運命(さだめ)と言う名の悪戯〜〜第4話〜〜
没落後「花姫殿」側では
「どう言うことですか?今井さん。今井さんの娘さんを跡継ぎに薦めた人間が全員失脚したと言うのは」
「そっそれは私達には……」
「解らないなんて言わないで。貴女の娘が居なかったらこんな事には…」
「どう責任を取るおつもりでしょう」
「解った…私達が切腹をしよう」
「ええそうしてください。そうして貰っても気は晴れませんが……」
こうして「若紫」こと今井 蛍の両親は切腹し蛍は一人になってしまった
「如何して…お父様、お母様。……其の前に何故「没落」を……」
「姫宮」は「此処は絶対に没落しない」と言っていた
そして途方に暮れている所を乃木家に引き取られる
「今井 蛍と申します。引き取ってくださり有難う御座います」
「堅苦しくしなくていいよ。俺は用事があるから失礼するよ。後は頼んだ」
「はい。蛍様、こちらへ」
乃木家は有名な町奉行所である
此処の嫡男――――――流架はこの時代にはとても珍しく金髪碧眼であるが
心優しい性格の持ち主である
しかし、蛍を引き取ったのは其の性格からではないようだ
「棗様」
「何だ?」
「『乃木家』の流架様がいらっしゃいました」
「通せ」
「畏まりました」
(何か有ったのか?)
棗――――――家老を勤める「日向家」の嫡男である
流架とは幼馴染でもある
しかしこの二人裏に何かあるそうな……
「久しぶり、棗」
「どうした?何か有ったのか?」
「『何か』なら有ったよ」
「おい…人払いしろ」
「畏まりました」
「何か」を感じた棗は人払いをしました
「で「何が」有った?」
「『花姫殿没落』は知ってるだろ」
「ああ……」
「時が来たって事さ。其処の跡継ぎだった者が俺の家に居るからね…」
「なるほど。やっとまともに行動できる訳か」
「そう言う事。それに没落理由は謎に包まれているし…」
「掘り出し物が有るかも知れねぇって訳でもある訳か…」
そうこの2人こそ「花姫殿」の内情を探ろうとしている者たちなのです
一体何を企んでいるのやら……
一方蜜柑達は
「着きましたよ、蜜柑様」
「此処?」
「そう「山城藩・飛鳥流」の忍びの隠れ里です」
「ささっお入りください」
そして言われるままに中に入ると
「「「「「「「「「「お帰りなさいませ、蜜柑様」」」」」」」」」」
お手伝いさん達が出迎えてくれたのである
「柚季様がお待ちです」
「早くお顔を見せて上げてください」
「へ?え?」
蜜柑が混乱しているのを他所に
アレよアレよと案内され何時の間にか「謁見の間」に通されていた
其処には蜜柑と同じ顔をした柚季が居た
「ご苦労だった。下がれ」
「はっ」
此処まで送ってきた理香達を払い蜜柑と二人っきりになった
「蜜柑」
「はっはい」
「堅苦しくしなくて良い。こっちにおいで」
「はい」
言われた通り近くに行くと
フワリ
「やっと逢えた」
と言った柚季に優しく抱き締められた
「俺と同じ顔、透き通るような白い肌、とても美しく輝く長い髪」
「あっあの//////」
「一応自己紹介しよう。俺は安積 柚季。「空狐」の血を引く物の怪だ」
「佐倉 蜜柑です。「天狐」の血を引きます」
「此処までの長旅、さぞ疲れただろう…明日色々と話す事にして…今日は無礼講としよう」
「へ?」
「おい。祝席としよう」
「はっ」
「今日は辛かった事を忘れ騒ごう」
「はぁ……」
蜜柑が無事戻った事を里の者皆が喜んだ
お手伝い達の間ではこんな話が有った
「柚季様、とても嬉しそうですね」
「其れはそうでしょう。蜜柑様が戻られたのだから」
「そうね…それにしてもなんと美しい」
「本当。この里長に相応しい方だ事」
「まぁ……ご覧になってあの笑顔、とても可愛らしい」
「何時までも続く事を願いましょう」
そして宴は夜遅くまで行われた
おや?「花姫殿」に黒い影が2つ
「酷い有様だな……どうでも良いが……」
「ああ…動物達も可笑しいってさ」
「どう言うことだ?流架」
「居たものが居なくなってるみたい」
「どう言うことだ?」
「人じゃないよ……礼の化け物が本当に居たって事」
「そいつが居なくなったからこうなったとでも」
「動物達が言うには……」
なんと次期家老の日向 棗と町奉行の嫡男乃木 流架ではありませんか
実はこの二人「黒猫盗賊団」の首領(棗)と副首領(流架)だったのです
この二人が「盗賊」をしている理由は
棗の妹「葵」を探す為である
実はこの「葵」こそ「姫宮」の本当のお気に入りである「雪葵」なのだ
「此処から消えた奴の足跡を追って何が有ったか聞くしかないな」
「ああ…此処はあまりにも大きすぎるし…かなり入り組んでいそうだしね」
こうして二人は蜜柑達を追う