第七章 告白

 

 泣いてしまったあと、あたしは冬椰が用意した牛車で自宅に戻ってきてから三日が経った。
 あたしはあの時自分が取った行動に恥ずかしく思ったのと同時にあたしは自分の本当の気持ちが分かったような気がした。
 この三日間で自分の本当の気持ちに整理がついたのだ。
 それを伝えるためにあたしは冬椰に今夜来るように文で伝えた。
 あのことがあったからちゃんと来てくれるかどうか分からないけど、来たら楓たちを退かせてあたしの気持ちをちゃんと伝えよう。
 今度こそ偽りのない本当の気持ちを……。
 そう思いながら待ちに待って、申の刻(午後四時ごろ)になって夕の御膳が運ばれて来たけれど、冬椰が本当に来てくれるかどうか不安になってもろくに食べれない。
 やがて戌の刻(午後八時ごろ)になってこっちの方に人がわたってくる気配がした。
 あたしは居ずまいを正し、御簾の中で緊張して待っていた。
 まもなく、冬椰がつき従う女房一人と一緒にしずしずと部屋にやってきた。
「楓、中納言。おまえたちは下がっていなさい。」
 あたしがそう言うと、楓たちはしずしずと部屋から去っていった。
 これで邪魔者はいなくなった。
「白夜。いきなり話があるってどうしたんだ?」
「ごめん、冬椰。でもね、あたしどうしても冬椰に伝えたいことがあるの。」
「あの日、人を引っ叩いたくせに?」
「しょうがないじゃない。あれはいきなりだったんだから。」
「いきなり…ね…。」
 あたしの言葉を聞いて、冬椰は呆れて目を逸らした。
 ちょっとその行動にムッとしたけれど、そんなことを言っている場合じゃないわ。
 もう早く言わないと、この体がおかしくなっちゃいそうだもの。
 そう思いつつもあたしは立ち上がり、御簾の外に出て行った。
「ちょ…っ?!白夜?!」
 さすがにあたしの行動に驚く冬椰。
 そりゃそうよね。本来なら女は御簾越しでしかも女房の口を使って話をしなければならない。それなのに、あたしは女房なしの上、御簾の外にまで出てしまったのだから、驚いて当然のことである。
 まぁ、、あたしと冬椰は筒井筒の仲だから別にどうでもいいけどさ。
 そしてあたしはためらうことなく冬椰に近づき、冬椰を抱きしめた。
「……冬椰。」
「……白夜。」
「あたしね、やっと気づいたんだ。あたしは冬椰のことが好きだってことを。
 気づいてからあたしは冬椰のこと考えるたびに胸がきゅんってなって、冬椰と離れたくない、ずっとそばにいたいと思ったの。
 だから…あたしは……この間冬椰の求婚を受け入れます。」
 力みながら最後まで言い切ると、冬椰は呆然としつつもあたしを抱き返した。
「まるで夢を見ているようだ……。」
「夢じゃないわ。ちゃんと起きて聞いているわ。」
「俺…おまえ一人しか愛さないから…だから…白夜も俺しか愛さないでくれ。」
「うん。」
 あたしはちょっと照れながら返事をすると、お互い自然に唇を重ねた。