CIDフォント-1--97年の情報

CIDフォントとは日本をはじめ、アジア系の字数の多いフォントをうまく扱えるようにしたもので、現在まで使用できなかったモリサワがデザインした様々な旧字体を扱えるようになった。

CIDフォントでは6.067文字の日本語キャラクラーにCID番号という通し番号が振られており、あるCID番号のキラクターはこの番号の旧字体にあたるといった情報を持っている。CIDフォントの主な特徴は、従来のフォント(OCFフォントOriginal Composit Font)に比べフォントデータやファイルの構造がシンプルで、メモリ容量の消費も少なく、文字アウトラインのラスタライズが高速化されている。

ビットマップおよびアウトラインフォントデータが単一のスーツケースファイルにまとまった「sfnt」フォントになった。新しい文字テーブルが追加され、フォント自体に詰め組み情報を保有している。約300字の字形(グリフ)のJIS C 6226-1978形式への変換、エキスパート漢字、305文字の新字体(簡略字体)から旧字体(正字体)への変換などができる。

ポストスクリプトプリンタのバージョンが2015以降のものを使えば現在よりも50パーセントぐらいスピードアップされるという。従来モリサワフォントは、83年度シフトJISコード「83pv-RKSJ」を採用していたが、マッキントッシュは漢字Talk7以降、90年度シフトJISコード「90pv-RKSJ」に変更しため、一時外字が表示できなかったりプリントできなかったが、CIDフォントではこの2種類の文字コードをサポートしている。ただし、同時に2つの文字コードをサポートできるのはプリンタだけで、マッキントッシュにインストールする場合、どちらかひとつを選ぶ必要がある。

この文字コードの違いは作成した書類には含まれないので、ユーザーがどの文字コードで書類を作成したか管理しなければならない。マッキントッシュにインストールされている、CIDフォントがどちらの文字コードを使用しているか知るには、スクリーンフォント(丸漢ファイル)の情報(83pv)を見れば確認できる。


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Illustrator5.5J以降でフォントデータを含むをチェックすれば、文字コードの違いを無視できる。

プリンタへのダウンロードには、PostScriptレベル2(バージョン2011以降)、あるいは純正PostScriptレベル1日本語プリンタが必要。マッキントッシュにインストールする場合、ATM3.9.2J、またはそれ以降のバージョンのATMのみで動作。

CIDフォントで作成した書類を出力センターなどに出す場合は、注意が必要だ。OCFフォントがインストールされているマッキントッシュでこの書類をプリントすると、文字化けするものがでてくる。出力センターではCIDフォントを搭載したマッキントッシュと、OCFフォントを搭載したマッキントッシュを別々に用意することが予想され、ひとつの書類の中でCIDフォントとOCFフォントを混在して使った場合、出力を拒否される可能性もある。