秘書給与疑惑で今回田中真紀子氏の政倫審を衆院で開いた事について評論家の上坂冬子氏は次のように話している

 

《　秘書給与疑惑に付いて今田中真紀子議員個人を攻め立ててみたところで何の解決にもなるまい。
こんな低次元の問題で、物々しく政倫審を開く日本の政治の現状のほうが問題だ。さらにいうなら、首相公選論が取りざたされるたびに、ワイドショー好きな女性層の絶大な支持によって田中真紀子総理の誕生間違いなし、などといわれたのが昨今の政治を取り巻く日本有権者のレベルでもある。

思えば「改革」を目指して発足した総理によって大胆すぎる抜擢が断行され、念願のポストを得た田中議員も又「改革」の、のろしを上げて手荒な外務省首脳の更迭を繰り返しつつ喝采を浴びたのは、ついこの間のことであった。
口当たりのいい「改革」の掛け声に、信念なき政治家はうかれ、視点なき国民は惑わされて今日に至っている。
「改革」とはいったい何なのか。

外相に就任したばかりの頃、田中議員は台湾の李登輝前総統来日の後で、こともあろうに中国外相との電話会談などで李登輝氏へのビザ発給を批判した。
又首相の靖国神社参拝まで批判するなどの「二元外交」を臆面も無く口外した。
それをとがめる厳しさも指導力も無いまま彼女の言動に歯止めをかけることすら出来なかった政界が、今ようやく週刊誌によって口火を切られた金銭疑惑をきっかけに、絡めてからブレーキをかけ始めた経緯を考えると、国民としては暗澹たる思いに打ちのめされるしかない。
これを機に、公設秘書の立場と在り方を総点検すべきだと言う説はもっともだが、すでに事は秘書給与の流用疑惑レベルをとうに超してしまっている。
問題は、日本の政界全体を覆う、この間延びした状況判断とうつろな認識をどうするかだ　》

今日本の首相を選ぶとすれば誰かといったアンケートをとったという、その中で田中真紀子と言う名前がこの時期に３番目か４番目に出ていた、アンケートを取った前後の脈絡がわからないがどうしたことか。まず政治家は何をする人なのかするべき人なのかを理解し、次にその目的を達成するためにはどういう能力を持った人を選ぶべきなのかと言うことを知る人が多くならないと日本の政治は変わらない。

私は、族議員であるがゆえその恩恵を受けその事によって支持する人も、どのような形であれ昔お世話になったあの人だからその子供だから自分は命に代えても議員として支持し応援すると言うことも、又議員あるいは議員になろうとする人がどのような能力があるか分からないが、その感性が自分にぴったりであると言い支持する人も、頭ごなしに否定するつもりはない。

人それぞれに固有の文化があり歴史があり他の人では計りきれない事情があるのだから、短絡的な決め付けは出来ないことは言う迄もない。ただしかしその割合が増え、国全体の最適であろうと思われる方向性が著しくゆがめられる事が明白になってゆくならばこれはなんとしてでも食い止めなければ、自分だけがよければそれでよい世界からその内、自分にその弊害が及んでくることを何とか理解してもらわなければこの国の明日はないと思うのだがいかがなものであろうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００２．７．２７　　　　　

Ｈｏｍｅ	レポート集