log 2006 5 - 12

このままでいれたらと願う  クロサギ (ドラマ) 黒崎 / 女主人公


「クロ・・・」
「・・・それで呼ぶなって、いつも言ってんだろ」

ポツリ、と紡がれた声に、小さく笑みを浮かべながら返した。
けれどこれは苦笑だな、と、見えない彼女の顔を思いながら目を閉じる。
そうすれば彼女の肩へとかける体重はまして、彼女は俺の背中に回した手の力を強めた。

「・・大丈夫?」
「さぁ・・どーかな」

小さな声に、こてん、と、頭を彼女の頬に当てるようにずらす。
誰かに甘えるなんていいことじゃないとは思っていても、
それでも彼女の温かさには、どうしたって甘えてしまう。
だからこんなにも、こいつがいないと駄目なくらいになっちゃったんだろ、と、
心の中で自分に言ってみたって、反論するすべなんてない。
今だって、彼女がこの部屋から出て行くことをこんなにも恐れて、彼女がこの場を立てない状況を作ってる。
まるで、お前がいなきゃ生きていけない、なんて言い出しそうなこの空気を。
だって君は優しすぎて、素直すぎて、俺がいなきゃすぐにでも詐欺に遭いそうで。
(あぁでも今君をだましているのは俺だ)(だって俺は君がいなくても、生きてはいける)(でも君が必要だ)

「おまえは、ここにいて」
「・・クロ・・?」
「いてよ・・ここに。俺のそばに。」

似合わないような情けない声がこぼれて、小さく笑ってしまった。
これじゃまるで、アカサギみたいだなんて笑えない冗談がふと浮かぶ。
俺はただ君を想っているだけなのに。
けれど耳元で聞こえた愛おしい声に、心から安心してなおのこと愛しいと思ったのだから、
きっとこの気持ちは純粋だと、言い聞かせて。



ドラマ系。その場のノリなのがよくわかります…。






まだ知らないでいいよ  家庭教師ヒットマンREBORN! ツナ / 女主人公


「あ。ツナ」
「なんだよ?」

ベッドに座って声をかければ、ミニテーブルに向かっていたツナが振り向いた。
その顔は少し不満げで、さっきのことを怒っているのかもしれないけれど、でもそれはしょうがない。
私だってリボーンに言われてなかったらこんなことしてないもん、ってことで、
私の横に置かれたピコピコハンマーもどき(本物より確実にダメージが大きそうだけど)を
さっきと同じように手にとった。

「残念っ」
「痛!!ってまたかよ!」

私がピコピコハンマーもどきで叩いた箇所をおさえながら、ツナが声を上げる。
ごめんねツナ、痛いだろうけど、でもきっとリボーンにやられるよりはマシだよ!

「だってそこ違うんだもん。3じゃなくて5だよ」
「・・・・・・またかよーっ」

私の言葉にツナが問題と自分の答えを見直して、はぁと溜め息をついた。
それを見て、ピコピコハンマーもどきを抱えながらどうしようかなぁと思う。
リボーンが部屋を出て行ったってことは、少しは甘やかしてもいいってことなのかどうなのか。
でもねツナ、そうやってわかんないって顔しながら問題を見たって駄目だろうから、
しょうがないから私が手伝ってあげよう。私ってばやさしいな!

「ツーナ」
「・・今度はなに?」
「もう一回やってみよ?間違ってるとこ言ってあげるから」

言いながらミニテーブルを挟んだツナの前に座って笑いかければ、
ツナが驚いたような顔をしてから、パァっと顔を輝かせた。
ありがとな、なんて現金に笑うツナに、子供みたいだなぁなんて思うけど、
同時にドキドキしてるだなんて、全くどうしたらいいんだろう。



ツナと幼馴染とかすごくいいと思う。






君に与える知識の中身  テニスの王子様 越前 / 男主人公


「あ、リョーマそれちょーだい」
「ヤダ。ってか食べすぎ」
「関係ありません。てことでいただきます」
「あ、ちょ!ヤダって言ってんだろ!」
「俺だってヤダっての!つーかそれ俺がもらったもんじゃん!」
「その辺置いとくから悪いんだよ」
「はぁ!?なんだお前その理屈!それは俺のです!イッツマイン!」
「発音悪い。It's mine。で、これ俺のね」
「だからなんで!」
「俺が拾ったんだから俺の。」
「・・こンのジャイアンめ・・・!」
「・・・ジャイアン?て、なにそれ」
「・・・え、おま、・・ジャイアン知らねぇの!?」
「・・・・・・・・・だったらなに」
「マジで!うっわ、初めてみた!ジャイアン知らないやつ!へーえ、知らないんだ。ふーん?」
「・・・気持ち悪いよその笑い。」
「ま、教えてやってもいーけど?はい、それちょーだい」
「・・・・・・・・・別に、そこまでして知りたくないし」
「そーいや聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥って諺があったっけなぁ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ヘイプリーズリョーマ!」
「・・・・・・このヤロ」



いや、帰国子女だと知ってるのかな、と。






君のかお、1つ2つ。  D.Gray-man アレン / 女主人公


「・・・・・・・ねぇ、アレン」
「なんですか?」
「・・こんなことしてて、楽しい?」
「楽しいですよ?僕は君を見てるだけで」

にこにこにこと笑って、アレンが気にしないで、と言う。
そんなこと言われたって、そんなことできるはずがないのに。
そんなふうに見られたら、どうしたって、恥ずかしくてしょうがないのに。

「もう、見ないでってば」
「どうしてですか?」
「どうしてって・・・」
「僕は、君を見ていたいんですよ。どんな顔も見逃したくないから。」

つい気持ちのままに自然と頬を緩ませながらそういえば、
君は口の中にフォークを入れた状態で固まって、だんだんと顔を赤く染める。
そう、そうやって可愛い顔をするから、一秒だって目を離したくないのだというのに。

「・・・・・っ」
「そうやって赤くなった顔も好きですよ」
「っアレン!」
「ねぇ、君は?」

にっこりと、いつもみたいに、いつもよりも、出来るだけ優しく笑う僕。
顔を赤くさせて、困ったように、視線を逸らす、君。

決着がつくまで、あと少し。




そしてなんなんだこいつらと思う食堂の人々。






幸せの見つけかた  おおきく振りかぶって 泉 / 女主人公


「しあわせがほしいよー」
「あっそ」

はぁとため息をつきながらの少女の言葉に、泉はさらりとかえした。
そのあっけなさ加減に、少女がムッと眉を寄せる。

「そりゃーね、泉はね、野球が楽しくできてそれはそれはしあわせかもしんないけどね!」
「なんだおまえその絡み方」

ケッと呟く少女に、泉は呆れたような視線を送る。
その視線に一瞬たじろぎながらも、少女は泉に向けていた顔をずらして窓の外の空を見上げた。

「しあわせがほしーい。青春がしたーい」
「すればいいじゃん」
「アンタは野球少年らしく思いっきり青春ど真ん中だからそんなこといえるんだよ!」
「じゃ、俺と一緒にいれば青春になるんじゃねーの?」

またもさらりと返された言葉に、けれど今度は、少女はきょとんとした顔になる。
全く意味がわかっていなそうな少女を見て、泉がみなまで言わなきゃダメか、と息を吐いた。

「野球部で青春真っ只中の彼氏と付き合うってのも、相当な青春だと思うんですが」

どーですかね、と、いっそあっけらかんと笑う泉に、
それが愛の告白であると理解した少女は、今ここでしあわせを手に入れた。



泉はさらっと告白しそう。






悪夢の消しかた  D.Gray-man ラビ / 男主人公


嫌な夢を見た。そう 俺が考えるなかでは、最悪の部類に入れられるような夢だった。
思い出して、舌打ちする。あァくそ、全くもって忌々しい。

「どうしたんさ?」

不機嫌だな と隣のラビが不思議そうに声をかけてきた。
そう思うなら声なんてかけなければ良いだろうが。
今の俺は自分でもわかるくらいに機嫌が悪い。

「なんでもねェ」
「そうはみえねェぜー」
「・・・うるせーよ、嫌な夢を見ただけだ」
「夢?」

聞き返してくるラビに、あァ、と半ば自棄に答える。
夢で機嫌が悪くなるだなんて、子どもじゃあるまいし。
そうは思うけれどなかなか気持ちは浮上してこない。

「あー まぁ、そういうときもあるよなぁ」
「・・・・・・・くそ」
「はは、そう怒んなって!それに、」

奴さんも登場だ。ラビが言うと同時に、大量のアクマが姿を現した。
ひょい、とラビが小槌を手に取るのを目の端にいれながら、俺もイノセンスを発動する。

「とりあえず、その夢は忘れとくしかねェっしょ」
「・・・・・わかってるさ」

そう、わかっている。あの夢を消す方法なんて、ありはしない。
せいぜい出来ることは、こいつらを消してイノセンスを見つけて報告してそのために徹夜して
あの夢の中の沈んだ世界との対面を遠ざけるなんてことだけだろう。
再度小さくした舌打ちは、アクアの放った騒音で掻き消えた。



リナリーの夢みたいのを見たという設定。






空の飛びかた  BLEACH 浦原 / 女主人公


「空を飛びたい?そりゃまた、随分いきなりっスね」
「なに言ってんですか、こどもの夢ですよ!」

少女の言葉に、浦原はお決まりの帽子を押さえながら笑った。
そうすれば、少女はさも当たり前のように返して、その『夢』について語りだす。
魔法使いになりたいと空を飛びたいは子どもの夢だ、と。
その言葉にまぁそうですねぇと相槌を打ちながら、浦原は仕事を続ける。
それに気づいた少女が浦原さん、と声をかければ、こりゃすいません、と浦原が笑う。

「で、その方法はないかなぁとおもって聞きに来たわけですよ!」

どうですか、と顔を輝かせる少女に、浦原はうーん、と考える仕草をする。
それはあくまで形だけのものであって、とっくに返事など決まっていることを少女は知っていた。
けれどもこれが浦原喜助だということも知っていたので、じれったくも返事を待っていれば、
浦原はようやく、どうでしょうねぇという言葉を返した。

「どうでしょう って!飛べるんでしょ!?」
「そりゃぁね、飛べますよ」

待った反動でか大きくなった少女の声に、浦原はさらりと返す。
その言葉に、なら!と噛み付いた少女に、浦原はまぁまぁと声をかける。

「アタシは飛べますけど、アナタは飛べないでしょ」
「浦原さんと飛びたいんだから大丈夫でしょ!」

売り言葉に買い言葉のような状態で、少女が即答する。
そうして少し驚いたふうの浦原の顔を見て、
少女は自分が何を言ったのかをようやく理解して慌てたように顔を赤く染めた。
や、あの、と言い訳めいたことを言う少女に対して、浦原は思わず顔が緩む。
そうして慌てる彼女を納得するまで楽しんでから、浦原は下ろしていた腰を上げた。

「う、浦原さん?」
「そういうことでしたら、一緒に空でも飛びますか」

にこり、と、珍しく素直に笑う浦原に、少し拗ねたふうではあるけれど、それでも少女も笑顔を返した。



策士なくせにちょっと面食らっちゃったよ な浦原さん






楽しい生きかた  家庭教師ヒットマンREBORN! ボンゴレ / 女主人公


「ボスー!ひ、雲雀さんがぁ!」
「なに、僕のせいだって言いたいの?」
「だってそうじゃないですか!」
「まぁまぁ、落ち着けよ。な?」
「な じゃない!だいたい山本が!」
「お?なんだ、俺なんかしたか?」
「オイおめーら!十代目は忙しいんだ!」
「うるさい獄寺ー!あっボス!聞いてくださいよ、雲雀さんが!」
「だから、あれは僕のせいじゃなくて君のせいでしょ」
「どう考えたって雲雀さんのせいじゃないですか!」
「えっと・・ヒバリさん、なんかやったの?」
「僕のせいじゃないって言ってるだろ、綱吉」
「・・・・(いやそんな睨まれても。)」
「まぁいいじゃねぇか、なにがあったんだか話してみ?」
「そーだぜ。言ってみろよ」
「やまもと・・!ごくでら・・・!(いいやつ!)」
「ちょっと、なんで僕が悪者みたいになってんの?」
「雲雀さんが悪者だから!」
「(・・・ムカ)咬み殺すよ?」
「(ひー!)や、やれるもんならやってみろ!」
「ふーん(スチャ)」
「(トンファー構えた!)つ、ツナさーん!」
「(こんなときだけ名前呼び・・・)わかったわかった、なにがあったの?」
「・・・・あのですね、今日、雲雀さん、が」
「うん」
「朝、私が寝てたら、」
「・・・うん」
「私の部屋に入ってきて、」
「・・・・・・・・・・うん?」
「いきなり、私の布団捲って、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え、ちょ、雲雀さん!?」
「なに、綱吉」
「いやなにっていうかもう、えーーー!?」
「ヒバリ、てめぇ・・・」
「さすがにそれはなぁ、ヒバリ・・・」
「だからなんなわけ君たち。」
「そ、それで、君の朝ごはん食べちゃったからね って!」
「・・・・・・は?(え、なにそのオチ!?)」
「・・・朝ごはん?(なんだ、そーゆー話なわけか?)」
「・・・・・・(こいつらに付き合うだけ時間の無駄かもしんねぇ)」
「君がおきてこないからでしょ」
「雲雀さん、私が朝弱いって知ってるのに!」
「じゃぁ早く起きるんだね」
「出来ないからやってないんでしょー!?」

「・・・・・とりあえず、ご飯用意してもらう?(俺たち朝からなにやってんだろ・・・)」
「わーい!ありがとうございます、ボス!(今日はなにかな!)」



ボンゴレファミリーほのぼのパート






想いの伝えかた  おおきく振りかぶって 榛名 / 女主人公


「呼吸をーとめて一秒 あなた真剣ーな目をしたから」
「・・なんだっけ、それ」
「タッチ!」

ふんふんと上機嫌の足取りの彼女に、半歩後ろを歩く榛名が、不思議そうに言った。
そうすれば、答えと一緒に 知ってるでしょ?という言葉がよこされて、あぁ、と榛名は納得する。
詳しく歌まで知っているわけではないが、彼女が言った題名は榛名にも馴染みがある。
なにせ、榛名の少年時代はすでに野球で埋め尽くされていたのだから、
野球の代表的なアニメだって、見たという記憶はおぼろげながら残っている。
そんな榛名の答えを予想していたのか、彼女は、だろうねー、と相槌を打ってから、
榛名の顔に向けていた視線をまた前へと戻す。

「そこからーなにも 聞けなくーなるの 星屑ロンリネス」

そうして歌う彼女をぼんやり見ながら、榛名はなんとなく最近のことを思い出す。
そういえば、最近は野球で忙しくてこいつとデートとか、行ってねぇな。
だいたい俺は帰ってきてソッコー飯食って風呂入って寝てるから、電話とかメールとかもできねぇし。
こうやって2人で帰るのだって、部活が早く終わるのなんて滅多にねぇから久々だし。
そんなことを思い返しながら、榛名は再度彼女へと意識をやる。

「すれちがーいや まわりみーちを あとなーんかいすーぎたーら二人は触れ合うのー」
「・・・・・・」

そんなことを思い返したからか、彼女の歌う歌に対して、急に罪悪感が沸いてくる。
別に、意図して歌っているわけじゃないのだろう。・・・と、思う。
けれど、確かに会ってやれてねぇし、そのくせよく喧嘩はするし、なんて
考え出してしまえば、あまりこういうことを考えるのになれていない榛名は深みにはまる一方だ。

「ひとり涙とー笑顔はかってーみたら涙がーすこし重くて」
「・・・あーくそ!」
「ぎゃー!?」

とうとう考えることを放棄した榛名は、本能のままに彼女をぎゅっと抱きしめた。
その突然の行動に、予想など全くしていなかった彼女は驚いたように声をあげる。
な、なに と驚いたままで問いかける彼女に、榛名は無言を返す。さて、どういうか。

「元希?」
「・・・・ごめん」
「は?」

とりあえず一番に謝罪の言葉を口にしてみれば、なお怪訝そうに彼女が首をかしげる。
その様子があまりに自分の知っている、自分の好きな彼女らしくて、ぷ、と榛名は小さく噴き出した。

「いやあの、榛名さーん?」
「なぁ、今度さ、映画でもいくか!」

俺観たいのあんだよなー、と笑う榛名の提案に不思議そうにしながらも、
私も観たいのあるんだ、と笑う彼女に、榛名は笑い返して抱擁を解き、その手をとった。



「あー俺はその、なんつーか、好きでもねーやつと付き合わねぇからな!」「・・・え、なに?いきなり」






いつも傍にいたい  アイシールド21 蛭魔 / 女主人公


「ねぇ、今日は待っててもいい?」
「だめだ」

少女が言った言葉に、金髪にピアスにツリ目の男はにべもなく答えた。
その答えに、男と同じ制服を着る彼女は む と眉を寄せる。
けれど悪魔と称されるその男 蛭魔は答えを返ることはなく、
パソコンへ向ける目をちらりと少女に向けただけですぐに戻した。

「じゃぁ、明日は?」
「だめだ」
「あさって」
「しつけぇぞ」

なかなか引かない彼女の言葉に、蛭魔はキーボードの上でその長い指を動かしながら拒否の言葉をつむぐ。
けれど蛭魔の恋人というポジションについている彼女は、
そんなことではへこたれずにどうして と食い下がった。
はぁ と蛭魔が息をつくけれど、蛭魔へと送る視線をはずすことはしない。

「遅くなるっつってんだろ」
「私が待ってるって言ってるんだから、いいじゃない」
「だめだ。」
「蛭魔と一緒にいたいの」

蛭魔の変わらない答えに、彼女は思わずというように少し感情的に口を開く。
クラス違うし蛭魔はアメフトに一生懸命だし、会えないんだから。
その言葉に少し驚いたように彼女を見る蛭魔に、彼女は追い討ちをかけるかのように蛭魔に詰め寄った。

「ホントはいつだって傍にいたいけど、我慢してるんだもん。一日くらい、待っててもいいでしょ?」
「・・・・・・あー・・この糞女・・」

彼女の言葉に、蛭魔はパソコンをいじっていた手を止めて、その手で頭を押さえた。
その動作に僅か気まずそうにする彼女に、蛭魔はだったら と呟く。

「俺の目の届くとこで待ってろよ」

馬鹿に声かけられてもついていくなよ と、蛭魔がお得意の意地悪い笑顔を浮かべて言う。
その言葉に目を見開いた彼女は、けれど嬉しそうに笑って、
本日の帰りを待ちながら昼休み終了のチャイムの音を聞いた。



蛭魔は独占欲が強くてナンボです。






いっぱい抱きしめたい  おおきく振りかぶって 篠岡 / 男主人公


「ちーよ」
「わ、わわっ」

ぎゅ と、少年は後ろから篠岡を抱きしめた。
普通に道を歩いていた篠岡は、驚いたようにその人物を首だけで振り返って、
けれどその少年が自分の彼氏であることを確認して、なんだ というように息をつく。

「もう、びっくりしたよ」
「悪い悪い。千代が見えたもんだからさ。部活帰り?」

少年の言葉に、うん と篠岡が頷く。
そうして、同じく部活帰りらしい少年に向かって、おつかれさま と笑った。
千代もな と笑う少年にもう一度笑い返してから、篠岡は自分の首の辺りにある少年の腕へと目をやる。
しっかりとクロスされている腕を見てから、篠岡は少年を見上げた。

「・・それで、これ、離してくれる?」
「え?なんで?」
「だって、ここ、道路だし・・」

恥ずかしいよ という千代の言葉に、しぶしぶといった様子で少年は腕を解いた。
少しホッとした様子を見せる千代の頭をくしゃくしゃと撫でる。
また慌てる篠岡を前に、俺はいつだって抱きしめてたいんだけどなぁなんて思いながら、
少年は篠岡の手をとった。

「なぁ、俺ん家くる?」
「え?どうして?」
「んー、なんか、もっと抱きしめたい」

俺ん家ならいいだろ?という少年に、篠岡は顔を赤く染める。
篠岡とて、本当にただ恥ずかしいだけで、抱きしめられるのが嫌いなはずもなかった。
だからこそ、もちろんのように頷いた篠岡に笑って、2人は少年の家へと歩き出した。



彼氏が他校の野球部だったりしたらいいなと。






悲しみは癒してあげたい  最遊記 八戒 / 女主人公


ザァザァと雨が降りしきる外を窓越しに見ながら、八戒はふぅと息をついた。
どうにも、雨は 苦手だ。
自然と滅入る気分に、これじゃぁ三蔵のことも言えませんねと苦笑しながら、
八戒はぼうっと窓の外へと視線を送り続ける。
と、そのとき、コンコン と部屋のドアが鳴った。

「八戒?」
「いますよ。どうぞ」

開いたドアに、八戒の予想通りの女性の姿が見えて、八戒は笑みを浮かべる。
どうかしましたか と聞けば、ううん、なんでもないんだけど と答える彼女に、八戒はそうですか と答えた。
彼女がここに来た理由は、自分のためだろう。そう思って、八戒は内心で苦笑する。
八戒を気遣う眼差しは雨のたびに彼女が浮かべるもので、その度に八戒は後悔する。何度も、何度も。
そのうちに彼女は八戒へと抱きつく。
そんな彼女に どうしました?と落ち着いた声で言いながら、八戒は縋るように彼女を抱きしめた。

「・・・泣かないで」
「泣いてなんて、いませんよ」
「・・・・・・うん」
「・・・ええ」

彼女の言葉に答えながら、八戒は彼女を抱く力を強めた。
腕の中の愛しい彼女。今の自分の、最愛の女性。
すみません と小さく呟きながら、八戒は彼女の額に口付けを落とした。



謝ったのは、貴方にか、彼女にか。






笑顔でいてくれると嬉しい  ホイッスル! 若菜 / 女主人公


「おまえケーキ好きだよなぁ」
「うん、おいしいもん。結人だって好きじゃない」
「まぁ、うまいのは確かだけどな」
「うん」
「よくケーキだけでそこまでにこにこになるよなぁ」
「・・・」
「あ、悪いって言ってんじゃねぇぞ」
「なんかそれっぽく聞こえたけど」
「いや、うん、悪くはないんだけどさ、ケーキってのが微妙っていうか」
「うん?」
「いや、ケーキでも笑ってくれるのはいいことだというか・・」
「結人?」
「・・・・あー、もういいや。俺のちょっと食う?」
「いいの?わーい、ありがと」
「いやいや、俺もサンキューだし」



幸せそうなほのぼのカップル






る、まで発音できない  BLEACH 一護 / 女主人公


「ねぇ一護?」
「ん?」

一護の部屋のベッドに座りながら、少女が一護を見上げる。
一護は押入れの中を確認して、安堵のような息を吐いてから少女の隣に座った。
その行動に不思議そうな顔をしながらも、少女は あのね と一護に声をかける。

「なんだ?」
「・・・えーと、その、愛してる、よ」
「・・・・!?」

少し照れながら言った少女の言葉に、一護は顔を赤く染めて驚いたように少女に視線をやる。
一護と目があった少女は、一護の顔の赤さに伝染されたようにして顔を赤くしながら視線を泳がせた。
一方の一護は、その言葉の思った以上の破壊力に頭の中で思考をぐるぐると回す。
けれどその思考がまとまる前に、一護の口から自然と言葉が飛び出した。

「俺も、」
「・・・・俺も、?」

思わず出た言葉に一護が口を押さえる間にも、少女は座っていても上にある一護の顔を見る。
続く言葉を待つような少女の視線に、一護は うっと詰まった。
はっきり言って予想外に口から出てしまった言葉で、
自分がこの先の言葉をサラリと言えるようなキャラでないことは自分が一番わかっている。
けれど愛しい少女のこの目を前にして、ここで止めることはどうにも憚られた。

「・・俺、も、」
「・・うん」
「俺も、その、・・あい して、」
「・・・・」

けれどもどうしても最後までが出てこなくて、一護は あぁもう というように、少女の身体をぐい と引き寄せた。
当然のように一護の腕の中へと収まった少女は、小さく笑う。

「・・・笑うなよ」
「だって」

少女とて、一護の性格がわからないわけではない。
だからこそ、あまりにも一護らしいこの状況に笑いながらも、ありがとう と呟いた。
そんな少女に嬉しいやら悲しいやらどうにも微妙な表情を浮かべた一護は、
いつかは言ってやる と半ば意地のように決心しながら、彼女を抱く力を強めた。



「あーあ、一兄ってばそこは言わなきゃだめだろ・・」「か、夏梨ちゃんダメだよー!」



お題提供 6〜10 : 「Dawn*」




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