Alcohol

 

人は人の手で造られた不思議な水を飲むと人格が変わる
まるで自分の心の奥深くに眠っている感情や性格を目覚めさせる覚醒剤のように…
目覚めたモノはちょっとやそっとじゃ元の位置に戻ってくれない
目覚めればその水の効果が消えるまでずっとその性格でいるままなのだ

ある人は後悔する出来事ばかりで泣いてばかり
ある人は楽しいことがあって笑っている
ある人は気に入らないことがあって他人に絡み怒っている
そして怒り任せに殺人に走る人もいる

人の手で造られた不思議な水
自然の果実を丹念に加工して作り出す
その水は普通の水と酷似しているのもあれば
まったく違う色をしているのもある
その水は人の心を誘うかのようないい香りを漂わせ人を誘う

自然の水はせせらぎの川のように優しく流れ
私達にその優しい流れる音で癒してくれる
でも人の手で造られた不思議な水は自然の水とは違う
きっと人の手で造られたのが分かるように鈍い流れる音なのだ

人を狂わせる不思議な水
何故人はそこまでしてその不思議な水を飲みたがるのだろうか?
きっとその奥深く眠る感情を出したいから?
不思議な水……
人を狂わせる水……
人は自ら作ったこの水をどう思うのだろう…

私はこの不思議な水に畏怖さえ感じる
この水一つで何でもできる
陽気にさせたり悲しみに浸らす事だってできる
だが飲みすぎると死に至る
それがとても怖い
飲み方一つで死となるか宴のように陽気になるか決まるから

 

作者コメント→部活の酒宴で酔った友人や同輩、先輩を見てふと思ったことです。

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