呪われた運命4


(何で「花姫殿」に居る筈の「若紫」が此処に!?……それよりも……)

「若紫」が此処小田原にいる理由よりも背の紅牡丹の刺青を隠す事を優先した

そして、蜜柑の護衛役の安奈と雅が

「「『花姫殿』の世継ぎとなる者が此処にいるわけが無い」」
と言って「若紫」の前で構える

更に

「此処で無様に死にたくなければ、黙って「花姫殿」に帰りなさい」
とも告げる

続いて
「今ごろ江戸中大騒ぎね……さっさと……「花姫殿」に戻りなさい!!!
それにそうすればアンタは一生贅沢三昧なのよ?まぁ……此処に来た目的なんて聞く気無いけど…
ウチには……関わらないで頂戴……」


それだけを言い残し、安奈が煙玉を「若紫」に向かって投げる……

バンッ

煙玉が破裂し辺り一面を覆う……





煙玉が晴れた時には既に蜜柑たちの姿は無かった……

「しまった!!!」

「若紫」は蜜柑達を取り逃がしてしまいました……

ちょうどその頃江戸で「花姫殿」について探っていた者達の間では……



「『蜜柑の君』を慕っていた「花姫」達の素性がわかりましたよ首領」

「で……一体何者だったんだ?」

「はい「薊」や「女郎花」を始めとする花姫たちは忍びであり、我々の手下の内1人が「蜜柑の君」の部屋を
探索した時には既にもぬけの殻だったそうです!!」

「そうか……つまり奴等はそれほどの手慣れということになるな…」

何故そう言い切れるかと言えば
此処は警戒厳重の所……其処を抜け出そうと言うとなればそれ相応の腕と
かなり綿密な脱走の計画が必要であるのだ……


「蜜柑の君」が抱えれる「秘密」がもれるのを防ぐよう、どこかへ姿を眩ましたと言う事になる…

そして首領に何もかも見透かしていたかのように脱走した
「蜜柑の君」に対して苛立ちが目立った……



そして首領は立ち上がり……

「『蜜柑の君』を捕らえに行く!!!」
と言い放つ



「……しかし……貴方様は……」
と手下が言う……

これに対し首領は

「これは命令だ!!!」
と強く言い張った……手下達はその言葉に従わざるを得なかった……





蜜柑達が小田原を部見に向け、西方面に佇む山城藩・明日下流の忍びの里に1軒の
豪華な屋敷が佇んでいる
その屋敷の内に、栗色の紙に茶金の瞳をしているが左眼は漆黒の眼帯で覆われている
少年が上座に座っていた……

手紙を括り付けたフクロウが少年のいる屋敷にやってくる……



伝書鳩の代わりのフクロウは、蜜柑のお供をしている理香のフクロウだった……

其処には
「蜜柑の素性を探ろうとしている者が現れた」
と書かれてあった……

少年は繋ぎを取る為に手紙を書き、それをフクロウの足に括り付け
大空へ飛ばした

そして少年は
「…蜜柑……」

とその一言を呟いた―――――――――