何時の時代でも


「白金も銀も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」

の詠のように子供が一番なのだ

「花姫殿」に娘が居た親達も結局はそうだった―――――――――



運命(さだめ)と言う名の悪戯〜〜第5話〜〜



蜜柑達の跡を追う棗と流架

その旅の途中である


「ちょいと其処のお方達」

「はい?」

「何処に行かれるのかね?」

「ちょっと探しものの為に……」

二人は怪しまれないように旅人の格好で旅をしている

「それなら絶対に行ってはならぬ所を教えよう」

「行ってはいけない所?」

「ああ…「山城藩・飛鳥流」の忍びの隠れ里じゃ」

「山城藩は此処ですよね?何故其の忍びの里に行ってはいけないんですか?」

「此処山城藩で知らん人間は居らんと言っても良いほど有名な話じゃ」


蜜柑達の棲む隠れ里――――――

其処は表は「忍びの里」であるが本来「変化狐の里」であるが故に

侵入者は容赦なく斬り殺される

其れがたとえ路に迷って入ってしまった者であっても――――――――


「そういう話だよ生きて帰りたきゃあそこには近寄っちゃいけないよ」

「解りました。有難う御座います」


二人は地元の百姓の話の後



「どうする?棗」

「どうするもこうするも……」

「近寄るなと言われるほど」

「近寄りたくなるのが俺等だもんな…」

「行く?」

「勿論」

とこんな話をしていた

因みに部下達も数名ちゃんと後ろからついてきています





其の頃「山城藩・飛鳥流」の忍びの隠れ里では


「理香さんアレはどう見ても……」

「お休み中です」

「可愛らしいですね…」

「ええ…それにしても本当に大切に思ってらっしゃるのね…」

「え?…ああ…」

「仕方ないわね…16年間も離れていたんだもの」

「でもあの光景は……」

「良いじゃない?可愛いくて♪


柚季が蜜柑を抱き枕にして寝ているが

時々離れたりしてコロコロ格好を変えながら寝ていた

其れが同じ格好をするものだから面白い

しかし、双子と言えど二卵性普通の姉弟並みの繋がりしか無い筈なのに

16年間離れていた所為か尾奈時動きをするのである

でも基本は「抱き枕」らしいが……


「「ん?」」

((起きるタイミングも一緒!?))

「「おはよ………」」

「おはようございます(一卵性双生児と変わらないじゃない!?)」

まだ完全に目覚めていないのか目をこする二人

やっぱり此れも一緒に始まり一緒に終わる

「縁側は気持ち良いでしょう」

「はい」

満面の笑みで言う蜜柑

(((ああ……何と眩しい笑顔)))


「柚季〜♪」

「ん?………おわ!?」

すっぽりと柚季の腕の中に納まる蜜柑

「すっかり懐かれて。我等は此れで……」

「しっかり見張れよ」

「「はっ」」

理香と春奈は見張り場に戻って行く


「柚季♪」

「何だ?」

「えへへ♪」

「何だよ…」

「せやかて安心するんだもん♪」

「そうか…其れは良かった……」

柚季は蜜柑の様子を見てとても安心していた

しかし其の安心を他所に棗と流架は確実に近くまで来て居るのである