三信遠の湯立神楽        花祭り

 花祭りは鎌倉時代に修験者によってこの地に伝えられ、山村の民俗が融合して湯立神楽の形となり今日まで伝承されてきた。花は稲の花の意で、その成熟を育むもと言われる。祭りは東栄町11ヶ所、豊根村5ヶ所、津具村1ヶ所で行われ国重要無形民俗文化財に指定され、他に静岡県佐久間町に花の舞の名称で3ヶ所行われている。
 祭りの形式は大きく分け大入系と振草系の二つがあり微妙に相違しているし、地区毎の相違もある。進行は神迎え、湯立て、村人の舞、クライマックスの鬼の舞、禰宜、巫女、翁などの舞、神返しと続き、多くの集落は一昼夜をかけて行う。月の祭り次第を例にすると 1.滝祓い 2.高根祭り 3.辻固め 4.神入れ 5.きりめのおうじ 6.ひいなおろし 7.湯立て 8.ぞうげむかい 9.さるごばやし 10.とうごばやし 11.しきばやし 12.みかぐら 13.桴の舞 14.市の舞 15.地固めの舞 16.花の舞 17.山割鬼 18.三つ舞 19.榊鬼 20.おつりひらや 21.ひのねぎ 22.四つ舞 23.翁 24.湯ばやし 25.茂吉鬼 26.獅子 27.いいなおろし 28.花そだて 29.宮渡り 30.五穀祭り 31.竜王しずめの舞 32.荒神休め 33.げどうがり となっている。(注・以下の写真の順は祭りの順とは異なり同質の舞をグループ化してある)

神迎え  花祭りには多くの神事がある。滝に赴き滝神を祭り「お水」を迎える。この「お水」を花宿に持ち帰り神部屋に祭り、釜に注ぎ湯立ての儀式が行われる。高根祭りは花宿の近くを祭場とし、幣をたて供物を献じ天や山よりの諸霊を祭り、悪魔をここで防ぐ。
滝祓い 高根祭り 湯立て
中在家

 


 
 古戸

村人の舞  神迎えの神事が済むといよいよ村人の舞になる。村人の舞は一人舞いから2〜4人の舞があり、舞人も幼児から年配者まで様々な人が参加する。

中設楽

東薗目

津具

河合

上黒川

下粟代

花の舞  村人の舞において幼児の舞は花の舞といい、花祭りへの初参加の舞台になる。
河内
中設楽

東薗目

布川

足込

間黒

下黒川

小林

中在家

鬼の舞 
 花祭りの象徴である鬼の舞は、山見鬼、榊鬼、茂吉(朝)鬼とあり、間々に神々の舞、村人の舞を挟んで順次登場する。それぞれの鬼は、子鬼を従え、手に鉞を持ちかまどの周りを舞い、反閇を踏み、悪霊を祓い清め、村の繁栄と五穀豊穣を祈願する。(なお、明治の廃仏稀釈により一部の地域では祭りの内容が神道化され、鬼の名前も須佐之男命、大国主命、猿田彦命と呼び神式の衣装をまとう。)

山見鬼 最初に登場する役鬼で「山を割り、生まれ清まり」の儀式を行うことから山割鬼ともいう

上黒川

下黒川

小林

中在家

足込
中設楽

河内

榊鬼 最重要視される鬼で反閇(へんばい)を踏み五穀豊穣、疾病平癒を祈願する。

津具

上黒川

下黒川

 河合

東薗目
中設楽
河内
中在家
足込
間黒

朝鬼 茂吉鬼ともいい役鬼の最後に登場し、槌を持ち天井から吊るされた蜂の巣を払う。

下黒川

上黒川

古戸

足込

中在家


下粟代
中設楽

小林

湯ばやし 若者四人の舞で両手に藁で作った「湯たぶさ」を持つ。煮えたぎった熱湯を「湯たぶさ」で振り掛けると舞庭は騒然となる。

足込
小林
東薗目 御園

神々の舞 ひのねぎ、しおふき、みそ小僧、巫女、翁など様々な神が村人の祝福に訪れる。

津具

上黒川


河内
足込
河合

古戸

中設楽

小林

神送り 舞が終わると順次神返しの神事が行われる。鎮めは三鬼以上に重要な鬼(神)で、神々の心も鎮まりそれぞれのみくらへ帰り、村の暮らしも平常にもどる。

ひいなおろし・足込

五穀祭り・月

湯立て・小林
鎮め

下黒川

御薗

足込


白山祭り 花祭りの起源といわれ、祭りの行われる古戸白山神社の御神体の「お珠」を抱きながら舞う「お珠の舞」が奉納され、この舞が奉納され始めて各地で花祭りが開催できたといわれていた。
   

一覧表