アクチュエーターとブーストについて


アルテッツァ用トラストターボキットでブーストが上り過ぎて困っているという質問をたまに見かけます。
そこでロッドを長くしてブーストを低くしましょうと回答がある(私も言いました)が、実際にやってみた所、
結果は下がりませんでした。なぜそうなのか幸いにも?タービンがあったので検証を試みました。

アクチュエーターのロッドはどれぐらい伸びるか、
というと長さにして
1cmってところ。
ロッドの調整をしていない状態。
ロッドをギリギリまで伸ばした状態。
バイパスバルブが開いているのがわかります。
アクチュエーターが作動した状態です。
左が調整した方、右が調整なしの方ですが、
開き方にさほど違いはありません。
普通に考えるとロッドが長くなっている分、
開く量は大きいはずでは?と思うが
意外な盲点を発見。
写真を見てもらうと判かるように、
ロッドとバルブのパーツが干渉しています。
これによってロッドはまだ伸びるのに
実際の所はこれ以上開く事が出来ません。
調整無しだと干渉しませんので
アクチュエーターの性能をフルに使って
いる事になります。
では干渉しないようにすると、左の写真の
ようになりますが、さほど開いてないのが判ります。
これでもロッドは余裕がありましたので
強引に伸ばしてみると右の写真のように
バイパスバルブが全開になりました。

これらを踏まえると、ロッドを長くしてもロッドとバルブのパーツが干渉してバルブの開く量は
さほど変わらない為、ブーストを下げる事は期待度は小さいという事です。
逆にブーストが掛かってない状態からバルブが開いているのでブーストの掛かりが悪くなってしまいます。
実際に走ってみた所、じわじわと過給して最大ブースト値(3速0.37ぐらい)まで上っていきました。
(この時は2mm程度伸ばした状態でした。)

では、干渉しないようにしてロッドを伸びるようにしたらどうなるか。

たいして違いはないと思います、写真で見ても判るようにバルブの開く量は
若干大きくなってますので、多少は下がるでしょうが、0.05ぐらいかも・・・
ロッドにはまだ余裕があるので伸ばせるところまで伸ばせば最後の写真のようにバルブが
開くかもしれませんが、ロッドの向きがかなり窮屈になりやっと開く感じですので
実際にはこのようになるとはちょっと思えませんね。
あと補足ですが、これはハウジングが固定されていない為にある程度
動きに余裕が生じていると思いますので出来れば固定して実際に動きを見たほうが
より確かなものとなると思います。

では実際どうすればブーストの掛かりを変えずに下げるか、今のアクチュエーターでは無理でしょう。
例えば0.2で作動するアクチュエーターを取付てもバイパスする排気口の大きさは同じです。
ブースト圧によってバルブが開く時間に差が出来てもバイパス排気口の大きさが同じであれば
バルブが開いてからのタービンの性能に違いはないと思いますのでブーストの掛かり方、立ち上がりに
違いは出ても最大ブースト値はさほど変わらないのではないかと思われます。

今のアクチュエーターを使うならばバイパスする排気口を大きくして逃げを大きくすれば下がるかと。
どちらにしても下げるのであればバイパス部の排気効率を良くするしかないんですね。
(要は排気側のタービンブレードに当たる排気量を減らして過給しにくくする訳です)
排気口の加工にしても個人では無理でしょう。
アクチュエーターもタービンも連動して作動しているので両方をバランスよく手を加えなければ
ブーストを下げる事は出来ないのではと思います。

では実際下げるにはどうしたらいいか・・・出来る事といえば、インタークーラーを入れて吸気抵抗にてブーストを下げるか
排気効率の悪いマフラーを入れてふん詰まりにして排気抵抗でブーストを下げるしかないと思いますが、
どちらもブーストの立ち上がりが悪くなるのでターボらしさが消えてしまいます。
(インタークーラーの場合はブーストコントローラーで立ち上がりを良くすることは可能ですが、排気抵抗の場合は
ブーストの立ち上がりを良くするパーツを知りません・・・)
どうしても下がらないならメーカーかショップにお願いするしか打つ手はないです・・・
(バイパス部の排気口の加工になると思われますが)

実際にブーストが掛かり過ぎるとは何処から言うのでしょうか?これまた人によって違いますよね。
とある情報ではエンジン・燃料系がノーマルで0.6以下なら何とか大丈夫だろうということでした。
(エンジンの状態にもよりますので一概には言えませんが、この付近だとノッキング音がするらしいです
壊れてもいい覚悟があればこの付近までブーストアップしても・・・あくまで自己責任で)

あと実際にブーストがどれぐらい掛かっているかちゃんと調べる必要があります。
ブーストが0.5!?と思ってアクセルを放してしまうと思いますが、それからタレてきやすいのです。
私の場合ですが5000回転付近を過ぎると徐々に下がって行きます。
私の場合はインタークーラー有りで3速で最大0.44付近からタレてくると0.3−0.35ぐらいまで落ちます。
これなら問題ないレベルと思ってますので、怖いかもしれませんがある程度負荷の掛かるギアで
ちゃんと確認した方が良いと思います(くれぐれも自己責任でお願いします)。

負荷の掛け方にも色々ありまして、ギア数が大きくなると当然負荷も増えます。
同じ回転数で走ろうと思ってもギア数を上げるとアクセルを余計に踏みますよね
その分、空気もたくさん送り込まれてますから排気も多くなるという事は
3速3000回転と4速3000回転ではどちらが負荷が大きいかわかりますよね。
なので3速で0.4だったのが4速だと0.5になる可能性もあります。
負荷が掛かるとブーストが上がるとはこういうことを意味しています。
一応、補足説明として・・・

一般だとブーストアップの話は良く聞きますが、ブーストダウンの話は聞きませんよね。
ボルトオンターボならではの話題・悩みかもしれません。こんな事を考える人の方が少ないですよね(笑
色々書きましたが、解決策という内容から脱線している部分が多い気もしますが、参考程度にして頂ければ・・・
最後までお付き合い頂きありがとうございました。m(_ _)mペコリ