私は、あなたが好きです。何処がって言われても困るんだけど、たとえば顔がかっこいいとか優しいとかテニスが上手いだとか、そういうところも確かに好きなんだけど、でも一番何処が好きかって言われたら、そう、やっぱり少し困る。だって、あなたのどんな仕草にだってドキドキしている私がいて、人と味覚がずれてるようなところも可愛いなぁなんて思っちゃったりするんだもん。 「」 「え、あ、周助くん!」 私と周助くんは、いわゆる、恋人同士という関係。それを隠しているわけでもないし、彼は有名人だから もう私と周助くんのことは学校のほとんどの人が知っている(らしい)。付き合いだした始めのころは いろいろ言われたりもしたんだけど、結構な月日がたった今では反対みたいな声も聞こえなくなったみたいで、よかったね って周助くんは笑っていた。だけど、彼がそういうことを言っていた人たちに直接やめるように言いにいった っていうのを菊丸くんから聞いた。周助くんは私にはわからないようにしたかったみたいだから あえてなにも言わなかったけれど、やっぱり周助くんはやさしい人。 それで、知られているからか、特に何も気にしていないのか、こうやって廊下なんかで声をかけられることもよくあることで、一緒にいた友達たちも にやにやした笑顔を浮かべてわたしを送り出した。どうにも、そういうふうに笑われてしまうと恥ずかしくなる。私はすぐに顔が赤くなってしまうみたいだから、きっと今だってそうなんだと思う。だって、顔が熱い。友達に見送られるような形になって歩いてきた私を、周助くんはいつものように笑いながら迎えてくれた。 「ごめんね、あの子たちと話してたのに」 「ううん。そんな大事な話をしてたわけじゃないし、大丈夫だよ」 「本当?それならよかった」 周助くんが笑った。彼の笑顔は いつだって優しくてかっこよくて、温かい。慣れていないわけじゃないのに未だにドキドキする私の心臓は、周助くんが笑顔じゃないときだって、収まることがない。前にそれを言ったら、周助くんはいつもよりも少し照れたふうに笑って、嬉しいな って私を抱きしめてくれた。それだって私をドキドキさせることは、たぶん周助くんはわかってる。勝てないなぁって思うけど、勝ちたいなぁって思うけど、それでも、勝てなくてもいいかなって思ってしまう。だって周助くんは、いつも私のことを温かく包んでくれてるのがわかるから。 「なにか用事だった?」 「うん?いや、そういうことじゃないんだけど・・を見つけたから」 ねぇ、前髪切ったね?似合ってるよ。そう言って周助くんはいつも浮かべている笑顔よりも優しい顔で、昨日少しだけ切った私の前髪に触れた。そんな周助くんに、私はやっぱりドキドキする。どうしていいかわからなくて思わず視線を泳がせたら、にやにや笑ってこっちを見ている友達たちが目に入った(うわ、わわわ!)。恥ずかしさも加わって私は余計に たぶん真っ赤になってしまって、周助くんは声を漏らして笑う(周助くんだって、見られてるの わかってるくせに!)。 「もう、笑わないでよ・・」 「ごめんごめん。が可愛いから、つい」 抱きしめたいけど、は恥ずかしがりやだからね。って、周助くんは私の頭をなでる。そうやって撫でられるのは子ども扱いみたいで少し嫌だけど、それ以上に周助くんの手の優しさに、私は文句を言う気持ちも失せてしまう。 こうやって周助くんの優しさに触れるたびに、この人が好きでよかったな って、この人が私を好きになってくれて幸せだな って、私は実感するんだよ。そう言いたいけど、言ったら周助くんはきっと私のことを抱きしめてくれるから、放課後までとっておくね。こうやってあなたを思う気持ちが、きっと消えないこの気持ちが、あなたに届くことを願って。 |
Happy Birthday 郁琉ちゃん! 今年も遅れちゃってごめんなさい! タイトルを見て、これこそ郁琉ちゃんに!と思ったんだけど、よくわからない文になっちゃってごめんなさい; なんとなく一番タイトルにあってそうな青学メンバー・不二くんにしました。 この1年が、郁琉ちゃんにとって素敵なものになりますように!これからもどうぞよろしくおねがいします★ < Title → as far as I know > |