さざなみが聞こえる
優しくて儚くて微かな波音
まるでこの地球(ほし)が呼吸しているみたいだ
母という海の胎内に生まれてくる生き物達
私たち人間も遠い祖先は海から生まれた
だから懐かしく感じるのかもしれない
それより懐かしく感じるのは同じ女としてかもしれない
女は海より深い考えがあるという
ホントかなって思うけど考えてみるともしかしたら
それを言い出した人は凄い感性の持ち主だと思う
だって自分のことで精一杯なのにそんなことをあっさり言えちゃうんだもん
それでも私たちは今の生活において犠牲という憑き物がある
生命を絶ち その奪った生命から生きる糧を得る
それが生きている者の生まれたときからの大罪
そんな中でも生きる者は人を愛する
だから何を犠牲にしたって守るべきものがある
それが私たち生きとし生ける者の最後のプライドかもしれない
私たちは年老い 細胞も朽ち 生きる糧を失い
もう死ぬかもしれないと思っていても最後に思い出すのは母なる海かもしれない…
海は母であると同時に死神でもある
死と生を同時に持ち偉大な力を最低限しか用いらない
だから生きる者は海という母に逆らうことなんてできないのかもしれない
海は私の故郷
そして死ねば自ずと還る場所
誰も還る場所を変えることなんて出来ない
だって生きている者全てが同じ場所に還るんだから…
だから自分の天寿を全うするまで海を怒らせないで悲しませないであげて欲しい
海は何もしなければ優しい母なんだよ |