rhapsodie -- bolero
「。お前、どう思う」
呼ばれてきた部屋で、土方が切り出した。 その言葉に、何を、と返すことはできなかった。 何を言いたいのかはわかっていたし、 それを土方に言わせたくはないと、そう思った故だった。
「・・・・・そろそろ、厳しいと思います」
「・・・だろうな。近藤さんも、気づいてきてる」
土方の言葉に、近藤さんがですか、とが聞き返せば、 あぁ、という言葉が返って、きて、はそうですか、と呟いた。きっと、総司の体調がよくないことに一番に気づいたのは自分だろうと、は思う。 それは滅多に風邪をひかない総司が、長い間咳をしていたくらいから始まって。 池田屋で喀血したときも、倒れこんだ総司を支えたのはだった。もちろん、土方とてだからとこの話をしているわけではない。 が試衛館の出で、信じるに値すると思っているからこその行動だった。何せ、1番隊隊長の沖田総司は新撰組でも一位二位を争う剣客。 弱っていると知れれば、それは多大な敵が押し寄せる可能性をも浮かばせる。
「・・・・・・労咳ならば・・総司さんの体を思えば、療養させるのが一番かと」
「・・・あぁ。そうだろうな。あいつが、納得さえすりゃ」
土方の言葉に、しないでしょうね、と返しながら、は、この事は黙ってて、と池田屋で言った総司を思い出す。きっとあの人は、ここで死にたいと思っているはずだと、 これは、近藤も、土方も、も知っていることだ。けれど、大切な仲間の命を縮めることは、したくないのが本音だった。
「。・・・・・話してはみるが、」
「わかっています、土方さん。・・・必ず」
必ず、総司さんの支えになりますから、と、が続けた。 その言葉に、土方が苦笑のような、作るのを失敗したような笑みをうかべる。なんでこんなことに、なんて、何度も思ったことを思いながら。