棚田紀行 〜棚田百選撮影旅日記〜
*本文中の下線をクリックすると写真が表示されます。ただし、必ずしも当日の写真とは限りません。
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はじめに
 2月 愛知県鳳来町 静岡県戸田村・天城湯ヶ島町・引佐町・天竜市
 3月 福井県越前町 石川県津幡町・富来町・輪島市 新潟県高柳町 長野県飯山市・中条村・信州新町・大岡村・飯田市
 4月 岐阜県八百津町・恵那市・白鳥町 長野県白馬村
 5月 三重県紀和町・飯南町・亀山市 和歌山県清水町 愛知県設楽町 兵庫県加美町 京都府大江町・丹後町 福井県高浜町 滋賀県高島町
 6月 大阪府千早赤坂村 奈良県明日香村
 7月 長野県小諸市・上田市・東部町・更埴市 広島県筒賀村 島根県柿木村・益田市・三隅町・旭町・羽須美村・横田町・大東町 岡山県旭町・中央町・久米南町 兵庫県佐用町 大阪府能勢町
 8月 長野県飯田市愛知県鳳来町・設楽町
 9月 福岡県浮羽町・星野村・甘木市・宝珠山村 佐賀県小城町 大分県山国町・玖珠町・院内町・緒方町・別府市・挟間町 熊本県菊鹿町・産山村
10月 山形県山辺町・朝日町・大蔵村
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 2月 岐阜県久々野町・上宝村
 3月 愛知県鳳来町 
 4月 佐賀県富士町・相知町・玄海町
 5月 佐賀県肥前町・西有田町 長崎県福島町・南有馬町・千々和町・外海町 山口県油谷町 鳥取県若桜町・岩美町 兵庫県美方町・村岡町 新潟県松之山町・安塚町・大島村・高柳町・下田村 長野県八坂村 富山県氷見市・八尾町
 6月 静岡県引佐町
 7月 宮崎県日南市・えびの市・西米良村・日之影町・高千穂町・五ヶ瀬町 鹿児島県頴娃町・入来町・栗野町 熊本県矢部町・東陽村・坂本村・球磨村・水俣市・龍ヶ岳町・産山村 長崎県川棚町・波佐見町 愛媛県松野町・城川町・五十崎町 高知県梼原町
 8月 愛知県鳳来町 
 9月 宮城県丸森町・栗駒町 岩手県大東町 栃木県茂木町・烏山町 千葉県鴨川市 徳島県上勝町・井川町 香川県池田町
百選巡りを終えて
はじめに

 カメラを手にしてはや40年近く。コンテストに一喜一憂した時代から民俗芸能の宝庫ともいわれる三河、信濃、遠州を中心とした民俗芸能の撮影に傾斜した。民俗芸能の中でも農に関する「田遊び」(注1)のジャンルを中心に撮影を続けてきた。

 民俗芸能の撮影の道すがら、実際の農地にも眼を向け、特に写欲をそそる棚田に興味を持ってから何年過ぎただろうか。その間、棚田サミットの開催、農水省の棚田百選の選定等もあり、目に付いた新聞記事はスクラップし、いつか本格的に取り組もうと思いつつ年月は過ぎ去った。そんな日々のなか、ふとしたきっかけで一念発起し、おおげさに言えば棚田撮影を人生最後のライフワークにしようと決心した。

 しかし、考えただけで気が遠くなる作業だ。小規模な棚田は撮影を続けてきたものの棚田百選の選定地はほんの数ヶ所だけ。棚田百選といえども134ヶ所もあるそうだ。何でこんなにたくさんある。九州には47ヶ所もある。(注2)一周するだけでも大変だ。田植の時期も稲刈も、雪国は冬も・・。外国も見てみたい。世界文化遺産のフィリピンのバナウェ、中国の雲南、バリ島のウブドゥも行きたい。

 まとめて休めないので一気に行動できない。毎年少しずつこなしていくしかない。あまり欲張ると最後まで成し遂げることができるかどうかわからないが、とにかく始めることにした。気力、体力、金力が続く限り。あせらず(少しあせり)無理せず(少し無理して)の〜んびりと。また、民俗芸能の撮影も続けながら。棚田も民俗芸能も将来への伝承に多くの懸念がある。自分の行為は何の役にも立たないかもしれないが、それでも少しでもという思いを込めて。

 そんな思いから百選巡りを始めたものの、選定地を見つけるのに大変な所も多かった。地元の愛知県ですら場所を間違えたりする始末。写真集やインターネットを参考にすれば大分楽なことを発見(?)し、今では重宝している。先輩方々の苦労には本当に頭がさがる。


(注1) 田遊び、御田植祭、田楽を初め各地において多くの呼び名があるが、神社仏閣において稲作の所作を演じ、最後に豊作の様が現実となるよう祈念する予祝芸能。実際の水田で田植えを行う御田植祭もあるが、民俗学的には区分されている。

(注2) 棚田の選定地は九州が大変多い。そこで気が付いたのは、田遊びも九州に多く伝承されていること。稲作文化と関係があるのだろうか。

平成14年2月12日(火) 晴れ

  今日から三日間の予定で東京に行き板橋区下赤塚の田遊びの撮影後、栃木県の棚田にでかけるつもりでいた。しかし、昨夜久しぶりに訪れた設楽町田峯田楽の最中に雪になった。この近くには長江と鳳来町の四谷が百選に選定されている。これらの棚田は過去何度も撮影しているが雪の写真は一枚もない。この地方雪は時々降るものの天候が回復すれば解けてしまい根雪にはならない。新たなスタートの第一歩、地元から開始することにした。

 天候は回復し絶好の撮影日和。雪景色を初めて撮影でき満足満足。

  (後日気がついたが、長江の棚田は場所を間違えていたらしい。20年以上だろうか、奥三河にも双体像道祖神があり偶然見つけた棚田は選定地ではなく、もっと奥の方が選定地らしい。近くだからまた行けばいいが雪景色はいつ撮影できるかなあ・・・・・。地元同様なのにドジ。小松にあるこの棚田を長江の棚田と思い込んでいた。でも、この棚田もなかなか風情がある。全国には選定地以外にも絵になる棚田はたくさんあるようだし、選定地にもなぜ選定されたか疑問があるところもあるようだ。農水省の選定も市町村の推薦に基づいているとのこと。推薦する市町村の温度差もあるのだろうか)

平成14年2月14日(木) 晴れ

  昨夜は東京板橋区下赤坂の田遊びを撮影後、栃木は中止し伊豆へ向かった。東名の足柄SAで車中泊。未明に雪が降りSA付近もうっすらと雪化粧のなか、まずは戸田村に向かう。沼津ICからしばらく西海岸を走りやがて山道になり戸田村に入る。戸田港に観光案内所があったので北山の棚田の場所を教えてもらうが、どうも今走ってきた道沿いのようだ。引き返すこと数キロ、やはり見落としてきた。県道18号線のカーブの内側に棚田が広がっている。端には藁葺屋根の水車小屋が新たに建てられ、棚田百選の看板もある。暖かい伊豆はもう春の気配が漂い、一枚の田には菜の花が満開だ。

  県道18号線をさらに引き返し、天城湯ヶ島町に向かう。今日は平日なので町役場を訪ね観光マップをもらい場所を教えてもらう。戸田村でもそうだったが観光マップに棚田の案内はない。当地には観光地が沢山あるからだろう。天城湯ヶ島町には二ヶ所あるが、まず荒原に向かう。国道414号線を旅館落合楼の所で右に入るのだが、ここから先が不安。でも、道なりに進むと左手にやっと見えてきた。役場で聞いた時はもっと近いと思ったが気のせいか。
  戸田村はもう春だったが、ここは伊豆山中。日陰には昨夜の雪が残っている。畦の枯れ草が早くも傾きかけた太陽の逆光に映え、美しい冬の棚田をかもし出していた。

 再び国道に出、更に役場方向に引き返し下の段に向かう。教えられた所のつもりで右折したのだが、しばらく行くと工事中で通れず迂回路を走る。しかし略図的の観光マップでは方向が全くわからなくなってしまった。農作業をしている人に棚田のことを聞くが知らないとのこと。やむなく観光マップを見せて訪ねれば右折箇所を間違えたようだ。親切に教えてもらいやっと軌道修正。
 ここは手作りの案内板がありやっと到着できた。道路の右手に広がるこの棚田は1枚の面積が広く、既に3時近いこの時間、太陽は順光で撮影しずらいが畦にある満開の梅が見事だ。この時期は棚田も工事が盛んで、ここも何やら工事をしている。

平成14年2月24日(日) 晴れ

 今日は引佐町と天竜市に出かける。ここは昔から祭りの撮影で頻繁に通った所だが、百選の棚田は多分見たことがない。正月には引佐町の寺野川名という集落にひよんどりという祭りがあり、天竜市には懐山におこないという祭りがある。これらは、いずれも新年にあたり豊作を祈念する田遊びという民俗芸能である。奥三河の設楽町、鳳来町、遠州の引佐町や天竜市等の天竜川中流域は全国的に民俗芸能の宝庫といわれている。偶然だが百選選定の4市町には貴重な芸能が伝承されている。

 近くだし、冬だし、ロケハンのつもりもあり、出発したのが遅かったので、県道299号線から分岐し目指す引佐町の久留女木小学校に着いたのはもう11時頃だった。久留女木の棚田は小学校のすぐ近く。農作業をしている人もいないので細い農道に入ったら行き止まり。Uターンしようにも狭く自分の小型の車でも何度も切り返しやっと向きを変えることができた。ここは軽トラ専用のUターンゾーンだ。ベンツならバックのみ。農道の入り口に車を止め撮影開始。田んぼの周りが電線で囲われている。猪よけだろうかそれともカメラマンよけだろうか?。この時間トップライト、ここは午前中がよさそうだ。棚田の上部に梅の木。望遠で切り取り撮影を切り上げ天竜市に向かう。ひとつカーブすると左に入る道があった。この道を行けば棚田の上部に行けるだろうと思いまた車を進入させたがゲートがあり閉まっていた。さらに、ここも電線で囲われている。でも、かいくぐることができるので徒歩で入ってみる。道は広くほんの少し歩けば棚田を見下ろせる場所にでる。先ほど写した梅ノ木を今度は横から撮影すれどあまり代わり映えしない。

  大栗安に向かう途中時々見覚えのある風景が目に入る。小さな棚田に梅が咲いている。ここも以前写した記憶がある。やがて県道9号線沿いに大栗安入口の案内板を見つけ進入し、さらに進入するとまた案内板があり、下は檜曽礼の棚田、上は本村の棚田。(後で市役所に確認したら二つ併せて選定地といわれた)とりあえず檜曽礼に行く。しばらく進むと両側に棚田が現れた。右は急斜面に小さな棚田。左は道路の下に比較的大きな棚田で農婦が田を起こしていた。農婦を点景に撮影していたら、木材を担いでいた人が急斜面の棚田の奥から、ここから写すと一番いいよ、テレビもよく撮影していくと声をかけられた。距離は短いが急なので登るのが少し苦痛だったが(少し体を鍛えないと)確かに良いポイントだ。

 檜曽礼の撮影後本村に向かう。こちらは日当たりが良く広々としている。ビューポイントを探してうろうろしていると、下の方に良い所があると声をかけられた。檜曽礼のことかと聞き返したら、下を指し、あっちの方だよ、少し戻った所に降りる道があると教えてくれた。確かに絵になる。ここの人はみんな親切だし絵心がある。ただし、ここも順光。この時期順光はいまいち。いずれ改めて出直ししよう。

ページトッフ

平成14年3月9日(土) 晴れ

  週末は天気が良さそうなので北陸を目指し昨夜出発した。9日から11日まで三日間、とりあえず福井県の越前町、石川県の津幡町、富来町を経て輪島まで。後は富山県から岐阜県か長野県に。現地の情報は何もなし。いつもと同じ無計画の旅。週末コースならこんな風に気ままに動く。結果的に後悔することもあるけれど。

  北陸自動車道の敦賀ICから国道8号線、305号線を経て越前町に到着したのは午前11時頃。少しゆっくりしすぎたが梨子ヶ平にはわりと簡単に到着。ここは水仙栽培に切り替わり、稲はほとんど作付けされていない。だから冬が一番の撮影シーズンだ。今年は暖冬なので水仙はもう遅いと思っていたがけっこう咲いている。今日は穏やかな日で日本海が美しい。
 棚田は天然のダムの役割もあると言われるが、水仙栽培では水はあまり使わないと思うが。景観はなかなかの所だが、棚田百選には少なからず疑問。(でも、マアいいか)段々畑百選もやらなければ。いまでも焼畑は伝承されているのだろうか?。

  越前町を切り上げ石川県の津幡町に。国道8号線、県道286号線経由で昼過ぎに到着。奥山田の棚田は役場のホームページの案内図を持参したこともありスムーズに。現地には立派な案内板があり駐車場や展望ゾーンも設置されている。確かに選定地に間違いはない。これなら安心して撮影できる。

  国道249号線で能登半島の富来町大笹波の棚田に。国道の案内板に従い県道49号線を能登金剛のヤセの断崖を目指せば棚田百選の看板、駐車場、展望台に自然に到着できる。今は何の変哲もない風景だ。数カットで切り上げる。

 以前、あえのことの撮影で隣の柳田村に来たことがあるが輪島の白米の千枚田は初めてだ。 輪島に到着した頃は日も傾き雲も多くなってきた。このところ気温は平年より高く、あまり寒さは感じないが日本海からの強風は凄い。でも、さすがは輪島。今年に入っての棚田巡りで初めてカメラマンに遭遇した。それも2組。田植や稲刈りの時期はカメラマンの多い所が沢山あるらしいが冬はすくないだろう。みんな海に沈む夕日を期待したが残念ながら雲が多すぎた。 今日のコースは予定どおり消化したが、思っていた以上に雪が少なく、残雪があったのは津幡町だけで輪島にはかけらもない。出発時の予定では、この後岐阜県か長野県のつもりだったが急遽変更し新潟県に向かうことにする。

平成14年3月10日(日) 晴れ


 北陸自動車道の米山ICで仮眠し、柿崎ICから高柳町を目指す。今年は雪が少ないのか、除雪作業が徹底しているのか、主要道路は問題なく走行できた。カーナビにはある程度の選定地をメモしてあり、とりあえず磯ノ辺集落の梨ノ木田に行く。県道78号線をしばらく進むと曲がりくねった山道になる。棚田のある場所にはこんな所も多いし、祭りの撮影でも幾度となくこのような道を走ったが、行けども行けども山ばかり。こんな所に棚田があるのかと不安になる。自分のカーナビいは大字程度しか検索できない。(新しいのにカーナビとはこんなものか)だから広い大字だと、とんでもない場所が目的地になってしまうことも多い。本当にこの道でいいのかと思いつつも、もうやけくそで進むと突然民家が現れた。誰か人はいないかと更に車を進めたら、集落の端だろうか、除雪は終わりで行き止まり。目の前は高さ3〜4mの雪の壁。仕方ないのでUターンし車を降り下界(こんなに高いと下は本当に下界だ)を撮影しているとお婆さんから声をかけられた、棚田はこの先にあるとのこと。5月は芝桜が綺麗だから是非その頃いらっしゃいと。

  下に降りカーナビで他の棚田を探す。大開が近そうなのでここを目的地とする。県道12号線沿いに棚田があった。果たしてこれが選定地なのか不明だがとにかく撮影。近くの人に尋ねると選定地というが、この人はあまり百選に興味がなさそうだ。一抹の不安があるが撮影を切り上げ、近くの茅葺集落に立ち寄る。
(高柳町の選定地は稲架けはどこもない。大開には沢山杭があるが全く使われてなく残念。15年10月11日)

  高柳町にはもう一ヶ所選定されているが方向的に見て省略し松之山町に向かったのだが、ここも棚田まで除雪されてなく引き返す。新潟県まできたのに残念だが無鉄砲な旅だから仕方ない。まだ昼前なので長野県に向かうことに。

  国道117号線で飯山市の福島新田に。カーナビ便りに目的地に到着したが、ここはかなりの町の中だった。犬の散歩中の人に尋ねればやはりかなりの方向違い。教えられた道順はわかりやすく、簡単に集落に到着すれど周りの田んぼは全部棚田。なんとなくいやな予感がするので人を見つけ確認すると、やはり選定地は集落の一番奥にあるという。突き当たりには石仏があり、そこから上部に棚田が広がっている。農道は雪が積もりその上を歩くと足がめり込む。そんな中を少し上がって石積みと雪の縞模様を撮影。雪が解けた畦には福寿草が可憐に咲いている。

  福島新田の撮影後、地図を広げ次の行動を考える。まだ時間はあるので、比較的狭い村ながら三ヶ所も選定地がある中条村に。

  長野市から国道19号線を経由し、県道31号線の日高トンネルを出てすぐ右折して山間部に向かう。途中観光案内の看板があり、棚田のイラストもある。日も傾いてきたが残雪の棚田に到着した。なんという棚田かわからないが結構風情がある。当然選定地と思い、確認は後としなにはともあれ撮影した。(選定地ではなく梅木棚田であった)
 沢沿いに上ってきた道に対し山の中腹を横断するように県道401号線が走る。カーナビでは一応三ヶ所検索できている。ここはあてにできそうもないが、とりあえず検索した目的地の一つに向かう。県道401号線を走ると棚田が見えてきた。もう少し進むとまた棚田が。ここは全部棚田だ。三ヶ所の選定地は識別可能か不安になってくる。目に入った棚田を撮影しながらどのくらい行っただろうか、広々とした集落に出た。水車小屋がある。大きめの区画整理された棚田もある。もう日も陰り雨がポツリポツリとしてきた。ここでも犬の散歩中の人に出会い棚田の話をすると、ここは選定地の一つ栃倉棚田だという。やっと一つ確認できとにかく撮影。

  もう5時過ぎだ。雨になるし。町に降りゆっくりと明日の行動を考えよう。

平成14年3月11日(月) 晴れ
昨夜は長野市まで戻り夕食をとり車を走らせていたらスーパー銭湯が目に入った。一風呂浴びテレビの天気予報を待つ。予報では明日は晴れそうだ。雨ならもう帰宅しようかとも考えていたが、中条村に後ろ髪をひかれるのでもう一日留まることにし、中条村の道の駅で車中泊。

  5時半頃目が覚めまだ暗い中を山間部に向かう。しばらく上がると周りが白っぽい。上の方は雪だったようだ。道路は積もってないが田畑はうっすら新雪に覆われている。やがてすっかり夜が明けると、稜線の木々は真っ白になっている。あちこちに見られる棚田は太陽に照らされ発生した蒸気に包まれる。その蒸気が沢沿いに昇って来る。いつか写真でみた雲南のようだ。もうこの際選定地だろうがなかろうがどうでもいい。感動しシャッターを切り続ける。

  昨日は条件が悪かったので再度栃倉の棚田を撮影し、引き続き他の棚田を探すがわからない。7時になるけど村の人もまだ見当たらない。今日は月曜日なので役場で確認しようとまた下がることにした。コンビニで朝食を求め役場に向かう。まだ勤務時間前だがロビーに色々なパンフレットがおいてある。その中に観光マップがあり棚田も載っている。選定地以外の棚田を含め5ヶ所ある。名称も記載されている。これなら大丈夫と思いまた上を目指す。

  観光マップを頼りに田沢沖に着くことができた。確かにここも昨日写した記憶があるが、条件は大分違うので再度撮影する。撮影中民家から女の人が出てきたので確認する。間違いがない。撮影が済んだらお茶でも飲んで行きなさいと親切に誘われたが先を急ぐので丁重にお断りした。

  さあ、最後は大西の棚田だ。でもこれがわからない。観光マップを頼りに進むのだが、イラストの場所をすぐ通過してしまう。狭い脇道に進入してみるがどうしても見当たらない。携帯で役場に電話すれど、電波状態が悪くつながれどもうまく話しができない。そんなこんなで山の中をかなりの時間うろうろしていたが、やっとのことで人を見つけ訪ねる。観光マップを取り出し照会すると、この地図には棚田に降りる道が書いてないといい、わざわざ自分で地図を書いてくださった。その地図を頼りに目指せば、昨日から何度も通過した場所に下に行く狭い道がある。その道に進入するとほんの100mくらいで棚田が見えた。こんな所に隠れていたのか。これでやっと三ヶ所確認できた。昨日からかなりの時間中条村にいたものだ。
(現在は進入路への案内板があます。棚田にも看板があり間違うことはありません。中条村の選定地には3箇所とも看板があります。16年9月25日)

 今度は慶師沖へ。今来た道を引き返し役場を通り過ぎ原田沖へと同じ位走る。ここも県道12号線沿いにある。途中には信州新町と同様アルプス展望台が設置されている。この棚田は区画整理され矩形の田んぼだ。他と同様アルプスが綺麗だが、ここは田んぼにもまだ雪が積もっている。

 再び役場方面に引き返す。根越沖は役場を過ぎるとすぐ右折する。見落としやすいとのことで、役場の担当者から親切に教えてもらってあったのでスムーズに。この道を走れば根越沖から国道19号線にでれる。山間部の道で途中不安もあったが棚田に到着。大岡村の中では一番面積が広そうだ。道路に沿って田んぼが広がっている。反対側にも農道がある。反対側の農道からは逆光なのでそちらへ入ってみる。田に残った雪解水が太陽の反射を受け輝いている。

 今日は良い写真も撮れた。七ヶ所も廻ったし。八坂村に寄ろうとも思ったが帰路に。

平成14年3月24日(日) 晴れ

今年は桜の開花が異常に早い。東京では春分の日にもう満開。当地ももう咲き出しているが写真には少し早い。
  今日は昼過ぎに家を出て、2月に間違えた設楽町の長江の棚田に。役場に確認済みで道に迷うこたはなかったが人を見つけ再確認。あるホームページに掲載されている長江の棚田の写真は、どうも自分も間違えた小松の棚田のようだ。ここは特定が本当に難しい。ちなみに、小松の棚田の最上部にある建物は長江老人憩いの家という。
  棚田の一部は土地改良が施工済みで、大きな矩形の田んぼが数枚。そして昔ながらの田んぼと茶畑が混在している。写真的には小松の方が絵になる。他の地方でも多々あるが改めて選定の基準になんとなく・・・・・。

平成14年3月30日(土) 晴れ

  飯田市内の桜も見頃らしい。飯田市内には樹齢750年といわれる愛宕神社の清秀桜を始め、樹齢3〜400年の古木が10数本ある。早朝から10ヶ所撮影し、帰路によこね田んぼの棚田に。カーナビの設定どおり走っていたら、市内から30ぐらいだろうか、突然棚田が現れた。百選選定の看板もある。県道83号線の左側(飯田市内から)には新しい建物が2棟ある。トイレや休憩所のようだ。西日は大分傾いたがビューポイントはやはり看板の当りだろう。

ページトッフ

平成14年4月6日(土) 晴れのち曇り

 今日はいろいろ迷ったが岐阜市の中将姫誓願桜をメインに岐阜県東濃地方の八百津町と恵那市の棚田に決定。今年は異常気象で桜の開花が大変早いが、異常気象の影響だろうか、各地で山火事が多い。中将姫誓願桜のある願成寺の東側の山も、昨日の午後に発火した山火事の現場で、いまだあちこちから煙が立ち昇っており数機のヘリコプターが消化活動をしている。昨日は強風でかなり広範囲に飛び火し、住民に非難勧告がでた地区はあったりして大変な騒ぎだったようだ。現在はこの辺りが一番燃えているらしい。でも昼間でもあり炎は見えない。そのうち鎮火しそうな様子だ。

 桜の撮影を終え八百津町の上代田の棚田に向かう。途中国道418号線で左折のところを直進してしまい引き返したりしたが、北山集落に着けば棚田の確認は比較的簡単だ。棚田の中央に舗装された新しい農道が横切っていて写真的には・・・・だが、農家にとっては良いことだ。農道の斜面には芝桜が植えられかれこれ五分咲きか。道路沿いのソメイヨシノも満開だ。

 恵那市坂折の棚田は、以前なんじゃもんじゃの撮影がてら立ち寄ったことのある場所だった。県道402号線のが棚田を横断している。県道の上の方は道は狭く小さな田が多いが良いポイントが見当たらない。下部は一枚は大き目ながら、全体が見渡せたり横からも撮影でき絵にしやすい。


 午後は雲が広がってきた。恵那から上矢作町の新田の桜、串原村のひよもの桜、稲武町の瑞龍寺の枝垂桜を写しどんぐりの湯に浸かって帰宅。

平成14年4月20日(土) 晴れのち曇り

  今回の予定は長野県信濃町の原の閑貞桜、牟礼村の袖之山枝垂桜地蔵久保の大山桜、長野市素桜神社の神代桜。後は白馬村に行き貞鱗寺の枝垂桜。棚田は白馬村の青鬼と八坂村の重太郎棚田。
  しかし、白馬村に向かう途中食事のため立ち寄った小川村で観光パンフを入手。2ヶ所の桜(立屋の桜、お流れ桜)を予定外で撮影し、その後白馬村に。貞鱗寺の枝垂桜は満開であろうが花着きが悪い。樹勢が衰えているのだろうか。

  青鬼の棚田へは道の駅で場所を確認する。観光パンフにも載っていて迷わず到着出来た。途中小川村で道草したりしたので、午後も大分過ぎ雲も多くなってきた。白馬三山も見えるがガスっていていまいち。条件がよければピンク色に染まったアルプスと棚田。こんな写真が撮れそうだ。
  農作業している人もいる。通りかかった人に田植の時期を尋ねたら5月中旬以降とのこと。各家毎に都合のいい日に行うからあまり一定していないとのこと。殆どの人が自家消費だから、米作りはあまり熱心ではない。でも熱心ではないから米はおいしい?・・・・。なぜかというと、熱心でないから収穫量が少ない。収穫量が少ないから株の根元まで日が当たる。だからおいしい米になる。リンゴもそうらしい。売り物は消毒は勿論肥料も沢山与えて見栄はよいが、熱心でない人は何事もそこそこ。そこそこの方が見栄は悪いが味はいい。(う〜ん)

  今日も八坂村の重太郎は中止。3月も時間がなくなって止めた。次はここを一番にしないと、いつまでたっても残りそうだ。飯森の白馬かたくり温泉十郎の湯で一服し帰路に着く。

平成14年4月27日(土) 晴れ

  今年の桜の撮影は終了のつもりだったが、荘川桜が見頃らしいので出かけ、帰りに白鳥町に。白鳥町には長滝の延年や白鳥踊りの撮影で何回か足を運んだが棚田は知らなかった。正ヶ洞の棚田は白山信仰登拝の古道沿いにあるとのことだが、県道314号線からの入り口がわからなく、何度も行き来した挙句にやっと古道への入り口を見つけた。進入してすぐに棚田があるがもうすこし車を進める。道路は極端に狭くなりカーナビを一番拡大すると画面は真っ白。沢沿いに棚田があり2〜3人農作業していた人もいたので確認。やはり間違いはない。Uターンする場所も少ないが、何度もハンドルを切り返し向きを変え、帰路を確保して撮影開始。この時期田んぼは寂しい。まだ水も張られていない。田植は5月中旬以降らしい。

  美人の湯という名称にひかれ温泉浴。施設は新しく綺麗だ。湯はぬめり気があり女の人は本当に美人になりそう。

ページトッフ

平成14年5月5日(日) 晴れ

  昨夜家を出て、早朝丸山千枚田に到着。国道311号線の風伝トンネルを抜けるとすぐ右折し県道40号線に。案内板もあり迷うことはない。事前に役場に確認済みだが田植は殆ど済んでいる。オーナーを招いての田植は5月19日予定されているそうだが、終わってないのはオーナーの借入地なのだろうか。東屋から見渡すと一番下に千枚田荘が見える。来るときは真っ暗で気が付かなかったが、県道40号線から棚田全体が見渡せるようで、先ほどまでここで撮影していたカメラマンが数人見える。帰りに寄ってみたがガードレール沿いに木々のない所があり、天然?の展望地となっている。ここからのカットが丸山千枚田の定番。観光の売り物になっている棚田はある程度のスケールがあり、かつ、全体を見渡せる地形となっている。ここはまさしくこの条件にあてはまり、町をあげて棚田保存に力を入れているようだ。

  帰りは飯南町と亀山市を予定していたが、思い切って和歌山県清水町のあらぎ島に変更した。清水町には、2ヶ所に御田と呼ぶ田遊びがあり訪れたことがあるが、奈良県方面からの南下のルートで、北上したことは無い。国道168,425号線経由だがほとんどの行程が狭い山道で、対向車とすれ違うのも困難。こんな状態で3時間かかって龍神温泉までとどりつき、しばらく進むと土砂崩れとかで通行止め。迂回路なし。しかたなく425号線まで引き返し424号線にて金屋町から清水町に行く。棚田は国道480号線の下に見え、ガードレールの外側に撮影のためのテラスが設置されている。少し離れた所には駐車場も用意されている。道路は交通量も多いようで、また棚田と同様円弧状のカーブになっていて危険だかだろう。ここもこの場所からの撮影が定番で、帆立貝風の棚田の周りを有田川が流れる有様はなんともいえない風情で、つくずく自然の造形に感心させられる。

 もう午後3時を過ぎたが大阪の千早赤坂村に向かうことにした。ゴールデンウイークだから渋滞の心配もあるが高速を使う。やはり所々渋滞したが千早赤坂村には6時半頃到着。棚田を探しているうちに撮影できないほど暗くなってしまった。近くに消防署があり職員が詰めていたので、後日のため棚田の確認をして(田植は5月下旬から6月)明日香村に向かう。明日香村は棚田の近くに来たようだが夜なので人もいず、水もないので(水が張ってあれば朝までここで過ごそうと思ったが)ここも後日の楽しみとし、天理市から名阪国道に入り、高峰SA泊。

平成14年5月6日(月) 晴れ

 今日は飯南町と亀山市とする。飯南町深野の棚田は国道166号線に進入路の案内があり簡単に到着できた。ここは住居と田が混在しており、屋敷も田も法面はみんな石積みである。集落内の道は狭く百選選定後来訪者が多くなったからなのか、集落の入り口から駐車場への案内板があり、自動的に駐車場へ誘導される。しかし、駐車場の上にお寺があり、本来はお寺の駐車場ではなかろうか。お寺の駐車場をあえて来訪者の駐車場と銘打っているようだ。道は生活道路でもあり農道でもあることから、来訪者が集落内を車で移動することは勿論歓迎されないということだろう。
 ところで、石積みは極めて美しいのだが建物もあちこちに点在し、すっきりした写真を撮るには部分的に切り取らざるを得ない。しかし、現実は現実で、本来、写真は現実を表現すべきかも知れない。電線もガードレールもコンクリートも現実にあるのだから。写真における「現実と表現」。悩ましい問題である。

 松坂から亀山まで高速道路を利用し坂本の棚田に向かう。カーナビで比較的近い場所まで来ることができ、迷わず棚田に。ここは傾斜が緩やかだ。田植は殆ど済んでいる。道路の左側に棚田が広がっているが電線、電柱が邪魔だ。上部の棚田は電線や網で囲われている。ちょうど網を張っている人がいたので尋ねると、鹿が早苗を食べるとのこと。生活道路沿いは危ないので網にしてあるとのことだ。

平成14年5月12日(日) 晴れ


  今年に入って百選巡りを始めたが、まだ満足できる写真は少ない。ただ選定地を廻ればいいというものではなく、いい写真を撮りたい。やはり、田んぼの写真は水が張られてから稲刈りまでが旬だろう。そんな思いもあり今日は地元を再訪した。

  鳳来町四谷の棚田は田植の最中だった。昔はゴールデンウイークには殆ど終わっていたような記憶があるが、最近遅くなったのだろうか。2月に訪れたとき工事をしていたが、棚田の真ん中が立派な農道になった。ここは休日は相変わらずカメラマンが多い。


  設楽町長江の棚田の田植は全部終わっていた。ここはいつも静かで現地の人も見当たらない。民家はあるのだが。
  写真は難しい。石積みが美しいので、稲が成長したら正面から写せば石と稲の水平模様が綺麗かもしれない。

平成14年5月22日(水) 曇り

  4月に桜の撮影がてら訪れた飯田、恵那、八百津に。今年の5月は天候が悪く、すっきりとした五月晴れの日がほとんどない。天気予報では今日は晴れが期待できたのに、予報は外れて曇りがち。

  6時頃飯田市のよこね田んぼに着く。太陽は東側の山林に遮られ、まだ棚田には日が当たらない。車を止めて周辺の散策。水の見回りに来た人としばしの話となる。保存会の会員のようで棚田サミットや三重県紀和町へ視察に行った話しがでた。


  恵那市の坂折は耕作放棄地が目に付く。上部はほんの数ヶ所が水田で、残りは畑や全くの放棄地になってしまっている。

  八百津町の上代田は田植は全て終わっていた。飯田や恵那は一週間位前に植えたのだろうが、ここはゴールデンウイーク頃が田植時期であったのだろう。浮遊性の水草に覆われた田んぼが数多い。

平成14年5月25日(土) 晴れ

  5月も後半になってやっと天気が安定してきた。

  今日は4時半頃兵庫県加美町の岩座神に着く。途中国道427号線から多田川沿いに入るところを行き過ぎたりしたが、町から頂いた資料のおかげで早く気付いた。ここに来てまず驚いたのは鹿に遭遇したこと。まだ薄暗い中、車を走らせていると、集落の幹線道路というべきであろう道に2頭の鹿。ヘッドライトに照らされているのに逃げようともしないが、車を止めると山の中に逃げ込んだ。ここは鹿の数も多いのだろう。田んぼの周りを全部電線で囲ってある。後で聞いたが、この時期は鹿、秋は猪の食害で大変らしい。藁葺き屋根の家もあり中々の風情なのだが、住居と田が混在し電線、電柱に悩まされる。町の資料には電線、電柱消し去った写真と現実を対比し、今後の課題のような記述がある。費用のかかることだと思うがぜひ実現されたいものだ。

  国道427,429,175、県道9号線経由で京都の大江町に向かう。途中でも鹿に遭遇。棚田への分岐点に案内板がある。毛原の棚田の端にはしゃれたレストラン。その前方には藁葺屋根の民家。最上部には駐車場付きの展望台。町や地元が保全に取り組んでいるようだが、耕作放棄地も目立つ。耕地整理だろうか、工事中の場所もある。今後の復田を期待していいのだろうか。

  丹後町袖志に向かう。日本海沿いの国道178号線を走っていると、海から断崖絶壁の上にテラス状の田が。少し離れた海中からは数個の岩がそびえ立っている。この岩は屏風岩といい観光スポットのようだ。海は青くすばらしい風景だ。日本海の穏やかな日は海が本当に美しい。
  棚田へは案内板を見落とし少しとまどった。上部にJAの農機具修理の建物があり職員がいた。一番眺めの良いポイントを尋ねると、ここらあたりかもう少し上とのこと。扇状に広がる棚田の向こうに日本海。なかなかの眺めだ。


  百選には選定されてないけどカメラマンが多数押し寄せるという井根町新井の棚田に着く。実はここが今回の大失敗で、赤く染まった棚田の写真をよく見かけるのだが、なぜか夕日と思い込んでいた。現地に着いた午後5時過ぎ、太陽の位置が違う。ここは朝日の場所だ。逆周りのコースにすべきだった。でもカメラマンが4〜5人いる。気を取り直してとりあえず撮影。4×5で撮影していたカメラマンと話しになった。岐阜から来たとのこと。雑誌のカラーコピーを持っていて、データは5月12日午前4時半となっている。素晴らしい写真だ。彼は夫婦連れで来ていて下の民宿に泊まるとのこと。明日は日曜日なのでカメラマンも多くなりそうだから、このまま車を置いておき三脚も立てておくとのことだ。道路が狭く駐車スペースや撮影場所の確保が必要なのだ。明日も好天が期待できそうなので大変迷ったが、福井県高浜町の日引の棚田に向かうことにした。途中、井根町の道の駅に立ち寄る。展望台から海岸線に舟屋が並ぶ井根湾が展望できる。舟屋とは、建物が海にまで張り出し建物の中に漁船を繋留できる民家である。

  舞鶴あたりで大分暗くなってきた。今日はサッカーの日本対スウェーデン戦がある。電波状態の良い所に車を止めTV観戦していたが、睡魔に勝てず途中で眠ってしまった。気が付いたらもう10時過ぎだ。再び車を動かしとにかく高浜町の日引に向かう。棚田には順調に到着。満月に照らされた棚田が広がる。水田に月を写し込んだ田毎の月風の写真をと思ったが角度が合わない。
  夕食抜きで走り回っていた。下の集落に降りたが、もう深夜だし何もない。仕方ないのでカーナビに高浜町役場をセットし町の中心部を目指す。町の中心部まで走りやっとコンビニを見つけ食料を仕込んだが、ここはタバコを置いてない。もう11時過ぎなので自販機も使えない。今度はカーナビにコンビニを検索させ一番近い所に向かう。たどり着いたコンビニはもう閉店している。ここは24時間営業ではないみたいだ。今度は別のコンビニへ。着いた所は最初のコンビニを通り過ぎた場所だ。こんなことをして日引の棚田に帰り着いたが30キロ以上走り回った。高浜町は何年か前に七年祭りで来たことがあるが、深夜でもあり町の記憶は全然なかった。

平成14年5月26日(日) 晴れ

  道路下に棚田が広がり、内浦湾沿いに民家が並ぶ。湾内には漁船が繋留されている。今日も晴れそうなのでドラマチックな朝焼けを期待したが、それほどの朝焼けにはならなかった。しかし、地味ではあるが一枚毎の田が順次赤みを帯びる。京都の井根町はどうだろうか。気になるところだ。


  続いて滋賀県高島町のの棚田。琵琶湖の湖岸沿いの国道161号線から県道296号線にて順調に到着。棚田の入り口に案内板がある。ここは全体の面積はかなり広そうだ。田植は終わっている。所々に撮影ポイントはあるが、この地の特徴的なアングルは見つけることができなかった。

ページトッフ

平成14年6月2日(日) 晴れ

  今日は2月に訪れた引佐町と天竜市に。田植は比較的遅い地域との資料があったが、もう始まっていると思い・・・。
  引佐町久留女木の棚田は午前6時頃日が当たり始まる。下部から写すと早苗が逆光に美しい。中心部は舗装された立派な農道があり、来訪者への注意書きの看板もある。来訪者はあまり歓迎しない地区のようで、マナー遵守を強く求めている内容だ。耕作率はまあまあのようだが農道から見渡せる所が放棄地だ。ここが耕作されていればいい写真になるのだが。


  天竜市大栗安の棚田は最近になって新しく案内板が増えた。2月に迷った分岐点にも設置された。おそらく地元の有志が造っているのだろう。ここは檜曽礼と本村の2地区に分かれ1キロくらい離れている。檜曽礼はかなり耕作されているが本村は放棄地が目立つ。余計にそんな気持ちになるのだろうがベストアングルに限って放棄地だ。

平成14年6月15日(日) 晴れ一時曇り

  今日は梅雨の晴れ間。天気予報では雨は降らない模様なので急遽大阪府千早赤坂村下赤坂の棚田に。先月撮影できなくて気になっていた。中途半端な状態は早く解消したい。
  前は中学校沿いの道路からしか見てなかったが、中学校の裏にも棚田がある。こちらの方が広いし絵になる。住居とは分離されているので悩ましい電線や電柱はない。大阪のはずれといえども大都市圏に近い所。カメラマンのメッカであろうか、ここにも来訪者への注意書きの看板がある。今日も数人のカメラマングループがいた。


  奈良県明日香村の神奈備の郷は、千早赤坂村から30キロぐらいだろうか。県道155号線経由で県道15号線に入ると数キロで棚田が見えてくる。ここも数人のカメラマンがいた。明日香村は国際的な観光地であるから名所旧跡の案内はいたる所にあるが、棚田の案内は見あたらない。あえて棚田を表面にだす必要もないのかも。ここも棚田の中に住居はなく放棄田をうまく処理すれば写真は撮りやすい。田植はさすがに終わっていた。6月上旬らしい。全国的にも遅い方だろう。

ページトッフ

平成14年7月21日(日) 晴れ

 昨日、四国、近畿、東海、関東と梅雨明け。梅雨入り、梅雨明けは平年並みだが日照時間はなんとなく少なかったようだ。しかし、雨にならずに曇り空で、一時水不足が心配された。でも、7月に2個も台風が接近し洪水の被害がでたりした。桜の開花も異常に早かったし、とにかく異常気象だが、異常も続けば通常になる。とにかく地球全体の問題だ。
 今回は、山陰山陽方面を予定していたが、山陰にはまだ日本海沿いに梅雨前線が停滞して梅雨明けはまだなので長野県にした。撮り残しとなっている小諸市、東部町、上田市、更埴市そして時間があれば毎回後回しになっている八坂村へ。

  岡谷ICから国道142号線を経由し小諸市へ。県道130号から宇坪入棚田に。棚田の東側は小山があるため早朝は日が当たらない。とりあえず一通りロケハンし待ったが、一番のポイントと思う場所は東側の小山の麓。日が当たるには時間がかかりそうだ。この棚田は幹線(幹線といつ手も幅は狭く先は行き止まり。Uターンも苦労する)の道沿いはなぜか耕作放棄地が多く、農道脇に草が生い茂りカメラポジションに苦労する。草刈機はともかく脚立が必要だ。


  東部町は2ヶ所選定されているが、まず滝の沢の棚田。事前に役場から資料を頂いていたので良かったが、道路から見える田んぼはほとんどない。うっかりすると通過してしまう。棚田は集落内に点在し、これというポイントも見当たらない。


  姫子沢の棚田は山を背に滝の沢の反対に位置している。こちらの方は集落の一番奥から沢沿いに広がっている。入り口の農道に耕作優先とペイントされている。ここも来訪者は歓迎されないようなので機材を担いで歩いてみた。午前9時の太陽はとにかく暑い。数分歩けばもう汗びっしょりだ。暑さの中、重い機材を担いで棚田を散策(散策なんて優雅なことではないが)してみたがこれという写真は撮れなかった。東部町の2ヶ所は今回収穫は少なかった。時期を変えればまた違った情景に出会えるかも。


  上田市稲倉の棚田は工事中で通行止めの場所があり少々どまどったが、棚田のある地域にリンゴ狩園や、今が旬のラベンダー園があり、そこへの案内板を頼りに棚田に到着出来た。民間業者は商売上不可欠だからこの手のものはよく整備されている。ここのポイントはラベンダー園の下の農道からと県道4号線から。県道4号線には棚田の案内板もあり、この辺りから下に棚田を一望できる。道路は広く路肩に駐車も可能だが交通量は多目なので十分注意。反対車線沿いにはかなり広いスペースがある。


  更埴市姥捨の棚田は田毎の月として有名であり、アンズの里や雨宮坐日吉神社の祭礼「雨宮御神事」の撮影で訪れても棚田に立ち寄る機会はなかった。JR篠ノ井線の踏切を少し下った県道77号線から。棚田と千曲川が流れる善光寺平の組み合わせ。これが定番。でも、面積も広く枚数も多いのだが棚田の中に放置された車が気になる。農作業の休憩用として利用しているようなものもあるが、荒廃車も。


  午後1時半ぐらい。各地はあまり離れていないので効果的に巡回できたが、梅雨明け直後の太陽はとにかく強烈だ。車から外に出るのがいやになる。撮影を始めると汗が吹き出してくる。もう汗も淡水化して塩気がないくらいだ。車の中の飲料水も生ぬるいがそれでも大変おいしい。遅い昼食をとりながら八坂村をどうしようか考えたが、今回も取り止め帰路に着く。結局、長野県は八坂村だけが残った


平成14年7月26日(金) 晴れ

  午前10:30、途中SAで仮眠しながらおおむね12時間かかって広島県筒賀村の井仁の棚田に到着。中国自動車道戸河内ICからちょっと迷いましたが割りと短時間で来ることが出来た。ここは棚田への入り方がなんともドラマチックだ。狭い道のトンネル、対向車がきたらどうしようと心配になる狭さだ。このトンネルを抜けると棚田だ。あたかも桃源郷への通用口だ。県道303号線沿いに展望台があり、ここからすり鉢状の地形を見上げることが出来る。やはり、ここからが一番のビュースポットだ。また、ここから左回りに昇った最上部からの眺めもよい。


  戸河内ICまで戻り高速を六日町ICまで。国道187号線で柿木村の大井谷棚田へ。ここも楽に到着。棚田の入口に広い駐車場が整備され、ここから200メートルほど登った高台は展望台となっている。この展望台から棚田の左側を見渡すことが出来るが、やはり電線、電柱が気になるのでやや長めのレンズで。棚田の中央を道路が走っていて上部まで行ってみたが、民家、電線、電柱がじゃまになるし、これというポイントもみつけることができなかった。


  益田市中垣内の棚田は、県道14号線から下平の集落へ。道路の下に棚田が見えるのだが耕作放棄地も多く絵にしずらい。結局、綺麗な田んぼを探し近景の写真が多くなった。

 三隅町室谷の棚田は夕方近くに到着。道の駅ゆうひパーク三隅を過ぎ、県道303号線から入った。室谷は広く案内板もあったのだが90度の勘違いをし、山中をうろうろ徘徊しかなりの時間を費やした。不幸中の幸いで棚田の全貌の把握が出来が日はすっかり暮れてしまった。撮影は明朝とし、道の駅ゆうひパーク石見まで出、ここで泊。

平成14年7月27日 (土) 晴れ

 道の駅ゆうひパーク石見をまだ暗いうちに発ち、現地にて日が昇るのを待つ。朝の光線に輝く稲が美しい。早くも秋の気配で赤トンボが飛びかっている。室谷は広く撮影ポイントはたくさんあると思うが数カ所撮影し旭町に向かう。

 旭町は浜田自動車道の旭ICから順調に到着。最近は市町村に依頼した資料を参考にしたカーナビの設定方法もコツをつかみかなり正確に到着できる場合も増えてきた。都川の棚田は一ヶ所にまとまってなく県道5号線沿いに点々としている。二ヶ所撮影したうちの一ヶ所には、町から送って頂いた写真があり、その写真は山から撮影とコメント付だが、その様な山は見当たらない。(空撮のようにも思う)今日は土曜日なので役場も休み、仕方ないので羽須美村に向かう。

 浜田自動車道の旭ICから大朝ICまで走り、国道433、375、県道7号線経由で羽須美村神谷の棚田に。ここもスムーズに到着できた。この棚田も民家と混在。これというポイントも見当たらず数カットで切り上げ。

 中国自動車道庄原ICから国道183,314、県道49号線を経て、横田町大原新田の棚田に。ここもスムーズに到着できた。といっても選定地の田は一枚が広い矩形で気ずかなく人に聞いたらここがそうだといわれた。棚田は新しく開墾された所で、開墾当時からのままだそうだ。傾斜も緩やかで良いポイントも見当たらずここも数カットで切り上げ。

 大東町山王寺に向かう途中県道24号線沿いに健康ランドがあった。今日はここに泊まることにし、日も暮れかかってきたので棚田を見指す。棚田には県道24号線から県道267号線にて順調に。町からは棚田一帯の細かい地図をもらっていたが、逆に細かすぎて現在地がわからない。東屋を2棟建設予定とも印されているがそれも見当たらない。畦草刈をしていた人が一段落したようなので現在地を教えてもらう。東屋は未着工だがその予定地も教えていただいた。東屋の予定地はやはりビューポイントだが、日は背後の山に沈み光線は当たらないので数枚写し明朝また訪れることにし健康ランドにむかう。

 山王寺の集落から降りた県道267号線と県道24号線の交差する場所に神社があり、人が集まっていた。祭りでもあるのだろうかと気にしつつ健康ランドに到着。料金1,000円。安いなあと思いながらよく読むと午後11時まで。終日営業ではないのだ。都会とはシステムが違うのだ。地方では終日営業では採算が取れないのだろう。今晩はゆっくりしようと思っていたのだが、とにかく一風呂浴びることにする。ロビーには観光ポスターが貼ってある。その中に石見神楽の公演のポスターがある。受付で尋ねると、先ほどの神社で今晩特別公演がある。こういうたぐいの特別公演は、本来の祭礼と違いいまいちい雰囲気が伝わらず、写真撮影も気合が入らないが、中国地方の神楽は結構多いらしい。中には有料公演もあるみたいだ。せっかく遠くに来たのだし、本来は民族芸能を一番のライフワークとしている自分としてはここは一見しておこう。ストロボも小型のものしか用意してないが何とかなるだろう。ということで久しぶりの祭り取材になった。
  神楽は神楽殿の舞台で演じられ、観客は前庭に敷かれたゴザの上で見ている。小学校3〜4年生ぐらいの男の子が、神楽のリズムに併せ身振り手振りで夢中になっている。こんな子供らに伝統芸能を伝承してもらいたい。しかし、ポスターからの先入観からか、観衆との一体感がなんとなく薄い。集落での祭礼を見たいものだ。写真は舞台の袖からしか写せない。観客の最後尾から長めの明るいレンズと大光量のストロボで撮影したいが用意してないので仕方ない。満足な写真は撮れなかったがまあ参考にはなった。公演は11時頃終わる。今晩は棚田で夜明けを待つことにする。


平成14年7月28日 (日) 曇りのち晴れ

 今朝はとんだハプニング。自分の車はワゴン車ではないけれど一応シートはフラットになり、ちょっとした仮眠以外は運転席を離れ後ろのシートに横たわる。携帯は目覚し時計代わりに近くに置いておく。アラームで目覚め運転席に移動する時は、車内で体を折り曲げて移ったり、後部ドアから一旦外に出て移ったりする。今日は後部ドアから移動。というわけで一旦外に出たのだが無意識にドアロック。他のドアも全部ロックしてあり、キーは車に差し込んだまま。普段スペアキーは小銭入れにありズボンやシャツのポケットにあるのだが、眠る時は邪魔なのでコンソールボックスの中。結局キー閉じ込め。幸い携帯は持ったまま外に出た。電波もなんとかOK。JAFにコール。いろいろ質問される。居場所の目印はとも。周りは田んぼで民家少々。ただし、棚田では有名な所、と回答。松江市内から来るらしい。JAFに入って6〜7年目だが、元が取れる?。明るさは増してきても霧が多くて日はまだ射さない。2〜3台車が通過する。自分は裸足だ。運転手は不思議そうな顔をして通り過ぎる。いつ霧が切れ掛かるだろうか。そのときはシャッターチャンスだけどJAFは間に合うか。
 待つこと4〜50分。集落の入り口に青っぽい車が止まった。JAFだ。


 たった一人の騒動も収まったもののまだ霧は切れない。霧は切れないが雰囲気は格別なので早速撮影開始。そのうち集落の人が集まり農道沿いの草刈が始まった。車のナンバーを見て、遠くからご苦労さんとか、昔名古屋にいたことがあるとか話かけられる。いつもこんな霧かと尋ねればそうでもないらしい。今日は特別らしい。一通り撮影を終えたが状況はあまり変わらない。天気予報は好天の予報だが、いつ青空になるかわからないので次の目的地に移動することにした。松江から米子に出て米子自動車道を走行中に青空が戻り、昼頃には灼熱の太陽が照りつける真夏の一日となった。


 旭町小山の棚田も複雑な行程だったが、カーナビでなんとか到着できた。大字名で設定しそこに棚田があればラッキー、宝クジに当たったようなものだ。
 ここは規模も小さく電線、電柱がじゃま。選定地の範囲内かは不明だが、電線がなかったら本当に良いポイントもある。静かな桃源郷のようなたたずまいの所なので残念だ。


 津山地方には、旭町の他に中央町と久米南町の二ヶ所の計四ヶ所選定地がある。地図上では近そうだがほとんど山道で、中央町にも思った以上に時間がかかった。大垪和西棚田は中央町に来ればすぐわかる。県道373号線を走り三叉路になった所に着く。右に行っても左に行っても下は棚田。道路から俯瞰できる。規模も大きくポイントもたくさんある。今日は雲が多め。カメラをセットし雲の切れ間からの光線待ち。ポイント毎に繰り返しで時間も費やす。待っている間の暑いこと。車に待避もしばしば。また、ちょうど昼時。トップライトのロングの風景はガスって、いまいち・・・。満足な写真にならない。満足な写真にならないこともあるが、機会があればもう一度訪れたい棚田だ。


 中央町から久米南町上籾の棚田へ。ここへは苦労した。距離優先で走ったが棚田をはるかに行き過ぎた。集落で尋ね引き返したが、確かに通った所だ。そこは中央町と久米南町の町境。中央町から来て右折すればよかったのだ。棚田の最上部に溜池がある。この池の下に棚田が広がり全体を俯瞰できる。棚田に沿って下に降りる道路は狭く、駐車スペースがないので、西日に輝く棚田を手持ちで撮影しながら降りた。


 また山道を走り北庄の棚田を目指す。ここは大きな規模で選定地の範囲がわからないので目に付いた所を何ヶ所か撮影。犬の散歩中の若者に出会ったので百選のことを尋ねれど不発。民家の近くで撮影していたらちょうど帰宅の人が。この人が一番のビュースポットを教えてくれた。TVの撮影も多いとも。棚田の最上部だ。なるほど、耕作放棄地も気にはなるが中々の場所だ。ただ、太陽は既に背後の山に隠れ日は射さない。朝は逆光になり美しい風景になりそうだ。


 もう三日間車中泊。明日は帰宅なので今日はゆっくりしようと思い津山市内のビジネスホテル泊。一泊0食、バス、トイレ付だが名古屋のカプセルホテルより安い。貧乏旅にはありがたい。
 明日は兵庫県の佐用町から大阪能勢町に。早朝というより深夜出発し夜明けを現地で。でも、ゆっくりしようと思いホテルを選んだが、疲れているのに寝付かれない。車中泊の方が良く眠れる。こんな状態の自分は・・・・。 

平成14年7月29日 (月) 晴れ

 早朝というより深夜出発し夜明けを現地で迎えるつもりで目覚しを3時にセットしたが、アラームに気がつけど動く気になれなかった。結局かなり明るくなってからの出発になってしまった。ホテルや旅館に泊まると、どうしても自分に負けて遅くなってしまう。そんなことで宿泊費の節減も大きな理由だが車中泊にて現地で夜明けを迎えることにしている。


 佐用町乙大木谷の棚田も比較的わかりやすい。棚田の入り口から道が分岐するパターンの棚田だ。棚田の中に民家がないので写真には撮りやすい場所なのもうれしい。右側の道路を上ると駐車場もあり、やはりここからがビュースポットか。午前中は逆光ぎみで緑色の稲の輝きが美しい。

  今回の撮影の最終地は大阪府能勢町長谷の棚田。ここはもう15年以上前に祭りの撮影で来たことがある。5月8日に行われる御田植祭りと呼ばれる田遊びだ。百選選定地のある市町村に田遊びが伝承されている所はかなりあるが、同じ集落はここだけだ。藁葺き屋根の民家が数件あり、祭りの撮影より棚田風景の方に夢中になった記憶がある。今でも藁葺き屋根の民家は残っていて、当時の面影とあまり変わっていない。でも今日はガスっていてロングの写真はいまいち不満足。空は白っぽく藁葺き屋根も空に抜けず、もっぱら俯瞰撮影中心だ。


  四日間で14ヶ所も廻った。いつもながらの駆け足撮影だが、いくつかの魅力的な場所もあったし、時間を変えれば良い絵になりそうな場所もあった。これでとりあえず55ヶ所撮影したが、まだ半分にも至ってない。数のコレクションと写真の内容度。もっと良い写真を撮るために、もっと時間をかけないとと思いつつも数優先。こんなジレンマと戦いながらの今の状態は当分続くだろう。

ページトッフ

平成14年8月25日 (日) 晴れ

  所要があったりして月末近くになり今月は初めて撮影。よこねの棚田は飯田市の南部の県道83号線沿いにあるのだが、愛知県側からは非常に複雑な行程となっている。以前来たことがあるから、カーナビのメモリーどおり走り問題なく到着できたが、もしカーナビがなかったら一度や二度は迷うだろう。(最近はカーナビ便りで、道を覚える作業が希薄になっているし)
  稲は大分色づき一ヶ月もすれば稲刈りだろう。案山子が沢山立っている。ここは小中学生が棚田の保存活動にかかわっているようで、案山子コンテストの様な行事があったのだろう。ここの棚田はあまり規模は大きくないが、民家と離れていて最大の悩みの電線、電柱がない。(県道のガードレールは少し気になるが)ただ、西も東も山で朝夕の逆光線のドラマチックな場面は少し難しい。
  今年は盆過ぎから涼しくなったが、今日は再び暑さがぶり返した。しかし、一時の猛烈な暑さと比べれば今日はまだましだ。梅雨明け後一ヶ月くらいは車から出ただけで灼熱地獄のようだったから。

平成14年8月28日 (水) 晴れ

  今日は設楽町に所要があったので、終わってから長江の棚田に。もう4時近かったので日は傾きかけていた。以前から稲が生長したら撮ろうと思っていた棚田の入口で、真正面から石垣と稲の積み重なりのカットを。しかし、いつ来ても静かだ。民家も数軒あり、玄関や部屋の扉も開け放されているのに人に会ったことが殆どない。偶然だろうが。


  長江の棚田はワンカットで切り上げ、鳳来町四谷の棚田に急ぐ。ここは上から見て右側に日が沈むので、前から予定していた田んぼを逆光で撮影。田んぼ一枚毎の稲が、生長具合からか微妙に色づき方が違い美しい。ここは秋分の日あたりが稲刈り期で、彼岸花が彩りを沿え沢山のカメラマンで賑わう。

ページトッフ

平成14年9月19日 (木) 晴れ

 生まれて始めての九州へ。大阪を夕刻出港し翌日早朝に別府へのフェリーの旅。昼頃に出発すれば間に合うだろうが、行きがけの駄賃にと和歌山県清水町のあらぎ島に寄ることにし、深夜1時発。途中かなりの時間車の中で寝ていたのであらぎ島に着いたのは丁度昼。稲刈りは大分済んでいた。天候は雲がやや多め。35ミリ、645、67と3台使うが写真はワンパターンの定番写真のみで切り上げ大阪に向かう。

平成14年9月20日 (金) 曇り

 一晩の船旅は快適。でもこの船は1日程度の専用船。3日も4日も乗っていたらいやになるだろう。一度豪華船とやらでのんびりとした船旅をしたいものだ。ところで起床してデッキにでたら雨。初めての九州は雨の洗礼だ。天気予報に雨はなかったぞ。でも泣く子と雨にはかなわない。下船し別府ICから大分自動車道で浮羽町を目指す。しばらく走っているうちに天気も回復し晴れ間も見えて来て、耶馬日田英彦山国定公園のなかを走る快適ドライブになった。


 杷木ICから県道106号線経由で浮羽町つづらの棚田に。九州のファーストショットは彼岸花との感動の出会いだった。棚田の入口で下から見上げると、畦の彼岸花が逆光に輝いている。棚田の上部に上がれば、ここは珍しく道路はかなり広い。路肩には数台の車がある。多分、最近整備したのだろう。この辺りから棚田を見下ろすことが出来る。稲は大分刈り取り済みだ。稲架掛けは見当たらない。彼岸花はやや遅いようで、少し白っぽく色褪せているのが気にはなる。


 星野村はいったん浮羽の市街地に引き返し県道106号線経由で星野村北部の合瀬耳納峠を越えて広内・上原の棚田に。到着時はあいにくの曇り空。県道52号線沿いに駐車場や展望台も設置され、川を挟んで正面に棚田が見える。稲刈りは終わっていて見事な稲架掛け風景だ。ここに来るまでは稲架掛けは10月に入ってからと思っていたので、この点ではラッキーだ。しかしながら曇天。彼岸花もここから見た限りでは少ない。今年は彼岸花が少ないと言っている人がいる。でもとにかく撮影。今日の予定は後は菊鹿町だけ。これ以上は無理だから休憩も兼ねて天気待ちとする。その間に道路の反対側の山の斜面を上って見る。かなりの急坂だ。休憩どころではない。ここから写す人もあるようで痕跡がある。展望台からは下部の電線の処理が難しいが、ここからは少しアングルが高くなり電線をカットできる。待つこと30分ぐらいだろうか。以外と早く青空が戻った。でも、あいにくのトップライト。ここは東側が山で西側が谷になっている。午後の西日の斜光線での撮影が一番か。迷ったけども撮影は切り上げ番所の向かうことにした。


 熊本県菊鹿町番所の棚田へは、途中工事中でかなり迂回したりして時間がかかったが、県道9号線から奥矢谷キャンプ場を目指せばよく、現場には容易に到着できる。やはり彼岸花は白っぽいが数は多い。九州は彼岸花が素晴らしい所と改めて感じる。ここは棚田の下部の方が撮影ポイント。夕日に輝く赤い彼岸花と黄金の稲穂。棚田のクライマックスの時間だ。


 九州自動車道の道木ICに向かう途中に宮原温泉というのがあり、日帰り入浴。しばらく休憩後、思い切って佐賀県小城町に足を伸ばすことにした。棚田で朝を迎えるために。

平成14年9月21日 (土) 晴れ

 途中仮眠し、県道290号線から江里山棚田に早朝着。棚田のある集落の中にちょっとした公園があり、案山子コンクールの作品が展示してある。23日の秋分の日には地区をあげての彼岸花祭りがあるようだ。まもなく空が白々としてきた。静かなうちに車で一帯を回ってみる。もうちらほらカメラマンがいる。公園を見下ろす道路沿いに三脚をセットした人がいる。ここから俯瞰した公園の左側は絵になる。逆光気味に日が射しそうなので自分もここでの撮影に決める。三脚をセットし隣のカメラマンと写真談義に。愛知県から来たことを知ると、彼が白川村や那智の火祭りに行った話や(ずいぶん行動範囲の広い人だ。那智は愛知県からでも遠い)、玄海町の浜野浦にぜひ行ったらとすすめられた。
  そんな話をしているうちにシャッターチャンスの到来。朝靄が立ち込める棚田に感動しシャッターを切る。彼岸花はやや遅めだが一枚一枚が赤く縁取られた田んぼがとても綺麗だ。彼岸花に関しては、恐らく日本でも一、二を争う棚田のような気がする。そんな思いもあり心行くまで撮影した。

  佐賀大和ICから高速道路で甘木ICまで行き、甘木市の白川の棚田に。県道66号線沿いにある。棚田の反対側にこだわり豆腐という豆腐屋がある。ここは来訪者を歓迎しない地区だろう。立入禁止の立札がある。立入禁止とは入ってはいけないんだ。車の進入禁止ではなく、人の進入禁止なのだ。人はいないが気の弱い自分は少々ビビル。車を降り、恐る恐る数カット。気のせいかあまり写欲をそそる風景でもない。紫米の田があったのでこれも2〜3枚撮影し切り上げ。


  宝珠山村のの棚田はJR筑前岩屋駅まで行けば数分で棚田に着く。稲刈りは大分済んでいる。見事な石積みと稲架掛けが美しいが、電線、電柱がネック。積みと稲架掛けが美しい所は電線、電柱が処理出来なかったり、電線、電柱が無い所は稲架掛けも無かったり。2〜3回集落を車で上下したが満足できるポイントは見つからなかった。


  山国町羽高の棚田は国道212号線にある道の駅やまくにを少し過ぎた地点から左折し、一番奥まで走れば田の尾川の右手に見えてくる。稲刈りは全部終わり、稲架掛けもないので寂しい風景になっている。仕方ないのでコスモスと切り株を組み合わせたカットだけで切り上げ。
  道の駅やまくにまで戻り今日はここに泊まることに。隣になかま温泉という湯がある。入浴料金200円で施設は立派ではないが、いい湯だ。地元の人と思われる老人が二人いた。
  今日は四ヶ所も廻ったが江里山以外は駆け足だった。2日で七ヶ所撮影。消化不良の地区もあるが天候もまあまあで順調に日程消化。

平成14年9月22日 (日) 晴れ時々曇り

  今日も早朝暗いうちに目が覚めた。9月の下旬朝方は少々冷える。もう4時過ぎたので玖珠町山浦早水の棚田に向かうことにした。ここは役場に照会した際に早朝の雰囲気が良いと聞いていたので、昨日までの一応の日程はその様に組んであった。国道210号線まで出て慈恩の滝から県道704号線に入ればそう遠くではなかった。現地には4時半に着いてしまった。まだ真っ暗だが、集落の中央にある共同水場で洗濯物のすすぎをしている人がいた。あまりに早いよそ者の来訪にびっくりした様子だったが、棚田百選巡りの話をすると撮影ポイントを教えてくれた。周りを棚田に囲まれ、すり鉢状になった底に集落がある。早朝の朝靄が立ち込める風景は、役場の担当者の話のとおりなんともいえない情景をかもし出している。


  院内町への国道387号線沿いに綺麗な棚田があった。国道から見下ろすことが出来るが、残念なことに電線が横切っている。ただ、棚田の上部を中心に写せば何とか絵になる。地名は院内町温見といい近くに徳応寺という寺がある。
  棚田へは国道387号線から院内余温泉方面へ。温泉付近も綺麗な田んぼだが、選定地はまだ奥。途中に両合橋への標識もある。棚田の入口には来訪者のサイン帳も用意されている。沢を挟んで棚田が広がる。入口の石橋が両合橋であることから両合の棚田というらしい。この橋と棚田の写真が定番だが、あいにく橋の付近にかなり大きな流木が引っ掛かってアングルが制限される。上部には放牧地になった田んぼもあり、牛が放牧されて草をはぐくんでいる。


 いったん別府に出て緒方町軸丸北の棚田に。国道442号線を走行中にパラパラと雨も来たが、途中野津原町今市石合という所で小規模ながら美しい棚田を見つける。
 選定地は県道47号線沿いにあるのだが、田んぼの中を電線も県道と並行して走っていて絵にしづらい。県道から一本左に入った農道沿いに、選定地かどうかわからないが風情のある棚田があった。空は雲に覆われている。少し明るくなるたびにシャッターを切る。もっと明るさがほしかったが1時間くらいであきらめ産山村に足を伸ばす。

  国道502号線で竹田に出て、国道442号線を久住高原から産山村の棚田に。初秋の久住高原は雄大で素晴らしい所だ。こんなところで一日ゆっくりするのもいいものだろう。棚田は観光標識に従って行けば到着できる。観光地だから標識はかなりの数だ。しかし、これをそれると大変。民家はなく、走っている車は観光客ばかり。棚田のことを知っている人に遭遇するのは奇跡かも。棚田の近辺は個人の放牧地であり、走行車に、牛に注意なんて看板も。また、立入禁止の看板も。草地への無断立入は牧草損害料○万円なんて警告も。
  棚田に着いたのは午後5時過ぎで田んぼの半分は林の影になっている。稲刈りは既に終わっていて、数個の案山子と彼岸花が少々。脚立をとりだしアングルをあげても上から2枚しか見え無い。皆きっとあそこで写してんだ。(このことはここでは記載できません。現地で考えてください。綺麗な扇状の写真は多分なんとかなります)田植の頃は扇状の輪郭がよくわかり、他の棚田とは一味違う写真が撮れそうだ。
  撮影後は村内の花の温泉館で入浴。休憩後別府まで引き返す。途中雨脚の強い時もあったが、深夜に内成の棚田に着き夜明けを待つ。

平成14年9月23日 (月) 晴れ

  夜が明けると内成の棚田は雄大だった。別府市にこんな棚田があるとは。でも、市だから町村だからとはあまり関係ないか。朝の光が黄金色の稲穂と真っ赤な彼岸花を照らしだす。まだ稲刈りの済んでないこの時期、棚田は田植時期と双壁をなす至極の時期だ。今日は九州の最終日、天候も有終の美で一番いい。後は挟間町だけで別府港出港のフェリーは午後7時。そんなゆとりもあり、ゆっくりと棚田を堪能できた。

  挟間町由布川奥詰の棚田は、別府市内成の棚田に近い。カーナビで見れば直線で2キロぐらいだ。しかし、思った以上に時間がかかった。ここでは、棚田の中央部の道路に入り込んでしまい、急坂をバックで戻るはめに。棚田の中にある民家の奥さんが丁度出かける所だったが、自分の家への来訪者と思って苦労してバックしている自分を見ていたらしい。事情を話すと庭でUターンさせてくれ、おまけに撮影ポイントまで教えてくれた。そんなことでやっと脱出し撮影準備に取り掛かったのだが、今度は車の後部ドアを閉める時、思い切りドアを自分の額に打ちつけてしまった。少し血が滲み、頭はくらつくほど痛い。しかし。気を取り直し撮影。棚田の背後の由布岳が綺麗に見える。近くに墓地があり、今日は彼岸の日、墓参りの母子が来た。帰り際に何を写しているのか聞かれ、棚田百選のことを話すと、ここがそんなにも・・・とびっくりしていた。でも、由布岳はこの辺りからが一番美しいですよと。この人も美しい人だった。


  内成の棚田で時間をかけたもののまだ昼前。時間はまだたっぷりあるので、昨日雲が多めで光線の具合も満足でなかった両合の棚田に再度出かける。しかし、ここは気象条件がこんな土地なのか、偶然なのか、今日も多めの雲。でも、昨日よりまだましで、手ごたえはあり再訪したかいはあった。


  別府市に戻り、遅い昼食、給油、洗車をし、フェリーの乗船手続き。初めての九州は13ヶ所廻った。これで68ヶ所。満足なものが撮れてない所もあるがとにかく半分を超した。

平成14年9月24日 (火) 晴れ

  大阪港でフェリーを下船したのは7時頃。混雑しないうちに市街地を通過できる。疲れはあるものの、今日は近畿地方の棚田を巡ることにする。まずは一番近い千早赤坂村の下赤坂に。稲刈りはまだ始まっていない。田植が6月に入ってからだから当然か。平日なのにカメラマンは自分を入れて3組。車を止めるスペースがあり、そこには募金箱がある。東屋やトイレの設置計画があるようだ。


  次に神奈備の郷。田植、稲刈りは下赤坂と同時期。ピークはやや過ぎているが彼岸花が見事だ。明日香村は観光地でカメラマンも大勢いる。カメラマンの写りこまないカットは大変だ。


 まだ時間はあるので、国道166号線で飯南町深野のだんだん田の棚田へ。稲刈りは大分早いようで全部終わっていた。かなり早く刈るようで、新しい芽が20センチくらい伸びている所もある稲架掛けも一ヶ所だけ。稲藁を確保したい農家の田だろう。全部コンバインで刈るようで細かく刻まれた稲が一面に広がっている。
  亀山市坂本の棚田は、電話で市役所に確認したが、深野と同じで刈取りも終わり
稲架掛けも無いとのことなので、帰路一直線。夕方帰着。

ページトッフ

平成14年10月5日 (土) 曇り

  今年の棚田巡りは九州で一応終わり、後は新雪の時期にどこかへ、なんて思っていたのだがJRの鉄道の日記念・全線乗り放題切符三日間9,180円。ただし普通車限定なんてポスターを目にした。東北は10月上旬は稲杭が見頃だろうということで、早速切符を購入。しかし、撮影はいつも車。少々の荷物は苦にならないが、列車で行くには機材を厳選しなければならない。予備の機材は極力省略し、とのかく荷物を少なくしたが、それでもかなりの量。滑車付きのバックまで購入したが駅は階段が多い。それを考えると憂鬱になる。


  東海道本線のムーンライトながらを手始めに鈍行乗継の旅。途中、福島・米沢間だけ時間稼ぎのため新幹線を利用。それでも14時間かかって山形に到着。予約しておいたレンタカーで早速山辺町大蕨の棚田に。途中山辺町の中心部で迷ったが、午後3時頃棚田に着く。棚田は県道19号線沿いにあり、大きな看板もあるし確認は容易だ。
  稲杭が並んだ風景は壮観だ。カメラマンも数人いる。今日の天候はあいにくの曇り空。でも時々雲の切れ間から太陽が顔を出す。この瞬間を待ちシャッタを切る。ポジションを変えるだびにこんなことの繰り返し。イライラがつのる。でもこれは宿命・・・。


 朝日町椹平は大蕨から県道19号線をそのまま西に向かい、国道287号線を横切り能中一本松公園に道成りに進めば公園の駐車場に着く。駐車場の左下に面積の広い矩形の田んぼが並んだ棚田が俯瞰できる。遠方は少し霞んでいるが、夕暮れの雰囲気が漂いまあこれも絵になる。ただ、稲刈りの済んでない場所は、先日の台風のためか倒伏が目立つのが残念だ。

 大蕨に心残りがあるのでまた引き返す。相変わらずはっきりしない天候だが、日が当たった時は夕暮れ近いだけ先ほどより印象的だ。所々に農作業の人がいる。杭に掛けた稲を隣の杭に移している。尋ねてみると、乾燥が均一になるように乾燥半ばで上下を入れ替えるそうだ。これも大変な作業だ。ここの棚田も一枚は大きめで矩形が多い。一部ではコンバインで刈り取っているようで、田んぼの中に機械が置いてある。稲杭の風景もそのうち無くなってしまうかも。

 日も暮れて来たので夕食を兼ねてりんご温泉とやらへ。ここの湯はリンゴが浮かんでいた。九州でも感じたが東北も同様、施設はどこも綺麗だ。遠方からの自分は、もっとひなびた雰囲気を望んでいるのだが、最近のこういう施設は地元の人の利用を当て込んでいるようだから、どこも近代的な施設なのだろう。地元の人にとっては近代的な施設の方が勿論いいのだから。ひなびた雰囲気を望んでいるのは所詮よそ者なんだ。

 明日は大蔵村。国道287号線から国道13号線に出て道の駅むらやま泊。

平成14年10月6日 (日) 曇り

 今朝は濃霧。国道13号線を走行中は視界約50メートルぐらいか。少しスピードを上げると怖い。大蔵村四ヶ村の棚田は国道458号線を肘折温泉方向は進めば良い。大蔵村に入ったら地すべり資料館を目指す。この辺りが選定地である。
 四ヶ村とは、豊牧、平林、滝の沢、沼の台の四地区の総称とのことだが、地すべり資料館の上の道を少し奥に行った所がビューポイントで、建物もなく撮影しやすい。霧は薄くなったり、一面が霧に包まれたりと幻想的な朝だ。稲刈りは殆ど終わっていたが、地すべり資料館の奥に稲刈り前の田んぼがあっつた。この地区は天日乾燥していないので、稲刈りの済んだ田んぼは切り株の並んだ寂しい風景となっていた。
 他も走り回って見たが、どこまでが選定地かもよくわからず、これというポイントも見当たらないのでカメラも取り出さなかった。


 帰りは国道458号線をそのまま肘折温泉方向へ。肘折温泉の近くに黄金温泉カルデラ温泉館というのがあり休憩。


 まだ時間があるので、くどく大蕨へ。昨日よりもっと条件は悪い。でも、今度いつ来れるかもわからないので歩いて上部に行ってみた。35ミリのカメラ一台で手持ちスナップしながら棚田の雰囲気を堪能した。


 山形市内を適当に走りながら宅急便の事務所を探す。我ながら勘がいいと言うか、運がいいというか、うまく見つかり三脚を自宅に送る。大型三脚との列車の旅から開放され一安心。夕方車を返し山形駅前のビジネスホテル泊。明日は15時間かけて家まで。

 (10月7日・鈍行列車の旅もなかなか乙であった。でも当分は・・・。)

ページトッフ

平成15年2月9日 (日) 曇り

  今年の棚田めぐりの最初は飛騨地方から。早朝出発しまず久々野町ナカイ田の棚田。国道41号線沿いの小坊という集落にあり、カーナビに地名をセットし難なく到着。飛騨川に掛かる赤い橋を渡り、すぐ近くにある住吉神社の前の道を登って行けば砂防提が見える。この砂防提の下に広がる棚田が選定地である。砂防堤に行く道の右側に棚田が見え写真撮影に一番良さそうだが、残念ながら竹や雑木が邪魔になり撮影は出来ない。天候は曇り。数カットで切り上げ。
  場所を覚えれば、国道から飛騨川、JR高山線を挟んで棚田を認識できる。赤い橋から数10メートルほど久々野駅寄りの地点で2〜300ミリの望遠レンズで撮影もできる。(電線、電柱はかなり気になるが)上宝村からの帰路、日没寸前のところで数カット撮影。


  上宝村へはカーナビに頼りすぎて大失敗した。高山から国道158号線にて平湯温泉経由で行けば問題なかったのだが、県道89号線を走り山の中に入り込んだ。完全除雪ではなく、轍はあるものの細い山の中の道で先行き不安。どうも冬季閉鎖のようなので大事をとって引き返す。結局片道15キロくらいのロス。
  田頃家の棚田は国道471号線沿いにありわかりやすい。ここは米を作っていず山椒の特産地。はずかしながら山椒の木は知らないので通りががりの人に確認。70歳前後の話し好きな人で、愛知県から来たことを知ると、10数年前に新城市の方に営林署の仕事で冬に出稼ぎに行ったことがあるとのこと。その頃のことをなつかしそうに話し出した。10分以上も話をしていたが少々寒くなったので、話を切り上げ撮影。ここも絵にしずらい。おまけに曇り空。光線待ちしていたら、家の前を除雪していたお婆さんから、野鳥の観察ですかと話しかけられた。オオタカが棲息していて、時々野鳥の愛好家が訪れるらしい。
雲が多く、日が射すのは難しそうなので諦める。往きも帰りも同じだが、平湯トンネルを境に天気は急変。高山方面は晴れ。地形的に平湯温泉方面は安定しないのだろう。

ページトッフ

平成15年3月12日 (水) 晴れ

  鳳来町四谷に。ここは最近冬になると盛んに工事をしている。昨年は農道や東屋が整い、今年も上部に何やら建設中だ。梅の花は少し遅かったが点景に数カット撮影。


  帰路に梅の名所、川売(かおれ)に。平日なのに結構な賑わいだ。車から出ると甘酸っぱい梅の香りだ漂う。この集落は三方が山に囲まれ、山裾が梅畑になっている。観光用の梅園ではないので昔は観光客も少なく、まさしく桃源郷だったものだ。梅畑は棚田になっていて、開墾したころは水田だったのかも。百選の選定地にも米作りしていない所もあるのだから、ここも選定されていればなんてふと思う。選定地には桃源郷を思わせる所も多いがここも遜色ない。

ページトッフ

平成15年4月19日 (土) 曇り

  今年はなぜか週末の天候が不順で桜の撮影がはかどらないが、三重県美杉村の三多気の桜が見頃らしいので始めて訪れた。しかし、写真で良く見る棚田の水面に桜が映る光景は、田に水が無く・・・。この田はもう耕作放棄地のようだ。


  隣の奈良県榛原町まで足を伸ばし仏隆寺の桜を撮影し帰路に着いたが、亀山近辺は田に水がある。そんなことで坂本の棚田に向かった。案の定大分水が張られ、早い所はもう田植が済んでいた。雨がポツリポツリだが予定外の収穫で満足。

平成15年4月30日 (水) 雨後曇り後晴れ

  昨秋以来2度目の九州。今回もフェリーで別府へ。前回に続いて別府は今日も雨だった。玄海町、福島町そして山口県油谷町と三大夕日の棚田巡りが目的だが、とりあえず佐賀大和ICから国道323号線経由で富士町西ノ谷の棚田へ。現地では小雨の中をうろついた上に選定地に。田植にはまだ早くほとんど水も張って無い。
  雨も上がって来たので今日の夕焼けを期待し、ここは早々に切り上げた。


  相知町蕨野の棚田には県道32号線から棚田への分岐点に大きな案内板が。これなら余程のことがない限り見落とすことは無い。この案内板に度肝を抜かれたが、棚田のスケールにも圧倒される。分岐点から少し走れば正面に棚田が見えてくる。車を進めるに従いど迫力で石積の城砦が迫ってくる。福岡県宝珠山村の石積も凄かったが、蕨野は民家と混在してなく、一望できる場所もあり絵にしやすい。2〜3ヶ所の展望地と、高さ8.5メートルといわれる日本一の石積を写し今日のメインの玄海町に。


  国道204号線沿いの玄海町浜野浦の棚田には午後3時頃に着く。天候も回復し夕焼けが期待出来る。既に先客も数人いる。日没まで4時間弱。人気のスポットでは場所確保のため長い待ち時間を余儀なくされるが、見知らぬ人との写真談義もまた楽しく、また、情報収集の場ともなる。ゴールデンウイークといえども平日。撮影場所の整備も行われたようで撮影ポイントの確保の心配も無い。
 夕暮れと共に色好き始める。黄金色からピンク色に。鮮やかな赤色には至らなかったが始めての自分には感動のシーン。(地元の人たちは物足りないようだ)日没後しばらくすると遠くに漁火が。はるばる愛知県から来たんだ。カメラマンは2〜3人になったが8時過ぎまで撮影。

  今日は佐賀大和IC付近の道の駅泊。

ページトッフ

平成15年5月1日 (木) 晴れ

 今日は福島町の予定だが、昨日午前中天候がかんばしくなかったので、再度同じコースをたどり撮り直しのうえ肥前町大浦の棚田に。田植は済んでいる。全体はかなり広く、国民宿舎に向かう道路から海に面した棚田を一望出来る場所があった。撮影中に観光客らしき人が福島町までの道程を地図まで書いて教えてくれる。ここから福島町は近いが、人気のスポットのため早めに現地に。

 国道204号線から福島大橋を渡り県道103号線を道成りに走れば土谷の棚田はなんなくわかる。棚田到着は午後2時半。駐車場は自分が最後の一台。(道路は広いので路上駐車でもなんとかなる。ピーク時は駐車場の台数の数倍、いや十数倍か。 ここも撮影テラスがありかなりの人数まで大丈夫。4月27日の日曜日は100人以上だったそうだ。100人いるとさすがに場所の確保は大変かも。
  天候は快晴。雲ひとつ無く棚田や海の水は赤見を帯びずオレンジ色のまま日没。自然相手なので仕方ない。また明日に期待。

  明日は島原半島を廻ることに。長崎自動車道の今村SAまで来て仮眠。

平成15年5月2日 (金) 晴れ

  諫早ICから県道209号線から南有馬町谷水の棚田に。白木野小学校の近くまで来ても選定地がわからず2度ほど尋ねてやっと。裏作でジャガイモを栽培していて今が収穫期。田植は当分先だ。


  同じ道を引き返し千々石清水の棚田へ。ここは田植の最中。雲仙に向かう県道251号線沿いに展望台が設置され、彼方に棚田が一望できる。


  長崎市方面に向かい国道202号線に入り外海町大中尾棚田に。まだ水は張られていない。棚田の中央部に駐車場があり、めずらしいパターンだ。上部にレンゲ草が綺麗な田んぼがあった。


  午前中駆け足で廻ったが、この近辺にはまだ三ヶ所ある。今日はこのくらいにして福島町に引き返すことにしたが、途中国見トンネルの出口(佐世保方向から)付近で西有田町の棚田が展望できるらしいことを思い出しコースを変更し立ち寄る。ここも水はまだ。東側を向いた棚田で、水が張られた朝は素晴らしい光景が展開されそうか。水も無いので下部には下りず道路沿いからの撮影で切り上げる。


  福島町には午後3時に着いた。昨日より人は少ない。撮影場所を確保の上、念の為アラームセットで仮眠。
  子供が数人夕日に輝く棚田の農道をを歩いている。みんな盛んにシャッターを切る。上に来た子供をカメラマンが呼びとめなにやら話しをしている。どうやら、再度歩かせようと交渉しているようだ。こずかいを与えてのようだ。交渉していた人が(この人は昨日もいた)カンパを求めに来た。玄海町でも、過日ここでやらせで田に入ってもらったと言っていた。ここは、やらせの名所でもある。
  そんなこんなでやがて日没の時間。昨日と同じ雲一つ無し。天気が良すぎても十分な写真にならない。皮肉なもんだ。


  もう一日ねばろうかとも思ったが、帰りの渋滞が心配。出来たら5日は走りたくない。ということで、山口県油谷町に行くことにし、九州自動車道の古賀SAまで来て仮眠。

平成15年5月3日 (土) 晴れ

  今日も快晴。この三日間本当に良い天気だ。こんな年は珍しい。少し雲が出て欲しいなんて皮肉なことだ。油谷町近辺には東後畑しか選定地が無いので今日はのんびりと過ごす。一通りの下見をした後楊貴館ホテルで日帰り入浴。入浴料1,000円だが、自分の好きなぬめり気のあるいい温泉だ。
  ここは来訪者は歓迎されない土地だ。カメラマンへの注意書きの看板が無数にある。撮影ポジションを訪ねた人は親切に教えてくれたが、カメラマンを目の仇にしている人も多いからとも教えてくれた。農作業をしている人にどこから来たのか聞かれたので、愛知県と答えると、遠くから暇なやつだ。お前たちは招かざる客だとはっきり言われた。他のカメラマンも女の人に話しかけたら無愛想だったと言っていた。


  午後になり少し雲が出てきた。絶好の夕焼けになりそうだと思っていたら、夕方は雲が多くなり過ぎ太陽は隠れてしまった。上空には光芒が射しているので待ったが結局だめ。明日からは三連休で市場が休みなので漁火も現れない。今後の楽しみ?が残った。
  ただ、野犬が多い。暗くなっての撮影は特に気をつけないと。

平成15年5月4日 (日) 晴れ

 少々の仮眠だけで夜通し走り通し、津山ICから鳥取県若桜町つく米の棚田に。まだ花をつけている桜もある。選定地は氷ノ山スキー場の下あたり。田植はこれからで荒起こしの済んだ田んぼも半分ほど。氷ノ山スキー場からは展望地もあり、棚田の一部だが俯瞰撮影もできる。

 日本海方面に引き返し岩美町に向かったが、県道31号線の十王峠が冬期閉鎖中のまま。手前の雨滝付近で迂回路に。カーナビで確認でき横尾の棚田には行けそう。狭い林道だが新緑が綺麗。途中山菜取りの人に確認もし到着。田植の最中だが、傾斜は緩やかで良いポイントが少ない。

  国道9号線で兵庫県美方町を目指す。途中、温泉町の日帰り入浴施設に行ったが駐車場が大混雑であきらめた。うへ山の棚田は国道482号線を吉滝キャンプ場への案内板に従えばいいのだが、役場から送って頂いたポイント毎の写真付き棚田道案内資料があり、安心して走行。選定地はこじんまりとした静かな佇まい。水が張られた田んぼはなんともいえない雰囲気だ。


  村岡町はすぐ隣。村岡温泉というのがあり、なにはともあれ入浴。数人客がいてこの人たちも温泉町を諦めたと言っていた。県道4号線から長楽寺という大きな寺を横目に和左父集落に。この集落が凄い。曲がりくねった急坂沿いに民家が並んでいる。平地で育った自分には大変な所と思う。西ヶ岡の棚田は、集落の一番奥から更に狭い農道に入る。しばらく行くと突然視界が開ける。よくあるパターンでもある。田植も殆ど終わった田んぼが見事な曲線美を描いている。今回の撮影の最後の場所。心ゆくまで撮影。


  四ヶ所は比較的近いのでまだ日は高い。でも明日は連休最後。どこで渋滞するか見当もつかない場所なので、早めに帰路に。5日午前1時頃帰宅。走行距離2,500キロ弱。疲れ〜た。

平成15年5月24日 (土) 晴れ時々曇り

  昨夜出発し、長野県の野沢温泉から新潟県松之山町へ。出発直前までは四国の予定だったが、西の方の天気予報が芳しくなくいのと、百選の選定地ではないが高知県大豊町八畝の棚田の最上部の田んぼが作付けされてないから急遽変更した。八畝の棚田は、役場にメールで現場の照会をしたら担当者から電話があり、地主は来年は作るといっているがなにしろ高齢なのでと、困惑しているようであった。以前から行きたいと思っていたのだが残念だ。


  というわけで、早朝に松之山町の国道406号線天水トンネル手前の棚田を撮影。朝靄が立ち込める棚田を期待したが、全く平凡な朝。数枚写し切り上げたらカメラマンの一行が観光バスでやって来た。


  狐塚の棚田は昨年3月に来た時、冬季閉鎖で入れなかった。昨年は無計画に来たので、撮影出来たのは高柳町の大開だけだった。新潟県は棚田の宝庫。国道405号線から大厳寺高原を目指せばいいのだが、途中にも写欲をそそる田んぼが沢山ある。狐塚は耕地整備済みで大きな矩形の棚田だ。棚田の入口近辺から見渡すことができる。

  国道405号線に戻り大島町蓮野に。国道405号線から菖蒲高原方面に向かうが、選定地はわからず人に聞く。ここも耕地整備済みで大きな矩形の棚田。展望できる場所も無く良いポイントもない。。

  安塚町上船倉の棚田は国道405号線の大島町との境の峠からすぐの所にある。峠を下ったすぐのカーブから俯瞰撮影もできる。この棚田は新潟県の選定地にはめずらしく写欲をそそる場所だ。


  高柳町は三ヶ所。花坂の棚田も県道78号線から選定地への入口がわからない。ここも人に聞く。選定地は農道の突き当たりにあり民家もなく静かな雰囲気。一番奥の田んぼがビュースポッツトだが、ここ以外は・・・。
(県道78号線の集落機能増進センターを少し進んだ所に小さいが棚田への案内板ができていた。平成15年10月11日

  大開は県道12号線沿いにあり昨年雪景色を写せた。今回は棚田の右側の集落から上がる道があり俯瞰撮影。


  梨ノ木田も昨年3月に来たが道路閉鎖で入れなかった。冬の九十九折れの急坂道は心細かったが、今日は天気も良く快適ドライブ。最奥の集落を抜けると突然白とピンクの芝桜が目に飛び込んでくる。そういえば、昨年来たときに5月にいらっしゃい、芝桜が綺麗だからといわれた。まだ株も小さいものもあり地肌が目立つ所もあるが、年月がたてば全面が覆われるだろう。機会があれば再訪したい所だ。


  下田村だけ離れていて、高柳町から100キロぐらいある。北五百川の棚田は国道289号線の八木ヶ鼻という奇岩の近くだが、最後の進入路がやはりわからなく人に聞く。ここの棚田は車で上がる道は全く無い。農家も大変だろう。機材を担いで棚田を一周。車に帰ったら近くに蛇がいた。今日はあちこちで見かけた。蛇は苦手で撮影意欲が萎えるが、棚田にはつきものか。


  近くに”いい湯らてい”という温泉があり、大休止のあと松代町まで戻り道の駅まつだい泊。

平成15年5月25日 (日) 曇り

 道の駅まつだいを出発し、天水越の棚田を昨日に続いて撮影。昨日とあまり代わり映えしない。頚城地方は棚田の宝庫だが、なぜか選定地は大きな矩形の所が多い。百選巡りを終えたらのんびりと自分だけの?棚田を見つけたいものだ。

 長野県の選定地は八坂村だけが残っているが、途中で四ヶ所再撮影。まず飯山市の福島新田に。今日はオーナーの田植の日でテントも設営されている。人気の場所だろう、数人のカメラマンもいる。棚田の最上部は公園の工事中だ。この辺りから見下ろすと棚田の先に町並みが見渡される。

  信州新町塩本の棚田や大岡村の原田沖は棚田から北アルプスが展望出来るのだが、あいにく見えない。仕方ないので田植の済んだ田を部分的に切り取り。慶師沖は昨年の冬の写真でとりあえず満足しているので省略し根越沖へ。
 根越沖は棚田の中を工事中。稲の切り株が残ったままで起こしてもない。これはヤバイ。聞けば案の定、耕地整備。大きな矩形の棚田になるのだろう。平地でも自分で耕作する人が少ない昨今、昔ながらの棚田を維持するのは大変。耕作放棄も毎年増加している。カメラマンのために棚田があるわけでないので仕方ないが、こういう現実に遭遇するとショックで百選巡りもあせっても来る。


 八坂村重太郎の棚田へ。ホームページによれば、ここは梨の木、馬落し、生婦平、中村の四ヶ所の地区を総称して重太郎の棚田として選定されている。梨の木地区はまだ耕地整備してないらしい。したがってここに向かったが県道469号線からの入口はやはり不明。人に聞きやっと。耕地整備してないのもわかるほど荒れている。目に付く範囲で10数枚あるが点在していて、数枚まとまっているのは下部だけ。昔は連なっていたかも知れないが、そんな面影の微塵もない。県道469号線の下が馬落し地区らしいので数カット撮影。


  白馬村青鬼棚田はアルプスの麓なので雄大な風景になるが、今日はやはり駄目。人気のスポットで観光バスが引き上げるところだ。ここは古代米を栽培している。早苗も少し赤みを帯びている。こいつらはがきの頃から一味違う顔をしている。今日はこれで最後。時間はあるのでのんびりと撮影。というよりも、もう散策。アルプスが見えないので残念だ。いつか絶対写してやる。

  明日も良い天気は期待出来ないが、富山県の二ヶ所が未撮影。ここを撮れば本州は新潟、静岡以西は制覇。雨の中でも写そうということで富山に向かう。時間もあり親不知の海岸を見たく一般道で。

  富山市の健康ランド泊。

平成15年5月26日 (月) 曇り

  健康ランドを午前2時に発ちまず輪島に。ここも以前の写真の出来が不満足なので。今日も好天は期待出来ないが、逆に悪天候のなかで・・・なんて期待して。しかし、甘い考えだった。単なる曇り日の朝。うまく行かない所はいつもうまく行かないものだ。カメラマンは一人もいないので棚田の中を歩いて撮影。ここは一枚が本当に小さい。わずか数本の苗だけの田んぼも沢山ある。これが本当の棚田。

  ついでだから富来町大笹波にも寄ってみた。今にも雨になりそうな天気で全くメリハリが無い。田植の時期、困ったら上部からと上ったが矩形の棚田は解決できない場合が多い。ここもまた機会をみて再訪しないと。

  氷見市に向かう途中雨になった。いよいよ雨中の撮影を覚悟。実は百選巡りで雨中の撮影は一度も無い。もっとも2〜3日の撮影は予報優先で、天気が悪い時は出かけないから。こんなことを書いていると、今後雨に悩まされるか?。国道306号線から長坂の棚田に入る頃は雨も上がり少し明るくなる。でも、このまま晴れてくるような天気でもないが。田植の済んだ田に映える杉木立が綺麗だ。今回はこんなシーンばかり写している。空に抜きたいが真っ白なのでどうしようもない。農作業している人に立山連峰の方向を聞く。正面らしい。昔は良く見えたが、最近はずいぶん減ったと言っていた。

 今回の最後は八尾町。八尾は風の盆で有名だ。多くの観光客が帰った深夜に行う町流しは、胡弓の音色の哀愁が古い町並みに流れ、まるで時代が遡ったようだった記憶がある。
  三乗の棚田へは国道472号線から乗嶺の集落へ。道路脇に案内板もある。天気はますます悪くなり、うっとおしい鉛色の空。こんなときは露出も神経を使う。ちょっとアンダーになると水がどす黒くなる。田んぼも大きな矩形で気が乗らない。晴れていればここも立山連峰が望めるのに。

これで百選の75%をとにかく消化。自分でもこんなでいいかと思うほどの早撮り&ハードスケジュール。(今回も走行距離約1,700キロ)ただ撮影しただけの場所も多い。今回の訪問地は殆どそうだし、山陰、山陽にもある。もっとじっくり撮影したい場所もあるし、違う時期に行きたい場所も沢山ある。(絵にならず、選定地でなければカメラも出さない場所も多々あるが)

 とにかく、今回は今までの撮影行の中では最悪の天候だった。なまじ雨になり小雨に煙る棚田の方が・・・な〜んて。

ページトッフ

平成15年6月

今年の梅雨は本当の梅雨?で、晴れ間は殆ど無かった。そんなで撮影も鳳来町に梅雨入り直前に行き、後は選定地ではないが静岡県引佐町に兎荷という棚田があり、ここを撮影したのみ。兎荷の棚田はあまり大きな規模ではないが気に入った棚田の一つ。

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平成15年7月20日 (日) 曇り時々雨

 今年は梅雨入りしてから一度も遠出しないうちに三度目の九州となる。例年を参考に梅雨明けの確率の高い南部からと、今回は大阪から宮崎へのフェリーの旅。ところがあてがはずれて梅雨明けはまだ。過去2回の九州も朝は雨だったが数時間であがった。しかし、今日はそうも行きそうに無い。まず日南市に向かったが、途中晴れ間もあれば激しいにわか雨もの繰り返し。

  日南市坂元の棚田はわかりやすい場所にある。市街地から向かい国道222号線沿いの道の駅酒谷から右折し、しばらく行けば棚田の入口の駐車場に着く。棚田は整然とした矩形なので、棚田の中では絵にしずらい。全体を見渡した写真を見かけるので、反対側の展望地を探すことに。双眼鏡を覗けばそれらしき場所が見える。駐車場の少し手前に林道があり進入したがかなり荒れている。不安になり引き返し、更に国道方向に進んだが棚田から離れすぎる。また、引き返しやはりその林道に。奥に進んだら展望台への案内板が。林道から左折するのだが、かなり急で狭いので歩いて向かってみたら5分くらいで展望台に着いた。急な場所は入口だけなので車で向かったがスリップ。自分の車はセダンながら四駆。でもしっかり水を含んだ林道はやはり無理だった。
  棚田の上部に霧が漂う。そんな写真が撮れたので車に戻ったが、晴れ間が見えてきたので再度撮影に向かう。しかし、雲が多いので晴れ間は一瞬。次の晴れ間を待つ。必ずやってくると信じて。桜の撮影でも良くあるが、こんな天候の時は効率が悪いし、イライラし精神的にも悪い。好きでなければやってられない。


  鹿児島県頴娃町のの棚田は案内板も無く選定地を特定しづらいが、役場の資料でまず大丈夫とする。開聞岳は中腹あたりから雲が巻き付き、山頂は見えない。開聞岳と棚田の組み合わせ。こんな写真を撮りたいが仕方ない。またいつかと思うが、はるか最南端。白馬や立山と違い、おいそれと出かけることは出来ない。絶対写してやると宣言も出来ない。
 こ こは棚田百選の最南端の地。田植もかなり早そうでもう稲も色付いている。稲刈りもまもなくの様子だ。走行中激しいにわか雨に出会ったが、今は大分明るい。こんな時に一瞬の夕焼けで思わぬ収穫と・・・思ったが、それはなかった。ここは、我が家からかなり西にある分、日が暮れるのがかなり遅い


  今日は九州南部で局地的な集中豪雨があり、あちこちで大惨事があったようだ。幸いにも自分は走行中雨になれども、雨中の撮影は免れた。でも、この先大丈夫かと一抹の不安もよぎる。
 
  頴娃町には日帰り温泉が沢山ある様だが、”夢・風の星アグリランド頴娃”という施設の温泉に。
休憩後入来町に向かうが、入来町を過ぎた隣町の樋脇町に道の駅樋脇があり、そこまで足を伸ばす。

平成15年7月21日 (月) 晴れ時々曇り

  入来町内之尾の棚田は、国道328号線からゴルフ場に向かい、途中で右折すると棚田の上部に出る。あとでわかったが清浦ダムから遡ったほうがわかりやすそうだ。棚田は沢に沿って両岸にあるのだが、猪、鹿よけの電線で囲ってあるし、田んぼも点在している。

  栗野町幸田の棚田は県道53号線沿いに交流施設があり、棚田まで1.1キロとある。1.1キロ行った所は棚田の最上部で撮影ポイントだ。石垣が他の所となんとなく違うので思い出したが、宮勾配と呼ばれるそりをもった手法で築かれている。1.1キロポイントの石垣は美しくかつ撮影もしやすい。ちょうど石垣の草取りをしていた。草刈機も使うことも出来ず、手で抜き取る。足場の悪い石垣によじ登って。


  宮崎県に戻り、えびの市真幸の棚田はJR肥薩線真幸駅の近く。国道447号線を真幸駅を右に見て、鉄道の上の道路をUターンぎみに越え右の林道に入る。・・・のだが、これを見落とす。うろうろし、結局人に尋ねる。尋ねた人は棚田の所有者と親戚といっていた。距離は短いが一回で曲がりきれないカーブもあるし、昨日は大雨だったので気を付けてと。現地は真幸駅のはぼ真上。一回で曲がりきれないカーブの下に駅が見える。
  棚田は個人一人の力で開墾されたとのこと。他の所と全く違う雰囲気だ。棚田の中に民家が点在している所は多いが、ここは、民家(屋敷)の中に棚田がある。棚田が庭の一部なのだ。留守ではないようなので声をかけてみる。でも返事はない。仕方ないので撮影開始。なんとなく落ち着かない。


  西米良村は二ヶ所選定されているが、一の瀬川と並行する国道265号線に沿い春の平。老人ホーム辺りが選定地らしいが看板も無いので人を見つけ確認。OKらしいが反応になんとなく不安を感じる返事だった。ここもそれぞれの石垣は美しいものの、これというポイントを見つけることが出来ない。

  さらに上流の向江の棚田に。3キロぐらい先だろうか。近くまで来たようなので人に聞いたら国道のすぐ右手にあった。棚田を囲むように民家が点在し、集落との一体感があるものの、この状況は写真的には難しいものだ。やはり電線類は。


  この後は熊本県か宮崎県か迷うが、秘境椎葉村を横断しようと宮崎にし国道265号を北上する。高千穂を始めとする神楽の里、一度はこの神楽の撮影もしたいと昔から思っていたが機会がなかったので通過だけでもしてみようと。祭りの撮影は数限り有り、遠方はなかなか取材できない。その点百選は一応目標は立つ。


  秘境椎葉村を堪能?し、五ヶ瀬町に入ったのはもう夕刻。日陰の棚田は国道沿いにあるが、もう薄暗いので現地の確認だけにする。明日の朝は日之影町を予定。途中高千穂温泉で休憩し、日之影町の道の駅青雲橋泊。

平成15年7月22日 (火) 晴れ時々曇り

  青雲橋から日之影川を北上する県道6号線で石垣村に行けるが、反対側の林道でも行けそうなのでそちらを走った。少々心配だったがキャンプ場がありそこで合流した。ここは戸川という集落で戸数7戸だそうだ。水車小屋があり数年前に1,000万円以上かけて作ったとの案内がある。水車小屋の前の戸川岳登山口への道を少し上がった所からが一番のビューポイント。早朝の静かな集落に朝霧が流れる。自分の好きな情景で堪能、撮影も快調。百選もこんな所ばっかりなら・・・。


  国道218号線を戻り高千穂町に。岩戸川の右岸が栃又、左岸が尾戸の口だが、それぞれがどの辺りまで選定地かよくわからない。案内板もなく人に聞いてもはっきりしない。そういえば今回案内板があったのは日南市と栗野町だけだった。まあ間違いはないだろうということで、目に付いた所々で撮影。山間部にしては明るい雰囲気(後で知ったが、九州南部は今日梅雨明け。でも太平洋高気圧の支配下の本当の真夏の気候ではない)で広々としている。


  徳別当は同じ高千穂町でも前の二ヶ所と違い全く雰囲気が異なる、いわゆる秘境。国道218号線の二上神社前のバス停を左折し、しばらくすると林道は二又で交通規制の看板も。どうなっているのかと戸惑っていると、後から軽トラのおばさんが来た。徳別当を尋ねると左に進めばすぐと。ラッキー!
  集落に着いて人に聞くと一番奥まで車で行け、Uターンも出来ると教えてくれる。ビューポイントはこの道路沿い。奥の方よりも、最後の民家から少し進んだ所。下に先ほどの林道が二又になっている辺りが望め、棚田に沿った沢の水が美しい。(でも、あそこまで選定地の範囲なのだろうか)


  五ヶ瀬町鳥の巣の棚田は国道503号線で浄専寺を目標に行けば良い。浄専寺の隣に三ヶ所神社があり、神社の右の農道に入る。棚田はこれといった特徴もなく、案内板もない。数カット撮影したが正直言って選定地なのか確信も持てないが、全く人の気配もないので多分大丈夫とした。
  撮影後、枝垂桜を見に浄専寺に道草する。この枝垂桜は樹齢200年以上といわれている。九州は桜の古木は少ないが、この桜は機会があったら撮影したいと思う。


  下の原の棚田は国道503号線の坂狩という所まで来たが、右折する地点がわからない。丁度、名水というか霊水というか、水を汲んでいる人に尋ねたら、すぐ近くの橋が棚田への進入路だった。この棚田も撮影は難しい。農作業の人に選定地の確認をし、数カットで終了。


  国道265号線沿いの日陰の棚田。昨日確認したが、棚田の中にはやはり良いポイントがない。国道の反対側は山になっていて展望できそうな気がするので、民家から出てきた人に尋ねる。この人はよく知っていた。国道沿いに小学校の跡地があり、今は鞍岡イベント広場となっている。そこに山側に入る道があり、上に行けば見渡すことが出来るとのこと。棚田の中に良いポイントがない所は展望地があるとその場所の特徴が表現できる。

 矢部町菅迫田の棚田は通潤橋や県道180号線沿いの棚田を横目に走行したら、かなり近くまで来て交通規制。迂回路の案内はあるものの自分のカーナビに地名が現れない。こうなれば、半ばやけくそで走行。途中でバイクの人をわざわざ止めて確認。勘は当たり(偶然か)やがて鮎の瀬大橋に。(後でわかったが、あぐりろーど鮎の瀬と呼ばれる農免道路走ればよかったが、自分のカーナビは案内しなかった)鮎の瀬大橋を渡り左折。県道153号線上上菅バス停を右折し林道を登れば選定地だ。上部からはパノラマ。遠方に山並が見えるが上空は雲が多め。気持ち良い青空になれば最高だが。(右の写真は通潤橋)

  矢部町役場方面に引き返し県道152号線の中島小学校前まで来ればの棚田。棚田の入口はちょうどすり鉢の底のようだ。三方に美しい曲線を描いた土坡の棚田が広がる。土坡の棚田は女性的な佇まいを醸し出し、なんとなく心が和らぐものだ。今日もしつこく夕焼け待ち。でも・・・・。

平成15年7月23日 (水) 晴れ時々曇り

  宮原SAで朝を迎えたが眠たくて出発が遅れた。やはり現場で朝を迎えないと自分に妥協してしまう。水俣市から北上する予定だったが、逆のコースにし八代ICから県道155号線にて東陽村天神木場の棚田を今日の最初に。県道155号線を経て箱石集落の公民館前のY字路道路を右側に進めば選定地に着く。ここも田んぼが電線で囲まれポジションの選択に苦労する。しかし、上から見下ろすと、成長した稲がじゅうたんのように美しい。段差が乏しくなり棚田らしさを表現しずらいシーンだが、なぜかこの美しさには心を惹かれた。


  公民館前のY字路道路を左側に進むと美生の棚田に出れる。ここは生姜の栽培に転作され米は作っていない。生姜畑にいた人に百選のことを尋ねたが知らないと。でも、役場からの資料をみればこの近辺でよさそうだ。美生も石橋が多く、一つ一つに説明がある。尋ねた所は美生橋という橋の手前だった。
  米を作ってない棚田は自分的にはどうもすっきりしない。じゃあ段々畑はどうなんだとも。くどいけど。棚田は自然のダムというが生姜畑もその役目はあるんだろうか・・・?。こんな気持ちもあり撮影も気合が入らない。


  国道219号線、県道17号線で坂本村に。県道17号線は九州自動車道と並行して走っている。左手に九州自動車道を見ながら数分で鮎帰小学校に、そこを左折し小さなトンネルをくぐり2〜3キロで日光の棚田に着く。棚田には地元の保存会が作成した手作りの説明板がある。車は棚田に入れないので、左の農道を歩いて上る。右側にこじんまりとしているが美しい棚田が見える。上空は雲は多いが流れは早い。雲の切れ間からの光線待ち。今回はこんなのが多い。早く梅雨が明けないかと思うが、どうやら当分は無理のようだ。残念。
  下に引き返し球磨村に向かう。坂本村役場の担当者から資料を送って頂いた時、電話までもらったのでお礼の架電。ついでに道路状況も聞く。やはり国道219号線は交通規制があり迂回が必要。直接聞いた方が早いので、役場まで出かけ教えを請う。


  おかげ様で球磨村松谷の棚田には無事到着。偶然だが撮影ポイントも一発で。こんなこともめずらしい。JR肥薩線那良口駅からの県道325号線の大きなカーブでなんとなく車を止めたら、そこからが定番写真の撮影ポイントだった。定番写真は確かに選定地には相違ないが、他の人と同じ写真になってしまう。でも、定番写真の手持ちが無いということも・・・。ここでも光線待ち。1時間ほど費やして撮影終了。


  鬼の口棚田へは、いったんJRの方に引き返し県道15号線から入るのが一般的のようだが、役場からの地図によれば近道がある。県道325号線をこのまま少し行き右折すれば良さそうだ。2〜3人の人に確認し棚田に到着。ここも特徴が無いので正面から石垣と稲をシンメトリックに。困ったときの自分の手法の一つ。


 水俣市は先日の豪雨で災害があったが、選定地とのかかわりも全然わからない。でもとにかく向かうことに。国道219号線を芦北町まで引き返し、国道3号線、国道268号線、県道15号線を走り、ふるさとセンター愛林館に。ここから寒川水源亭への案内板に従い走れば寒川の棚田。右手に壮大な棚田風景が展開する。ここは気に入った棚田の一つ。今日の最後の地。最後の地がいい場所だと十分堪能できうれしいものだ。ここでも夕焼けをまったが、やはり・・・。

  明日は龍ヶ岳町。途中津奈木町という町のつなぎ温泉四季彩という日帰り温泉で休憩し、深夜を龍ヶ岳町へ。激しいにわか雨もあり不知火町の道の駅で仮眠。

平成15年7月24日 (木) 晴れ時々曇り

 道の駅不知火で仮眠中激しいにわか雨で目が覚めた。起こされついでに龍ヶ岳町まで行く。国道266号線を走り大道中学校の前に。ここから龍ヶ岳への登山道があり、しばらく登れば大作山の棚田のはずだ。まだ4時なので大道港の駐車場で夜明けを待つ。役場から資料をもらっていたし、選定地はすぐわかるはずだった。が、予想に反し山中をうろうろ。方向違いを探していたので民家もなく人もいず。資料には大道港から棚田は5分位とあったが選定地を見つけるのにかなりかかった。
 早朝の雲の流れは早く、時々青空がみえたり、雨がぱらついたりで不安定。東側の山は高く、棚田に日が当たるには時間がありそうなので、その間にポイントを探す。ポイントは棚田の北側の道路から。木々がなく開けた場所2〜3ヶ所から棚田が望める。

  五和町まで出て島鉄フェリーで島原半島に渡る。千々石町の清水の棚田は国道251号線からすぐなので、展望台からワンシーンだけ写し、川棚町日向の棚田に。県道4、106号線で上木場のバス停に。近くに百選の碑もある。九州のマッターホルンとも言われる、虚空蔵山という独特の風貌の山があれど空は灰色。山頂付近は雲がまとわりついている。バス停から左回りに進むと虚空蔵山を背にした棚田が広がる風景となる。一番左に墓地があり、その近辺からがベストポイント。青空の時にもう一度撮影したい所だ。

  波佐見町鬼木の棚田は県道1号線からの入り口がわからず、交通量が多かったので勘で左折すると偶然選定地に着くことができた。棚田の右側の農道を進むと立派な石碑と駐車場つきの展望台がある。ここは中間位で上から下に連なる棚田を横から撮影できる。反対の農道からも逆に展望出来るのだが、あいにく廃材を燃やしていて、煙と熱風で撮影できなかった。時間的にはここからの方が逆光ぎみでインパクトのある情景だったのに残念だ。

  これで一応九州は全部廻ったことになる。昨日あたりから考えていたが四国まで足を伸ばすことにする。電話で確認すれば、大分県の佐賀関からの九四フェリーは夜の11時半まで便があり、時間的には十分間に合う。
  佐賀関午後9時半の便で四国に向かう。乗用車とトラック併せ6台か。船員の方が多そうだ。帰りは別府から大阪までフェリーなので、四国の西半分、愛媛県の3ヶ所と高知県の1ヶ所。幸い高知県の梼原町は愛媛県境。というわけで松野町まで走り、道の駅虹の森公園まつの泊。

平成15年7月25日 (金) 晴れ

 松野町奥内の棚田は国道381号線、県道106号線で。選定地の手前に奥内農村公園があり案内板もある。今日も東の山からの太陽を待つ作業から。現地の状況がわからないので早めに来て待つしかない。朝の光を受けた棚田のドラマチックな情景は最高のシーンだから。でも、真冬の日の出待ちと違い山間部の夏の朝は心地よいのが救いだ。というわけでかなり待ったが、その間人に話しかけられたりする。日が射すのを待っていると言うと、後30分位と教えてくれる人も。待ったかいあり。逆光に輝く稲が美しい。


  梼原町神在居の棚田はわかりやすい。国道197号線の風早トンネルを抜け、すぐ左折すれば選定地。ここは反対側に展望台がある。風早トンネルの次にまたトンネルがあるが、そのトンネルのやや右上にあり、正面に棚田が見え、下に風早トンネルも見える。天候は相変わらずの光線待ち。ここでは、にわか雨も。
  この展望台では4人のご婦人のカメラマンの一行に出会った。三脚にセットしたカメラをのぞかせてと。代わる代わるのぞき、さすがに私達ちとは違うと。ごく平凡なアングルだが。まあこれはこれとして、一人のご婦人は自分と同じ645のカメラを持っていた。彼女はフィルム交換を始めながら、交換が面倒という。35ミリみたいには出来ないと言うが、交換作業を見ていてほしいと言う。そしたら、とんでもない方法でセットし始めた。驚いたことに巻き取る方のリールをホルダーに収めず、手に持ったままリーダー部を差し込んでいる。それは駄目だよ。リールをホルダーにセットしてからリーダー部を差し込み、回転しスタートマークに合わせることを教えたら喜んだ・・・。これは楽、前は10分以上かかったこともあると。そりゃ時間はかかるよ。
  再び棚田に戻り数ヶ所撮影。一枚小さな田を見つけたが、高い脚立がなければ28ミリでは収まらない。さすがに輪島は小さい。立ったままでも一枚が十分に収まる。


  城川町堂の坂の棚田は、県道35号線を近くまで来たが見当たらない。幸いに携帯は使えるので役場に電話。どうやら看板を見落としたようだ。少し引き返したカーブの所に看板があり、見上げれば沢沿いに棚田が広がっている。集落を通り抜けた農道を進むと、工事機械で道が遮断されている。舗装工事中だ。でも、この辺りがポイントのようだ。後で国道から見上げたカットを撮影し、今日の最終地五十崎町に向かう。


  五十崎町泉谷の棚田は県道56号線から御祓川に架かる御祓橋を渡る。御祓橋からは5.1キロとの案内板があり、所々に棚田への残りの距離も表示さた案内板もあり安心して走行出来る。 棚田の最上部には駐車場付きの展望台が整備されていて、画家が二人スケッチしていた。愛媛県の人だがTVで知って初めてやって来たといっていた。ここは素晴らしい光景だ。百選の選定地もこんな所ばかりなら撮影ももっと楽しいのに。時間は午後2時半頃。今日の最終地で後は九州に帰るだけ。明日でもいい。と、いうわけで夕焼けに挑戦。日差しは強いものの空気は乾燥し、吹き抜ける風も気持ちいい。夕焼けは期待出来る。間違いなく焼ける。車の中でうとうとしたり、辺りを散策したり、待つこと約5時間。左右の空はやや赤みを帯びるものの正面の上空は黒い雲に覆われ、そのまま日没。
  これは本当にショックだったが、さらにショックの追い打ち。さわやかな日だったのでアイドリングしてエアコンで涼をとる必要は全くなかったが、ラジオはかけっぱなし。ラジオはカーナビ一体型。で、バッテリー上がり。車で寝る時はそんな予感もあり全部OFFにしておくが、昼間なのでその考えがリンクしなかった。近くに民家もあるが、車は頭が柵の方を向いている。ケーブルも持っているが短いだろう。電波もなんとか届くのでJAFにコール。昨年の7月も山陰の大東町でコールした。そのときはキー閉じ込め。

 そして、帰りの経路にまたショック。カ−ナビの設定どおり三崎港に向かったら、しばらくして極端に狭い道。まるで両側の草や雑木の梢を車でラッセルしているようだ。こんな中をかなりの時間走る。夜の8時頃で、対向車は一台もなかったが、対向車があったらどうなるんだろう。この道路は県道310号線。どんなに遠回りでもこの道は避けたほうがいい。

  ということで、かなりの時間を費やし三崎港に午後11時着。最終のフェリーで九州に舞い戻る。

平成15年7月26日 (土) 晴れ

 神出鬼没。今朝は玖珠町山浦早水の棚田で朝を迎えた。去年も早朝来たが、あの雰囲気よもう一度と。しかし、去年ほどの朝靄には至らず。最初にある程度満足するものが撮れると、なかなかそれを超えられない。また、最初にうまくいかないと、何度もうまくいかないが。自分だけ・・・?。

  まだ時間はあるので産山村の棚田に。ここは昨年来た時すでに稲刈りは終わり、夕方に近かったから。畦の草は綺麗に刈り取られ、輪郭がはっきりしている。扇形の田んぼが美しい。勿論ここも光線待ち。雲の流れが速く、田んぼに写る雲の影は子供の鬼ゴッコのようだ。遠方に山並みは見えるものの上空は真っ白。今日は青空も期待できない。
(偶然だが3年後の同じ日に念願の青空の写真を撮ることが出来た。周りの様子も変わりなく、今度は田植えの頃を撮影したい。平成18年7月26日)

 九州北部も今日梅雨明け。挟間町の由布川奥詰と別府市内成の棚田を去年に続き訪れ、別府市内に戻る。日帰り温泉で休憩。洗車、給油して乗船手続き。

平成15年7月27日 (日) 晴れ

 大阪から和歌山県清水町のあらぎ島、三重県紀和町丸山を経由して帰宅。大変な大回りだが、写真は定番写真だけで切り上げた。9日間で走行距離約3,100キロ。天候も満足できるものではなかったが、まあまあの写真は撮れたつもり。
  これで残りは9ヶ所。岩手、宮城2ヶ所、関東全部の3ヶ所と四国の香川、徳島2ヶ所。(最初に行こうとした関東がまだ残っている)もうこうなれば今年中にと思うが、ちょうど九州にいた頃宮城県北部で大地震が。どおしよう・・・。

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平成15年8月10日 (日) 晴れ
 今年は8月になっても天候不順。熱帯夜なんて皆無にひとしく、日々の暮らしは楽だし水不足の心配はないが、農作物は深刻だ。宮城の地震は収まりつつあるようだが、梅雨明けしないまま夏が終わりそう。残っている岩手や宮城はどうしよう。
  今日は、久し振りに好天。午後鳳来町に出かけた。九州で不発の夕焼けをしつこく。稲も成長し緑いっぱいの四谷の棚田を何年振りかで撮影したが、夕焼けはまたまた不発。まあ、仕方ない。

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平成15年9月4日 (木) 晴れ

 
百選巡りも後9ヶ所となり、もうこうなったら今年中にと思っていても、今年は異常気象で10年振りの冷夏。盆も雨続きで8月は結局遠出はしなかった。今年中とすればもうリミットに近いので、雨が降っても槍が降っても(槍は降らないから)決行。ということで東北、関東へ。前日午後8時半に出発しできれば一気に一関までと思っていたが福島の吾妻SAで仮眠。朝も早めにと思いつつも9時頃まで寝てしまった。現地でないと、どうしても早起き出来ない。

 国見ICから丸森町の沢尻棚田へ。国道349号線の沢尻のバス停に案内板があり1キロ位で棚田に着ける。3〜4台の駐車場もありこじんまりとした棚田がここから眺めることが出来る。


 こんどは白石ICから一関ICまで行き大東町の山吹棚田に。役場の近くらしいので手っ取り早く役場を訪問。役場の裏にあるテニスコートの横の道を山側に進み、しばらく上り分岐点で左に。少し行けば山吹会館という集会場があり、そこを右折すると右手に棚田がある。百選最北端の石碑もある。ここも規模は小さいが静かな佇まいだ。勿論稲刈り前のこの時期、人はそうそういないか。

 再度一関に引き返し、今度は栗駒町の西山棚田へ。国道457号線に小畑酒店という店があり、西山集落への小さな案内板もある。ここから2キロくらいか、左右に棚田が広がる。日は大分傾いてしまい急いで撮影にとりかかるが、電線・電柱が邪魔だし傾斜も緩やかでよいポイントが見つからない。
 あまり手ごたえはないがそろそろ切り上げようかとしていたら地元の人に話しかけられた。大分年寄りの人で半分以上意味不明(東北弁は難しい)だが、右手の上部からの眺めが良いと言っているようだ。なるほど、林の影で日は射していないがなかなかの眺めだ。電線・電柱がなければ。でも、これは気にせず撮影。棚田百選もカメラマンのためのものではないので仕方ないが、兵庫県の加美町のパンフレットに岩座神の集落の電線・電柱撤去の構想もあった。

 少し距離はあるが鳴子温泉まで出かけ、鳴子ラドン温泉で入浴。まだ震度3位の地震が時々あるようなので南部まで引き返し、福島の道の駅安達泊。

平成15年9月5日 (金) 晴れ

 百選巡りの最初に予定していた所が最後の方になってしまったが、栃木県烏山町の国見の棚田に。県道27号線で国民宿舎わらび荘を目指したが棚田を見つけるのに少々苦労した。国民宿舎の少し手前に工務店があり、国見みかん園の小さな看板に従い右折すればすぐ下に棚田が広がる。ここからがベストポイントだが、上からの撮影は田植の時期が一番いいだろう。朝日に輝く稲が美しい。もう少し冷え込めば靄も立ち込めるだろうが、今日は残念ながら写真に写るほどは出ていない。

 茂木町石畑の棚田は国見棚田を下ればすぐに県道27号線に出ることが出来る。県道から150メートルほどの所に駐車場がある。丁度道路の工事中で上には行けなかったが、駐車場から少し行った所から左側の沢沿いに広がる美しい棚田が望める。昨日も今日も気持ちいい青空だ。今年はゴールデンウイーク以来の撮影日和。もっとも九州のゴールデンウイークは天気が良すぎて夕焼けに不満があったが。(それ以降全国的に天候不順の年だ。)そんなんで、必要以上に青い空を入れたアングルに・・・。うれしくて?

 300キロくらいあるだろうか、一気に房総半島の鴨川市に向かう。まず、みんなみの里に行く。大山の棚田のパンフレットがありここから約10分位らしい。県道34号線に案内板があり迷うことはなく到着。思っていたほど大きな棚田ではないが美しい棚田だ。稲刈りは早い所とのことだがまだ済んでない。案山子が沢山たっていてコンクールでもしたのだろうか。遠くに見える田は大分刈り取ってあるので、この中心部は殆どオーナー田なのだろうか。平日にもかかわらず多くのカメラマンで賑わっている。棚田の中に入るカメラマンもいるのでこれを避けるアングルに苦労する。案山子も田には付き物だが、今の案山子(コンクール用?)は好きになれない・・・。夕暮れ時の棚田は中々の風情だが、ここは東向きの棚田で朝は最高のシャッターチャンス。ということで今日はここで夜を明かすことに。

 いったん市内に戻り、夕食と温泉浴。

平成15年9月6日 (土) 晴れ

 今日は土曜日。現地泊は他にいなかったが、暗いうちに目が覚めたら、もうかなりの車が。中にはタクシーで来た一行も。夜明け前にかなりの人数になった。今日も天気は良く、朝焼けにはなったが期待したほどではなかった。どうも昨日の方が良かったらしい。また機会を見て来たいが、やはり田植時期の方がベストのようだ。四季折々絵にはなりそうだが、なにしろ遠すぎる。地元の人にはかなわない。

 東京湾フェリーで三浦半島に。湘南の道は渋滞。百選巡りの最初に行った伊豆に。天城湯ヶ島町の下ノ段の棚田は前回は大迷いだったが、今回は前の記憶を頼りに順調に。荒原の棚田は工事中で迂回路が良く分からない。カーナビではこういう場合は不便だ。前の写真でほぼ満足なので、日も傾いたこともあり今回は省略(二回目はあっさりとしたものだ)し、戸田村に。北山の棚田も上部からのアングルが好きなのだが、この時期はやはり段差の表現が難しい。

 今回は天候に恵まれ満足。走行距離2000キロ。後は小豆島と徳島県の二ヶ所。来週か再来週には。

平成15年9月14日 (日) 晴れ

 天候も安定してきたので百選巡りの最後の撮影に出かける。
 徳島県上勝町樫原の棚田は徳島方面から県道16号線を行き、役場を通り過ぎ2キロくらい先の神田バス停を右折。バス停付近には棚田へ3キロとの案内板もあり迷うことなく到着。稲刈りはまだ始まってなく黄金色の稲穂が朝の斜光線を受け美しく輝いている。数は少ないが彼岸花も咲き始めている。しかし、棚田の真ん中を、木材の切り出し用なのだろうか、ワイヤーが横切っていて、この処理に苦労する。今まで見た写真には写りこんでいないようだったが、最近張られたのだろうか。それとも皆うまく処理しているのだろうか。また、データではかなりの面積、枚数だが、分散しているのだろう。この水車小屋のある付近からはとてもそんな風に見えない。
 井川町に向かう途中、大釜の滝の案内板が目に付いた。国道から滝が見えるので下に降りて撮影。百選巡りでも随分多くの滝の案内板を見たが撮影は始めて。愛知県内の主な滝は撮影してあるが、今度は滝でもやろうか?。この滝は日本の滝百選の一つとのことだ。

 井川町下影の棚田は、県道140号線を井川スキー場腕山への案内に従い走る。役場からは各ポイント毎の写真入案内パンフレットも頂いてあり間違いなく到着。スキー場の案内板で後11キロの所がカーブになっていて、棚田入口180メートルの案内板もあり、ここから棚田の下部も俯瞰できる。180メートル進めば左折の案内板があり、細い坂道を200メートル下れば選定地だ。ここには百選の認定書の現物が展示してある。稲刈りは大分済んでいるが田んぼに稲架けはなく、刈り取った稲は自宅の庭で稲架けしている。

 小豆島に向かうため高松港に。出港直前の便に間に合いロスタイム0。運賃も船内で支払う。土庄港に着いたのは午後4時。池田町中山の棚田は10分くらいか。県道252号線沿いに選定地があるが、ベストポイントを探すのに日の傾きと競争し走りまわる。所々撮影しながらやっと定番写真のポイントを発見。名水百選の湯船の水の駐車場からだ。良い水があるほどだから米もおいしいだろう。稲刈りは大分済んでいるが稲架けは少ない。コンバインもかなり普及しているようだ。ここは水が張られた時期の夕方がベストだろう。機会があればまた訪れたい所だ。唯一船でなければ行けない小豆島が最後の地となり、これで百選の134ヶ所踏破。

平成15年9月15日 (月) 晴れ

 昨日は小豆島に留まろうとも考えたが、結局去年行った久米南町北庄の棚田の朝の撮影のため岡山行の最終便で島を離れ、久米南町の道の駅で泊。北庄の棚田は期待どおり朝靄が漂うドラマチックな朝となった。数ヶ所撮影し帰り仕度をしていたら通りがかりの人に話しかけられた。写真もあるからと誘われ自宅に誘われ話し込む。この人は棚田の保全活動の中心者のようで、頂いた名刺には生産組合の組合長とある。こういう人が多くいる棚田はしばらくは大丈夫だろう。

 北庄の隣の上籾と中央町の大垪和西は山中を走れば時間はかからない。去年来た時はさんざん迷ったが、記憶とカーナビでスムーズに。カーナビは細かい道は案内しないが選定地を目的地にして、目的地から離れないように山中を走ればたいがい到着できる。どこも稲刈りは進んでいるが、やはり稲架けは少ない。

 中央町から英田町上山の棚田に。ここは文化庁の農林水産業に関する文化的景観の重要地域になっている。大芦高原を目標に進めば良いのだが、途中大の苦手の工事通行止め。カーナビでの迂回路でなんとかなりそう。途中パトカーがいて、警官は車の外にいたので大芦高原を尋ねたが、若い警官で知らない。まあいいやとそのまま進ことにした。警官は気をつけてと。ありがと・・・。でも無事到着。看板もある。昔は百町歩8,300枚の棚田だったそうだ。でも今はそんな面影は微塵もない。所々耕作地があるだけだ。耕作放棄地の面影すら少なく、雑木に覆われ既に山に戻っている。わずかに残った田んぼを運動家が守っているのだろう。集落には美しい景観保全の看板もあるが。写真も例によって電線・電柱が多く・・・。
 上から何とかならないかと大芦高原の方に向かったら、途中公園のようなものの工事中。雲海の展望台を作っている。ここから上山の集落も見えるが、手前の木が邪魔。展望台の高さはどのくらいになるか分からないが、雲海の展望台だからあまり期待しない方が良さそうだ。ここには大芦高原温泉「雲海」という施設もあるらしい。

 時間があるので作用町にも再度立ち寄る。今回は上月町側から入った。上月町の田和の棚田は百選の選定地ではないが他の選定地と遜色はない棚田だ。去年来た時は知らなかったが、ここは乙大木谷と町境で背中あわせの位置にある。甲大木谷も立ち寄る。ここは乙大木谷の山の反対側にあるが電線・電柱が邪魔になる。三ヶ所ではやはり乙大木谷は絵にしやすい。それゆえに代表して選定地に?。そんなことはないか。

 午後3時頃作用ICから帰路に。三連休の最後の日で高速道路も所々で渋滞したが9時近くに帰宅。百選巡りの最終章が完成した。

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百選巡りを終えて

 当初はもう少し年月がかかると思っていたが、2年で一応廻り終えた。耕作放棄、耕地整理、地方自治体の平成の大合併で今後の棚田はどうなるのか、そして、年々衰えを感じる自分の体力。これらのことから早めにと随分無理をした。ただし、自分はカメラマン。天候に左右される棚田の写真は、あいにくの気象条件で満足できてない所も多々あるし(でも傘をささざるをえない撮影は一度もなかったことはラッキーだった)季節や時間を変えて再度訪れたい所も多い。
 しかし、あまり写欲が生じない所もある。このことは、選定基準に保存への取組み体制等他の要素もあるとのことで、景観だけで選定しているわけではないので仕方ない。

 祭りの撮影はこだわりを持っての撮影に徹してきて、いたずらに数を追うことはしないのだが、棚田の撮影は百選踏破が目的でもあり満足できていない場所も多々ある。これからは、満足な写真が撮れてない所を重点に、ゆっくりと撮影したい。とにかく駆け足、早撮りだったので。また、文化庁が発表した、農林水産業に関する文化的景観にも百選以外に数ヶ所の棚田がありここにも行きたいし、それ以外の美しい棚田も探してみたい。

 北へ、南へと選定地を訪れ、つくづく日本は近代国家?(何をもって近代国家というのか)とも感じた。延々と続く山間部の道路も未舗装路は全くというほどないし、冬の雪国も最奥の集落までは完全除雪されている。写欲が萎える電線・電柱もいたる所に。もう日本には電気のない集落はとっくの昔になくなっている。

 そんな農村の人は皆親切だ。とにかく選定地はわかりずらい所が多い。どれほどの人に尋ねただろうか。中には手書きで地図を書いてくださったり、お茶でもと誘われたり。自治体の方にはあつかましい資料の請求にも応じていただいたりと。皆さんのおかげでした。ありがとうございました。


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