運命(さだめ)と言う名の悪戯〜〜第1話〜〜



今日は「花姫殿」の次期当主を発表する大事な日

全ての「花姫」が大広間に集まり

緊張感が漂う

「これより姫様から時期当主の発表があります」

筆頭花姫「杜若の君」こと山之内 静音が祝いの席を仕切る

「勿論「若紫の君」よね」
と言ったのは「撫子の君」こと春野 かおり

「当り前です。私達は其の為に生きてきたのよ」
と続いて「小梅の君」こと柳川 瑞穂が言う


「お静かに……どうぞ姫様」

「皆さんお察しの通り「若紫」が次期当主です」

「『若紫』」

「はい。姫様」

「この屋敷の永遠の栄華の為にしっかりやってね。色々と」

「はい」



「若紫の君」こと蛍は姫宮に大層気に入られており「花姫」の中でも特に秀でている美少女である

周りの「花姫」達からも気に入られているが本人は「ウザイ」としか思っていない

絡繰り物の発明品を作るのが得意でこの屋敷の絡繰りの殆どは彼女の発明である

しかし「蜜柑の君」の事を知っている「花姫」達からはとても嫌われている



「蜜柑の君」を知っている「花姫」は8人

「女郎花の君」こと浜野 理香、「薊の君」こと椎野 ほのか
「桔梗の君」こと井上 優子、「桃山の君」こと大島 雪乃
「椿の君」こと瀧島 たかみ、「竜胆の君」こと森川 里砂
「菖蒲の君」こと立岡 春奈、「百合の君」こと赤堀 千草
である

この8人は姫宮の命により「蜜柑の君」の世話をしているが
周りには何をしているか知られておらず行動が不気味なため

「お捨て花姫」と呼ばれている



「『女郎花の君』」

「何ですか?『薊の君』」

「あの能天気な花姫達に何もなさらないので?」

「まさか……」

「と言いますと…」

「じわりじわりと思い知らせてましょう。此処が安泰なのは本当は誰のお陰がと言う事をね……」

「そうですか…其れを聴いて安心しました」

「では私はこれで……」

「では……………楽しみね……」

「女郎花の君」は蜜柑の世話をするべく地下へ行った





「ご機嫌麗しゅう。『蜜柑の君』」

「別に……で何の用?」

「次期当主が決まったので其の報告等を……」

「『若紫の君』とやらやろ」

「流石ですね……」

「用は済んだやろ……早く帰って…」

「お召し物を替えませんといけませんので」

「其処に置いて…あっち向いてな……」

「はい」



「蜜柑の君」は表に出られない為定期的に服を替える

雪の様に真っ白な肌が姿を現す

物の怪の体色として白い訳だが人間の肌の白い人より其の白さは美しい

「流石神の血を引くお方、美しい肌の色。勿論、容姿も素晴らしいですよ」

茶金の髪は其の上から七色に光って見える

眼帯部分を差し引いても可愛らしく大きな瞳は見る者全てを魅了してしまうほど透き通っている

「用は済みましたので……」

「早く帰って……」

「解りました……」

そう言って「女郎花の君」は牢を後にしました

(さて……「若紫」側の花姫たちをどう言う風に甚振ろうかな……)

ちょっと恐ろしい面をもっているようである

「蜜柑の君」を知っている「花姫」は皆そう思っているらしいが……



時を同じく何やら近付いて来ているようである………