雅楽の演奏形態B-歌謡-

 

 雅楽器の伴奏で歌う声楽で、日本古来の原始歌謡に基づく「国風歌(くにぶりのうた)」と、大陸系の音楽の影響を受けて作られた「催馬楽」および「朗詠」とがあります。
 @国風歌は、伴奏に和琴、神楽笛などの和楽器と篳篥のほか、曲目により神楽笛の代わりに龍笛、高麗笛などの外来の管楽器を併せて用い(笙は、全く用いません。)、笏拍子を打って、高雅に歌います。
 A催馬楽は、伴奏に三管と両絃を用い、笏拍子を打って、俗調の和文を拍節的に歌います。
 B朗詠は、伴奏に三管だけを用い、閑雅な漢詩文を非拍節的に歌います。
 歌謡は、いずれも句頭の独唱に続いて歌方の全員で斉唱しますが、管楽器は主奏者だけが演奏します。また、笙は、管絃や舞楽の場合に和音を奏するのとは違って、歌物の場合には旋律を奏します。