此処はとある山奥
蜜柑を連れて目的地を目指しながら歩く
「花姫殿」を出てからもう何日経ったのか
運命(さだめ)と言う名の悪戯〜〜第3話〜〜
旅立ちまでの経緯
「女郎花の君」が「蜜柑の君」の下を訪れていた
「『蜜柑の君』とても大事な話があります」
「何?」
「まず、「蜜柑の君」貴女の世話をしていた者共は皆「物の怪」にございます」
「!?」
「私達は「あるお方」に言われ貴女様を「ある場所」へ連れて帰らねばなりません」
「『ある場所』?」
「其れは道中お話します。
今は其処こそが「蜜柑の君」……いえ蜜柑様貴女が本当に居るべき所ですとしか言えません」
「本当の場所」
「はい。其処では表に堂々と顔をお見せになられないと私達が困るのです」
此処から出られるのであれば、もし嘘だったとしても行きたい
「此処から出してくれるのなら場所は問わない。必ず出して」
そう言った蜜柑の表情はこの暗い部屋全体を照らすほどのとても明るい笑顔でした
「勿論です。準備が整い次第直ぐ出発します」
「解った」
蜜柑に一通り話した数日後に「若紫」側の花姫達は失脚したのだった
そしてその夜蜜柑を連れ「山城藩・飛鳥流」の隠れ里を目指したのである
「天狐」である蜜柑が去った後「花姫殿」は没落した
其れから幾日か経った頃
「だいぶ日の光の強さにも慣れてきた。皆出してくれて有難う」
「礼には及びません」
「そうです蜜柑様。私達は貴女様の為に生きている者達です」
「蜜柑様のその様なお顔を見られる事だけで十分です」
蜜柑は外に出て直ぐ皆の本名を知った
外に出てから蜜柑の顔には明るさが戻った
「花姫殿」に来る前に有ったあの明るさが
「蜜柑様今日はこの辺で休みましょう」
「うん」
此れを繰り返し蜜柑達一行は「山城藩・飛鳥流」の忍びの隠れ里を目指したのだ
忍びの隠れ里内では
「柚季様」
「何だ?」
柚季と呼ばれた少年
この少年は「空狐」の血を引いており蜜柑とは双子の姉弟であった
「空狐」は「天狐」に次ぐ第二位の狐である
「生き別れて其の6年後蜜柑を見つけた」
「はい」
「だが「あの女」に先に捕られてしまった」
「はい」
此処で言う「あの女」とは「姫宮」の事である
「其れから更に10年俺も蜜柑も16歳になった」
「とても長ごうございました」
「もし蜜柑が無事に帰って来たら二度と離さない」
「そうですね」
(蜜柑―――――――――――――)
蜜柑達一行
「そう言えば「あのお方」ってどんな人何?」
「『あのお方』とは「空狐」の血を引かれるお方です」
「私達が話して良いのは此処まで後はご自分で話されるそうです」
「ふーん。早く逢いたい」
「お会いできますよ(あの心配性だから)」
そう実は柚季はとても心配性なのだ
多分蜜柑と生き別れた所為であろうが其れでも異常だった
毎日フクロウの左源太を使って
「蜜柑は元気か?」
と言う文を送ってくるほどである
其の度理香は
「大丈夫。お元気ですよ」
と返す
この繰り返しをやっていたのである
そして勿論
「花姫殿没落」
の事も送られた
この報せに柚季は大層喜んだ
後は蜜柑が無事帰るのを待つのみ