああ今理解したの?」

「////////////」

「そんな真っ赤にして。可愛い」

「あっあの//////」

「何?」

「そろそろ離して下さい」

実は今蜜柑は流架の腕の中

「嫌だよ」

「なっ何で?」

「君が欲しいから」

「なっな//////////////」

「更に赤くなって♪」

「むぅ〜〜〜〜」

「どんな手を使っても君を此処から出す」





「絶対に離さないよ」

「////////」

そう言ってその日は帰りました








そして月日は流れに流れ



3年後

「蜜柑。そんなに動いて大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫」

「出来るなら王子がいいな」

「何故?」

「何処ぞの馬の骨には決してやらん」

「ウチのお父様とお母様と同じやん」

「あはは」

二人はめでたく結婚し

新たな命が生まれようとしていたとさ